ママのバイオリン

ママのバイオリン

貧しい母子家庭に生まれたバイオリニストを夢見る少女が、襲いかかる幾多の不幸にもめげず、夢をあきらめることなくけなげに生きる姿を描く長編少女漫画。1950年代から60年代にかけて少女漫画の主流ジャンルであった悲劇の少女物語の系統をなす波瀾万丈のストーリー展開で、高度成長期にさしかかる戦後の日本が舞台となっている。「少女クラブ」1958年7月号から1959年4月号にかけて連載された作品。

正式名称
ママのバイオリン
ふりがな
ままのばいおりん
作者
ジャンル
クラシック
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概要・あらすじ

バイオリニストを目指す少女、白川まなみは行方不明となった最愛のママを懸命に探すうちに、次々と事件に巻き込まれていく。そんななかまなみは数々の災難を乗り越え、バイオリンの才能を認められてようやく憧れのコンサートの舞台に立つ。しかし、公演の直前に起きた事件のせいで演奏に身が入らず、公演は失敗。どん底に突き落とされたまなみだったが、バイオリニストとしての再起と幸福な明日を信じて、ママから譲り受けたバイオリンの練習にさらに打ち込んでいく。

登場人物・キャラクター

白川 まなみ (しらかわ まなみ)

ママと2人暮らしという貧しい家庭に育つ。毎朝新聞配達のアルバイトをして家計を助けながら、一流バイオリニストを目指して毎日の練習を欠かさない真面目な性格の少女。ママから貰ったバイオリンと飼い犬のドリを大切にしている。

ママ

白川まなみの母親。かつてはバイオリニストを目指していたが、まなみを出産後に夫が戦死してからは、2人暮しをしている。一流バイオリニストの夢をまなみに託し、夜中にそば屋の屋台を引いて生計を立てている。一人娘を愛する優しい性格の母親。

ドリ

白川家で飼っている犬。全身が白色の日本犬で、白川まなみによくなついている。賢く従順で、まなみを救うためには悪者に敢然と立ち向かう勇敢さを持っている。

水島 (みずしま)

戦争で両親を亡くし、さらに渡米した兄は行方不明という恵まれない環境に育った青年。貧困ゆえに悪の道に入るが、白川母娘との出逢いをきっかけに足を洗ってかたぎになる。その後、白川まなみを気遣う兄のような存在となる。

S・クラーク

日本に滞在中のアメリ人外交官。世界中の宝を収集することを趣味とし、軽井沢に別荘を所有する富豪。妻とは早くに死別しており、現在は東京の豪邸で娘のマリアンヌと2人暮らし。不幸な境遇の白川まなみを引き取り、生活の面倒を申し出る篤志家の紳士。

マリアンヌ・クラーク (まりあんぬくらーく)

S・クラークの一人娘の金髪の少女。幼い頃に母親を亡くしており、白川まなみと同じく片親で育ったという境遇で、年齢も近いため、自宅に引き取られたまなみとすぐに仲良くなる。ピアノを習っており、まなみのバイオリンと合奏をして楽しむ。

雪村 千恵子 (ゆきむら ちえこ)

世界的に有名な女流バイオリニスト。 S・クラークの紹介で白川まなみにバイオリンのレッスンを施す。普段は優しい女性だが、レッスンでは妥協せず厳しい姿勢で臨む芸術家肌の美女。

たあぼう

白川まなみが路上で知り合った少年。戦災孤児で生きるためにスリ団の一員となって悪事を働いている。本人はスリをやめたいと思っているが、スリ団の親分が怖くてやめられずにいる。

スリ団の親分 (すりだんのおやぶん)

孤児ばかりを集め、廃墟をアジトにして子どもたちを暴力で脅し、スリをやらせて稼いでいる目つきの悪い男。稼ぎが悪い者はステッキで殴る折檻をするため、子供たちに恐れられている。

五郎 (ごろう)

スリ団に所属する年長者の戦災孤児。少しひねくれた性格だが、次第に白川まなみと仲良くなる。まなみがスリ団の親分から折檻されている時には、親分に歯向かう正義感を持った勇敢な少年。

つじ音楽士のおじいさん (つじおんがくしのおじいさん)

アコーディオンを弾きながら旅をする、白髪で白いヒゲをはやしベレー帽をかぶった放浪の老音楽家。行き場をなくした白川まなみやスリ団の子供たちを連れて「つじ音楽団」を結成し、音楽で人々を楽しませる旅巡業をする。

折原 たえ子 (おりはら たえこ)

雪村千恵子にバイオリンの指導を受けている住み込みの門下生。優しい性格の少女で、同じく千恵子に教えを受けている白川まなみとは同年代のため大の仲良しとなる。懸命に練習し、まなみと共に念願のコンサートの舞台に立つ。

尼さん (あまさん)

雪山で遭難しかけた白川まなみを救った、日光の山奥の教会の尼。過去に自分が産んだ子供を捨てたという罪悪感から神の下僕となった美しい女性。まなみのことを母親のように慈しみ、介抱して励ます人格者。

アルフレッド・コールマン (あるふれっどこーるまん)

世界的に有名なアメリカの音楽家で指揮者。コンサートのために来日した際、白川まなみと偶然に知り合い、まなみのバイオリンの価値を伝える。コンサートではマリアンヌ・クラークがピアノを弾き、まなみがバイオリンを奏でる二重奏の指揮を務める。

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