後悔だらけの高校生活を過ごした二人の青春やり直し物語
古本屋でアルバイトしている蝶野ツトムは、「夢で僕らは恋に落ちる」というマンガ本を枕元に置いて寝てしまう。そして目覚めると、高校時代に戻っていた。5年前に戻る能力「時間夢想」を手に入れたツトムは、夢の中で青春を謳歌しようと意気込んでいると、同じ能力を持った麻倉アゲハが現れる。そしてツトムとアゲハは、一度目の高校時代では味わえなかった青春を取り戻すべく、積極的にクラスメートたちとの交流を深めていく。
主人公をコントロールする勝気なヒロイン
実家が柔道場を経営しているアゲハは、中学時代に女子柔道指定強化選手にも選ばれており、「柔道王」のあだ名を付けられ、周囲の異性からは雑な扱いを受けていた。そんなつらい思いから、高校では女の子らしく振る舞おうするものの、高校デビューに失敗し、ただの目立たない地味な女子で高校生活が終わってしまう。しかし、二度目の高校生活では前回の反省を生かし、自分から積極的に行動を起こすようになる。同じ能力を持ったツトムにも声をかけ、放課後はカラオケに行ったり、当時クラスになじめていなかった大村沙希とも友達になったりと、思い描いていた理想の青春を謳歌していた。引っ込み思案のツトムをリードするしっかり者のアゲハだが、無意識に胸を押し付けたり、下着が見えても平気だったりと、天然ボケな一面を持つ。
過去から高校時代にやって来た元クラスメートたち
ツトムはマンガ本「夢で僕らは恋に落ちる」を枕元に敷いて寝たり、意識を失ったりすると高校時代に戻る能力を手に入れる。だが、その能力を持つのはツトムやアゲハだけではなかった。高校時代はクラスになじめず、最終的に登校拒否になった大村も同じ能力を手に入れた一人で、注目されたいがために学校の非常ベルを鳴らしたり、うさぎをわざと脱走させたりといたずらを繰り返していた。しかし、ツトムとアゲハとのかかわりを経て、孤独だった心が癒されていく。ほかにも高校時代に恋愛にあこがれていた不良少女の立羽ルリなど、青春に未練を持つ者が特殊能力を手に入れている。
登場人物・キャラクター
蝶野 ツトム (ちょうの つとむ)
とある大学に通う男子。古本屋でアルバイトをしている。年齢は21歳。大学は浪人の末、第三志望の大学に入学した。高校時代は引っ込み事案で目立たない生徒だった。そんなある日、「夢で僕らは恋に落ちる」というマンガ本を拾う。このマンガ本を枕元に置いて寝ることで、5年前の高校時代に戻る能力「時間夢想」を手に入れる。後悔だらけの高校生活を過ごしていた蝶野ツトムは、高校時代をやり直そうと決意していたところ、同じく夢の中で高校時代に戻っていたクラスメートの麻倉アゲハと出会って意気投合し、共に青春時代を謳歌すべく奮闘する。ふだんはおっとりしているが、ここぞという時には力を発揮するタイプで、アゲハを異性として意識している。平均睡眠時間は約12時間。
麻倉 アゲハ (あさくら あげは)
とある大学に通う女子。メイド喫茶でアルバイトしている。年齢は21歳。高校時代は無理な優等生キャラを演じた結果、行きたくもない大学に進学することになる。当時、蝶野ツトムと同じクラスに在籍していたが、お互いに目立たない存在だったため、会話をしたことはほとんどなかった。ツトムと同じく「夢で僕らは恋に落ちる」というマンガ本を枕元に置いて寝たことで、5年前の高校時代に戻る能力「時間夢想」を手に入れる。実家は柔道場を経営しており、柔道の有段者であるとともにその気の強さから、中学時代は「柔道王」のあだ名を付けられて異性から避けられていた。そのため、高校では新しいキャラで青春をやり直そうと考え、生真面目な目立たない生徒を演じていたことから、親しい友達もできずに卒業した。二度目の高校生活では伊達眼鏡を外し、派手なヘアスタイルやメイクを楽しんでおり、自分の心に素直に行動している。ツトムが自分と同じ能力の持ち主だと知り、いっしょに過ごすうちに、気になる存在へと変わっていく。
書誌情報
ユメオチ~ユメで僕らは恋にオチる~ 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2023-06-02発行、 978-4088835808)
第2巻
(2023-09-04発行、 978-4088836614)
第3巻
(2023-10-04発行、 978-4088837277)
第4巻
(2023-11-02発行、 978-4088837383)