概要・あらすじ
高度経済成長期、悪臭が漂い、蛆虫が溢れている東京の夢の島に、突如、巨大な植物が出現する。夢の島の臨時清掃員の少年、次郎吉は、埋め立てなどでごまかし、根本的に清潔にしない東京の不潔さが、この巨大植物が生えてきた原因だと推測する。だが、都の政治家たちは、物事を根本から解決しない事で、さまざまな場所に金が回り、自分たちへのリベートが来るとして、これに取り合わない。
巨大植物は、銀座や新宿、渋谷へと、植生の範囲を広げ、東京はどんどん古代の石炭紀のようになっていった。
登場人物・キャラクター
次郎吉 (じろきち)
東京都の臨時清掃員で夢の島で作業にあたっている少年。貧困層に属し、悪臭が漂う隅田川のそばの長屋に住んでいたが、マンモス・フラワーの被害にあって倒壊している。正論を述べ、都会議員や都知事代理に対し、無駄の多い政治について批判を述べた。マンモス・フラワーの事件に最初のころから関わっており、対策会議が開かれていた首相官邸に、植物学の権威、黒洋三平博士を連れて訪れる。
都会議員 (とかいぎいん)
「どうでもいいようなことをするためにムダな役人をふやすことが政治」という信条を持っている。『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男と同じ容姿をしている。メタンガスについて研究していた、主人公の次郎吉のことを「メタン」、「メタンガス」と呼んで馬鹿にしていた。
黒洋 三平 (くろなだ さんぺい)
植物学の世界的権威で博士号をもつ男性。髭を生やした眼光の鋭い人物であり、マンモス・フラワーが増殖していった原因が、東京都のフケツさが、古代石炭紀の沼のフケツさと同じになったためと喝破する。首相の前で、東京都を清潔にすれば、自然とマンモス・フラワーは枯れると説いた。
首相 (しゅしょう)
日本の首相。マンモス・フラワーが東京を埋め尽くしたため、富士山麓への首都移転へ同意を示す。植物学博士、黒洋三平の「東京都をセイケツにすれば、マンモス・フラワーは枯れる」という意見に対しては、これに同意せず、東京都の地下に直径100mの下水道を掘る事で、ごまかそうとする。
場所
夢の島 (ゆめのしま)
『マンモス・フラワー』に登場する場所。ごみの埋め立て地として使われており、うじ虫が這い回り、悪臭が漂っている。最初、この場所に、巨大な植物が芽を出した。昭和32年より、ごみ処分のための埋め立て地として使われており、現在は公園となっている。東京都江東区の沿岸部にある。
その他キーワード
マンモス・フラワー
『マンモス・フラワー』に出現する植物。ゴミの集積地であった東京夢の島に突如出現した巨大植物。茎などは非常に硬く、ブルドーザーのブレード程度ではびくともしない。火炎放射器で焼き払われようとしたところ、かえってエネルギーを吸収し、さらなる成長をとげた。銀座や新宿、渋谷などにも生え、触手のようなものが伸び、次々とビルを壊し、東京を石炭紀の森林のような姿へと変貌させた。