Re:CREATORS NAKED

Re:CREATORS NAKED

現実世界に現れた創作世界のキャラクター、被造物たちの戦いを、クリエイターを目指す少年の水篠颯太の目を通して描くバトルアクション。TVアニメ『Re:CREATORS』の原作となった作品で、広江礼威特有の「字コンテ」という体裁で描かれている。創作物を扱うという作品上、メタフィクションネタが多く、クリエイター業界のネタが多い。

正式名称
Re:CREATORS NAKED
ふりがな
れくりえいたーず ねいきっど
作者
ジャンル
作家・漫画家
 
バトル
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

ある日、男子高校生の少年、水篠颯太は自室でアニメを見ていると、その登場人物であるセレジア・ユピティリアが現実世界に現れるのを目の当たりにする。訳のわからない状況に混乱するセレジアと颯太の前に謎の少女が現れ、セレジアを己の陣営へと誘いをかける。ここは創造主が存在する世界で、彼らの力を借りれば、セレジアの暮らす創作世界を思うままに改変できると少女に誘われるものの、セレジアはその提案を一蹴し、メテオラ・エスターライヒの乱入もあり、少女は姿をくらます。メテオラは「軍服の姫君」と呼ぶ少女が何かを企んでおり、早急に創造主と接触するべきだと考え、颯太にその助力を請う。セレジアの創造主である松原崇の協力を取り付けることに成功するも、煌樹まみか弥勒寺優夜鹿屋瑠偉被造物たちは次から次へと現界し、敵味方に分かれて争い始める。そしてその状況は、次第に政府の目に止まるところとなり、メテオラたちは菊地原亜希の呼びかけに応え、特別事態対策会議に所属することとなる。着々と軍服の姫君への反撃を推し進める一行は遂に軍服の姫君の正体が、二次創作動画「World Etude」のアルタイルであることを突き止めるが、彼女の創造主はすでに死亡しているという事実に行きついてしまう。

第2巻

水篠颯太は、アルタイルの生みの親であるシマザキセツナとは友人関係で、彼女の死にも深くかかわっていた。己の罪と向き合うことを決めた颯太は、仲間たちに罪を懺悔(ざんげ)し、セツナの無念を晴らすべく大崩潰を引き起こそうとしているアルタイルを止めることを誓う。絶大な力を持つアルタイルを倒すため、メテオラ・エスターライヒ菊地原亜希は、現界した創作物が一堂に介するイベント「エリミネーション・チャンバー・フェス」を企画する。創造主たちも決戦の舞台を整えるために奔走し、颯太もその中で自分にできることを行っていく。そして決戦当日、被造物は作品の枠を超えて力を結集し、アルタイルに挑む。新たに現界した被造物、新たな力と決戦の舞台は怒濤の展開を見せ、たった一つの結末へと収束していく。

表現上の特徴

本作『Re:CREATORS NAKED』は、広江礼威特有の「字コンテ」の体裁で描かれた作品。広江礼威は漫画を描く際に、フロー状態にしてスムーズに移行するのを目的に、キャラクターのセリフや動き、心情を描いた字コンテを制作しており、この字コンテをもとにネームを描いて作品をブラッシュアップしている。本作には文章の頭に数字が振り分けられているが、これは広江礼威自身があとで見直した際にわかりやすいようにと、便宜上付けたものとなっている。また、数字の中には「3.1」のように小数点が振られたものも存在するが、これは推敲した末に書き直したり、書き足したりしたものとなっている。本作は「創作活動」がテーマの一つとなっているが、この字コンテも1年半に及ぶ「クリエイターのありのまま(ネイキッド)の創作の記録」といえる作品で、広江礼威によるキャラクターの原案も掲載されている。

関連作品

TVアニメ

2017年4月から9月にかけて、本作『Re:CREATORS NAKED』のTVアニメ版『Re:CREATORS』がTOKYO MX、AT-X、BS-11ほかで放送された。制作はTROYCAが担当し、監督はあおきえい、原作およびキャラクター原案は広江礼威が務めた。水篠颯太を山下大輝、セレジア・ユピティリアを小松未可子、メテオラ・エスターライヒを水瀬いのりが演じており、一部キャラクターを担当した声優は、劇中作の声優を担当していたという設定で、本作にも本人役として登場している。クリエイターを目指す少年、颯太の目を通して被造物たちの戦いを描くという、大まかな流れそのものはTVアニメ版も同様だが、一部展開や固有名称はアニメ化にあたって変更されている。

劇中劇

本作『Re:CREATORS NAKED』は創作物のキャラクターが現実世界に現れ、それぞれが現実世界の人間とかかわっていく物語が展開される。そのため、作中にはさまざまな劇中作が存在し、ジャンルも伝奇小説からアニメ、ロボット物から恋愛シミュレーションゲームまで幅広いものが登場している。また一部の劇中作に関しては、実在の作品をモチーフにしているものも存在するが、これらはモチーフにしつつも差別化を図るための工夫が随所に凝らされている。

登場人物・キャラクター

水篠 颯太 (みずしの そうた)

都立亀水(きっすい)学園に通う高校2年生の少年。年齢は16歳。絵を描くことが趣味で、イラストレーターにあこがれている。アニメや漫画、ライトノベルが好きで、「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」のアニメを見ていた際に、セレジア・ユピティリアの現界を目の当たりにする。そしてメテオラ・エスターライヒと出会って、彼女らと行動を共にするようになる。メテオラは彼との出会いを「縁」と考えており、彼女の言葉に従って、自分なりの方法でメテオラたちを助ける。実はアルタイルの生みの親、シマザキセツナとは友人の間柄。内向的で繊細な性格から友達もおらず、細々と絵を描く日々を送っていたが、SNSでセツナと出会う。性格的に似た部分があることからすぐに仲よくなるも、セツナがメキメキと実力を伸ばし、人気者となっていく姿に昏(くら)い嫉妬を覚える。彼女が謂(いわ)れのない誹謗中傷に遭った際も助けず、悩みを相談された際も冷たく突き放してしまう。そして、セツナから最期のメッセージと作品を受け取り、その後に彼女の自殺を知って大きく後悔する。忌まわしい記憶として目を背け、忘れようとしていたためアルタイルのこともすぐには思い出せなかったが、アルタイルの正体にせまったことで彼女の存在に思い至る。罪の意識から当初は言い出せずにいたが、仲間たちとの交流を経て打ち明け、セツナの死に向き合う決心を固める。エリミネーション・チャンバー・フェスでは自分にできる方法を模索し、一つの提案を松原崇たちにしている。

