概要・あらすじ
日露戦争の最中、ロシア攻略を目指す大日本帝国陸軍の中に、田村ジュンゾーという風変わりな男がいた。戦争では、「合理的に人を殺す手段」こそが重要と考える田村は、独自の兵器開発理論のもと、ロシア攻略を進めていく。やがて田村は巨大ロボットの開発に成功。そして巨大ロボットを操るため、竜王玉三郎ら、大日本帝国の精鋭軍人たちを召集する。
彼らは「獣機隊」と呼ばれ、日露戦争の数々の戦場を戦っていく。
登場人物・キャラクター
田村 ジュンゾー (たむら じゅんぞー)
獣機隊メンバーの1人。大日本帝国陸軍で兵器開発を担当する男性で、階級は少佐。過去に帝国大学工学科を首席で卒業し、海外に留学した経験もある。獣機隊の操る巨大ロボットをはじめ、数々の兵器を考案・開発している。頭脳明晰な天才だが、同時に冷酷非情な一面も持つ。兵器開発においても人体実験まがいの行為をしているので、軍部首脳にも「恐ろしい男」と評されている。 独自の兵器開発理論をもとに、日本を一大軍事国家とする野望を抱く。
竜王 玉三郎 (りゅうおう たまさぶろう)
獣機隊メンバーの1人。かつて大日本帝国海軍の機関士を務めた経歴を持つ男性で、現在の所属と階級は陸軍曹長。かつて海軍にいた時、竜王玉三郎の友人を自殺に追い込んだ上官に反逆。責を問われて銃殺寸前だったところを、田村ジュンゾーに拾われた。獣機隊では田村の命令のもと、巨大ロボットの指揮・運用を担当する。「不死身」とも言われるほどの屈強な肉体の持ち主で、格闘技にも精通している。
赤羽 (あかばね)
獣機隊メンバーの1人。蒸気機関で動く巨大ロボットのカマたきを担当する男性。赤羽自身は蒸気機関のカマたき経験はなく、実家が風呂屋をやっていたという理由で獣機隊に駆り出された。当初は慣れない蒸気機関のカマたきに戸惑っていたものの、自らを「日本一のカマたき」と称して努力を重ね、次第に巨大ロボットの動力に欠かせない存在となっていく。
山田 (やまだ)
大日本帝国陸軍第四師団所属の男性。陸軍の南山攻略戦に参加した兵士の1人。眼鏡をかけた、小柄な体格をしている。ロシア軍のトーチカに、自らの所属する部隊が攻撃を仕掛けようとした時、獣機隊の操る巨大ロボットを目撃する。のちに獣機隊に参加し、戦争で散った戦友や同僚の仇を討つために、巨大ロボットに乗り込む。
佐木 (さき)
獣機隊メンバーの1人。大日本帝国陸軍伍長の男性。赤羽の直属の上司でもあり、竜王玉三郎とともに巨大ロボットの運用を担当する。実家は代々忍者の家系であり、彼もまた忍者の技術を継承しているため、縄抜けや潜入を得意とする。
アドラ・ヒィシュター (あどらひぃしゅたー)
かつてイギリスの大学で兵器学を教えていた男性。現在はロシア軍で兵器開発を担当する科学者で、「いかにムダなく大量に人を殺すか」を追及している。田村ジュンゾーの海外留学時代に、兵器学について指導した経験があり、その当時から田村に一目置いていた。田村の開発した巨大ロボットを攻略するため、数々の兵器を開発する。
ジンスキー
ロシア軍中尉の男性。唐龍陵の遺跡に残された財宝を手に入れるべく、ロシア軍から派遣された。遺跡の謎を解いたアドラ・ヒィシュターの指揮のもと、唐龍陵の発掘に臨む。その握力は、片手で人間の頭を握りつぶすほど強力。その腕力を用いて、追跡して来た竜王玉三郎と死闘を繰り広げる。
山倉 (やまくら)
大日本帝国陸軍少将の男性。恰幅のいい体格をしている。「戦争は気合い」と言い切り、上海にある日本領事館では、ロシアの軍備情報を得て、陸軍首脳や領事を前に強行に開戦を主張する。兵器に関する知識はそれほどでもない様子。
大木 (おおき)
大日本帝国陸軍参謀の壮年男性。上海領事館では、血気にはやって声高に開戦を主張する山倉を抑えるなど、冷静な性格。のちに田村ジュンゾーから、獣機隊の編成のため、蒸気機関のカマたき経験者を、陸軍の各部隊より異動してもらえるよう要請を受け、これに応える。
集団・組織
獣機隊 (じゅうきたい)
巨大ロボットを運用する陸軍所属の特殊部隊。田村ジュンゾー指揮のもとに編成された。なお「獣機隊」とは通称で、正式名称は「日本陸軍第四特殊部隊」。主に田村の考案した兵器開発とその運用が任務。陸軍の正規部隊からは「はみ出したザレ者の集まり」と揶揄されているが、部隊に所属するメンバーの練度は高く、数々の攻略戦で活躍する。
場所
南山 (なんざん)
中国北東部に位置する旅順にある丘陵。「二〇三高地」の通称で呼ばれることもある。ロシア海軍の基地が旅順港にあったので、日露戦争では日本軍とロシア軍の争奪戦が展開された。ロシア軍はここに強固なトーチカを築き、日本軍を迎撃していた。獣機隊の操る巨大ロボットが、初めて日露戦争に投入された戦場でもある。
唐龍陵 (とうりゅうりょう)
唐の時代に作られたとされる中国の遺跡。奉天より西数百キロの位置にある。当時の中国全土から金銀財宝が集められ、現在もその遺跡には莫大な財宝が隠されている。しかし、足を踏み入れた者は生きて帰って来れないという伝説もあり、地元の住民からも「魔物が棲む」と恐れられている。
その他キーワード
巨大ロボット (きょだいろぼっと)
田村ジュンゾーが開発した兵器。戦況に応じて、戦車形態から人型形態に変形可能なロボット。動力は蒸気機関で、巨大ロボットの体内には赤羽をはじめ多数のカマたき要員が存在する。ほかに、一個小隊を収容できるほどの大きさがある。武装は前面に搭載した2門の8in砲の他、両肩にも大砲が装備されている。
ボドロフ
アドラ・ヒィシュターが、獣機隊の操る巨大ロボットに対抗して開発した移動要塞。唐龍陵の財宝発掘のために投入され、兵員および財宝の運搬を想定。平常時は敷設された架線上を移動する。多数の砲台で武装されており、戦闘時には獣機隊の巨大ロボットと同じく、戦闘形態に変形可能。