あらすじ
第1話(第1巻)
自分が4人きょうだいであると思っていた松浦立夏は、ある日、いっしょに住んでいる松浦家と小石川家は別々の家庭であり、立夏と同い年の小石川朔はきょうだいではなく、また兄の松浦遊と姉の小石川光希が恋人同士という、複雑な家庭環境であることを知る。この事実にショックを受ける立夏だったが、血はつながっていなくとも家族であることには変わりないと朔に言われ、気を取り直すのだった。月日は流れ、立夏と朔は桐稜大学付属中学に進学。そんな雨が降る日、傘がなくて困っている立夏のもとに名村碧が現れ、傘を立夏に渡して、自分はずぶ濡れになりながらその場を走って立ち去る。そんな碧に対し、立夏は胸をときめかせるのだった。
第2話~第6話(第1巻)
想い人である名村碧が小石川朔と同じクラスであると知った松浦立夏は、朔に碧を紹介してもらい、交友を深めていく。そんな中、学年一の美少女、笹山レナが朔に猛アプローチを開始する。立夏と朔の関係性を尋ねるレナに対し、立夏は「ただのきょうだい」と答えるが、一方の朔は立夏を一人の女の子として見ており、将来は結婚するつもりだと宣言。混乱する立夏に対し、レナは碧と朔を誘ってのダブルデートを提案する。やがて迎えたデートの日、立夏は、レナの横を歩く朔が、いつもとはまるで別人のように見えることに気づく。
第7話~第11話(第2巻)
名村碧に彼女がいることが発覚し、松浦立夏は意気消沈していた。しかも、小石川朔の身長や顔立ち、内面が成長していることに気づき、先に大人になっていく朔にさらにショックを受けてしまう。そんな最中、男子テニス部の練習試合で、桐稜大学付属中学を訪れた榊学園の1年生、六反田登が笹山レナに一目惚れ。しつこく言い寄られて困っていたレナを助けるため、立夏は朔にレナの彼氏と偽り、登を追い払うよう提案する。だが、目の前でレナを彼女だと言う朔を見て、立夏はモヤモヤした気持ちを覚えるのだった。
第12話~第17話(第2巻・第3巻)
想い人である名村碧から、突然彼女にふられたと告げられて焦る松浦立夏。同じことを小石川朔にも伝えたところ、自分が碧の立場であれば、自分のもとへと彼女が戻って来るまで待つと話す。そんな朔の発言に興味を示した碧は、立夏をデートに誘う。同じ頃、立夏は碧からのデートの誘いに浮かれていた。その姿を朔に見られてしまうが、彼は特に引き止めもせず、立夏は朔の自分への恋愛感情は、実際は家族愛なのではないかと、ますます悩みを募らせる。そして迎えたデートで、立夏の無邪気な姿を見て以前の彼女のことを吹っ切った碧は、立夏と付き合うかもしれないと、朔に宣戦布告する。一方の立夏は、笹山レナが朔に告白している場面を目撃。そして、レナの「生まれた時からパートナーは立夏であると刷り込まれているのではないか」という問いに頷く朔を見てショックを受ける。その話を知った碧は、自分が側にいると立夏に告げ、2人は付き合うこととなる。
第18話~第19話(第3巻)
名村碧と付き合えたことに、まだ実感が沸かない松浦立夏。碧と付き合ったことを小石川朔に話したところ、笑顔で祝福され、立夏は家族としての絆が深まったように思った。ある文化祭の日、姉である小石川光希と碧の母親、名村茗子が立夏達の学校に訪れ、立夏と碧の関係を祝福する。行動を共にしたあと、朔と碧は2人きりになり、朔から立夏を横取りしたことを悔いておらず、むしろ「返さない」と戦線布告をする。文化祭後のある日、立夏は笹宮レナと男子テニス部の部長が一緒に歩いているところを目撃する。しかもレナから、ずっと立夏が好きだからと朔にふられたのだと聞き、動揺してしまう。
第20話~第24話(第4巻)
名村碧と付き合い始めた松浦立夏であったが、それでもなお自分のことを想い続ける小石川朔の気持ちを知り、戸惑いを隠せずにいた。そんな中、小石川光希と松浦遊の結婚式が行われる。式も無事に終わり、立夏は、碧とクリスマスイブにデートをすることとなった。みなとみらいでデートスポットを巡り、夜、イルミネーションが輝く中でキスをするのだと立夏は意気込むが、そんな彼女に対し、碧は「立夏には朔しかいない」と別れを告げる。
