描かないマンガ家

漫画家になろうとしているのに、今まで一切漫画を描いたことがない自称漫画家の渡部勇大とその仲間たちが、漫画の専門学校で繰り広げるギャグタッチなストーリー。漫画家志望者にありがちな気質を、特異なキャラクターとして皮肉たっぷりに描いた痛烈なアイロニー。「ヤングアニマル」に2010年1号から2014年21号にかけて連載された作品。42話では森繁拓真が『となりの関くん』とのコラボイラストを描いているが、単行本には収録されていない。

正式名称
描かないマンガ家
作者
ジャンル
作家・漫画家
レーベル
ジェッツコミックス(白泉社)
巻数
全7巻
関連商品
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概要・あらすじ

漫画家養成の専門学校に通う渡部勇大は、自称漫画家。ペンネームは「器根田刃」。しかし彼は一回もネームすら描いたことがない。どうしようもなく絵が下手で、思い込みが激しすぎる人物。その上、常日頃えらそうに漫画家論を語って、周囲に疎まれていた。ところが彼の熱い思いは、悩んでいる長妻志穂を励ましたり、漫画を続けることで苦しんでいた山井真琴を救うなど、意外にもプラスに作用する。

ある日売れっ子漫画家の野方佳奈子に出会い、渡部は彼女に告白されて付き合い始める。大物と付き合っているというプライドで渡部はさらに増長するが、彼が描かない間に周囲の友人たちは次々とデビュー。野方からは、漫画家になれない「無精卵」と指摘され、迷走の末破局。

専門学校もやめてしまい、引きこもるようになる。その後、正義感が空回りし、プロデビューした長妻が苦しんでいることを聞いた渡部は、編集部に押しかけて彼女の原稿を破り捨ててしまう。これを知った長妻は彼に愛想をつかし、離れていく。自信が揺らぎ始めた彼は、他の作家に「描かないんじゃなくて描けない」と指摘され、一念発起してついにペンを執るのだった。

登場人物・キャラクター

渡部 勇大 (ワタナベ ユウダイ)

漫画家志望の男性。大日本エンターテインメント専門学校・漫画家養成コースに通っている。本人は一切漫画どころかネームすら描いたことがないが、漫画家であると自称し、ペンネーム器根田刃を名乗っている。絵は非常に下手で、指摘されても一切話を聞かない。「鋭利なGペン」というブログで、漫画家ぶって悩みの妄想を綴っており、夜は市川や高橋と共に、ファミレスで漫画談義をして漫画家気分に浸っている。 自分を天才だと信じて疑わず、根拠の無い自信にあふれており、それが多くの場合周囲の人間に迷惑をかける。一方で、彼の言葉は漫画を描くことについて葛藤し続けていた長妻志穂や山井真琴、岡田満希らを救い、漫画家への道を開いた。売れっ子漫画家の野方佳奈子に告白され付き合うことになるが、彼女は渡部が漫画家にならない無精卵だ、と断言した。 周囲の人間がプロデビューを果たし始めた頃、初めて漫画を仕上げて原稿を出版社に持ち込み、自分に才能がないことを理解する。

長妻 志穂 (ナガツマ シホ)

大日本エンターテインメント専門学校・漫画家養成コースに通っていた、渡部勇大のクラスメイト。渡部のことを「ナベさん」と呼ぶ。普段から渡部の大仰な態度に怒り狂い、激しいツッコミを入れている。その一方で彼のはっきりした物言いと漫画への姿勢に励まされたこともあり、専門学校時代はつるんでいた。漫画家・馬渕彰久の元でアシスタントを務め、その最中に描いた短編『森ガールと山男』が佳作に入賞。 雑誌に掲載され漫画家としてデビューする。しかし「ヤングエイジ」で3話集中連載後に担当が変わり、グラビアに出ろなど横暴な要求をされてしまう。嫌気が差した彼女は専門学校生時代に才能を見出してくれた「少年パワーズ」の尾立に相談し、登山漫画『絶壁のアラインゲンガー』の連載を開始。 アシスタントを数人雇うが、問題を起こしてばかりで苦労を重ねる。精神的に追い詰められていた時に、漫画への苦しみを渡部に吐露、その時渡部が原稿を破ってしまったため、彼とは一切関わりを持たないことを決めた。中塚次生という名前でやってきた羽田孝史郎をアシスタントに取り、彼の才能と態度に救われる。

