マエストロ

マエストロ

謎の指揮者天道徹三郎に集められた、香坂真一ら元中央交響楽団の楽団員たちが、彼の指揮により極上の音を手に入れ、最高の演奏会を開くまでを描くオーケストラ音楽漫画。

正式名称
マエストロ
ふりがな
まえすとろ
作者
ジャンル
クラシック
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

スポンサーの相次ぐ倒産により解散した名門オーケストラ中央交響楽団。そのコンサートマスターだった香坂真一は、謎の指揮者・天道徹三郎によって楽団が再結成され、1ヶ月後にコンサートが開かれることを知る。半信半疑で練習に参加する香坂らだが、あなどっていた天道の指揮により極上の音を引き出され、驚愕する。

破天荒な天道の指揮と行動に振り回されつつも、楽団員たちの音は以前よりも輝きを増し、中央交響楽団は再生へと進み始める。しかし、天道の過去が明らかになり、楽団は再び解散の危機を迎えてしまう。

登場人物・キャラクター

香坂 真一 (こうさか しんいち)

解散した中央交響楽団のコンサートマスターを10年務めた、日本を代表するバイオリン奏者。破天荒な天道徹三郎の行動に悩まされつつも、その指揮の凄みを感じ、再結成された中央交響楽団をまとめていく。しかし、天道が過去起こした詐欺事件が明るみに出てスポンサーが撤退した際には、自ら楽団の解散を宣言した。 だが、亡くなった父と天道がかつての音楽仲間であり、音楽を通して最後まで心が通じ合っていたことを知ると、楽団の再々結成に向けて奔走する。

天道 徹三郎 (てんどう てつさぶろう)

解散した中央交響楽団を再結成し、コンサートを企画する謎の指揮者。まったく無名の存在だが、指揮の力は最上級で、楽団員の力を引き出し、至高の音楽を生み出すことができる。年齢は70歳を越えており、楽団員たちには陰で「じじい」と呼ばれている。普段は警備員などしてお金を稼いでいる。香坂真一の父とはかつての音楽仲間で、共に日本を飛び出し、ドイツのオーケストラで音楽活動をしていた。 妻の春は重い病で入院中で、そのためかあちこちに借金を重ねている。

橘 あまね (たちばな あまね)

天道徹三郎が連れて来たフルート演奏者。阪神淡路大震災で両親を失った後、ミュンヘン音大に留学していた。実績のない演奏者だが、シューベルト『未完成交響曲』第2楽章の練習で、バイオリンの手本として、震災時の思いを込めたフルート演奏を行い、楽団員たちに感銘を与え、その存在を受け入れさせた。 普段は運河に浮かぶ船の中でひとり暮らしをしている。音楽を通じ、香坂真一と心を通わせるようになり、ふたりは惹かれ合っていく。

榊 涼子 (さかき りょうこ)

中央交響楽団におけるチェロの首席演奏者。香坂真一とは、かつて不倫の恋愛関係にあった。別れた現在も、音楽家として互いに認め合う関係を続けている。再結成した中央交響楽団をまとめようと苦闘する香坂をフォローし、支えようとする。

阿久津 健太郎 (あくつ けんたろう)

中央交響楽団の一員でヴィオラ演奏者。コンサートマスター香坂真一の良き相談相手。香坂が中央交響楽団再々結成の相談を、榊涼子とともに一番最初に持ちかけた人物。

宮井 渚 (みやい なぎさ)

中央交響楽団の一員でヴァイオリン奏者。香坂真一を慕っており、何かと相談を持ちかけてくる。下心丸出しで実家に誘ったこともある。言い寄って来るコントラバス演奏者の今泉のことは眼中になく、ストーカー扱いして告発した。

今泉 (いまいずみ)

中央交響楽団でのコントラバス演奏者。宮井渚と仲良くなろうと何かとちょっかいを出すが、宮井からはストーカー扱いされてしまう。音楽に対する姿勢は真摯で、誰よりも先に天道徹三郎の指揮に対して感動を表明した。また、偶然からだが、楽団の再々結成にあたり最初のメンバーとなり、天道とふたりきりで「運命」の第2楽章を演奏した。

可部 (かべ)

中央交響楽団でのクラリネット主席演奏者。何か考え事があると、お菓子をひたすらむさぼり食べる。その時に話しかけても絶対に返事をしない。中央交響楽団が再解散した後、別の楽団でゲスト演奏するが、その際改めて天道徹三郎の指揮の凄さを認識し、再々結成に応じて中央交響楽団に戻った。 オーボエ演奏者伊丹と仲が悪い。

伊丹 (いたみ)

中央交響楽団のオーボエ主席演奏者。暇があればいつもオーボエのリードを削っている。また、リードの元になる葦はわざわざフランスから取り寄せている。女性に手が早く、楽団のクラリネット演奏者だった女性と深い仲になったこともある。その女性をクラリネット演奏者の可部も気に入っていた事から、2人は犬猿の仲となった。

一丁田 (いっちょうだ)

