マテリアル・パズル ゼロクロイツ

マテリアル・パズル ゼロクロイツ

土塚理弘の長編バトルファンタジー『マテリアル・パズル』の外伝作品で、シリーズ第0章「ゼロクロイツ」を本編とは別に独立させた作品。「起動編」「召喚編」「天命編」「血胤編」の4編から成り、本編では伝説として語られている女神と大魔王の戦いを主軸にしたストーリーが展開する。原作者の土塚理弘がネームまでを手掛け、キャラクターデザインと作画は吉岡公威が担当した。「月刊少年ガンガン」に連載されていたが、のちに掲載の場を「ガンガンONLINE」へと移した。

正式名称
マテリアル・パズル ゼロクロイツ
ふりがな
まてりある ぱずる ぜろくろいつ
原作者
土塚 理弘
漫画
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

謎のロボットが各地に出現し、大地の5分の1が荒野と化した世界。ベルジ・タスクは、幼なじみのシュウガ・クロスクリム・テイルポッカ島で長閑な日々を過ごしていたが、巨大ロボットの来襲によって平穏は脆くも崩れ去る。未曾有の危機に島は大混乱に陥ったが、ベルジは古の魔導兵器クロイツと融合してロボットを撃破し、島は平穏な日々を取り戻す。

しかし、クロイツを使った代償としてベルジは魂を蝕まれ、ロボットに対する強い破壊衝動を抱えてしまう。事件から半年が経った頃、ベルジはロボットと戦うために島を出ることを決意し、シュウガとクリムもそれに従った。行き先はロボットの討伐作戦を先導するマジェンガ王国。ベルジはそこで「女神」と呼ばれる少女メルパトラ・アーロに出会い、やがてこの少女を守ることが、世界を救うことに繋がると確信する。

そしてベルジたちは女神とともに、各地のロボットを統括するとの戦いに挑む。

登場人物・キャラクター

ベルジ・タスク (べるじたすく)

ポッカ島で暮らす穏やかな少年。ツンツン尖った髪の毛をしている。人間には決して懐かないとされる魔獣デスレオンを乗りこなすなど、動物の扱いに関して天賦の才がある。身体能力も高いが、勉強に関してはサボりの常習犯だったため、字を読むことすらできない。海賊退治で名を馳せた亡き父親に対して崇拝に近い感情を抱いており、もともとは父親の守ったポッカ島で一生を終えるつもりでいた。 しかし、襲撃事件でロボットの脅威を目の当たりすると旅立ちを決意し、大陸に渡ってマジェンガ魔法陣に入学。メルパトラ・アーロとの出会いを経てクロイツ「フェーダードライ」の正式な融合者となり、マジェンガ王国の英雄として成長していく。襲撃事件から旅立ちの間に17歳の誕生日を迎えた。

シュウガ・クロス (しゅうがくろす)

ポッカ島で暮らすぶっきらぼうな少年。やや長めの髪と鋭い目が特徴。幼少期からベルジ・タスクをライバル視しており、背中を追うように育った。何事もベルジの方が先にやり遂げるが、上手くやるのはシュウガ・クロスである。ロープの扱いに長け、身体能力はベルジと互角。デスレオンを手なずけており、クロイツ関係の才覚に関してもベルジに引けを取らない。 ベルジと一緒に授業を抜け出していたので、学力に関しても同レベル。ポッカ島の襲撃事件の後は島に残るつもりでいたが、ベルジの懇願によりマジェンガ王国行きを決意。マジェンガ魔法陣に入学するとさまざまなテストで優秀な成績を残した。やがて数々のクロイツと融合を果たし、人類の主力として成長する。 襲撃事件から旅立ちの間に17歳の誕生日を迎えた。

クリム・テイル (くりむている)

ポッカ島で暮らす少女。金髪で前髪はピン留め、サイドは編み込んで垂らしている。ベルジ・タスク、シュウガ・クロスと兄妹同然に育ったが、1人だけ真面目に授業を受けていたので成績は優秀。弓の腕前はかなりのもので、ポッカ島が襲撃された際にはその技術を披露した。ベルジ、シュウガとともに島を出ると、マジェンガ魔法陣への入学を志望。 化け物じみた能力を誇る幼なじみたちに負けじと入学テストに挑む。その後はクロイツと融合できず戦場に立てない自分に歯がゆさを感じながらも、メルパトラ・アーロの精神的な支えとして組織に貢献した。年頃の女子らしくスタイルを気にしており、コミックスのオマケコーナーでは彼女のダイエット秘話が数冊に渡って描かれている。 襲撃事件から旅立ちの間に17歳の誕生日を迎えた。