岡田 満希 (オカダ ミツキ)

渡部勇大の大学の後輩で、一緒に漫研に在籍していた女性。卒業後文具メーカーの営業に就職。しかし漫画を描くことを諦めきれず、渡部の後押しで会社を辞めて大日本エンターテインメント専門学校・漫画家養成コースに通う。なかなかデビュー出来ない中、ガールズバーで働いていたところを「少女パール」の元編集者に声をかけられるが、彼が枕営業するように誘ってきて困惑。 そこを渡部に助けられて、漫画への態度を考え直す。憧れていた漫画家の菊田珠実の元でアシスタントをしながら描いた漫画を、「少女パール」の編集者・斉藤太壱に見せ、彼が担当についてからはその指導を受けてみるみる成長した。デビュー作は売れっ子の野方佳奈子を嫉妬させるほどの出来で、その後連載を開始。 後に「オカダミツキ」のペンネームで『アンダーカバーボーイ』を描き、人気を博す。

山井 真琴 (ヤマノイ マコト)

大日本エンターテインメント専門学校・漫画家養成コースに通っていた、渡部勇大の同級生。さらさらの長い髪の毛が特徴で、かつて4年間引きこもっていた。有名漫画雑誌「少年ダンプ」で実力を認められ、学生時代から担当編集が付いている。触手もののエロ漫画を描くことが「鬱屈した感情から唯一解放される瞬間」と述べ、「電魔姦汁漏」のペンネームで作品を作っていた。 エロ漫画を描くことを否定され苦しんでいたが、渡部の言葉に救われ、恋心を寄せるようになる。渡部に認められるために「少年ダンプ」での連載を始めるも、渡部が野方佳奈子と付き合っているのを知りショックを受け、さらに売れることを目指す。連載を描き続けることで徐々に、エロ以外でも描いていて楽しいと感じるようになった。 渡部のブログを定期的に読んでおり、彼が自殺しようとしたとき真っ先に引き止めに行き、肉体関係を持った。おとなしい性格で自己主張が苦手だが、細かいところに気を配り自分の我を曲げない頑固な人物。マキシム・デュペルテュイと梅村をアシスタントとして雇っている。

マキシム・デュペルテュイ (マキシムデュペルテュイ)

漫画家を夢見て、渡部勇大の通う漫画の専門学校にフランスから留学してきた22歳の美少年。女性に対し紳士的で、瞬く間に女性たちのハートを奪ってしまう。素直で人懐っこい性格なので、勇大たち男性グループともすぐに仲良くなった。ただし、漫画の技術はかなり低い。山井真琴のアシスタントをして技術を磨く。

梅村 (ウメムラ)

漫画家を目指す少女。渡部勇大と同じ漫画の専門学校に通っている。長妻志穂や岡田満希の友達だが、勇大のことは彼女たちよりも冷静な目で見ており、わりと辛口なコメントをする。マキシム・デュペルテュイと一緒に山井真琴のアシスタントをしているうちに、彼に好意を抱く。

市川 いぶき (イチカワ イブキ)

渡部勇大と同じ漫画の専門学校に通いながら漫画家を目指す青年。勇大と同じく、漫画を描かないで漫画家気取りをしている仲間。長髪で太っており、いつもTシャツを着ている。好きなジャンルは妹萌え。自分の絵の才能のなさに失望し、ライトノベル作家を目指す。

高橋 (タカハシ)

渡部勇大と同じ漫画の専門学校に通いながら漫画家を目指す青年。非常に太っている大食漢。「秋葉の海老蔵」と呼ばれ、書店でマンガを大量に買っている。妹モノが好き。勇大と同じく、漫画を描かないで漫画家気取りをしている仲間。髪の毛が薄く、生え際が後退している。自分には漫画家の才能はないと諦め、同人誌をやっている友人の編集業を引き受けたことから、商業誌の編集者になる。

野方 佳奈子 (ノガタ カナコ)

