あらすじ
第1巻
高校生の兄妹、五十嵐和真と五十嵐真夜の家に、突然ルコという悪魔の少女が転送されて来る。魔界でメイドをしているルコは、メイドの最高階級にランクアップするため、1年間一人の人間に仕える必要があり、和真に雇ってほしいと言う。こうして二人とルコ、ルコのペットであるダイオウグソクムシのグソちゃんを加えた賑やかな暮らしが始まる。一方、和真のクラスメイトである金星はにるは、ルコが悪魔である事にいち早く気づき、ルコの様子を探り出す。実ははにるは、天界から無許可で人間界にやって来て不法滞在している天使ハルワタートだった。
第2巻
人間界への不法滞在がバレて、存在抹消の刑に処されそうな天使ハルワタートの金星はにるだったが、ルコやラミエル、ベルゼブブの活躍により、なんとか刑を免れ、ルコのメイド昇格試験監察官に任命される。さらにベルゼブブの計らいで、ルコも五十嵐和真達と同じ高校に生徒として通う事になり、ルコ、はにる、五十嵐真夜達は楽しく学園生活を送る。そんな中、ルコは同時に転入して来た蓋箱みけと出会い、なかよくなる。しかし彼女は、アスモデウスからルコの観察と調査を命じられて魔界からやって来た悪魔だった。
第3巻
同じパラドックス系の悪魔としてルコに強いライバル心を燃やす蓋箱みけだったが、和解してなかよくなる。しばらく人間界に留まる道を選んだみけらと、楽しい毎日を過ごすルコだったが、突然上司からメイド試験の終了を宣告される。目覚めた破壊神と魔界の存亡をかけた戦争が始まるため、ルコは魔界に召集される。
登場人物・キャラクター
ルコ
魔界から人間界にやって来た悪魔。ライムグリーンの髪色をした美少女。魔界では魔王のベルゼブブの館でメイドをしていた。メイドの階級を最高階級にランクアップさせるための試験として、1年間一人の人間に仕えるために人間界に転送されて来た。仕える先として五十嵐和真の家を選んだ理由は、世界地図にダーツを投げて当たったから。「テセウスの船」の悪魔で、パラドックス系の能力「消失代用」を使える。その能力により、破損または消失したモノを、別のモノで代償修理する事ができるが、命や魂などは修理できない。よく目玉を失ったり車に轢かれたりして大ケガを負っているが、その能力ですぐにもとの身体に戻っている。和洋中の基本的な料理をこなせるなどメイドとしては優秀だが、かなり天然なところがある。仕え先である「五十嵐」という読みをいつまでたっても覚えず、「フィフティあらし」や「フィフティストーム」といつも読み間違えていたり、和真に弁当を届けるために学校の校門をロケットランチャーで破壊しようとした。食べ物の好みも変わっており、好物はハトの頭に醤油や南蛮ソースをかけて丸のみにし、よく嚙んで食べる「ハトの踊り食い」。午後6時までは「お仕事モード」として和真達と敬語で接するが、6時以降は「通常モード」に切り替えてフレンドリーな口調になる。のちに、ベルゼブブの計らいで和真と同じ高校に通う事になり、学校では「熊谷ルコ」と名乗る。
五十嵐 和真 (いがらし かずま)
ルコをメイドとして雇う事になった男子高校生。両親が転勤で家を出たため、妹の五十嵐真夜と一軒家で暮らしている。突如自宅に降って来たルコを、ルコの上司であるラミアからの脅しもあり、受け入れる。妹思いの優しい性格で、極めて普通の常識人。
五十嵐 真夜 (いがらし まや)
五十嵐和真の妹。和真と同じ高校に通っている。両親の転勤中、家事をこなしている。兄と同じく常識人だが、変な生物が好きという変わった一面がある。ルコのペットであるダイオウグソクムシのグソちゃんを気に入り、ルコをメイドとして雇う事をあっさり受け入れた。
グソちゃん
ルコがペットとして飼っているダイオウグソクムシ。もともとは人間界に生息する深海生物だが、素揚げにすると美味しいと聞いたルコによって捕まり、以後ペットとしてかわいがられている。しゃべる事はできず、「グソッ」としか言わないが、魔界に長くいた影響からか日本語での筆談ができる。