アルタイル

謎の少女。足元まで長く伸ばした銀色の髪をツーサイドアップにしている。古めかしいロシアの騎兵帽をかぶり、軍服状の黒いダブルコートを羽織っている。被造物の現界する現場に現れ、彼らを己の陣営に加えるべく、誘いをかける。一人称は「余」で、芝居がかった大仰(おおぎょう)な口調で話す。正体不明の存在で、当初は「軍服の姫君」の仮称で呼ばれていた。特殊能力「森羅万象」をあやつり、その圧倒的な力で暗躍している。アルタイル自身も被造物とされるが、その特徴的な見た目や、圧倒的な能力を持ちながら、長らく正体は不明だった。のちに、シマザキセツナの二次創作動画「World Etude」の登場人物であることが判明する。非業の死を遂げたセツナの無念を晴らすべく現界し、被造物を扇動し、争い合わせることで大崩潰を起こすことを目論む。ほかの被造物とは一線を画する力を持ち、一貫して優位に立ち回っているように見えるが、現実世界の修正力や、能力のリスクによってかなり制限を受けており、実情はかなりギリギリ。エリミネーション・チャンバー・フェスでは、アルタイルを閉じ込めるために作られた「鳥籠」に自ら飛び込み、その企みを逆に利用し、己が思うままに力を振るえる空間と、観客の承認力を取り込む。切り札として用意されいていたシリウスすら吸収し、その力を増していく。シリウスを取り込んだ際にはシリウスの意匠も取り込み、近未来的な衣装へと変化している。

セレジア・ユピティリア

ライトノベル「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」の登場人物。赤い髪をロングストレートに伸ばした美少女で、年齢は19歳。前向きで勝気な性格をしており、逆境に陥っても折れない強い心を持つ。同作品では主人公のカロン・セイガと共にフォーゲルシュバリエを駆り、アヴァロン・ブリゲードと戦う魔法騎士という設定が課せられている。精霊機想曲フォーゲルシュバリエのアニメ版では、声優は小松未可子が担当している。突如現れたアルタイルと戦い、フォーゲルシュバリエを消失。その後、アニメを見ていた水篠颯太の部屋に現界する。アルタイルのことは信用しておらず、彼女の誘いは拒絶している。訳のわからない状況で、さらに被造物として自分たちが見世物になっていたことに憤慨するが、仲間たちや創造主との交流を経て世界を守るべく戦うことを決意する。創造主の松原崇とは当初は険悪な仲だったが、崇の創作姿勢を見るうちに彼を認め、次第に強い信頼関係で結ばれるようになる。現界の影響を実感しており、特にコーヒーを好むようになったと変化が出ている。フォーゲルシュバリエが消滅してしまったため、戦闘ではサーベル「ソード・リベリオン」を武器に、飛行魔法などを駆使して生身で戦うが、「戦闘はフォーゲルシュバリエへの搭乗が前提」という設定のため実力を発揮できずにいる。エリミネーション・チャンバー・フェスでは、メテオラ・エスターライヒが現界させたフォーゲルシュバリエに搭乗して戦う。アルタイル陣営に与したカロンと激闘の果てに相打ちとなる。

メテオラ・エスターライヒ

PC用ゲーム「追憶のアヴァルケン」の登場人物。白みがかった銀髪のショートカットの少女で、ローブを身にまとった魔法使いっぽい格好をしている。同作品において主人公である勇者(プレイヤー)を導く賢者という役割を担い、ラスト・テーブルランドの最果てに存在する万理の図書館「クンスト・ヴンダーカンマ」の司書「万理の探求者」という設定が与えられている。ゲーム時代愛用していた魔導書「万理の書」も共に現界されたため、その力を利用することで早期に現状を理解し、アルタイルの野望を食い止めるために動いている。冷静沈着で頭の回転が速いため、一番早く現実世界に適応し、現実世界を満喫するマイペースな姿を見せている。直情的な言動は慎んでいたが、被造物であることに思うところはあり、場合によってはアルタイルの企みをそのまま看過するつもりだった。しかし、想像主である「坂本宣之」の死を知り、彼が残した作品である「追憶のアヴァルケン」をメテオラ・エスターライヒ自身の手でプレイしたことで、己の運命を受け入れ、大崩潰を阻止することを決意する。転移、防御、飛行など多彩な魔法をあやつるが、攻撃や回復の魔法は使えない。そのため、アルタイルとの初戦闘では自衛隊の基地からATM5対戦車ミサイルなどの火器を拝借し、それを魔法であやつって戦っていた。エリミネーション・チャンバー・フェスでは「鳥籠」形成のための中核を担い、承認力を観測する装置「エヴァリュエーション・トレーサー」を現界させ、セレジア・ユピティリアたちの援護を行う。

弥勒寺 優夜 (みろくじ ゆうや)

漫画「閉鎖区underground-dark night-」の登場人物。紫色の髪をした長身痩軀の青年で、サングラスをかけた今風の若者っぽい姿をしている。同作品の主人公、白亜翔の妹「此処果」を殺した張本人とされ、白亜の宿敵で同作品のラスボスといわれている。粗野で好戦的なキャラクターとして描かれており、結社「荒塵-Arajin-」を率いるリーダーとして白亜の前に立ちふさがる。「神木・黒那岐丸(しんぼく・くろなぎまる)」を携え、板額と共に接近戦での戦いを得意とする。現界してセレジア・ユピティリアと煌樹まみかの戦いに乱入し、セレジアを助ける。物語世界では好戦的な面を強調して描かれていたが、現界してからは設定に縛られるのを嫌い、自由奔放に現実世界を楽しんでいる。直情的なところはあるが、頭の回転は速く直感にも優れているため、自分の現状を素早く正確に把握し、そのうえで被造物である己の境遇を受け入れている。アルタイルの誘いは興味がないと断っており、物語世界の改変にもまったく興味がない。当初は思うままに戦いに介入し、それが結果的にセレジアたちを助けていたが、ブリッツ・トーカーや築城院真鍳との戦いを経て、彼らと決着をつけるべくメテオラ・エスターライヒたちと共同戦線を張る。築城院との戦いで板額を奪われてしまうが、エリミネーション・チャンバー・フェスでは原作者である八頭司遼の協力によって氷をあやつる力を手に入れている。八頭司から「閉鎖区」の物語の核心をちゃっかり聞いており、白亜との因縁が誤解であること、黒幕が別にいることをフェスで盛大にネタバレして八頭司を絶叫させる。

板額 (はんがく)

漫画「閉鎖区underground-dark night-」の登場人物。弥勒寺優夜に付き従う女武将型の星幽複体(アストラ・ダブル)。薙刀(なぎなた)を武器とする武将で、甲冑をまとって弥勒寺と共に接近戦で戦う。弥勒寺に匹敵する戦闘能力は非常に強力だが、弥勒寺によれば「呪い」に近い存在で便利なものではないとのこと。築城院真鍳の言葉無限欺によって奪われ、彼女にあやつられることとなる。エリミネーション・チャンバー・フェスで心変わりした真鍳が弥勒寺に返還されている。実在の人物、板額御前がキャラクターのモチーフとなっている。

