¥十億少女

¥十億少女

東京下町にある老舗和菓子屋お々ばの末っ子・大葉鹿の子は、父親の十億円もの借金のかたとして、北条家十七代目当主であり官能小説家である北条大我と結婚することとなった。鹿の子は、北条家と伊集院彪斗との因縁に翻弄されながらも、大我との愛に目覚めていく。

正式名称
¥十億少女
ふりがな
びりおんがーる
作者
ジャンル
作家・漫画家
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概要・あらすじ

東京下町にある老舗和菓子屋「お々ば」の末っ子・大葉鹿の子は、つましく幸せな日々を送っていた。だが、バブル期に店舗の土地を父親が地主から買い取ったことをきっかけに、地代が膨らみ十億円もの借金になっていたことが判明。父親は一時失踪するも、北条大我に娘の一人を嫁として差し出すことで、債権を整理・肩代わりしてもらう約束を取り付けて帰ってくる。

姉達は結婚を拒否。末っ子の鹿の子が結婚することとなった。大我と共に生活する中で、伊集院礼生と出会い、大我の過去を知る鹿の子北条家伊集院彪斗の因縁、そして忍成達からの愛情に翻弄されながら、大我との愛に目覚めていく。単行本版全10巻、第一部完結。

その後第二部は発表されず。2014年に発売された講談社漫画文庫版にて、書き下ろしの最終章が発表され、完結となった。

登場人物・キャラクター

大葉 鹿の子 (おおば かのこ)

老舗和菓子屋「お々ば」の末っ子で、高校二年生の16歳。クラスはA組。お下げに眼鏡の冴えない風貌だが、顔立ちは可愛らしい。性格はおとなしいが情に厚い部分もある。和菓子屋の子だけに和菓子に関しては舌が肥えている。名前を「おおばかのこ」と揶揄されることも。借金返済の代償として北条大我に嫁入りする。 初めの頃は大我と馴染めず、そんな鹿の子の様子を不審に思った雨宮鳩彦、忍成、壬生竜也達に心配されていた。だが北条家の因縁を大我と共に乗り越える内に、彼に愛を抱くようになっていった。幼い頃に店先で大我と会い、「結婚しないか?」と問われた事がある。鳩彦に誘われ、「LUCCI」のモデルに。 姉は22歳OLの萩、19歳短大一年生のしぐれ。母は49歳の静香、父は48歳で「お々ば」の三代目である功一。祖父は72歳で「お々ば」の二代目、剛。

北条 大我 (ほうじょう たいが)

北条家十七代目当主であり、官能小説家。大葉鹿の子の父と、十億円の借金の整理・精算の代わりに、娘を一人嫁に貰うという約束を取り付ける。約束は履行され、鹿の子と結婚、共に家で暮らすことに。家には執事の帯刀と、乳母代わりのヤギ・お母さん三号がいる。官能的な描写に定評があり、『週刊現在』に連載の予定もある売れっ子小説家。 20歳の時に純文学・自叙伝的な『泥濘の家』でデビュー。著作は『アニマルフラワー』など十数冊、発売後回収されたものが一冊、一部地域で不良図書として発禁となったものが三冊ある。第128回直夷賞を受賞。母は北条薔子、父は伊集院彪斗。父が母の双子の姉、莢子と結婚しながらも薔子に手をつけ、大我を産ませた。 伊集院家に腹違いの兄・伊集院礼生がいる。

雨宮 鳩彦 (あまみや やすひこ)

大葉鹿の子のクラスメイト。二つ年上の18歳。麗しい容姿だが喋り方が女性的な所謂オネエキャラ。時折男性的な喋り方やアプローチも見せる。鹿の子を見ていると心が安らぐと発言し、彼女を大切にしている。北条大我と彼の友人丹後夜理人とは古くからの付き合いがある。中学卒業と共に家出、しばらく水商売を経験した後、パトロンとなってくれた丹後夜理人と結婚代わりの養子縁組を行ない、高校に進学。 イタリア有名ブランド「LUCCI」が銀座に直営第一号店を出す際に、日本進出キャンペーンのイメージモデルとして抜擢された。デザイナーのミケランジェロ・ルッチに言い寄られていたが、鹿の子を恋人として紹介して退けようとした。 物語終盤で吐血して倒れる。

忍成 数馬 (おしなり かずま)

大葉鹿の子のクラスメイト。一年生の頃から同じクラス。格好いい顔立ちで、女子人気もある。鹿の子から、クラスの女子合同の友チョコを贈られた際、彼女自身からの本命チョコと勘違い。それについて鹿の子から訂正を受けて以降、関係がぎくしゃくしていた。鹿の子の結婚騒動の最中、彼女に恋心を告白、断られて玉砕する。 その後雨宮鳩彦のとりなしもあり、仲直りして親密になった。鹿の子が結婚したことが校内で噂になった際、自分と付き合っていると広めることで、それを打ち消そうとした。祖父は刀匠の十四代目忍成慎之介。

