男同士の熱い戦いを描いた競泳漫画
本作で描かれるスポーツは、高校を舞台にした「競泳」である。連載のきっかけとなった読み切り版は、「一月半で何か描けないか?」という、担当編集のむちゃぶりが始まりだったという。「とりあえず男同士の熱いプライドのぶつかり合いが描きたい」という平方昌宏は、ジャンルにはこだわっておらず、編集者が水泳経験者という理由で、競泳漫画が誕生した。読み切り版のコンセプトは連載版に引き継がれており、競泳のテクニックや必殺技よりも、努力・根性でぶつかり合う、ライバル同士の熱い戦いに重きが置かれている。
「天海の伝説」との出会い
青野拓海は、小笠原諸島の離島に住む中学3年生。6年前、インターハイの競泳メドレーリレーをテレビで見た拓海は、「天海の伝説」を目撃する。それは、4泳法のすべてで高校記録を出して優勝した天海高校の勇姿だった。特に自由形のアンカーに憧れた拓海は、いつか伝説を塗り替えることを夢見て、毎日一人でクロールの練習を続けていた。夏休みのある日、拓海に運命の出会いが訪れる。アルバイトでやって来たプールの監視員が、「天海の伝説」のアンカー、神楽淙太だったのだ。未熟ながら、拓海に「底なしの精神力(メンタリティ)」を見いだした淙太は、彼を東京に連れていくことを決意し、特訓を開始する。それから半年後、東京都の競泳の強豪・春雨高校に合格した拓海は、水泳部コーチに就任した淙太の下、競泳にのめり込んでいく。
仲間も食らう春雨高校水泳部
春雨高校水泳部は、全国レベルの実力者が揃っており、全国でも3番目ぐらいの強豪である。しかし、さらに上を目指す彼らは、伝説のスイマーである淙太をコーチとして招聘したのだ。春雨高校水泳部の特徴は、先輩後輩関係なく食い合って上を目指すという風潮である。それは「鮫の檻」に例えられ、仲間も食らうつもりじゃなければ生き残れないといわれている。拓海は、そんな厳しい水泳部で、大会のレギュラーを目指して、ライバルたちとしのぎを削る。
登場人物・キャラクター
青野 拓海 (あおの たくみ)
春雨高校1年生で水泳部に所属する男子。身長169センチメートル、血液型はO型。小笠原諸島の出身で、小学生の時、テレビで見た競泳のインターハイがきっかけで水泳を始める。底なしの精神力(メンタリティ)を持ち、諦めるということを知らない。神楽淙太と出会い、春雨高校に進学して本格的に競泳を開始。高回転のストロークが武器。
神楽 淙太 (かぐら そうた)
春雨高校水泳部のコーチを務める24歳の男性。身長180センチメートル、血液型はA型。かつて、インターハイの競泳メドレーリレーで、高校記録を出した伝説のスイマー。プールの監視員として小笠原諸島のある島にやって来た時、青野拓海と出会い、スイマーとしての素質を見抜く。
書誌情報
ベストブルー 全3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2015-11-04発行、 978-4088805658)
第2巻
(2016-01-04発行、 978-4088805863)
第3巻
(2016-03-04発行、 978-4088806327)