メルパトラ・アーロ (めるぱとらあーろ)

女神として民衆の支持を集める15歳の少女。額と喉の赤い紋章が特徴。裾の余ったローブを常用しているが、女神としての職務を離れている時はスカートなど女の子らしい服装を好む。態度に関しても同様で、女神として振舞う時は大人びているが、オフの時間、限られた相手に対しては無邪気な姿を見せる。虹と相打ちになった父親のセト、兄のリトの力を支魂の術によって継承しており、絶大な魔力を秘めている。 遠くの物体を動かす「念動力」、大地の記憶から過去を読み取る「星詠み」、そこに分析や推察を加えた「仙里算総眼図(せんりざんそうがんず)」など多彩な能力を有し、身体能力も高い。クロイツの扱いに関しても一流で、魔王の骨を介さずにクロイツ「フラメアインス」を顕現させることが可能。 実戦経験の豊富なレオドリスですら圧倒する風格を持つ人類の最高戦力である。ベルジ・タスクを次代の英雄の器と確信すると、命懸けになるであろう虹との決戦に挑む覚悟を固めた。なお、親しい人間には本名の「メルパトラ・アーロ」を名乗っているが、ジュエリアガーデンに所属する者としては「ミト・ジュエリア」の名を名乗っている。

レオドリス

腰まで届くほどの長髪と縁の黒い眼鏡をかけている男性。クロイツ「シルトツヴァイ」の融合者で、守護騎士としてミーシャー公国の防衛をしていた。ダーツを嗜み、自らの魔力を矢のように放つこともできる。紳士的に振舞っているが、ロボットとの戦いでは生身の人間をおとりにするなど冷徹な面も見せる。メルパトラ・アーロとともに虹を討つべく、マジェンガ王国を来訪。 民衆の心の支えである女神を死なせてはならないと強い決意を持ち、虹との戦いに臨む。

パイネル・ジュエリア (ぱいねるじゅえりあ)

マジェンガ魔法陣の最高責任者を務める女性。外向きに跳ねた長い髪をしている。メルパトラ・アーロとは血縁関係にあり、密かに「パイ姉ちゃん」と呼ばれている。クロイツを操る者に必要なのは才能よりも強い精神だと考え、一度でも弱腰になった者は躊躇せずに切り捨てる非情さを持つ。その血筋からクロイツ「フラメアインス」を使用できる可能性を秘めており、自ら戦場に立つだけの覚悟も持ち合わせている。 腕っ節も強く、本気で殴りあうベルジ・タスクとシュウガ・クロスの間に割って入り、軽くいなして見せたこともある。しかし、スポンサーのチェルチェに対しては頭が上がらず、そんな状況に大きなストレスを感じている。時には癇癪を起こすこともあり、胃薬まで服用している苦労人。

アドー

マジェンガ魔法陣に集った26歳の青年。取り巻きを引き連れてアルト国より来訪した。取り巻きと同じフード付きのローブを着用している。彫りの深い顔立ちで体格に恵まれ、何でもそつなくこなす。適正テストでもトップクラスの成績を残し、特待生として扱われる最有力候補として注目を集めた。取り巻きの前ではクールに振舞っているが、実際は饒舌。 格闘テストで怪我をさせてしまったベルジ・タスクを気遣う好漢でもある。また、大きな体格に似合わず飴玉を好むなど可愛い一面も持つ。

アースカルフ

マジェンガ魔法陣に集った17歳の少年。雑に刈ったような髪型と深い目の隈が特徴。無口だが時に激昂するなど、感情の振り幅が大きい。好戦的な面もあり、故郷では悪魔扱いされて恐れられていた。候補者の中でもトップクラスの成績を収め、やがてはクロイツ「シルトツヴァイ」「グラヴィタチオンフィーア」「ヒッツェフュンフ」の融合者となる。 盾の魔法「7thボルト」を攻撃に応用するなど、クロイツ戦でも卓越した戦闘センスを発揮する。