第25話~第32話(第5巻)
ある日、松浦立夏は、小石川朔の部屋で京都工業大学のパンフレットと、編入試験の概要が載った冊子を見つけてしまう。朔が自分の側から離れてしまうと急に意識し始めた立夏は、朔が自分にとって一番大事な存在であると気づく。京都行きを引き止めようと、立夏は泣きながら説得するが、朔はあくまで一泊旅行に行くだけで、編入するわけではないのだと答え、立夏にキスをするのだった。立夏は改めて朔に好きだと伝え、2人は付き合い始める。互いの両親にも交際していることを話し、親公認の付き合いとなった2人は、兄・姉夫婦である小石川光希と松浦遊といっしょに京都へと向かう。そこで立夏は朔達とはぐれてしまうが、通りすがりの三鷹広大に助けられる。旅行が終わり、日常の生活に戻った立夏達は、京都で立夏を助けた広大が、立夏の親友、小島笑里の幼なじみであり、さらに六反田登が広大の親友であったと知る。
登場人物・キャラクター
松浦 立夏 (まつうら りつか)
桐稜大学附属中学に通う1年生の女子。テニス部に所属している。年齢は12歳。セミロングヘアを2つくくりにしている。父親は松浦遊で、母親は松浦留美。家族そろって、小石川家の一家と同じ家で暮らしている。普段からニコニコしていて非常に明るい性格。小さい頃は兄の松浦遊が好きだったり、中学に入学してからは名村碧に一目惚れしたりと、かなりの面食い。 一方で、小石川朔が自分に好意を寄せていたことにずっと気づかないなど、鈍感なところがある。
小石川 朔 (こいしかわ さく)
桐稜大学附属中学に通う1年生の男子。テニス部に所属している。年齢は12歳。黒髪のショートヘアでタレ目が特徴。学年トップの成績をおさめているほどに優秀で運動神経もよく、女子からの人気が高い。父親は小石川仁で、母親は小石川千弥子。家族そろって、松浦家の一家と同じ家で暮らしている。口数が少なくクールな性格だが、松浦立夏のこととなると真剣に怒ったり喜んだりと、感情豊かな一面を見せる。 立夏に幼い頃から好意を寄せている。
小石川 光希 (こいしかわ みき)
松浦立夏と小石川朔の姉。年齢は32歳。髪型は黒髪のショートヘア。彼氏の松浦遊とは高校生の頃からの付き合いで、事実婚に近い関係にある。遊の夢が叶ったタイミングでプロポーズを受け、正式に夫婦となった。父親は小石川仁で、母親は松浦留美。名村茗子と須王銀太とは高校生時代からの親友。つねに笑顔を絶やさない、明るい性格の持ち主。 面倒見もよく、立夏が困っている時や悩んでいる時には、話を聞いたりアドバイスを送っている。松浦家の一家と同じ家で暮らしている。
松浦 遊 (まつうら ゆう)
松浦立夏と小石川朔の兄。年齢は32歳。髪型は金髪のショートヘア。長身で容姿端麗、性格も優しいため学生時代からモテてきた。彼女の小石川光希とは高校生の頃からの付き合いで、事実婚に近い関係にある。建築関係の仕事をしており、公共建築を手掛けるのを夢見ていた。K市の美術館のコンペが通り、夢が叶ったタイミングで光希にプロポーズし、晴れて夫婦となった。 父親は松浦要士で、母親は小石川千弥子。小石川家の一家と同じ家で暮らしている。
松浦 留美 (まつうら るみ)
小石川光希と松浦立夏の生みの母親。黒髪でウェーブをかけた髪型をいている。もともとは小石川仁と結婚して光希をもうけたが、光希が高校1年生になった時に松浦千弥子とパートナーを交換し、仁と離婚後に松浦要士と再婚。その後、立夏をもうけた。小石川家の一家と同じ家で暮らしている。
松浦 要士 (まつうら ようじ)
松浦遊と松浦立夏の生みの父親。髪型は茶髪のベリーショートヘア。もともとは小石川千弥子と結婚して遊をもうけたが、遊が高校1年生になった時に小石川仁とパートナーを交換し、千弥子と離婚後に松浦留美と再婚。その後、立夏をもうけた。小石川家の一家と同じ家で暮らしている。