中央交響楽団のホルン演奏者。娘が事故死したことがきっかけで顔面麻痺を起こし、音楽から離れていたが、楽団が再結成されると知り戻ってきた。当初はうまく音が出せない上、主席演奏者・島岡のプレッシャーもあり、顔面麻痺が再発しそうになったが、天道徹三郎に紹介された蒲田の工場でホルンのメンテナンスを行ったところ、厚みのある音を取り戻し、演奏者としてもよみがえった。

祖師谷 健 (そしや けん)

再結成された中央交響楽団に16歳ながら加わった天才肌のトランペット演奏者。N響伝説のトランペット奏者・祖師谷真の息子。父親より3歳の頃からトランペットの英才教育を受けてきている。父親の音の呪縛から抜けることが出来ず悩むが、同じトランペット奏者の梶の助言でオーケストラでの音の出し方をつかみ、中央交響楽団に自分の居場所を見いだしていく。

(たに)

中央交響楽団のトランペット主席演奏者。N響伝説のトランペット奏者・祖師谷真の門下で、師匠の息子・健をつきっきりで指導している。健にオーケストラでの演奏の心得を説き、演奏者として成長させた。

丹下 (たんげ)

再結成された中央交響楽団のティンパニ演奏者。これまでは打楽器奏者として3番手の扱いで、花形のティンパニを演奏することができなかったが、上のふたりが移籍したことで機会が巡ってきた。チャンスをものにしようと頑張るが、気負いから音に迷いが出てしまうようになる。しかし、天道徹三郎に釣り堀に連れていかれ、小手先でなく腰で竿を操ることを伝授されたことと、天道オリジナルのバチをもらったことで、迷いのないティンパニの一打が打てるようになった。

香坂 竜子 (こうさか たつこ)

香坂真一の母親。横浜で娘と暮らしている。ピアニスト。30年以上前、天道徹三郎とその妻・春は、彼女と亡夫の音楽仲間であり、プライベートでも仲がよかった。天道と亡夫の関係を香坂に聞かせた。基本的に人の言うことを聞かず、好きなように行動するタイプ。

香坂真一の父 (こうさかのちち)

香坂真一の父親。香坂と同じヴァイオリン演奏者。天道徹三郎と一緒に日本を飛び出し、ドイツのオーケストラに入った。だが、天道が団員を追いつめ、結果的に自殺に追いやったことから帰国した。しかし、帰国後は日本に居場所がなく、不遇のまま、大腸癌をわずらい死去する。天道がドイツのオーケストラを辞任して帰国した際、香坂の父は天道とふたりだけの演奏によるごく内輪のコンサートを開いた。 香坂はこのコンサートの録音テープを聴いて、ふたりの強い結びつきを理解した。

沖田 (おきた)

ピッコロ演奏者で、中央交響楽団にエキストラとして参加した。日本中のオーケストラでエキストラをつとめる達人。自分のことを「拙者」と呼ぶなど、古武士を思わせる人物。再結成された中央交響楽団に一番最後に加わった演奏者だが、瞬時に天道徹三郎の凄さを見抜き、自分の演奏に気合いを入れ直した。

島岡 (しまおか)

中央交響楽団のホルン主席演奏者。実績、経験とも申し分のない演奏者だが、高飛車な物言いが多い。顔面麻痺で現場を離れていた一丁田の演奏に不満を抱き、プレシャーをかけたこともある。孫との接触で唇を痛めて以来、満足する音が出せなくなって落ち込むが、天道徹三郎が紹介した管楽器奏者専門の歯医者で治療を受け復活した。 その際、「音が20は若返った」と天道に言われた。

天道 春 (てんどう はる)

天道徹三郎の妻。ピアニスト。若い頃、香坂真一の父や母と親交があった。重い病で入院している。病室でヴァイオリンを演奏した香坂に、「この世で一番美しいのは音楽です」という言葉を伝えた。

多田 (ただ)

中央交響楽団のファゴット演奏者。とにかく存在感がなく、遅刻しても誰にも気づかれない。頼まれると断われない性格で、友人の借金の保証人になり負債を負ってしまい、これが原因で妻子に別居されている。だが、中央交響楽団の再結成コンサートには、妻と子が会場に来訪した。

村上 (むらかみ)

中央交響楽団のヴァイオリン演奏者。63歳。定年退職して一度中央交響楽団を離れたが、そのとたん妻に離婚され、居場所がなくなって戻ってきた。練習で天道徹三郎に問題を指摘されるも修正できず、ただオロオロしていた。気を落とし歩く中、ホームで電車に巻き込まれそうになるが、間一髪、天道に助けられる。 その場でヴァイオリンを奏でることを要求されるが、天道の指揮のもとでは、指が自在に動くことに気づき、かつての音色を取り戻す。年齢を天道に聞かれ、「63ですが」と答えると、「ワシよりもひとまわりも年下やないか!? あと12年、毎日10年間練習せいやーっ」とどやしつけられる。

祖師谷 真 (そしや まこと)

N響伝説のトランペット演奏者で、祖師谷健の父親。谷は門下生にあたる。昔、天道徹三郎や香坂真一の父と親交があり、彼らがふたりだけで演奏したコンサートのテープを香坂に聞かせた。

SHARE
EC
Amazon
logo