マンけん。

マンけん。

加瀬大輝の代表作。現代日本の市川南東高校を舞台に、家族に内緒で漫画家としてデビューした孤高の女子高校生、日笠倖が、悪名高いマンガ研究部に所属し、漫画家としてだけでなく、一人の人間としても成長していく姿を描いた青春群像劇。心に傷を抱えた部員たちとの交流や、離散した家族との再会など、人間ドラマにも重きが置かれている。小学館「月刊サンデーGX」2011年5月号から2014年10月号にかけて連載の作品。

正式名称
マンけん。
ふりがな
まんけん
作者
ジャンル
作家・漫画家
 
部活動
レーベル
サンデーGXコミックス(小学館)
巻数
全7巻完結
関連商品
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孤高の少女が他人に目を向けたことで物語が始まる

倖は成績こそ優秀だが、他人に関心がなく、弱者や群れる者を冷ややかな目で見ていた。そんな彼女が初めて興味を抱いたのは、マンガ研究部に所属する「デンパちゃん」こと豊崎アリスだった。順風満帆な人生を送っていた倖に対し、アリスは劣等生でクラスでも孤立していた。しかし、父子家庭であることや、父親から漫画を禁止されているという共通点も多く、いつしか倖はアリスの創作活動に助言をするようになる。やがてアリスは才能を開花させ、マンガ家としてデビューし、倖と単行本の実売数を競うライバルへと成長する。さらに、正体不明のマンガ描き、アノス、プロのチーフアシスタント、猫又クロ、新進気鋭の天才マンガ家、平野心(ひらのしん)など、倖の興味を引く実力者たちが次々と現れ、マンガの腕を競い合うことになる。

マンガ研究部は「変人の巣窟」

倖が所属するマンガ研究部は、理科室を部室として使用している。規模は小さいものの、「赤毛の悪魔」と恐れられる部長、竹達紀梨乃をはじめ、コスチューム作りが趣味の白井麻里香や女装男子の石黒直など、個性豊かなメンバーがそろっており、部外者からは「変人の巣窟」と揶揄(やゆ)されることもある。部員たちはふだん、スマホをいじったりゲームを楽しんだりと自由気ままに過ごしているが、部誌「マンけん。」のクオリティには定評があり、プロの漫画家としてデビューしたOBも存在する。紀梨乃はマンガ研究部を「パラダイス」と呼んでいるが、実際には才能がありながら社会から弾かれた者たちの集まり。顧問の藤本元(ふじもとはじめ)によれば、マンガ研究部は紀梨乃が用意したシェルターでもあるという。

登場人物・キャラクター

日笠 倖 (ひがさ さち)

市川南東高校に通う女子。ロングヘアで、五枚葉の髪飾りを付けている。裕福な家庭の次女だが、現在は厳格な父親と二人で暮らしている。才色兼備の優等生でありながら、負けず嫌いで熱くなりやすい一面を持つ。また、取り巻きができるほどの人気者だが、他人に対しては興味を持てず、愛想笑いで誤魔化すことが多い。父親に内緒で漫画を描いており、中学3年生の頃に読切作品「AD;venture」で「第五十三回高学館新人コミック大賞」を受賞。同作が「週刊ファイア」に掲載され、漫画家デビューを果たすも、未だ連載を勝ち取れず、編集者の片岡草十太と打ち合わせを重ねている。ある日、創作を軽んじる男子の言動に激怒し、鉄拳制裁に及ぶ。これをきっかけに趣味で漫画を描いていたアリスに懐かれ、紆余曲折を経てマンガ研究部に入部する。入部後は部員たちとの交流や課外活動から多くを学び、「高森幸」というペンネームで連載を持つまでに成長し、自らの家族問題にも向き合うようになる。

豊崎 アリス (とよさき ありす)

市川南東高校に通う日仏ハーフの女子。小柄で、金髪をハーフツインテールにしている。建築家の父親と二人暮らし。純真無垢だが、どこか鈍くて空気が読めず、勉強も苦手。重度のオタクで、クラスでは「デンパちゃん」と見下されている。マンガ研究部に所属しており、授業中も漫画の執筆に励んでいる。ある日、いじめの標的となり、自作の漫画を破り捨てられて泣いていたところを倖に救われる。その際の倖の激昂ぶりから、彼女が漫画好きだと見抜き、マンガ研究部に誘った。ふだんは魔法少女モノを描いているが、倖によれば稚拙な作品で、編集者に見せられるレベルではない。しかし、空間把握能力が高くパースが正確だったため、指導者がつけば大きく成長すると評されていた。倖の厳しい指摘にもめげず、その背中を必死に追い続け、やがてライバルとして認められるまでに成長。原作付きながら、ウェブ媒体で学園ファンタジー「セカンドマジック」を連載するようになる。

書誌情報

マンけん。 全7巻 小学館〈サンデーGXコミックス〉

第1巻

(2011-10-19発行、978-4091572899)

第7巻

(2014-11-19発行、978-4091573971)

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