あらすじ
第1章
勤めていた会社が倒産した新田良太は、ひょんなことから興味を抱いた多国籍軍事企業「自由戦士社」の求人に応募し、採用されてタジキスタンに送られる。訓練と称してOOとして働かされていた良太は、のちに自分の出している命令が実際に兵士を動かすものであったことを知り、激しいショックを受ける。そして、実際に戦場に出て、少年兵たちの戦いに巻き込まれることになる。
第2章
多国籍軍事企業「自由戦士社」を去り、タジキスタンを離れて1年。タジキスタンの少年兵たちを連れて世界を放浪した新田良太は、傭兵の世界で「子供使い」とあだ名される、いっぱしの傭兵隊長になっていた。一時帰国で日本に入国した良太とその一行は、日本政府の諜報機関からの依頼を受け、新興宗教団体「輪光舎」との戦いという任務に臨むことになる。
第3章
日本での戦いが終わった後、幾人かの仲間を増やした新田良太とその一行は、タイに渡ることになる。その地でストリートチルドレンたちの過酷な現実に、心を痛める良太の前に立ちはだかる敵対勢力は、かつての古巣、多国籍軍事企業「自由戦士社」のタイ支社と、それを率いるかつての仲間・キシモトであった。
登場人物・キャラクター
新田 良太 (あらた りょうた)
勤めていた会社が倒産し、多国籍軍事企業「自由戦士社」に入社してOOとなった日本人の男性。年齢は30歳くらい。「自由戦士社」の社員としてタジキスタンに渡り、そこで知り合った少年兵たちを連れ、自らの傭兵集団を率い、傭兵隊長として活動を開始する。最も広く使われる通称は「アラタ」で、傭兵集団のリーダーとしての呼称は「子供使い」、少年兵たちからは「イヌワシ」と呼ばれ、「自由戦士社」にいた頃は「ニッポーズ(日本人)」と呼ばれていた。
ジブリール
タジキスタン出身の少女。出身の村から少年兵として、自由戦士社に売られる。のちに新田良太の率いる傭兵集団の中でも中心的な存在となった。基本的に、良太の護衛として行動することが多い。良太に恋愛感情を抱いており、あの手この手でアプローチするが、いつも子供扱いされている。
ジニ
タジキスタン出身の少女。出身の村から少年兵として、「自由戦士社」に売られる。のちに新田良太の率いる傭兵集団の一員となった。良太に恋愛感情を抱いているが、ジブリールに対して頭が上がらない立場であるので、第二夫人の座を狙っている。
オマル
「自由戦士社」で傭兵をしていた男性。年齢は不詳。タジキスタンで少年兵たちを率いる立場を命ぜられるが、自分のやっていることに疑念を抱くようになる。のちに「自由戦士社」を離脱。新田良太の率いる傭兵集団のメンバーの1人となった。
ソフィア・グリーンウッド (そふぃあぐりーんうっど)
20歳くらいのアメリカ人女性。「自由戦士社」に勤務し、タジキスタンで新田良太の同僚としてOOをやっていた。その後、日本で良太と再会し、良太の傭兵集団に参加するようになる。ニックネームはソフィ。整形手術で耳を長く尖らせているので、エルフとも呼ばれる。
クロード・ランソン (くろーどらんそん)
「自由戦士社」に勤務する壮年男性。タジキスタンでは新田良太とソフィア・グリーンウッドの上司であった。のちに、タイの「自由戦士社」支社が解散させられた後、その代わりとしてアジア地区の担当責任者となる。良太らの傭兵集団とは友好関係を維持している。
イトウ
日本政府に属する諜報機関の女性エージェント。変装の達人であり、若い女性の姿をとって現れたり、老婆の姿で現れたりすることもあり、本当の年齢は不明。新田良太に渡した名刺には「伊藤幸恵」と書いてあったが、コジマという偽名を使っている時もあり、本名は不明。
シュワ
新興宗教団体「輪光舎」の幹部であった中年の僧侶。当初は新田良太の傭兵集団と敵対しており、新宿中同公園爆破テロ事件に関わるなどした。のちに良太らと和解し、「輪光舎」を抜ける。日本を発つ良太らに同行して、ともにタイへと向かい、そのまま仲間に加わった。のちにグレースといい仲になる。
李世蘭 (りせいらん)
中華系のタイ人華僑の若い女性。イトウとは旧知の仲であり、その紹介で、タイにやって来た新田良太らと知り合い、ストリートチルドレン絡みの仕事を依頼した。その事件がいったん解決した後、今度はミャンマーで中国軍と戦う仕事を、良太らに持ちかける。
グレース
英国人の中年女性。タイで活動しているNGO団体「ストリートチルドレンとスラムを考える評議会BKK」の代表である。善良な人物であり、ストリートチルドレンを取り巻く現実に心を痛めていて、出来る限りのことをしようとしている。のちにシュワといい仲になる。
キシモト