鹿屋 瑠偉 (かのや るい)

TVアニメ「無限神機モノマギア」の主人公。青い髪を短く切りそろえた華奢な少年で、近未来的なデザインのパイロットスーツを身につけている。年齢は16歳。同作品の中では電磁寄生体との戦いに巻き込まれ、望まぬ戦いを強制されたことで、周囲に反発してばかりいた。これは「逆ギレして話が転がるほうが面白そう」と制作側が意図的に設定したもので、現界後は設定から解放され、明るく前向きな年頃の少年のような明朗快活な性格になっていく。好みのタイプは年下の女の子。声優は雨宮天が担当している。被造物の運命に直面するも、当初は理不尽な状況に反発し、直面する問題から目を背け、現実世界を楽しむことが多かった。しかし設定から解放され、弥勒寺優夜など気の合う仲間と出会ったことや、水篠颯太を元気づけたりすることで己の境遇を深く考えるようになり、主人公という己の運命を受け入れ、世界を守るためアルタイルと戦う決意を固める。エリミネーション・チャンバー・フェスでは、ギガスマキナに搭乗して戦う。アルタイルに反旗を翻したアリステリア・フェブラリィと同じ主人公として共同戦線を張るも、乱入したカロン・セイガに必殺の一撃を妨害される。その後にカロンと戦い、主人公の運命に絶望しているカロンの在り様を否定し、運命から逃げているだけだと批判する。カロンの攻撃で満身創痍となりつつも、セレジア・ユピティリアの言を悲壮な覚悟で受け入れ、セレジアごとカロンを打ち倒す。キャラクターのモチーフは『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジをベースに、さまざまなロボットアニメの主人公の要素を付け加えたものとなっている。

星河 ひかゆ (ほしかわ ひかゆ)

ゲーム「ほしぞら☆ミルキーウェイ」の登場人物。ピンク色の髪をツーサイドアップにした女子高校生で、年齢は17歳。「ほしぞら☆ミルキーウェイ」におけるヒロインの一人で、比較的現代に近い物語世界出身で、特殊な能力などはいっさいなし。気弱だが一途で芯の強い性格をしており、主人公のまさゆきのことを憎からず思っている。現界後は、星河ひかゆ自身の恋愛模様が周知のものとなっていたことに愕然とし、流されるままメテオラ・エスターライヒたちに保護される。基本的に不憫(ふびん)な目にしか遭っていないが、まさゆきと出会えた運命を幸福と思い、それを守るためメテオラたちと戦う決意を固める。エリミネーション・チャンバー・フェスでは、原作者である大西にしおの協力によってファンディスクを作成したことで、設定の一部が改変され「エクストリームファイナルレジェンドマーシャルアーティストひかゆ」への変身能力を獲得する。変身後は露出の多いチャイナ服姿となり、中国拳法っぽい格闘術を使って戦う。その姿は「恥ずかしい格好」と不評だが、その戦闘能力は巨大ロボットのフォーゲルシュバリエすら圧倒するほど強大。キャラクターのモチーフは恋愛シミュレーションゲームの一般的なヒロイン。

アリステリア・フェブラリィ

漫画「緋色のアリステリア」の主人公。金色の髪をたなびかせた美女で、白銀の鎧を身にまとって凛とした雰囲気を漂わせている。神聖ウルターシュタイン王国の姫君で、大仰なしゃべり方をするのが特徴。「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの篭手」を携え、その力は強烈無比。生身にもかかわらず巨大ロボットのギガスマキナと戦えるほどに肉弾戦能力が高い。使命感と責任感が強く、己の責務を果たすべく、ひたむきに突き進むスタンダードな主人公として描かれている。しかしそれだけに現界後、自分たちの運命が虚構でしかないことに憤慨。アルタイルの誘いに乗り、自分たちの世界を改変するべく動き出す。同じくアルタイル陣営に属する煌樹まみかとは仲がよく、行動を共にすることが多い。絶大な戦闘能力を持つが、現代世界にはまったく馴染んでおらず、常識外れな行動をしてはまみかを困らせている。正義感が強い高潔な騎士として描かれたキャラクターであるため、現界後もその側面が強く出て視野狭窄(きょうさく)に陥っていたが、次第に設定から解放され人間として視野を広げていく。まみかが死亡後は一時は築城院真鍳の虚言にたぶらかされ、憎悪で我を忘れるが、水篠颯太の説得や高良田概との対話を経て心境に変化が訪れる。そして創造主も人間であり、「緋色のアリステリア」が読んだ人に「力と勇気を語る世界」であることを知ったことで己の運命を受け入れる。エリミネーション・チャンバー・フェスでは世界を守るため、そしてまみかの仇を打つためアルタイルに反旗を翻し、鹿屋瑠偉と共闘する。アルタイルと激闘を繰り広げるが、アルタイルに己の攻撃を反射されて致命傷を負い、消滅した。

煌樹 まみか (きらめき まみか)

TVアニメ「マジカルスレイヤー・まみか」の主人公。桃色の髪をツインテールにした女子中学生で、年齢は14歳。女児児童向け魔法少女アニメの典型的な主人公・ヒロイン設定で、人々の幸せを守るため、ひたむきにがんばっている。また、魔法少女に変身しての魔法の力も絶大で、戦闘能力は高い。現界後は「平和な世界」を作るために、アルタイルの誘いに乗る。アルタイル陣営のアリステリア・フェブラリィとは仲がよいが、名前を覚えるのが苦手で、よくアリステリアの名前を間違える。女児児童向けの世界観から現れたため、「暴力」「流血」「貧富の差」といった現実的な負の要素とは縁がなく、現界後の自分の世界に似通っているが明確に違う世界に戸惑いを覚える。彼女の魔法も創作世界ではそこまで暴力的ではないが、現実世界では殺傷力の高い危険な魔法となっているため、それを扱う煌樹まみか自身、その事実に大きく動揺している。セレジア・ユピティリアとの戦いで力の危険性を理解し、自分なりの方法で戦いを鎮めるべく独自に解決策を探り始める。その一環で水篠颯太と出会い、彼の話を聞きアルタイルの真意を確かめるべく、彼女と話をするもアルタイルの逆鱗に触れ、彼女の攻撃で致命傷を負う。最期の力を振り絞ってアリステリアに真実を伝えようとするも、道中で力尽き、たまたま居合わせた築城院真鍳に遺言を託す。しかし、築城院がアリステリアにまみかの真意をあえて歪めて伝えたため、彼女の遺言は結果的にアリステリアがメテオラ・エスターライヒを襲うきっかけとなってしまう。

