グッドモーニング・ベートーヴェン

グッドモーニング・ベートーヴェン

優れたピアノの才能を持ちながら、自らそれを認められない少年の藤堂あおいが、自身の音楽を探求していく。クラシック音楽をテーマに、ピアノとそれに魅せられた登場人物達の交流を描いた物語。「月刊少年ガンガン」2017年7月号から2018年1月号にかけて連載された。

正式名称
グッドモーニング・ベートーヴェン
ふりがな
ぐっどもーにんぐ べーとーゔぇん
原作者
左 有秀
作画
ジャンル
クラシック
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あらすじ

第1巻

貴村柊一郎のもとでピアノを学ぶ少年の藤堂あおいは、優れたピアノの才能を持っていたが、自分はあくまでも楽しく演奏したいという考えから、誰かと競おうと考えた事はなかった。一方で貴村のもう一人の弟子である賀神響は、そんなあおいの才能を認め、あおいと共にピアノの腕を競っていきたいと思っていた。そんな中、ドイツからカール・リーデンシュタインというピアニストが来日する。あおいや響と同じ年齢でありながら、既に第一線で活躍するカールの演奏会に参加したあおいは、偶然も重なって一般聴衆の前で演奏する機会を得る。飛び入りではあるものの、あおいの演奏は多くの人々の心を動かし、その中にはかつての貴村の友人であり、現在はプロのピアニストとして活動する霧島真人も含まれていた。後日、貴村の教室にその霧島の弟子である立花蘇芳という少年が訪ねて来る。霧島からあおいの事を聞かされた蘇芳は、あおいに興味を抱き、その実力を調べるためにやって来たのだという。そしてあおいの優れた才能を認めた蘇芳は、共に霧島のもとで学ぼうとあおいを勧誘する。

第2巻

立花蘇芳に勧誘された藤堂あおいは、師である貴村柊一郎の勧めもあり、霧島真人に師事する事になった。貴村の本名は「南雲柊一郎」といい、将来を嘱望されていたピアニストだったが、10年前の火事で妻を失い、自身も重傷を負ったために、二度とピアノが弾けない体になっていた。そんな貴村の思いを受け継ぐために、あおいは霧島のもとでピアノの腕を上げていく。一方、貴村のもとに残った賀神響は、あおいを超えるためにさらに厳しいレッスンに励んでいた。やがて彼らは日本の新人ピアニストにとって最高峰のコンクールである鷺宮ピアノ記念杯に出場する。そこには蘇芳をはじめ、カール・リーデンシュタインなど国内外から才能あふれるピアニスト達が参加していた。あおいを目標にピアノの技術を磨いて来た響、初めて他人と競うためにピアノを弾こうとするあおい、そして、そんな彼らの姿を見守る師の貴村。それぞれの思いが交錯する中、コンクールが開幕する。

登場人物・キャラクター

藤堂 あおい (とうどう あおい)

ピアニストを目指す男子中学生。ピアノという楽器に関しては、誰かと競い合うためではなく、楽しく演奏するためのものであると考えている。貴村柊一郎のもとで賀神響と共に指導を受けているのも、あくまでピアノの楽しさを学ぶためで、優れたピアノの才能を持ちながら、コンクールなどに出場した事はない。だが、カール・リーデンシュタインや立花蘇芳といったライバル達と出会い、彼らに触発された事で、ピアノに向き合う姿勢が徐々に変わり始める。

賀神 響 (かがみ きょう)

ピアニストを目指す男子中学生。貴村柊一郎のもとで藤堂あおいと共にピアノを学んでいる。小学生の時に両親を事故で失い、現在は叔父に引き取られて暮らしている。そのため自宅にピアノがなく、近所の学校に忍び込んで無断でピアノを弾く事が日課となっている。ベートーヴェンの「月光」を弾く事を目標としているが、貴村からは同じベートーヴェンの「テンペスト」を弾きこなす事を課題として与えられている。 直情型の熱血漢だが、繊細な部分もあり、ピアノの音を視覚的にイメージする事ができる。

貴村 柊一郎 (たかむら しゅういちろう)

ピアノ講師の男性。藤堂あおいや賀神響にピアノのレッスンを行っている。本名は「南雲柊一郎」。かつては霧島真人と共に将来を嘱望されるピアニストだった。しかし、10年前に火事に巻き込まれた妻を助けようとして全身に火傷を負い、そのために二度とピアノが弾けない体となった。ピアニストを引退してからも、その存在はピアノにかかわる人達のあいだで伝説となっており、鷺宮ピアノ記念杯に弟子である響を推薦した際には周囲を驚かせた。

立花 蘇芳 (たちばな すおう)

ピアニストを目指す男子中学生。プロピアニストの霧島真人に師事し、既に国内のコンクールでは数々の受賞歴を誇る。国内では同世代に立花蘇芳に匹敵する存在はいないといわれていた。そんな中、藤堂あおいの存在を知り、あおいとなら共に音楽の高みを目指す事ができると考え始める。バンドでキーボードを担当したり、レッスンの合間に居合を嗜むなど、それらの経験を立花蘇芳自身のピアノの演奏に取り入れている。

霧島 真人 (きりしま まさと)

プロピアニストの男性。日本国内を始め海外でも高い評価を受けており、ピアニストを目指す若者達にとって一つの目標ともなっている存在。かつて貴村柊一郎と共に同じ師に学んでいた事があり、その当時から貴村をライバル視していた。つねに自分よりも先んじる実力を持った貴村に嫉妬心を抱いており、立花蘇芳をはじめとする才能ある若者を指導する事で、霧島真人自身が貴村よりも優秀である事を証明しようと考えている。

カール・リーデンシュタイン (かーるりーでんしゅたいん)

ドイツでプロピアニストとして活動している少年。15歳ながらこれまでにドイツ国内の数々のコンクールでの受賞歴があり、天才少年として高い評価を受けている。優れたピアノの資質と技術を持っているが、その反面性格にやや難があり、自分以外の人間を見下していた。こうした難点を師に見抜かれ、自分を見つめ直すために日本に留学する事となった。 藤堂あおいや賀神響と出会い、彼らのピアノに触れる事で少しずつ周囲の人々を認めるようになる。特に響とは共に通じ合う部分があり、彼には笑顔で接する事も多い。

一文字 千咲 (いちもんじ ちさ)

ピアニストを目指す女子中学生。鷺宮ピアノ記念杯の出場者として、藤堂あおい達と出会う。幼い頃からピアノを習っており、初めて出場したコンクールで着ていたドレスを立花蘇芳に褒められてから彼の後を追っている。一文字千咲のピアノは蘇芳を振り向かせるためのものであり、彼よりも優れた演奏をする事で自分を認めさせようとしていた。 そのため、蘇芳が興味を示すほどの演奏を行うあおいをライバル視している。

イベント・出来事

鷺宮ピアノ記念杯 (さぎのみやぴあのきねんはい)

新人ピアニストにとって日本国内最高峰ともいえるピアノコンクール。通常のコンクールと異なり、出場するための予選大会はなく、プロピアニストからの推薦と審査によって出場が決定される。このコンクールでは審査員だけでなく、聴衆からの評価も審査の対象となっているのが大きな特徴となっている。

クレジット

原作

左 有秀

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