シロサギ

マジェンガ魔法陣に集った17歳の少年。褐色の肌で、袖の余った服とマフラーを身に着けている。女好きで欲望に忠実、匂いを頼りに女性の存在を探知することができる。知力以外のさまざまなテストで好成績を収め、やがてはクロイツ「グラヴィタチオンフィーア」「シルトツヴァイ」の融合者となる。

ナツメ

マジェンガ魔法陣に集った16歳の少女。自分の才能を自覚しており、非常に勝気な性格。テレサと対立することが多いが、ナツメはそれを楽しんでいる節がある。小柄ながら女性陣では最も優れた成績を残しており、やがてはクロイツ「グラヴィタチオンフィーア」の融合者として活躍。「エコルド」という同郷の候補生の男性を完全に尻に敷き、日常的に殴る蹴るの暴行を加えているが、のちに彼との意外な関係性が明かされる。

テレサ

マジェンガ魔法陣に集った24歳の女性。美人だが故郷の掟に従ってマスクを着用しており、人前では決して口を見せない。容姿の醜さを隠しているのではと勘繰られてからはナツメに突っかかるようになるが、あらゆる面でナツメには一歩及ばず、からかわれている。クロイツ「グラヴィタチオンフィーア」の融合者として活躍する。 非常にスタイルが良く、ダイエットを決意したクリム・テイルの目標となる。

エンド

マジェンガ魔法陣に集った15歳の少女。左目を覆う前髪が特徴で、いつも伏し目がちでオドオドしている。一方でナツメとテレサの仲を取り持つ潤滑油的役割を果たし、交流を深めるために自ら料理を作ってピクニックを開催するなど、意外な行動力を見せることもある。融合テストで才覚を現すと、クロイツ「グラヴィタチオンフィーア」の融合者として活躍する。

マルキス

マジェンガ王国の騎兵隊長を父親に持つ16歳の少年。クセの付いた銀髪と丸々と太った身体が特徴。傲慢な性格をしており、父親の権力を笠に着た発言の目立つ典型的なドラ息子である。彼のちょっとしたワガママがポッカ島にロボットを呼び寄せる事態を招いたが、事件前後のベルジ・タスクたちとの交流によって改心すると、打ち解けて友人となる。 事件から半年が経つと、マジェンガ魔法陣でベルジらと再会。ダイエットに成功して見違えたように痩せた姿を披露し、ベルジたちを驚かせた。幼少期に母親を魔獣に殺されたことがトラウマになっており、入学テストではそんな自らのトラウマと対峙することになる。

アズラック

ロボットの討伐部隊を率いている筋骨隆々の男性。あご髭を生やし、バンダナを巻いている。閉鎖的なポッカ島まで名前が轟いている有名人でもある。ロボットの腕を回収する任務に就いていたが、復路にて同乗していたマルキスが病を訴えたことでやむなく医者を求めてポッカ島に停泊し、腕を取り戻しに来たロボットによる島の襲撃という最悪の事態を招いてしまう。 ポッカ島にてベルジ・タスク、シュウガ・クロスの才能を目の当たりにすると、マジェンガ王国に来るよう提案した。なお、マジェンガ魔法陣では教官を務めている。

アップル

白衣に身を包んだ研究者の女性。クロイツの研究を生き甲斐としており、人類の危機を、危険な実験を堂々と行う好機と捉えている。特別な訓練を受けずにクロイツを使いこなしたベルジ・タスクに興味を持ち、主に技術面で戦いを支える。マルキスの父親と共同で六大石を作り出す。

チェルチェ

ジュエリアガーデンの頭首。一族の威光を高めることを第一に考えており、外部の人間であるベルジ・タスクの活躍を好ましく思っていない。マジェンガ魔法陣のスポンサーとしての立場からパイネル・ジュエリアに圧力をかけ、自らが送り込んだラビュ、ハーミスト、ボンズルンボブズンを前線で使うように指示した。 この行動がのちに大きな事件を招くことになる。

ラビュ

マジェンガ魔法陣に集った24歳の青年。チェルチェの指示によりジュエリアガーデンから派遣された候補生で、クロイツとの融合を果たせない状況に焦りを感じている。ジュエリアガーデンのコネクションを利用して特殊な薬物を取り寄せると、ハーミスト、ボンズルンボブズンとともに「グラヴィタチオンフィーア」との融合を画策。 しかし、この行動がクロイツを暴走させる結果となり、連鎖的に最悪の事態を引き起こしてしまう。

