概要・あらすじ
登校する途中、空から降ってきたコンテナと衝突した九能揺介は意識を失い、世界を滅ぼす少女、カラミティと名乗る少女のみが存在する世界へ、精神だけを飛ばされてしまう。元の世界に戻す代わりに、自らに触れず鎖を解き放って欲しいと頼む少女の願いを揺介は聞き入れるが、鎖が外れた瞬間に落下しそうになった少女を慌てて抱き留めたことで、彼女に触れてしまう。
やがて現実の世界で目覚めた揺介は、自分が怪我もなく入院していることと、見覚えのないペンダントを手にしていることに気づく。数日間の入院の末、退屈さに我慢できなくなった揺介が病院を抜け出すと、千本の棘と名乗る謎の男が突如襲い掛かってくる。状況も分からぬまま逃げ惑う揺介に男の投げた短剣が迫ったその時、謎のペンダントが光を放ち、奇妙な世界で出会ったカラミティが姿を現すのだった。
登場人物・キャラクター
九能 揺介 (くのう ようすけ)
学校に登校する途中に、空から降ってきたカラミティの入ったコンテナと衝突したことを切っ掛けに、カラミティを制御する端末、ペンデュラムの所有者としてカラミティ自身に選ばれた少年。胸に大きな十字傷がある。隣の家に住む宝条伊吹とは幼なじみの関係で、友人である小鳥遊皆美も含め、3人でよくつるんでいる。難しい話が滔々と続くと、途中で聞くのを止めてしまうような面倒くさがり。 また、長い間シリアスな雰囲気を維持できず、緊迫した場面でもギャグに走るようなおちゃらけた面を持つ。その反面、仲間や身内が傷ついたりするのを放っておけず、助けるためなら自分が傷つくことを厭わない強く優しい心の持ち主でもある。
カラミティ
伝説の機神。運命の軛という重りがついた鎖に縛り上げられ、封印されていた。輸送機によって空輸されていたが事故により落下。偶然、直下にいた九能揺介に当たり、現実とも今際の際に見た夢ともつかない世界で揺介がカラミティを軛から解き放ったことをきっかけに、彼に付き従うようになった。バビロンやソドム、ゴモラ、レーヴェといった伝説に名のみを残す、都市が滅びた原因となった厄災だとされている。
宝条 伊吹 (ほうじょう いぶき)
九能揺介の幼なじみの少女で家が隣同士。実家が天雷武神流という流派を継ぎ、父親は師匠として幼い頃から武術を習い育ち、自身も格闘家としての一面を持つ。怪力の持ち主で、バレンタインのチョコレート作りの際も、チョコレートを型に詰めるときに力を込めすぎて、チョコレートがまったく溶けないほどに圧縮されていた。揺介に対して幼い頃から強い想いを抱いているが、高校生になった現在に至るまで素直になりきれずにいる。 そのため神足せつなやカラミティといった、揺介に近しい女の子の登場にヤキモキすることも。
小鳥遊 皆美 (たかなし みなみ)
九能揺介の友人の眼鏡をかけた少年で、学年で一番の成績を誇る。基本的に揺介や宝条伊吹と行動を共にしており、学内のみならず学外でもつるんで遊びに行ったりする仲。相手に命令して強制的に言うことを聞かせる「絶対服従(カリスマ)」と呼ばれる能力を持っているが、普段はその力を隠している。
御堂 弾軌 (みどう たまき)
政府諮問機関「御堂グループ」の総帥。眼鏡をかけた妙齢の女性で、世界を滅ぼしかねない厄災であるカラミティと、カラミティを制御するための端末であるペンデュラムの所有者、九能揺介を監視する役割を帯びている。任務のために揺介たちの学校へ養護教諭として赴任してきた。
神足 せつな (こうたり せつな)
チンピラに絡まれていたところを九能揺介に助けられてから、揺介に付きまとうようになった同じ高校の後輩。16歳で、肩口で切りそろえられた黒髪をしている。揺介に自己紹介した際には、3サイズから誕生日や趣味まで公言しており、それによればサイズは上から79/55/81、誕生日は3月28日の牡羊座で、趣味はお菓子作りとかわいい小物集めとなっている。 出自不明の異能者集団「アルゴノーツ」に所属する隊員で、目にも留まらぬ速さで動くことができる。それを利用して空間に真空の大断層を作り出し、かまいたちによってすべてを切り裂く「列空走破斬」という技を得意としている。少女のような外見をしているが、実は男である。
千本の棘 (さうざんどそーん)
出自不明の異能者集団「アルゴノーツ」に所属する男性隊員。カラミティと、その制御装置であるペンデュラムの所有者である九能揺介のことを狙い、揺介たちの前に姿を現す。のちに、「井の頭」と名乗って揺介たちの高校へ教師として赴任してきた。カラミティを狙う一連の作戦の指揮を任されている。
風の刃 (かぜのやいば)
出自不明の異能者集団「アルゴノーツ」に所属する男性隊員。千本の棘に待機を命じられていたが、進まない現状に焦れて独自の行動を始め、九能揺介とカラミティを狙った。タキシードに極薄の刃を仕込んだマントを着込んでおり、マントを回転させて相手を切り裂く「大回転刃(エッジ・タイフーン)」という技を使う。他人に触られることを気にしたり、自らの髪型を小まめに整えたりとナルシストで潔癖症な面がある。 のちに「風祭刃」と名乗り、高校生として揺介のクラスへと転入してきた。
