概要・あらすじ
大学の講師である鷹匠千冬をこよなく愛する木下咲子は、千冬に告白しては玉砕するという日々を過ごしていた。ある日、母親の恋人がトラブルを起こし、母親は夜逃げを余儀なくされてしまう。咲子も大学を退学して自活するよう母親から告げられるが、退学したら千冬に会えなくなってしまう。思い悩んだ末に、咲子は手っ取り早く学費を稼ぐため援助交際することを選択。
ところが、援助交際の相場を知らない咲子は50万円という破格の値段で自分を売り込み、見知らぬ男から失笑されてしまう。そんな時、偶然通りかかった軽薄そうな男が、咲子を50万円で買うと言い放つ。
登場人物・キャラクター
木下 咲子 (きのした さきこ)
私立九段大学に通う20歳の女子学生。大学の入学式で鷹匠千冬に一目惚れをしてしまい、既婚者と知りながらも千冬に猛アタックを続けている。千冬にはすでに1000回告白して1000回断られているが、それでも決してめげることはない。母子家庭で育ち、愛人体質の母親と2人で暮らしているが、自分の家庭環境については、まったく気にしていない。 しかし、母親の恋人が夜逃げをしたことから生活が危うくなり、学費を稼ぐために援助交際をしようと思い立つ。
鷹匠 千冬 (たかじょう ちふゆ)
私立九段大学法学部の講師。28歳の男性で既婚者。鷹匠財閥の一族の出身で、冷静沈着で頭脳明晰、容姿端麗とすべてを兼ね備え、さらにどんな美人の誘いもきっぱりと断る硬派な男性。教え子の木下咲子に言い寄られてうんざりしていたが、生活苦に陥った咲子を見かねて、暫定的な資金援助を申し出る。
エリ
木下咲子の友人で、同じ私立九段大学に通う2年生の女子。口が悪く、隠語もためらいなく発してしまう、デリカシーに欠ける大雑把な性格。状況を冷静に分析するのが得意で、倫理観がほぼないに等しい咲子をたしなめつつも、面白がっている。
鷹匠 夏生 (たかじょう なつお)
鷹匠千冬の弟。私立九段大学に通う男子学生。兄の千冬と同様に端正な顔立ちをしており、今まで女性に困ったことは一度もない。援助交際をしようとしていた木下咲子を50万円で買い、不貞行為を働こうとしたが、未遂に終わる。その後も持ち前の軽薄なノリで咲子に近づき、少しずつ彼女に惹かれていく。
鈴木 (すずき)
丸の内の企業に勤務する女性。鷹匠千冬と鷹匠夏生が住むマンションの201号室に住んでいる。OLの仕事のほかに、兄弟の同性愛マンガを描いている。千冬と夏生に出会うたびに、頭の中で淫らな妄想を繰り広げている。
ジャンヌ
フランス人の女性スーパーモデル。ファッション誌「VOGUE」の表紙を飾ったことがある。鷹匠千冬の妻。5年前に千冬と結婚したが、ほとんど別居状態で生活している。もともと、利害関係の一致だけで結婚したところもあり、夫婦生活は最初から破綻していた。勝気な性格で、木下咲子のことを「ぶす猫」とバカにしている。
鷹匠 春彦 (たかじょう はるひこ)
鷹匠一族の現当主で、鷹匠グループの総裁を務める36歳の男性。鷹匠千冬と鷹匠夏生の叔父。甥である千冬を愛するがゆえに独身を貫き、子供を持たない自分の後継ぎにしようと、千冬に英才教育を施している。