ブリッツ・トーカー

漫画「code・Babylon」の登場人物。眼鏡をかけ、ヒゲを蓄えたナイスミドルの男性で、トレンチコートを羽織っている。元刑事のバウンティ・ハンターで、亜人や合成怪物を専門で捕まえ、賞金を得ている。同作の主人公、リュウスケの相棒として、共にフラッシュライト探偵社に所属する。元刑事という設定から冷静沈着で洞察力に優れ、アルタイルの狙いが別にあると早期に気づきつつも、彼女の誘いに乗っている。娘のエリナ・トーカーとの悲劇の末、自らの手で殺した過去を持ち、どこか娘に似ているアルタイルを放って置けないと思っている。また娘を失った悲劇が、創造主たちの娯楽でしかなかったことに怒りを覚えており、創造主への復讐を企てている。アルタイル陣営の中では唯一アルタイルの真意を見抜き、それに賛同してアルタイルからもその境遇を同情され、目的に共感されている。SF的な物語世界出身なため、銃型のものをはじめとした特殊なデバイスを複数所持しており、反重力を用いて飛行したり、特殊な重力弾を使って攻撃したりと、その戦闘能力は高い。弥勒寺優夜とは戦いを繰り広げて以降、彼から因縁の相手として見られている。エリミネーション・チャンバー・フェスではアルタイルに送り出され、独自に行動を開始。ブリッツ・トーカー自身の創造主である駿河駿馬を殺害しようとするが、そこで復活したエリナと対面する。エリナの存在を利用した駿河たちに唾棄すべき思いを抱くが、懊悩の末、今度こそ娘を守るためアルタイルに反旗を翻すという苦渋の決断を下す。

白亜 翔 (はくあ しょう)

漫画「閉鎖区underground-dark night-」の主人公。青いバンダナをした金髪の青年で、赤のパーカーを着た今風の若者っぽい格好をしている。弥勒寺優夜とは幼なじみだが、妹の此処果(ここのか)と親友の荒木ロッカクが弥勒寺に殺害されたため、彼を追っている。弥勒寺に「熱血直情馬鹿」と評されるほどの、いかにも漫画の主人公然とした性格をしており、特に女性読者からの人気が高い。弥勒寺に遅れて現界し、アルタイル陣営に属する。アルタイルのことは信用しておらず、世界の改変にも興味がないが、弥勒寺との決着を目的としてアルタイルに力を貸す。その様はブリッツ・トーカーからは主人公らしく、「動機の方向が単純にすぎる」と評されている。戦闘では三節棍を武器として戦い、騎士甲冑(かっちゅう)の星幽複体、バイヤールをあやつる。バイヤールは光を利用した攻撃を得意とし、鏡で反射させて攻撃することも可能とする。エリミネーション・チャンバー・フェスでは弥勒寺と戦いを繰り広げる。その後、原作者である八頭司遼からネタバレを聞いていた弥勒寺に、実は妹と親友を殺した真犯人は別にいることを教えられ戦意喪失。弥勒寺に諭され、世界を守るためアルタイルに反旗を翻す。

カロン・セイガ

ライトノベル「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」の主人公。少し青みがかった黒い髪の青年で、青を基調とした鎧を身にまとっている。誠実で責任感が強い性格のため、セレジア・ユピティリアからも信頼されている。フォーゲルシュバリエと共に現界し、アルタイルの語る世界改変を自分の世界を救う希望と信じ、アルタイル陣営に属する。物語世界の彼は主人公として決して心折れない強い存在と設定されていたが、現実世界に来たことで設定から解放され、戦いに次ぐ戦いで疲弊した心は絶望で染まってしまう。被造物の運命を知ったことで、責任感の強さから主人公の自分が世界を救うという重圧に心が押しつぶされ、世界改変という最後の希望にすがりつくようになる。エリミネーション・チャンバー・フェスでは突如乱入して鹿屋瑠偉を攻撃し、アリステリア・フェブラリィの必殺の一撃を妨害する。セレジアの言葉にすら耳を貸さずアルタイルを援護するが、その有り様は自分の運命から逃げているだけと、鹿屋に痛烈に批判されている。最期はセレジアの捨て身の攻撃によって相打ちとなり、消滅する。

築城院 真鍳 (ちくじょういん まがね)

ライトノベル「夜窓鬼録」の登場人物。黒いセーラー服を着た少女で、髪を三つ編みにしている。整った顔立ちをしているが、狂ったような不気味なアルカイックスマイルをつねに浮かべている。同作品において鼓桜ヶ峰学園の生徒すべてを死に至らしめた犯人で、主人公を追い詰めるのを何より楽しんだ愉快犯。現界後も、物語時代の愉快犯じみた言動はそのままで、周囲からは「噓が人の皮を被って笑ってる」「気持ち悪いキャラ」「人を人とも思わぬ奸物」と酷評されている。自由気ままな性格で束縛されることを嫌い、アルタイルとメテオラ・エスターライヒの両陣営を得意の詐術で引っ搔き回し、それを高みの見物しようとしている。直接的な戦闘能力はないが特殊能力「言葉無限欺」は、彼女の話術と合わさることで非常に凶悪な能力になっている。また快楽殺人者で、思いつきで殺人を行っており、現界後は一般人や築城院真鍳自身の創造主も殺害している。基本的に「おもしろい」を行動原理にした衝動的な享楽主義者で、本人ですらその時にならなければどんな行動を取るのかわからない生粋のトリックスター。世界の行く末にすら興味がなく、人が自らの業で自滅する姿を見るのを何より好むが、だからこそ人という存在に強く惹かれている。エリミネーション・チャンバー・フェスではアルタイルがどんな顔をするのか見てみたいという理由で、水篠颯太と会話し、彼らに力を貸す。長く現実世界にいることで言葉無限欺が失われつつあるのに気づいているが、それすら前向きにとらえ、現実世界を楽しむつもりでいる。フェス後は創作世界に戻った者たちをしり目に、いずこかへと旅立った。

松原 崇 (まつばら たかし)

ライトノベル「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」の原作者。「松原崇」はペンネームで、本名は「大沢武志」。若干髪が薄くなり始めた中年の男性で、年齢は38歳。インタビュー記事を見たメテオラ・エスターライヒには、無節操で好奇心旺盛な性格とプロファイルされている。創造主とのつながりを欲したメテオラたちが出したハニートラップ紛いのメールに釣られてホイホイ現れたため、彼に生み出されたセレジア・ユピティリアは不用心すぎると呆れている。セレジアとの仲は当初は険悪だったが、率先して彼女らに協力し、力を貸していくうちに強い信頼関係で結ばれていく。また、創作活動に関しては真摯に取り組んでおり、確かな技術と信念を持つため、彼の創作姿勢を見るうちにセレジアも己の運命を受け入れ、松原へのわだかまりを捨て去った。エリミネーション・チャンバー・フェスの準備期間ではフォーゲルシュバリエの設定改変や、「鳥籠」形成のための物語の作成など、精力的にこなし、創造主たちのリーダー的な存在として活躍する。