「自由戦士社」の社員である若い日本人男性。タジキスタンではOOとして新田良太の同僚であった。のちにタイ支社に送られ、支社長補佐まで出世する。しかし、新宿中同公園爆破テロ事件で自分の娘が巻き込まれて死亡した。そのため、事件に関わっていたシュワと、彼に関わりのある良太に激しい憎悪を抱いている。 怨恨から独走して良太たちの傭兵集団と戦端を開くが敗北、「自由戦士社」を解雇された。
トレバー・ブラウン (とればーぶらうん)
「自由戦士社」の男性社員。年齢は不詳。タジキスタンでは新田良太の上司であった。のちにキシモトを部下として率いてタイに渡り、タイ支社支社長となる。良太の傭兵としての才能に嫉妬し、奇妙な憎悪を抱いて、その傭兵集団と戦端を開くが敗北、「自由戦士社」を解雇された。
シャウイー
タジキスタン人の若い娼婦。通訳の仕事もやっている。客としてやって来た新田良太が、娼婦としての仕事はいいから、語学を教えてくれと要求したため、最初は怒った。のちには語学教師になることを承諾し、休みのたびに店に来いと要求する。
集団・組織
自由戦士社
新田良太が一時期在籍していた多国籍軍事企業。正式名称は「Private Military and Security Companies」、略称は「PMSCs」。iイルミネーターというシステムを使い、OOを置き、その下に実働部隊としての傭兵たちを置く、という組織構造を取っている。良太にとっては古巣であり、友好的なコネクションも持ってはいるが、敵でも味方でもない。
輪光舎 (りんこうしゃ)
日本の新興宗教団体。仏教系の組織であり、幹部は僧侶を名乗っている。シュワなど一部のメンバーは高度な戦闘訓練を受け、武装している。教祖にあたる人物は幹部たちと対立し、イトウの手引きで日本政府に通じようとしたが、自殺を装って殺害された。イトウの依頼を受けた新田良太の傭兵集団と一時対立し、戦闘になる。
イベント・出来事
新宿中同公園爆破テロ事件
民間人を巻き込んだ戦闘並びにテロ事件。新興宗教団体「輪光舎」のメンバーであったシュワらが、新田良太らとの戦いの中で引き起こした。良太らの傭兵集団の勝利に終わったが、その事実は表沙汰にはできなかったため、イトウの差配によって多国籍軍事企業「自由戦士社」の手柄だということにされた。民間人の死傷者が出ており、その中の1人に、キシモトの娘がいた。
その他キーワード
OO (おぺれーたーおぺれーたー)
「自由戦士社」における職名。オペレーター、つまり兵に命令を下す仕官に、その上からさらに命令を下す立場であるため、そう呼ばれる。入社したばかりのOOたちは、訓練と称して作戦指示を出させられており、自分たちの命令が実際に現場で軍隊を動かしていることを知らない。
iイルミネーター (いんふぉめーしょんいるみねーたー)
「自由戦士社」が用いている、作戦行動に用いる情報端末およびそのシステム。戦場にいる兵や部隊の動きが、逐一把握できるようになっており、OOはそれを見て指示を下す。新田良太は「自由戦士社」を離れた後でこれを入手し、自分の傭兵集団の指揮を取るために用いている。
クレジット
- 原作
-
芝村 裕吏
- 設定原案
-
しずま よしのり
書誌情報
マージナル・オペレーション 16巻 講談社〈アフタヌーンKC〉
第1巻
(2013-11-22発行、 978-4063879391)
第2巻
(2014-06-23発行、 978-4063879797)
第3巻
(2014-11-21発行、 978-4063880120)
第4巻
(2015-06-23発行、 978-4063880632)
第5巻
(2016-01-22発行、 978-4063881103)
第6巻
(2016-06-23発行、 978-4063881455)
第7巻
(2016-11-22発行、 978-4063882124)
第8巻
(2017-03-23発行、 978-4063882421)
第9巻
(2017-08-23発行、 978-4063882834)
第10巻
(2018-02-23発行、 978-4065109502)
第11巻
(2018-08-23発行、 978-4065123270)
第12巻
(2019-01-23発行、 978-4065142080)
第13巻
(2019-07-23発行、 978-4065163610)
第14巻
(2020-03-23発行、 978-4065188057)
第15巻
(2020-09-23発行、 978-4065207260)
第16巻
(2021-02-22発行、 978-4065222720)