壬生 竜也 (みぶ たつや)

大葉鹿の子と同じ学校に通う一年生。和菓子職人を目指し、鹿の子に試食を頼みに来た。鹿の子の家への婿入りを狙っている。雨宮鳩彦、忍成と共に、鹿の子を心配していた。自分の和菓子修行と、鹿の子の状況を探るために「お々ば」に弟子入りする。

帯刀 (おびなた)

北条大我の執事。父の代から北条家に仕えている。イギリスの執事養成学校にも留学経験がある。厳格な性格だが、大我の事をとても大切にしている。鹿の子のことは、当初は軽んじていたものの、彼女の優しさや大我への愛に触れる内に、仲良くなる。

伊集院 礼生 (いじゅういん れお)

北条大我の腹違いの兄で、容姿が非常に似ている。母は北条莢子、父は伊集院彪斗。母と関係を結んだ大我を深く憎んでおり、大我が鹿の子を手に入れる為の十億円を用立てようと、共同経営の会社の株を無断で売却したことをきっかけに、復讐を開始した。大我が伊集院邸から去った後、北条莢子が彼を求める余り、関係を持ったこともあった。 妹・?子が死んだのは自分の所為と思い詰めている。ファロー四徴症という心臓の先天性疾患が有り、秘密裏に手術を行なっていたが、父・彪斗に知られ、後継者としてふさわしくないと言われた。鹿の子を自分の物にしようとしたが、心臓の発作で一時心肺停止状態に陥った。

伊集院 莢子 (いじゅういん きょうこ)

伊集院礼生の母で、北条大我は双子の妹の薔子と、夫である伊集院彪斗の間の子供。高校一年生の時に伊集院家に移ってきた大我と関係を結んだ。娘・鵇子が、庭の池で溺死した際にも大我と同衾していた。また大我が伊集院邸を去った後は、彼と間違えて礼生と関係を結ぶこともあった。 鵇子の死を受け入れることが出来ず、年齢に合わせて調度や衣服をあつらえていた。礼生に鹿の子を鵇子として与えられ、信じ込む。

伊集院 彪斗 (いじゅういん たけと)

北条大我と伊集院礼生、伊集院鵇子の実の父親。一代で成り上がった人物で野心家。北条家との婚姻の際、北条莢子を妻とし、伊集院礼生、鵇子をもうけたが、彼女の双子の妹である北条薔子とも関係を持ち、北条大我を産ませた。礼生の心臓に疾患があると判明し、一時、大我を後継者として教育する為に、伊集院家に呼び寄せた。 その後も礼生が死の淵を彷徨った際にも、大我を後継者にしようとした。

伊集院 鵇子 (いじゅういん ときこ)

伊集院礼生の妹で、北条大我の異母妹。父は伊集院彪斗、母は北条莢子。天真爛漫で愛くるしい少女だったが、幼い頃に庭の池で溺れて死んでしまった。伊集院礼生、北条大我、北条莢子はそれぞれに、自分の所為で鵇子が死んだと思い悩んでいたが、礼生、大我は彼女によく似た鹿の子から慰めを受けることで、その思いを払拭することが出来た。

丹後 夜理人 (たんご よりと)

北条大我の学生時代からの友人で小説家、ゲイ。鳩彦とも縁が深い。伊集院莢子の元から逃げてきた大葉鹿の子を保護し、一晩泊めてくれた。

白神 玖貴 (しろがみ たまき)

大葉鹿の子と同じ高校に通う三年生。タロットカードでの占いがよく当たると有名。図書館で占いを行なっている。当初は鹿の子に強い興味を示していたが、彼女と共に占いに来た鳩彦が自らの「運命の輪」のカード・運命の人ではないかと考え、惹かれ始めた。白神瑠伽は姉。祖母も高名な占い師。

西寺 詩織 (にしでら しおり)

小説家・北条大我の熱狂的なファン。小学生の頃、彼のデビュー作『泥濘の家』を読んで以来、長くファンでいる。大葉鹿の子に『泥濘の家』が大我の生い立ちを元にしていることを伝え、読むよう勧めた。

集団・組織

北条家 (ほうじょうけ)

『¥十億少女』に登場する家名。鎌倉時代から続く、世が世なら華族という由緒ある家柄。十七代目当主は北条大我。彼の母は北条薔子、その双子の姉に北条莢子がおり、二人とも伊集院彪斗と関係を持った。

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