ハーミスト

マジェンガ魔法陣に集った23歳の青年。チェルチェの指示によりジュエリアガーデンから派遣された候補生で、クロイツとの融合を果たせない状況に焦りを感じている。なりふり構わず結果を出そうとするラビュに従ってドーピングに手を出し、大事件を起こす。

ボンズルンボブズン

マジェンガ魔法陣に集った25歳の青年。ドレッドヘアと太った体型が特徴で、常に饅頭のようなものを食べている。チェルチェの指示によりジュエリアガーデンから派遣された候補生で、クロイツとの融合を果たせない状況に焦りを感じている。なりふり構わず結果を出そうとするラビュに従ってドーピングに手を出し、大事件を起こす。

ヌル

マジェンガ魔法陣の地下格納庫に安置され、覚醒の時を待っている謎のクロイツ。メルパトラ・アーロの星詠みによって大地の封印を解く魔法が宿っていることと、5体のクロイツと7人の人間の魂を変換して起動できることが判明している。

フラメアインス

主にメルパトラ・アーロが使用するクロイツ。ベルジ・タスクやシュウガ・クロスが乗りこなしていた魔獣デスレオンを彷彿とさせる獣の姿をしている。メルパトラとの結び付きが強く、他の人間が融合するのは困難。使用する魔法は酒気を変換して炎を作り出す「焦天回廊」。事前に大量の飲酒をしておく必要があるが、その攻撃力はクロイツの中でも屈指。 炎で鋭利な刃を形成する「炎陣剣」、爆炎の監獄に敵を閉じ込めて圧縮する「太陽陣」、高速回転する炎をまとい突進する「螺旋炎舞」など多彩な技を持つが、使用に制限のある技も存在する。

シルトツヴァイ

主にレオドリスが使用するクロイツ。上半身が人、下半身が馬の半人半馬の姿をしている。使用する魔法は大気を変換して7種類の盾を作り出す「7thボルト」。台風で広範囲を覆う「第一の盾」、侵入も脱出も不能の檻「第二の盾」、外部からの攻撃を防ぎ内部からは一方的に攻撃可能な「第三の盾」、頑丈だが防御方向が限定され持続力に欠ける「第四の盾」、攻撃を反射するが範囲が狭く持続力に欠ける「第五の盾」、自らを盾とする「第六の盾」を使って味方をサポートするのが主な役割。 最後の能力「第七の盾」に関してはシルトツヴァイの融合者として最も練度の高いレオドリスですら未完成であり、披露されることはなかった。

フェーダードライ

主にベルジ・タスクが使用するクロイツ。二足で立つドラゴンのような姿をしており、長い尻尾を持つ。ポッカ島に埋もれていた魔王の骨より覚醒する。ベルジとの結び付きが強く、他の人間が使用するのは困難。使用する魔法は風を変換して羽を作り出す「エンゼルフェザー」。物体に羽を付けて意のままに飛行させることが可能だが、クロイツの巨体で飛行することは難しく、自身に使っても跳び上がるのが精一杯。 風を身にまとうことで敵の攻撃を逸らす「エンゼルフェザー ドレス」という応用技もある。また、融合の度合いを深めることで「エンゼルフェザー堕天黒(タナトス)」と呼ばれる形態に変化。漆黒の6枚羽が完全な飛行を可能にし、機動力や攻撃力が大幅に上昇。 さらに遠距離から強力な一撃を放つ「黒閃迅」などの技が使えるようになる。

グラヴィタチオンフィーア

3人の魂を使って起動する特殊なクロイツ。同性の組み合わせの方が融合が上手くいくので、主にシュウガ・クロス、アースカルフ、シロサギの男性チーム、もしくはナツメ、テレサ、エンドの女性チームによって使用されている。3つ首の竜のような姿をしており、融合者はそれぞれが1本ずつ首の操作を担当する。 使用する魔法は、それぞれの口から「星」と呼ばれる黒い球体を生成し、重力を操作する「三千大千世界」。星を3つそろえるとより大きな効果が発揮できるので、融合する3人のチームワークが重要となる。

ヒッツェフュンフ

アースカルフが使用するクロイツ。二足で立つ類人猿のような姿をしており、4本の腕を持つ。アースカルフの所属国により魔王の骨が発掘され、秘密裏に管理されていた。使用する魔法はテンションを変換して熱を作り出す「パイナップルフラッシュ」。この魔法は融合者の感情に応じて効果が変わり、テンションが低い時は冷気を発して周囲を凍結させ、テンションが高い時は高熱を放出して突撃する。 これにより、テクニカルな戦闘が可能となっている。