小石川 千弥子 (こいしかわ ちやこ)
松浦遊と小石川朔の生みの母親。髪型は茶髪のボブヘア。もともとは松浦要士と結婚して遊をもうけたが、遊が高校1年生になった時に松浦留美とパートナーを交換し、要士と離婚後に小石川仁と再婚。その後、朔をもうけた。松浦家の一家と同じ家で暮らしている。
小石川 仁 (こいしかわ じん)
小石川光希と小石川朔の生みの父親。髪型は黒髪のショートヘア。もともとは松浦留美と結婚して光希をもうけたが、光希が高校1年生になった時に松浦要士とパートナーを交換し、留美と離婚後に小石川千弥子と再婚して朔をもうけた。松浦家の一家と同じ家で暮らしている。
小島 笑里 (こじま えみり)
桐稜大学附属中学に通う1年生の女子。年齢は12歳。長身で、ショートヘアの髪型をしている。松浦立夏のクラスメイトにして親友で、つねに行動を共にしている。情報通で、学年一の美少女である笹宮レナが小石川朔に片想いをしていることや、立夏が想いを寄せる名村碧が学年一の美少年だと言われていることなど、さまざまな情報を押さえている。 成績は学年で16位と優秀。立夏が碧に心無いことを言われた時には、立夏の代わりに碧に怒るなど友達想いな性格。三鷹広大とは幼なじみで、同じマンションの同じフロアに住む。
須王 銀太 (すおう ぎんた)
桐稜大学付属中学の男性教師。年齢は32歳。担当は英語で、テニス部の顧問も務めている。長身で、髪型は黒髪のショートヘア。松浦立夏や小石川朔の姉、小石川光希とは親友。立夏や朔から「銀ちゃん」と呼ばれており、生徒達からも慕われている。高校生の頃から付き合っていた須王亜梨実と、社会人1年目にして結婚。須王銀太自身は早く子供が欲しかったものの、仕事を優先してロンドン本社へ転勤した亜梨実と見解の相違から、離婚の危機まで迎えた。 亜梨実の帰国後に仲直りし、現在妊活中。
須王 亜梨実 (すおう ありみ)
外資系企業に勤めている女性。年齢は32歳。須王銀太の妻。緩くパーマをあてたセミロングヘアで、品があり、端正な顔立ちをした美女。また、英語が達者で、仕事もそつなくこなしている。銀太とは高校生の頃からの付き合いで、社会人1年目で結婚。新婚でありながら仕事を優先し、単身3年間ロンドン本社に転勤していた。これにより離婚の危機を迎えるまでになったが、仕事での目標が達成できたこともあり、帰国後は銀太との生活を優先して仲直りし、現在は妊活中。
名村 碧 (なむら あおい)
桐稜大学附属中学に通う1年生の男子。年齢は12歳。小石川朔のクラスメイト。名村茗子の息子で、茗子に似た美形なため、周囲から「学年一の美少年」と評されている。ちなみに、名村碧本人には、自分がイケメンである自覚はない。茗子と父親が出会った桐稜大学付属高校の図書館に、よく出入りしている。松浦立夏と出会った頃は幼なじみの彼女がいたが、ふられたあとに立夏のアプローチを受け、次第に立夏が気になっていく。
名村 茗子 (なむら めいこ)
小石川光希の親友の女性。年齢は32歳。名村碧の母親。職業は小説家。髪型はウェーブがかかったセミロングヘアで、知的で端正な顔立ちの美人。そのため、三輪悟史やすずのように名村茗子に憧れる者も多い。高校生の頃に担任の教師と付き合っており、高校卒業と同時に結婚した。普段は広島で生活しているが、碧を溺愛しており、出版社の商談など仕事で東京へ出て来た時には、欠かさずに会いに行っている。
笹宮 レナ (ささみや れな)
桐稜大学附属中学に通う1年生の女子。年齢は12歳。小石川朔のクラスメイト。髪型は緩いウェーブがかかったセミロングヘアで、人形のように華奢で可愛い顔立ちをしており、学年一美少女と評されている。おしとやかに見えるが、想いを寄せる朔に近づくため、彼と親しい松浦立夏と仲よくなり、碧を含めた4人でのWデートを提案したり、朔と同じテニス部に入部したりと、恋愛には積極的。 最終的に立夏しか見ていない朔にはふられてしまうが、男子テニス部の部長に告白され、付き合うこととなった。