嘆きの海 (なげきのうみ)
出自不明の異能者集団「アルゴノーツ」に所属する男性隊員。カラミティと、その制御装置であるペンデュラムの所有者、九能揺介のことを狙い、海水浴に訪れた揺介たちを暗殺しようとした。
一の座 (いちのざ)
出自不明の異能者集団「アルゴノーツ」に所属する隊員。当初はカラミティと、九能揺介のことを狙っていたが、宝条伊吹に気づかれたため、目的に失敗している。二の座、裏爪と呼ばれる2人と行動を共にしており、3人一組で事に当たる。3人とも、全身を忍者装束のような服装で覆っており、顔には仮面をつけているため、外見からは性別や表情などの情報が一切読み取れないが、一の座は裏爪に兄者と呼ばれていた。
爆弾屋
出自不明の異能者集団「アルゴノーツ」に所属する隊員。禿頭の男性で、右目に縦に走る傷痕がある。千本の棘との間に因縁があり、他の隊員と違って九能揺介やペンデュラムではなく、千本の棘との決着をつける瞬間を待ち望んでいた。大量の爆薬と銃火器を武器に戦う。
北条 景星 (ほうじょう けいせい)
天雷武神流の第27正統総代を自称する男。出自不明の異能者集団「アルゴノーツ」に所属する隊員。かつて人を殺め修羅と成りはてたことを理由に拳を封じられ、天雷武神流の一門から追い出された過去を持つ。カインの異能の力によって拳を再び振るえるようにして貰った代わりに、九能揺介の命を奪うという盟約を結んでいる。
カイン
ペンデュラムの前所有者で、過去にカラミティの力で世界を滅ぼした青年。自らのことを「過去の亡霊」と称している。異能者集団「アルゴノーツ」の総帥で、九能揺介の前に現れて彼のことを兄弟と呼んだ。揺介自身も認めるほどにそっくりな外見と雰囲気を持つ。揺介の持っているペンデュラムと同じ形のペンデュラムを持っているが、力を失っているのか、カラミティに対して効力を発揮しない。 すべての事象を彼が口にした予言通りに操る「運命創造(ディスティネーション)」と呼ばれる能力を持っている。
応援団の主将 (だんぶのしゅしょう)
九能揺介の学校での友人。高校生とは思えないほどの巨体と濃い顔つきをしている青年。御堂弾軌が学校へ赴任してきた時は、揺介が弾軌の3サイズの情報や、盗撮ビデオを持っているというデマを率先して信じ、揺介を追いかけ回した。また、部活応援の観客動員数を増やし、応援団が出している屋台の売り上げを増やすためにカラミティをマスコットとして呼べないか揺介に相談したりと、硬派な雰囲気の割に俗っぽい部分を持ち併せる。
宝条 慶雲 (ほうじょう けいうん)
宝条伊吹の父親で、髭面の厳つい外見をしている。天雷武神流と呼ばれる武術の第二十七代目「拳聖」で、娘である伊吹の師匠でもある。高潔な精神の持ち主で、いたずらに天雷武神流の力を振るうことを良しとしておらず、伊吹が幼い頃に誤って暴力を振るった際も、相手に陳謝し続けた。高校生になってからも変わらず心が不安定な伊吹のことを、静かに教え導き続けている。
佐藁 (さわら)
九能揺介たちと同じ高校に通う男子生徒。眼鏡をかけた短髪の青年で、小鳥遊皆美に執着した様子を見せる。成績上位者のみが所属することのできる学校内の秘密クラブに所属しており、皆美の頭脳に目をつけて勧誘したもののむげに断られてしまい、以後、逆恨みに近い形で皆美をつけ回した。皆美に目をつけるのとは逆に、いつも皆美がつるんでいる成績の悪い揺介たちのことを愚民と嘲っている。
集団・組織
御堂グループ (みどうぐるーぷ)
カラミティを封印し、維持し続けてきた政府諮問機関。伝説に記された破滅の力であるカラミティを、人が触るべきではない過ぎたる力として代々封印してきた。現在の代表は、封印を維持してきた一族の末裔である御堂弾軌が務めている。カラミティを狙う異能者集団「アルゴノーツ」とは過去、幾度となく矛を交えてきた関係にある。
アルゴノーツ
ペンデュラムとカラミティのことを付け狙う出自不明の異能者集団。奇襲・戦闘のエキスパートであり、過去幾度となく御堂グループと矛を交えてきた。千本の棘をはじめ風の刃や嘆きの海といった人物が所属しており、カインという青年が総裁を務めている。
その他キーワード
ペンデュラム
カラミティを制御することのできる唯一の制御端末(コントロール・ターム)。持ち主は、世界を滅ぼす力を秘めた厄災とされる彼女に命令を下すことができるため、この世界に残された唯一の安全装置であると同時に、世界の支配者と言っても過言ではないとされている。空から落ちてきたカラミティとぶつかって気を失っていた九能揺介が、夢の中でカラミティを軛から解き放ち、目を覚ますと手に持っていた。