ブルートゼクス

伝承に存在しない謎のクロイツ。サソリに似た姿をしており、ハサミに該当する部分には刃、尻尾の先にはエネルギーを放つ球体と刃を備えている。使用する魔法は血液から無限に分身を生み出し、圧倒的な物量で攻撃を仕掛ける、血の魔法「真紅虎龍牙(しんくこりゅうが)」。また、出血させた相手を血の鎖で縛り付けることも可能。最終決戦の際に突如として出現し、人類を苦しめた。

集団・組織

女神の三十士 (めがみのさんじゅっし)

メルパトラ・アーロとともにロボットに挑む30人の戦士。マジェンガ魔法陣に入学した29人にパイネル・ジュエリアを加えた30人で構成される。全員がクロイツと融合して戦場に立てるわけではなく、訓練段階の構成員も多い。なお、はるか未来の物語である『マテリアル・パズル』には「女神の三十指」という読みが同じで表記のみ異なる部隊が登場するが、その関係性については本作『マテリアル・パズル ゼロクロイツ』で明らかにされていない。

ジュエリアガーデン

チェルチェを頭首とする一族で、マジェンガ魔法陣への資金提供を行っている。クロイツで国を守る英雄を輩出していることから、その権力は王族をも凌ぐとされる。メルパトラ・アーロやパイネル・ジュエリアもその名を連ねており、チェルチェの肝入りでマジェンガ魔法陣に入学したボンズルンボブズン、ハーミスト、ラビュの3名もジュエリアガーデンの人間である。

場所

ポッカ島 (ぽっかとう)

ベルジ・タスク、シュウガ・クロス、クリム・テイルが生まれ育った自然の豊かな島。他国との交流は時折小さな国の船が訪れる程度と薄く、ベルジたちにとってはここが世界のすべてだった。のちにクロイツ「フェーダードライ」として覚醒する魔王の骨が半ば埋もれるように眠っていたが、島民たちは化石とすら認識しておらず、「とんがり岩」と呼んでいた。

マジェンガ王国 (まじぇんがおうこく)

世界有数の大国。女神ミト・ジュエリアことメルパトラ・アーロを擁していることから、他国に比べて女性の地位が高く、要職に就いている女性も多い。大規模なクロイツ研究を行っており、ロボットとの戦いにおいては世界をリードする立場にある。文化的、技術的にも発展しており、クリム・テイルのような田舎暮らしの女子にとっては憧れの場所である。

マジェンガ魔法陣 (まじぇんがまほうじん)

クロイツ融合者の養成を目的として設置された機関。マジェンガ王国の都市部から北東30キロに位置するティーアの森の中に設置されている。訓練用の設備に加えて寮などの生活空間、クロイツを管理する設備も設けられており、まさにロボットに抗うための人材と技術が結集した場所である。国からは6名以上の融合者と18名以上の候補生を2年以内に育成するよう通達されており、世界中から人材を募っている。 融合の候補者にはマジェンガ王国の平均年収の5倍、融合者には50倍という多額の報奨金が約束されており、入学テストの段階から死の危険が伴うにも関わらず、欲望に突き動かされて門を叩く者も少なくない。

その他キーワード

寄生石 (きせいせき)

飲み込ませることで獣の脳を侵食し、意のままに操れるようにする石。凶暴な魔獣であろうと従順な下僕と化すが、獣の身体には大きな負担がかかってしまう。瞳を観察すれば、対象が寄生石に脳を侵食されているのかどうか見極めることができる。呼び起こしたクロイツに注入することで、融合者の意思を反映させやすくすることもできる。

六大石 (ろくたいせき)

マルキスの父親とアップル博士が共同開発した寄生石の超凝縮型。荒ぶるクロイツすら鎮める強い力を秘めている。最終決戦の間際に6つが生成され、戦局を左右するほどの大きな役割を果たした。未来の物語である『マテリアル・パズル』では1つ数を減らし、「五大石」として登場。消えた1つの行方に関しては明確にされていない。

月鉱石 (げっこうせき)