『ピンク+』を連載し、発行部数5千万部を誇る売れっ子マンガ家。ペンネームは枝野カンナ。非常にマイペースで、かつ頑固な性格。暇さえあれば、電車の中やトイレなどでも見境なく漫画を描いてしまう。渡部勇大を気に入り、彼と付き合い始める。かつて古川肇と付き合っており、ライバル心が強すぎて別れてしまったことがあるため、漫画家と付き合わないと決めている。 渡部は漫画家になれないと考えており、本人に「無精卵」と言ったことがある。後に渡部が彼女と別れを決意した際、彼女も後を追わなかった。同じ「少女パール」の作家として出会った、新人である岡田満希の才能に嫉妬心を抱くようなプライドの高い一面もある。渡部と別れて『ピンク+』の連載を終了させてからは、漫画家をすっぱりとやめてゲンタと共に長野の山中で暮らしている。

斉藤 太壱 (サイトウ タイチ)

「少女パール」で8年間働く編集者。大ヒット漫画家の野方佳奈子のほか、数多くの売れっ子作家を担当していた。後にデビューした岡田満希の担当にもなる。物腰柔らかで、漫画家に対しては丁寧に接しており、無理難題をふっかける作家にも真摯に接している。その一方で、岡田が悩んでいた時に、厳しい言葉で叱咤激励し育てあげている。 日常のストレスを発散するため、赤ちゃんプレイができる風俗に定期的に通っている。

尾立 智成 (オダチ トモナリ)

少年漫画雑誌の編集をしている27歳の男性。出張編集部として専門学校に訪れた際、長妻志穂に才能を見出した。後に彼女の担当になる。寝食を削って執筆する志穂のために奔走するも、社内での立場がまだ強くないために、板挟みの苦しい日々を送っている。仕事に対する責任感が強い真面目な性格。

羽田 孝志郎 (ハタ コウシロウ)

漫画家を目指す青年。渡部勇大と同じ大学の漫画研究会に所属していた。その頃から、岡田満希のことが好き。見栄っ張りで、自分に才能がないことを認められず、空回りしてしまうタイプ。漫画家として認められたいと焦るあまり、既存の漫画を盗作して応募してしまう。その作品が雑誌に掲載されてしまったことで、回収騒ぎを引き起こす。

小沢 啓介 (オザワ ケイスケ)

漫画家を目指す20歳の青年。渡部勇大と同じ漫画の専門学校に通っていたが、初投稿した作品が賞を獲得し、早々に学校を辞めて漫画家の道を歩んだ。クールであまり感情を表に出さない。自分に厳しく、言い訳をしないタイプ。専門学校に通うためのお金は、高校を卒業してから1年間、アルバイトをして稼いだ。

古川 肇 (フルカワ ハジメ)

累計1億部を売り上げる、日本を代表する大物漫画家の男性。素朴な性格で、才能や肩書きを鼻にかけない。他人に厳しい渡部勇大が「越えられない壁」と認めている人物。古風な考え方をしており、野方佳奈子と4年ほど付き合っていたのだが、漫画家としてではなく伴侶としての理想を求めてしまったことから、破局に至っている。

(アカネ)

小沢啓介と暮らしている女性。理想論を語る渡部勇大を笑い飛ばし、厳しい言葉を吐きかけた。渡部のことを嫌っていたが、改心した彼を見て小沢のアシスタントとして手伝うのを認めた。

ゲンタ (ゲンタ)

長野に住んでいる男性。軽トラックで走っていたところ、道に迷った野方佳奈子を助ける。後に彼女とやり取りをして、4ヶ月で結婚に至る。ログハウスでゆったりした生活を送っている。夏は高原野菜を作り、それ以外の季節はチェンソーを持って山が荒れないように手入れをしている。

書誌情報

描かないマンガ家 全7巻 白泉社〈ジェッツコミックス〉 完結

第1巻

(2010年11月29日発行、 978-4592147510)

第2巻

(2011年7月29日発行、 978-4592147527)

第3巻

(2012年4月27日発行、 978-4592147534)

第4巻

(2013年1月29日発行、 978-4592147541)

第5巻

(2013年8月29日発行、 978-4592147558)

第6巻

(2014年4月28日発行、 978-4592147565)

第7巻

(2014年12月26日発行、 978-4592147572)

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