地元に戻ったボンクラ女子が一念発起
東京の大学に進学した一樹は、1年間大学に通いながら講義やレポートを提出することが自分にとってまったく意味を成さないと判断し、退学を決意する。親に内緒で大学を中退して地元に帰ってきた一樹は、両親と家を揺るがす大喧嘩(げんか)となり、父親から残りの学費200万円を渡され、これ以上はいっさい援助をしないと宣言されてしまう。やりたいこともなく、途方に暮れる一樹だが、2年前に亡くなった祖母が経営していた美容室「ボンボン」で物思いに耽(ふけ)っているうちに、この家屋をDIYして住むことを思いつく。こうして自分の居場所を得た一樹は、新たな人生を模索するため、自分なりにさまざまな活動を開始する。
仲間の力を借りて家屋をリフォーム
両親との交渉の末、実家を出て祖母の店をリフォームして暮らすことになった一樹は、受け取った200万円でDIYして快適な空間を作ろうと考えていた。そんな中、兄の公平から美容師の聖大を紹介され、家の1階を美容室にして聖大に貸し、家賃収入を得てはどうかと勧められる。背に腹は代えられない一樹はこの申し出を受け入れるが、聖大からは1階の内装や壁紙をすべて取り壊したスケルトン状態で引き渡すよう要求される。資金に余裕のない一樹は、どうすればいいか悩んでいると、聖大の友人で元リフォーム職人の栄吉の協力もあり、タダで工事の指導を受けることになる。こうして一樹は、聖大や栄吉とその友人たち、そして一樹の高校時代からの親友である隠岐と共に、2年間使われていなかった店を本格的にDIYすることになる。
完璧な美容師とのロマンスとすれ違い
惚(ほ)れっぽい性格の一樹は、出会ってからつねに優しく接してくれる聖大に心惹(ひ)かれていく。しかし、二人の共通の友人である栄吉からは、聖大が女性と付き合っていて楽しそうにしているところを見たことがないと忠告され、隠岐からは意味深な表情で聖大は誰にでも優しいと告げられる。一樹は二人の発言に一抹の不安を覚えるものの、聖大への恋心を抑えるまでには至らず、やがて二人は付き合うことになる。プライベートでも仕事でもサポートしてくれる聖大は、一樹にとって心の支えとなり、しばらくのあいだは彼との生活に充実感を感じていた。だが、あまりに物分かりがよすぎて完璧な彼の言動に、言い知れぬ不安を抱くようになる。
登場人物・キャラクター
千代田 一樹 (ちよだ かずき)
東京の大学を中退した女性。年齢は20歳。幼い頃から漫画や小説を読むのが大好きで、現在は夏目漱石の小説『こころ』を愛読している。 優柔不断で要領が悪く、自分で進学を決めた名門大学を1年で辞めてしまう。また、できるだけゴロゴロして過ごしたいという怠惰な気持ちと、少し褒められただけでその気になってしまうという悪癖を持つ。一方で、「意味のないことにお金を使うよりも、有意義なことに投資するべき」と考えるなど、合理的な思考の持ち主。両親や兄の公平とは、大学を勝手に辞めたことで口論になったものの、現在は良好な関係を築いている。
聖大 (しょうだい)
美容師の青年。一樹の兄、公平の親友で、一樹の友人である隠岐とも親交がある。自分のサロンを持つことを夢見ており、一樹の祖母が経営していた美容室「ボンボン」を借りることになる。なんでもそつなくこなすタイプで、誰に対しても誠実に接するため人望が厚い。また、気配り上手で他者が何を求めているかを察知し、的確なアドバイスを送っている。一方で、人とコミュニケーションを取ることが苦手で、一樹と交際するようになってからも、つかず離れずの関係を維持している。また、「誰かを本気で好きになったことがない」と公言しており、女性にモテるが、交際しても長続きしたことがない。
書誌情報
ボンクラボンボンハウス 全4巻 祥伝社〈FEEL コミックス〉
第1巻
(2017-10-07発行、 978-4396767143)
第2巻
(2018-03-08発行、 978-4396767280)
第3巻
(2018-08-08発行、 978-4396767426)
第4巻
(2019-02-08発行、 978-4396767594)
ボンクラボンボンハウス 全4巻完結セット 祥伝社
(2021-04-22発行、 978-4396769215)