さまざまな用途で使用されている鉱物。アズラックの率いるロボット討伐隊やマジェンガ王国の軍隊では船の動力源や対ロボット用の兵器全般に利用しており、防御シールド展開のエネルギー源や砲弾として重宝している。砲撃する場合はブリリアントカットに加工することでより威力を高めることができる。

魔王の骨 (まおうのほね)

世界各地から出土する巨大な骨。デュデュマが生んだクロイツの残骸であり、全部で6つあると伝わる。魔力と素質を持つ人間が血と魂を捧げることで存在変換が行われて往年の姿を取り戻し、融合者の意思で動く魔導兵器クロイツとして覚醒する。極めれば魔王の骨を介さずに大地からクロイツを呼び起こすことも可能。さらに結び付きが深くなって完全融合を果たすと、魔王の骨は融合者に取り込まれて一体化する。

クロイツ

途方もない年月を経て実を結ぶ星のエネルギーの結晶体「星のたまご」から孵った巨大な生物。かつてデュデュマの下僕として大地を守護していた。既に肉体は滅びているが、魔王の骨を媒介に喚び起こして融合する方法が確立されている。人類がロボットに立ち向かう切り札として活用されているが、融合を果たした者は魂を侵食され、大地に仇なす存在に対する破壊衝動が芽生えるなどの弊害が確認されている。 また、融合するだけでも身体に大きな負担がかかり、最悪の場合は精神崩壊や死に至る。魔法の力を行使できることから「魔導兵器クロイツ」とも呼ばれている。

魔法 (まほう)

クロイツと融合することで行使できる特殊な能力。酒気を炎に変換する「焦天回廊」、大気を盾に変換する「7thボルト」など、もともとそこにある何かを魔力によって別の存在に変換し、意のままに操る力のことである。未来の物語である『マテリアル・パズル』には、魔法に関する詳しい理論がより詳細に記述されている。

ロボット

人類の根絶を目的として行動する機械。民間では「鉄身の巨人」と呼ばれている。「炉」と呼ばれる拠点の建設、偵察、攻撃など機体ごとに役割分担されており、「炉」を中心とした活動エリアから出ることは稀である。小型の偵察型であれば月鉱石を加工した弾丸の砲撃などで対抗することも可能だが、巨大な攻撃型を相手にする場合はクロイツの力が不可欠。 現在、ロボットの勢力圏は拡大しており、既に大地の5分の1が荒野と化している。

(にじ)

「赤ノ妃龍(アカノヒリュウ)」、「橙ノ華龍(トウノカリュウ)」、「黄ノ卍龍(キノマンジリュウ)」、「緑ノ深龍(リョクノシンリュウ)」、「青ノ彗龍(アオノスイリュウ)」、「藍ノ刻龍(アイノコクリュウ)」、「紫ノ珀龍(シノハクリュウ)」から成る7体のロボット。上空から地上のロボットに信号を送り、統括している。戦闘用上位機種が破壊されるとデータ収集を目的として地上に降りてくることがあり、エリア内の「炉」と呼ばれるロボットの拠点が33%以上破壊された場合など、緊急事態の発生を探知すると人類に対して攻撃を開始する。 攻撃性能、機動性能は地上のロボットとは比べものにならないほど高く、損傷箇所を瞬時に修復する再生能力まで備えている。虹を撃破するとエリア内のロボットが活動を停止することが確認されており、虹の根絶は人類が平和を取り戻すための絶対条件である。 なお、物語の開始時点で「黄ノ卍龍」はメルパトラ・アーロの父親であるセトに、「緑ノ深龍」はメルパトラの兄であるリトによって破壊されている。

グランドゼロ

虹に先んじて大地に降り立った謎のロボット。既に活動は停止しているが、これを発見して詳細に調査することができれば、人類にとって有益な情報が得られると考えられている。メルパトラ・アーロの星詠みによって北極にあることが判明し、メルパトラ自ら本格的な調査に乗り出す。

デュデュマ

大地の危機に際して出現し、仇なすものを討ち滅ぼす星の防衛システム。大地の核とも呼べる存在で、大地の守護神として信仰の対象にもなっている。しかし、ロボットによって次々と人類が死滅して大地が荒野と化しているにも関わらず、目撃例は一切ない。『マテリアル・パズル』で描かれる後の世代には守護神ではなく大魔王として伝わっており、女神によって打ち倒されたとされている。

クレジット

原作

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