まりね

ライトノベル「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」のイラストレーター。「まりね」はペンネームで、本名は「皇浦綾乃」。眼鏡をかけた女性で、ボブカットの髪型にしている。明るく人当りのよい性格の持ち主で、松原崇に誘われ、セレジア・ユピティリアたちと出会う。メテオラ・エスターライヒ発案の実験にも協力し、セレジアの絵を描いて提供している。過去にPC用ゲーム「追憶のアヴァルケン」を開発したタイタン・デジタルソフトで仕事をした経験があり、その際のツテを使ってメテオラをタイタン・デジタルソフトに紹介をしたりもしている。一人暮らしなため、泊まる場所がないセレジアとメテオラを自分の部屋に誘い、共同生活を送っている。プロのイラストレーターだけあり、その腕前は水篠颯太が思わず見とれるほど。また、絵に関してはストイックな部分があり、駿河駿馬の技術力の高さを意識し、いっしょに仕事した際にはその腕前にショックを受けている。一方の駿河も表に出さないが、まりねの技術力の高さを認めており、お互いを意識し合っている。

中乃鐘 昌明 (なかのがね まさあき)

TVアニメ「無限神機モノマギア」の脚本と構成を担当したシナリオライター。温厚で協調性の強い常識的な思考の男性で、恰幅のいい体型をしている。鹿屋瑠偉の現界を目の当たりにし、ギガスマキナと共に現れた彼の処遇に関して右往左往することとなる。松原崇とは知己の間柄で、鹿屋のことを彼に相談し、なし崩し的に同じ問題に巻き込まれていた松原たちと行動を共にするようになる。「軍服の姫君」の正体を率先して探っており、彼女がゲーム「悠久大戦メガロスフィア」の二次創作で生まれたキャラクターのアルタイルであることを突き止める。エリミネーション・チャンバー・フェスの準備期間でも精力的に働いている。

高良田 概 (たからだ がい)

漫画「緋色のアリステリア」の原作者。誠実で生真面目な性格で、体格のよい青年。「高良田概」はペンネームで、本名は「宝田直也」。アリステリア・フェブラリィの創造主であるため、アリステリアに誘拐され、監禁されたうえで設定の改変を強要される。状況を飲み込めず右往左往としていたが、水篠颯太の説得に心動かされたアリステリアが再び対話。己が執筆にかける情熱を話したことで、アリステリアとわかり合い、解放される。その後、エリミネーション・チャンバー・フェスの準備に合流。アリステリアが世界を守るために戦うことを信じ、彼女の設定改変を行い強化を行っている。

八頭司 遼 (やとうじ りょう)

漫画「閉鎖区underground-dark night-」の作者。長髪に眼鏡をかけた男性。しゃれっ気のあるファッションを身につけているが、顔の造形は不細工寄り。「八頭司遼」はペンネームで、本名は「合田亮介」。気性が荒い性格で、団体行動が非常に苦手。初対面の人間にも失礼な態度を取ることから、嫌われることが多い。弥勒寺優夜の創造主であるが、事情を説明されたにもかかわらず、初対面であまりに失礼な態度を取ったため、弥勒寺から殴る蹴るの暴行を受けている。なおその際、周囲も自業自得と誰も暴行を止めなかったほど、周囲から嫌われている。エリミネーション・チャンバー・フェスの準備の際も周囲と衝突することが多かったが、次第に態度は軟化し、周囲の意見を受け入れるようになる。弥勒寺には閉鎖区の物語の核心を話しており、よりにもよってフェスの最中に衆人環視のもと弥勒寺によってネタバレされたため、絶叫して頭を抱える。

駿河 駿馬 (するが しゅんま)

漫画「code・Babylon」の作者。口元にホクロのある若い女性。ボーイッシュスタイルのファッションを身にまとっている。関西なまりの特徴的なしゃべり方をする。「駿河駿馬」はペンネームで、本名は「大沢智加」。ペンネームと作品の作風から男性に間違えられることが多い。よい作品を生み出すために情熱を燃やすが、それ以外のことには興味がないストイックな性格をしており、あまり周囲に目を向けず、受け答えはするが最低限のことしかしゃべろうとしない気難しいところがある。一方で洞察力は優れ、時おり漏らす言葉は本質を突いたものが多い。被造物の現界によって身に危機がせまっていたため、菊地原亜希に保護され、松原崇たちと行動を共にするようになる。まりねがショックを受けるほど腕前は速筆で質が高いが、そのために並々ならぬ努力と代償を支払っており、プロ意識は創造主の中でも頭一つ飛びぬけて高い。表には出さないがまりねの腕前を強く意識し、彼女に対抗するために必死に己を奮い立たせている。ブリッツ・トーカーの創造主で、彼から命を狙われているが、彼女自身、そのことを誰よりも理解しており、エリミネーション・チャンバー・フェスでは彼へのカウンターとしてエリナ・トーカーの復活を行い、ブリッツを味方に引き入れることに成功する。

大西 にしお (おおにし にしお)

ゲーム「ほしぞら☆ミルキーウェイ」のシナリオライター。出っ歯が特徴的な中年の男性。ディープなオタク趣味の持ち主で、陽気でハイテンションな性格をしている。星河ひかゆの創造主で、彼女の現界に伴って松原崇たちに合流する。周囲の女性陣がドン引きするほど変態的言動が多く、ひかゆも自分の創造主の姿に大きなショックを受けている。一方でクリエイターとしての腕前は本物で、みんなが匙を投げたひかゆの設定改変に、ファンディスクを使うということで解決し、彼女に強大な戦闘能力を付与している。

菊地原 亜希 (きくちはら あき)

統括調整官を務める20代の女性。眼鏡をかけたクールビューティーで、凛とした雰囲気を漂わせている。被造物の現界という異常事態に対応するため政府が結成した「特別事態対策会議」を率い、被造物の起こした騒動を隠蔽すべく動いていた。しかし、メテオラ・エスターライヒが自衛隊基地から火器を盗んだり、ギガスマキナの現界で隠蔽が不可能になりつつあると判断し、メテオラたちを強制的に招集する。その際に強硬的な手段を取ったため、被造物からは非難されたが、逆にメテオラの盗難事件のことをついたため、彼女たちから謝罪され、わだかまりも解けた。お役所側の人間だが、意外にも柔軟な思考を持ち、メテオラや創造主の意見に耳を傾け、アルタイルへの対応策を講じていく。また戸籍のない被造物たちに、いくつかの条件と引き換えに戸籍を用意し、最大限便宜を図っている。エリミネーション・チャンバー・フェスでは製作統括を担当し、さまざまな業界に働きかけ、フェスを成功に導くため尽力する。