三輪 悟史 (みわ さとし)
松浦遊の仕事仲間の男性。黒髪ショートヘアの美形。1年前、当時働いていた会社から独立し、遊と共同出資して事務所を立ち上げた。遊や小石川光希とは高校時代からの付き合い。現在は仕事で知り合ったインテリアデザイナーの妻と結婚して2歳の娘がおり、暇さえあれば、仕事中でも愛娘の動画を見てしまうほど溺愛している。高校時代から名村茗子に憧れていて、どうにか茗子と接触を持てないかと日々考えている。
ライアン・クリスティ (らいあんくりすてぃ)
須王亜梨実が働く外資系企業のロンドン本社に勤務していた男性。金髪で長身の外国人で、亜梨実が東京支社に戻って来た際、一緒に異動して来た。亜梨実に好意を抱いており、彼女の夫である須王銀太に敵対心を持っている。
六反田 登 (ろくたんだ のぼる)
榊学園に通う中学1年生の男子。テニス部に所属している。ビッグマウスで偉そうな態度を取っているが、根は悪い人物ではない。かなりの面食いで、試合で桐稜大学附属中学を訪れた際、笹宮レナに一目惚れ。だが、松浦立夏の策略により、小石川朔をレナの彼氏だと勘違いして玉砕する。榊学園に通う同じクラスの三鷹広大とは親友で、つねに行動をともにしている。
すず
人気の女性モデル。三輪悟史のいとこ。髪型はストレートロングヘアで、顔が小さくて人形のように可愛く、スタイルも良いので、同性のファンが非常に多い。人気バンドのメンバーである土屋蛍と交際していたが、蛍に結婚願望がないので悩んでいた。そこに、蛍と同じバンドのメンバーである白石さんからプロポーズされた。お互いの気持ちを伝え合って蛍からもプロポーズされ、結婚することとなった。 小石川光希とは昔から交流があり、光希が松浦遊と結婚式を挙げないと言ったことに対して「祝福させてほしい」と反論し、コネを使って安くて良い式を提供した。また、二次会では率先して幹事を務めるなど、芯が強く友人想いな性格。
土屋 蛍 (つちや けい)
人気バンドでピアノを担当している壮年男性。髪型はセミロングヘア。人気女性モデル、すずと交際している。もともと結婚願望がなかったため、すずと結婚の話で揉めていた。そこに、同じバンドのメンバーである白石さんが、すずにプロポーズをして破局寸前までいったものの、すずへの気持ちを素直に伝えたうえでプロポーズ。結婚することとなった。 シャイで口数が少なく、感情表現が苦手だが、自分の信念を曲げない頑固な一面を持っている。
白石さん (しらいしさん)
人気バンドでベースを担当をしている壮年男性。ショートヘアで、薄い顔立ちをしている。土屋蛍の彼女であるすずとも交流があり、恋愛相談にも乗っていた。蛍がすずにプロポーズしないのでしびれを切らし、蛍の前で自身がすずにプロポーズをして焦らせるなど、かなりの戦略家。
三鷹 広大 (みたか こうだい)
榊学園に通う中学1年生の男子。長身でスタイルがよく、実年齢より上に見られる大人びた雰囲気の持ち主。小島笑里とは、同じマンションの同じフロアに住む幼なじみである。京都の祖母の家に遊びに行っていたところ、近所で迷子になった松浦立夏に遭遇し、親しくなった。六反田登とはクラスメイトにして親友で、つねに行動を共にしている。
前作
ママレード・ボーイ (ままれーど ぼーい)
お互いの両親が離婚・再婚して、同居することになった小石川光希と松浦遊の恋愛を描いた漫画。集英社「りぼん」1992年5月号から1995年10月号まで連載。 関連ページ:ママレード・ボーイ
書誌情報
ママレード・ボーイ little 全7巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2013-11-25発行、 978-4088451367)
第7巻
(2018-11-22発行、 978-4088441283)