リチェ
天界で暮らす天使。ルコの友人で、ルコとは以前いっしょにメイドをしており、それ以来の付き合い。「ハルワタート」という名前だが、以前「ザリチェ」という偽名を使っていた事から、「リチェ」と名乗る。飼っているコバトが人間界に住みたがっているため、五十嵐家にコバトを居候させてほしいと頼み込む。
コバト
リチェに飼われている小さな白いハト。魔界のハトと人間界のハトとのハーフ。人間界で暮らしたいあまり、天界のリチェのところから脱走して五十嵐家にやって来た。飛行時の突進力がすさまじく、五十嵐家の窓ガラスを突き破って入って来たうえ、ルコの両目にも突っ込んで潰した。グソちゃんと同じく筆談が可能で、グソちゃんとはすぐに打ち解けた。大食漢で、1回の食事で5キロの豚肉を平らげる。
金星 はにる (かなぼし はにる)
五十嵐和真のクラスメイトの女子高校生。実はハニエルという名前の上位天使で、人間界に不法滞在している。天使や悪魔が上位天使や上位悪魔の許可を得ずに人間界に来る事は重罪で、「存在消滅の刑」の罰が科せられる。ルコが悪魔である事に気づき、自分の不法滞在がバレる事を恐れている。「愛と美の天使」であり、周囲の者をみんな平等の立場だと思わせる「均衡」の能力を持つ。その能力のため、天使・悪魔和平会議には毎回参加する事を強要されており、それに嫌気が差して人間界へ逃げて来た。隠れ特撮ファン。
ラミア
メイド長を務める悪魔。ルコの上司で、五十嵐家で開かれるルコの誕生祝いに誘われ、魔王のベルゼブブと共に人間界にやって来る。眼鏡をかけた大人びた女性だが、しつけのためにベルゼブブの首を絞めたり、ルコをメイドとして雇うよう五十嵐和真を脅すなど、怖い一面も持つ。
ベルゼブブ
「暴食」の罪を持った七つの大罪の悪魔で魔王。ふだんは禍々しい鎧を身にまとっているが、中身の見た目はチャラ男風の若い男性。北海道ほどの広さのある館に住み、1万人ほどのメイドを雇っている。妻は1000人おり、そのうちの半分は元メイドという女好き。ルコとはゲーム仲間で、仲がいい。
ガブリエル
最上位天使。四大天使の一人「水聖のガブリエル」で、あらゆる水分・液体を操作できる「水操」という能力を持つ。おっとりとした見た目だがルールには厳しく、逆らった者には「両腕をもぐ刑」を執行するほか、人間界に不法滞在した金星はにるの存在を消滅させようとする。
ラミエル
雷を生み出す天使「神雷のラミエル」。金星はにるの世話役を務める。はにるの事は好きで、はにるが不法滞在の罰で存在を消滅される事から救うのに奮闘した。いつも偉そうなガブリエルの事は嫌っているが、ルコがガブリエルに歯向かった際は、雷でルコを黒焦げにした。
蓋箱 みけ (ふたばこ みけ)
ルコと同時に五十嵐和真のクラスに転入して来た少女。「シュレディンガーの猫」の名を持つパラドックス系の悪魔。本名は「シュディ」だが、人間界では「蓋箱みけ」と名乗っている。アスモデウスからルコの観察調査を依頼され、人間界にやって来た。驚いた時などは「しゅれっ」という口癖が出る。仕えるアスモデウスが自分と同じパラドックス系の悪魔であるルコに興味を持っている事から、自分が解雇されるのではないかと恐れている。事象を操作できる「選択史」という能力を持ち、自分の半径100メートル以内の前後1分間以内に起こった出来事であれば、起こった事をなかった事にするなど、事象を変化させられる。ルコからは「ばこちゃん」と呼ばれる。
アスモデウス
七つの大罪「色欲」の悪魔。ルコと蓋箱みけ(シュレ)というパラドックス系の悪魔同士の干渉により、新しい能力が開花するのではないかと興味を持ち、部下であるシュレを人間界につかわし、ルコの観察と調査を命じた。
オセ
アスモデウスの側近の悪魔。ルコが見習いメイドだった頃の同僚で、相部屋でいっしょに住んでいた。ルコにいろいろ教えてあげた事から、ルコからは「お父さんみたいな人」と慕われている。