エリナ・トーカー

漫画「code・Babylon」の登場人物。金髪の幼い少女で、ブリッツ・トーカーの娘。同作品中ではマッドサイエンティストの検体となり、大量の怪物をおびき寄せる次元装置の動力炉「生体連結炉」の生体部品となってしまう。最終的に炉を停止させるため、父親であるブリッツの手で殺され、その亡骸は次元装置の崩壊に巻き込まれ消失した。彼女の死によって、ブリッツが創造主である駿河駿馬を憎む原因となっているが、駿河もブリッツがそういうキャラクターと理解している。そのためエリミネーション・チャンバー・フェスで、駿河は「code・Babylon」とPC用ゲーム「追憶のアヴァルケン」の世界観をつなぎ、メテオラ・エスターライヒによってエリナ・トーカーが蘇生させられるという「外伝」を描き、彼女を復活させた。設定の整合性が取れるかかなり危うかったが、観客の承認力に後押しされることで、無事にエリナの現界も果たし、これがブリッツがアルタイル陣営を離れる大きなきっかけとなる。

シマザキ セツナ

イラストレーターとして活動していた少女で、故人。黒髪のロングヘアに眼鏡をかけ、おとなしく引っ込み思案な性格をしていた。絵師として活動しており、SNSを通じて水篠颯太と知り合って友人となる。「シマザキセツナ」は絵師として活動するペンネームで、本名は「島崎由那」。彼と交友してから実力を伸ばし、有名なクリエイターとも共作していくようになる。音楽や動画も手探りで勉強し、精力的に活動して少しずつ名を知られていくが、人気の上昇に伴って誹謗中傷を受けるようになる。颯太に相談するも、突き放すような言葉をかけられて絶望する。最期に一つの新作の二次創作動画「World Etude」を遺し、駅のホームに飛び込んで自殺した。彼女が最期に遺した新作こそアルタイルの動画であり、彼女の無念を晴らすことがアルタイルの行動理念となっている。エリミネーション・チャンバー・フェスでシリウスすら敗れたあと、最後の手段として颯太が築城院真鍳の力を借りることで現界させる。シマザキセツナの在りし日の姿まま現れ、アルタイルと対話し、アルタイルと共にここではない何処かへと旅立つ。

シリウス

対アルタイル用に生み出されたキャラクター。アルタイルと瓜二つの少女の姿をしているが、黒い軍服のアルタイルに対し、近未来的な白い衣装を身にまとっている。松原崇やまりねたち創造主が、総力を結集して生み出した存在。デザインがほぼアルタイルと同じなのは時間がなかったためで、それを逆手に取って「アルタイルの鏡像」と設定されている。エリミネーション・チャンバー・フェス終盤、仲間たちが次々倒れていく中、アルタイルへの切り札として菊地原亜希とメテオラ・エスターライヒが現界させる。鏡像であるため能力はアルタイルとほぼ同じで、森羅万象も使うことができ、その能力は絶大。ただし、フェスでは完全な現界には至らず、力と存在のみしか現実世界に現れなかった。承認力が性格など内面まで及ばず、自我がないためしゃべることもできない。森羅万象第66楽章「実存相変移」でアルタイルを乗っ取ろうとするも、自我がないため後一歩及ばず、逆に乗っ取り返されて消滅する。

小松 未可子 (こまつ みかこ)

声優の女性。セレジア・ユピティリアの声優を担当している。エリミネーション・チャンバー・フェスでは雨宮天と共にメイン司会者を務める。実在の人物、小松未可子がモデル。

雨宮 天 (あまみや そら)

声優の女性。鹿屋瑠偉の声を担当している。エリミネーション・チャンバー・フェスでは小松未可子と共にメイン司会者を務める。ボーダーワールド・コロッセオで鹿屋が収録した覚えのないセリフをしゃべっていたため、戸惑っている。実在の人物、雨宮天がモデル。

その他キーワード

森羅万象 (ほろぷしこん)

アルタイルの持つ特殊能力。アルタイルの持つドラム式マシンガンとサーベルを、それぞれバイオリンと弓に見立て、演奏するようにして発動する。複数の楽章が存在し、第3楽章「表象展観」は対象を別のものにすり替え、第20楽章「因子模倣」は複製品を生み出すなど、効果はそれぞれの楽章によって違う。また、中には因果律そのものを歪める能力を持ち、大した制限もないことから、築城院真鍳の言葉無限欺の上位互換能力とも評される。その能力の正体は、二次創作で生まれたアルタイルというキャラクターをまさに象徴する力であり、アルタイルに関する、二次創作された能力を後付けで得られるというもの。創造主の想像力と承認力がある限り無限に成長する能力ともいえるが、その性質ゆえ制御が極めて困難で、アルタイル自身にもどんな能力が付与されるかわからないというリスクが存在する。また、強すぎる能力ゆえに多用すると世界から異物と見なされ、最悪の場合は現実世界からはじき出されるという弱点も存在する。

言葉無限欺 (ことのはむげんのあざむき)

築城院真鍳の持つ特殊能力。「噓の噓。それはくるりと裏返る」というキーワードによって発動する。効果は「噓」に「噓」を重ねることで、因果を捻じ曲げる非常に凶悪な能力で、相手が空想上の動物を否定すればそれに否定を重ねて空想上の動物を出現させたり、相手を挑発して攻撃を否定すれば、その攻撃を無効化することができる。効果時間は永続で、築城院が効果を解除しない限り、彼女が一度捻じ曲げた因果はそのまま効果を持続させることとなる。言葉を介して発動するため、答弁の内容によっては思い通りの効果を発動できないが、築城院は詐術と挑発を駆使してこの能力を使いこなしている。

エリミネーション・チャンバー・フェス

特別事態対策会議主導の一大イベント。表向きは経済産業省が後援するアニメや漫画、小説の合同イベントとなっているが、その本当の目的は対アルタイル用の一大決戦プロジェクト。一連の現界による事件をもとに物語を作り出すことで、被造物たちの世界を連結。これによって被造物たちの設定を改変して力を底上げすると共に、アルタイルとの決戦の舞台を整えることで彼女を封じ込めるのを目的としている。決戦の舞台となるのは現実世界をもとに作り出した閉鎖空間「鳥籠(バード・ケージ)」で、その形成と維持はメテオラ・エスターライヒが担当する。イベント開催に伴って被造物たちが共演するオリジナルアニメーション「ボーダーワールド・コロッセオ」と、その前日譚となる短編が各創造主たちによって描かれている。2017年1月14日に正式に発表され、開催日は7月23日であったため、制作期間が実質半年と非常に短く、菊地原亜希が各業界に働き掛け強権を発動させて準備を行った。このプロジェクトを完遂するためには観客の承認力が大量に必要となるため、イベントは大々的に宣伝し、日産スタジアムを会場として行われる。

