あらすじ
仕事の休憩時間、化粧品販売員の女性は食事の場で、同僚女性たちの彼氏に対する愚痴大会に巻き込まれてしまう。20代最後の旅行だというのに、仕事の忙しさを理由に彼がまったく協力してくれず、すべての計画を自分が立てなくてはならないと文句を連ね続ける一人の同僚女性に対し、化粧品販売員の女性は、彼氏も大変なのだろうと穏やかな表情でやんわりとフォローし、仕事を口実にその場から立ち去る。同僚女性たちの陰口の対象が自分に変わったことを背後から感じつつ、化粧品販売員の女性は歩きながらスマホを取り出す。そして「毒舌娘」のサイトを開き、そこに掲載されていた「また彼氏の悪口ですか? 正直どっちもどっちですよ。」という言葉を、自分で言ったつもりになって留飲を下げるのだった。
登場人物・キャラクター
化粧品販売員の女性
化粧品販売員として働く女性。既婚者で、従業員のシフト管理を任されるほどのベテラン。女性ばかりの職場で、話題といえば人の陰口ばかりという状態に辟易しているが、穏やかで余裕のある姿を崩すことはなく、自分は参加せずに適当にあしらっている。あえて言い返したいことがあるときは、「毒舌娘」のサイトを見て自分で言ったつもりになっている。
宝飾店勤務の女性
宝飾店で働く若い女性。日々、クレーマーまがいのさまざまな客に頭を悩ませている。食事の席でたまたま化粧品販売員の女性と背中合わせに座っており、彼女の同僚女性の彼氏に対する愚痴を、聞くともなしに聞いていた。その際、友人のユイカからSNSで「毒舌娘」のサイトを紹介され、そこに掲載されている毒舌が、まるで背後の同僚女性たちに向けられているようだと強い興味を覚える。そして、サイトを見ていくうちに、クレーマーまがいの客に対する自分の思いを代弁しているかのような毒舌を発見する。