現界 (げんかい)

創作世界のキャラクターが現実世界に現れる現象。アルタイルによって引き起こされているとされるが、原理や条件は不明。現界の前後には磁場異常が観測されている。メテオラ・エスターライヒによって検証されたことで、現界は創作物のキャラクターに、それを見ている観客の承認する意思「承認力」が加わることで引き起こされると突き止められる。このため無作為に作品からキャラクターが現界することはなく、人気のあるキャラクターほど現界しやすい傾向にある。また現界する作品は、最初に現界したアルタイルの生みの親であるシマザキセツナが、思い入れのある作品に偏っている。承認力は現界に大きな影響を与えるため、これを応用することで被造物の設定を「改変」し、新たな力を与えることもできる。ただし、改変した設定を多くの観客に見せ、さらにその内容を承認してもらう必要があるため、無制限な改変は不可能。余りに突飛な内容へと改変しようとしても、観客が納得せず承認力が得られないという問題が発生するため、エリミネーション・チャンバー・フェスでは物語同士を連結して、フェス専用の新たな物語「ボーダーワールド・コロッセオ」を作ることでこの問題を解決している。

創造主 (そうぞうしゅ)

被造物たちを作り出した者たちの総称。小説家やイラストレーター、漫画家とさまざまなジャンルのクリエイターが該当する。アニメやゲームのように複数の人間がかかわって制作されたものの場合、キャラクター像を作り出したシナリオライターが代表扱いされることが多い。被造物からは世界を作り出した「神」と思われており、世界を思うままに作る力を持つと思われている。しかし、実際には承認力などさまざまな制約のあるただの人間にしか過ぎず、創作世界を思うままに変える力はない。

被造物 (おぶじぇくと)

現界した創作世界のキャラクターの総称。被造物は創作世界の特殊能力や、道具をそのまま持って現れることが多く、現実世界でもその力を振るうことができる。被造物は創作世界では設定に縛られ、行動や思想が制限されていたが、現実世界に現れたことで設定から解放され、各々に変化が訪れている。特に各作品の「主人公」と呼ばれる者が顕著で、「世界を救う」や「仇を討つ」といった目標に固執するきらいがあるが、現実世界で過ごすうちに徐々に目的意識に変化が訪れている者が多い。また、現実世界は創作世界に比べて情報量が多いらしく、味や匂いをダイレクトに感じる食事は特に違いが顕著。このため、被造物の中には食事を好むようになった者もいる。被造物は現実の人間と同じくケガもするし、致命傷を追えば死亡する。ただし死亡しても遺体は残らず、消滅してしまう。現界した被造物が死亡しても、原作世界には影響はない。また、現実には存在しない被造物は矛盾の塊で、世界にとっては異物に等しい。そのため、世界が元の形に戻そうとする力「修正力」の影響を強く受けており、異能の力を振るい過ぎれば、修正力によって世界の外にはじき出されるとされる。修正力が強まれば異能の力も弱まり、現界している者たちも最終的には力を失う。逆に被造物が多く現界し、異能を振るえば振るうほど修正力は弱くなり、最終的に「大崩潰」が起こるとされる。

大崩潰 (だいほうかい)

現実世界と創作世界が衝突し、すべてを無に帰す現象。被造物という異物が現実世界に現界したことで、バランスを崩し、世界の修正力が弱まっていくことで引き起こされると、メテオラ・エスターライヒは推測している。被造物の力の源は承認力であるため、被造物の存在を認知し、この現象を知る者が増えれば増えるほど大崩潰は近づくともされている。アルタイルは被造物を現界させ、彼らを扇動することで戦いを繰り広げ、騒動を大きくすることでこの現象を引き起こそうとしている。ただし、世界の修正力は弱まっているものの健在ではあるため、強大な力を振るうことはアルタイルにも大きなリスクが伴っている。そのためにアルタイルは段階的に被造物を現界させ、少しずつ修正力を弱め、自らの承認力を高めようとしている。

精霊機想曲フォーゲルシュバリエ (せいれいきそうきょくふぉーげるしゅばりえ)

ファンタジー系のロボット物ライトノベル。魔法と機械が発達した世界「アースメリア」で、主人公はアズメリオン王国の王立騎士であるカロン・セイガで、彼と王国転覆を狙うアヴァロン・ブリゲードとの戦いを描いている。セレジア・ユピティリアはカロンの相棒の魔法騎士で、カロンとセレジアは「フォーゲルシュバリエ」と呼ばれるロボットに搭乗して戦う。原作は松原崇、イラストレーターはまりねが務める。出版はサーメディア社で、幻想ノベイライズ文庫のレーベルから刊行されている。原作ラノベは既刊7巻で300万部突破し、アニメ化もされている。現界したセレジアはアニメ版から現界したため、設定もアニメ版に準じる。

追憶のアヴァルケン (ついおくのあゔぁるけん)

オープンワールド、スタンドアローン型のPC用ロールプレイングゲーム。プレイヤーは勇者として、世界の滅びを回避するために三つの秘宝を探すこととなる。制作はタイタン・デジタルソフトで、販売はトロントビジュアルアーツが担っている。ゲームプランナーを担当していた「坂本宣之」は、現在は自動車事故に遭って死亡している。

閉鎖区underground-dark night- (へいさくあんだーぐらうんどだーくないと)

月刊連載中のバイオレンス系の漫画。大災害によって無法地帯と化した足立区を舞台に、星幽複体という力を宿した主人公の白亜翔たちの戦いを描いている。作者は八頭司遼で、メディアトーク社の月刊誌「月刊サプライズ」で連載中。アニメ会社kalnacksの制作でアニメ化もされており、耽美かつハードな世界観から女性人気が特に高い。ファンからは「閉アン」の通称で呼ばれる。

緋色のアリステリア (ひいろのありすてりあ)

月刊連載中のファンタジー伝記漫画。邪悪な黒の魔法使い「覗き見る永劫の策略」が召喚したウンターヴェルトの軍勢より世界を守るため、王家の姫君であるアリステリア・フェブラリィが戦いに挑む姿を描いている。作者は高良田概で、講学社の月刊誌「月刊チューズデー」で連載中。

マジカルスレイヤー・まみか

日曜朝に放送されている女児向け魔法少女TVアニメ。主人公の煌樹まみかが魔法少女となり、「微笑みの力」を守るためアクアマリンとの戦いを描いている。子供向けアニメだが、幅広い層から人気のあるアニメで知名度が高い。いくつかの企業とコラボしており、「マジカルスレイヤー・まみか」とコラボしたレトルトカレーも販売されている。作品の世界観は現実世界に近いが、子供向けアニメであるため「暴力」「流血」といった表現が抑えられているので、現界後のまみかは現実世界との相違点に戸惑うこととなる。エリミネーション・チャンバー・フェス時にはすでにまみかが消滅していたため、作品は不参加。

無限神機モノマギア (むげんしんきものまぎあ)

SF系のロボットTVアニメ。西暦2124年の新仮想都市エネルギア・イチハラを舞台に、突如侵攻してきた電磁寄生体(アイオーン)と戦うため、主人公の鹿屋瑠偉が巨大ロボットのギガスマキナに搭乗して戦う姿を描いている。T.A.Cプロダクツが制作を担当する原作のないオリジナルアニメーションで、中乃鐘昌明が脚本と構成担当のシナリオライターを務める。

夜窓鬼録 (やそうきろく)

伝奇系のミステリーライトノベル。怪奇趣味を持つ隔世町の古書店の店主、逆神那鳥也(さかがみなおや)が、「水晶球探偵」として難事件に首を突っ込み、解決していく姿を描く。原作は鞍隈天球、イラストレーターは西口外延が務める。出版はSAZANAMI書房で、電光LN文庫のレーベルから刊行されている。原作者の鞍隈天球は、現界した築城院真鍳によって殺害されてしまう。

ほしぞら☆ミルキーウェイ

美少女系の恋愛シミュレーションゲーム。主人公のまさゆきがとある事件にかかわったのをきっかけに、ヒロインたちと絆を深めていく姿を描いている。大西にしおがシナリオライターを担当する。実は一般向けの「ほしぞら☆ミルキーウェイ」は移植版で、オリジナルはアダルトゲーム。星河ひかゆが現界したのはコンシューマ版からで、設定もコンシューマ版に準じる。発売されて10年以上経つも未だに根強い人気を誇っており、大西がひかゆの設定改変のためにファンディスクを発売した際も、改変に必要な承認力をすぐさま確保できている。

code・Babylon (こーどばびろん)

月刊連載中のサイバーパンク漫画。近未来都市サルトゥーンスカヤを舞台に、フラッシュライト探偵社のバウンティ・ハンターが亜人や合成怪物たちを追う姿を描いている。主人公はフラッシュライト探偵社に所属する青年のリュウスケで、ブリッツ・トーカーは彼の相棒として活躍している。作者は駿河駿馬で、報育出版の月刊誌「月刊BEN-PATSU」で連載中。アニメ化もされている。魔法の存在する余地のない科学の世界であるため、エリミネーション・チャンバー・フェスでは設定の整合性を取るのに一番苦労している。そのため、駿河はエリナ・トーカーの事件を利用して、PC用ゲーム「追憶のアヴァルケン」と漫画「code・Babylon」の世界を連結し、エリナが復活するという「外伝」を描いてこの問題を解決している。設定の整合性はかなり綱渡りだったが、観客もエリナの復活を見たいと思っていたため承認力を得ることができ、この試みは成功するに至った。

悠久大戦メガロスフィア (ゆうきゅうたいせんめがろすふぃあ)

believe・projectが開発と運営を担当しているソーシャルゲーム。プロデューサーは前田敏郎、イラストレーターはサカキタカツが務める。ニコニコ動画の主催するニコニコ大会議でトークショーを開くなど精力的にイベント活動を行っている。また、アルタイルはこのゲームに登場するキャラクター「シロツメクサ」がモデルとなっている。

World Etude (わーるど えちゅーど)

シマザキセツナの作った二次創作動画。原作はゲーム「悠久大戦メガロスフィア」で、同作品に登場するシロツメクサをモデルとしたキャラクター、アルタイルが登場する。荘厳で激しいリフの効いた曲とされ、それまでのセツナの曲とは作風が大きく異なる。セツナが自殺する直前に完成させた遺作で、動画サイトに投稿されており、かなりの人気を博している。悠久大戦メガロスフィアから派生したが、完全に独立した世界観を構築しているため、この作品から現界したアルタイルは、悠久大戦メガロスフィアの設定に縛られない。また承認力は通常であれば「公式の設定」に拠(よ)る部分が大きいが、悠久大戦メガロスフィアからも独立し、制作者のセツナが死亡しているアルタイルはその縛りから解放され、野放図に設定の改変を行うことができる。「World Etude」は人気で、アルタイル関連の創作活動は活発に行われているが、制限に縛られない分、アルタイル自身、自分の改変を受け入れることしかできず、非常に制御が困難というリスクを抱え込んでいる。

フォーゲルシュバリエ

ライトノベル「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」に登場するロボット。「精霊機」とも呼ばれる。セレジア・ユピティリアの搭乗するものは全長約17メートルで、白を基調とした細身の姿をしている。セレジアが現界する際にアルタイルによって消滅させられたため、当初は現界していなかったが、エリミネーション・チャンバー・フェスでメテオラ・エスターライヒと松原崇の協力のもと、結界を作り出す能力「対幻想ペンタグラム」を付与されて現界される。実はセレジアの搭乗機以外にもう一機存在し、そちらはカロン・セイガの搭乗機となっている。カロンの搭乗機は黒を基調としたデザインで、カロンと共に現界しており、アルタイル陣営に与し、セレジアの前に敵として立ちふさがる。

ギガスマキナ

「無限神機モノマギア」に登場する巨大ロボット。全長は約55メートル。パイロットは鹿屋瑠偉で、適性のある者にしか動かせないロボットであるため、実質、鹿野専用の機体となっている。鹿野と共に現界したが、あまりの大きさから隠すのが難しく、当初は中乃鐘昌明が自分の地元の雑木林に隠した。しかし、あまりの大きさから完全な隠蔽は不可能で、これが結果的に菊地原亜希たち自衛隊が介入する大きなきっかけとなった。ビーム砲など武装が全身に内蔵され、現界後もそれらの武装は使用可能。防御用にリフレクターフィールド発生装置も備えており、攻防共にスキはないが、巨大さと戦闘能力の高さから、現実世界では逆に扱いづらい存在となっている。エリミネーション・チャンバー・フェスではメテオラ・エスターライヒと創造主たちによって設定が改変され、「顕現型ペンタグラム」と「概念凝集ブースト」機能が付与される。概念凝集ブーストは文字通り対象の概念をブーストするもので、アルタイルとの戦いではアリステリア・フェブラリィの「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの篭手」をブーストして、その威力を引き上げている。また、顕現型ペンタグラムはシリウスを現界するために大きな役割を果たしている。

ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの篭手 (げっつふぉんべるりひんげんのこて)

アリステリア・フェブラリィの所有する篭手。王家に伝わる精霊召喚に特化した装身具で、鎧や聖槍といった武装の展開から、天馬や弓兵といった軍勢の召喚、雷による攻撃など多彩な能力を宿している。エリミネーション・チャンバー・フェスでは高良田概によって設定が改変され強化されており、ギガスマキナの概念凝集ブーストで収束・増幅された一撃を放っている。

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