ヨコハマ物語

ヨコハマ物語

身寄りをなくした少女・武本卯野は横浜の貿易商・叶屋商会に引き取られる。そこで叶万里子と出会い、身分を超えた友情を育む。恋愛や苦難など様々な経験を通して成長する少女たちを描く明治時代を舞台とした大河ロマン作品。

正式名称
ヨコハマ物語
ふりがな
よこはまものがたり
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
講談社漫画文庫(講談社)
巻数
既刊4巻
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概要・あらすじ

11歳で両親を亡くし、天涯孤独の少女となった武本卯野は、横浜の貿易商・叶屋商会に引き取られる。そこで、叶屋商会の娘で同い年の少女・叶万里子と出会う。武本卯野は、初めて見る海、鬼のように恐れていた異人、見るものすべてが新鮮な横浜で、叶万里子と共に成長しながら、未知の世界へ夢を膨らませていく恋と友情の青春大河ロマン。

登場人物・キャラクター

武本 卯野 (たけもと うの)

身寄りをなくして横浜の貿易商 叶屋商会に引き取られ、そこで、叶屋商会の娘で同い年の少女・叶万里子と出会い、友情を育む。優しく大人しいが、芯が強い性格の持ち主でいつも夢を追いかけており、勉強に励み英語は通訳が出来るほどに上達した。幼少期から天野森太郎に想いを寄せているが、天野森太郎と叶万里子が両思いであると気づき、二人の恋の成就を祈って自分の気持ちに蓋をする。 その後、叶万里子が莫大な借金を背負った叶屋商会を救うため甲斐竜助と結婚すると、卯野は留学した天野森太郎を追いかけ、アメリカに渡り、天野森太郎と紆余曲折の末結ばれる。天野森太郎の影響を受け、看護婦を志していた。

叶 万里子 (かのう まりこ)

横浜の貿易商 叶屋商会の娘。京都の旧家出身の亡くなった母に瓜二つの美貌を持ち、一見深窓の令嬢だが、おしとやかな見た目とは裏腹にお転婆で悪戯好きな気の強い少女。身寄りをなくし叶屋商会に引き取られてきた同い年の少女・武本卯野と出会い、身分を超えた友情を育む。幼馴染である天野森太郎を好きであるが、武本卯野と同じ人に恋をしたことに思い悩むものの、天野森太郎と両思いであったことが判明し、将来の約束をする。 しかし、天野森太郎の留学中に父叶惣右エ門が船の火災で亡くなり、莫大な借金を背負った叶屋商会を救うため以前から求婚されていた甲斐貿易社長・甲斐竜助と結婚した。 初めは望まない結婚に甲斐竜助のことを毛嫌いしていたが、二人で困難を乗り越えていくにつれ、甲斐竜助に惹かれてゆき、やがて愛し合うようになる。

天野 森太郎 (あまの しんたろう)

横浜の貿易商 叶屋商会の隣に居を構えるご隠居・天野麗花の孫で、叶万里子の幼馴染。医師を志す優しく穏やかな青年。幼い頃に村医者の娘であった母を家から追い出した旗本出身の父親を嫌っている。東京の医学部を卒業後、叶万里子と将来の約束をし、アメリカへ留学する。 留学中、叶万里子が莫大な借金を背負った叶屋商会を救うため甲斐竜助と結婚したことを聞き、傷つくが、同じくアメリカに渡ってきた武本卯野の優しさに癒され、後に結ばれる。アメリカでは貧しい日本人の治療にあたり、天然痘が流行した際には武本卯野と共に奔走する。

甲斐 竜助 (かい りゅうすけ)

叶万里子の結婚相手で、甲斐貿易を一代で興したやり手の社長。少年時代に叶万里子を助けた際に一目惚れして以来、ずっと彼女のことを想っていた。叶万里子の父叶惣右エ門が船の火災で亡くなり、莫大な借金を背負った叶屋商会の借財を肩代わりする見返りに叶万里子との結婚を無理矢理取り付け、幼馴染である天野森太郎を想っていた叶万里子に当初毛嫌いされる。 口が悪く武骨で不器用ながらも叶万里子に対し深い愛情を持っており、二人で困難を乗り越えていくにつれ、愛し合うようになる。その後、横浜に港を建設する計画に尽力する。

トビー・シモンズ (とびーしもんず)

武本卯野と叶万里子が通う、横浜の居留地にある英語塾を開くアメリカ人夫婦の息子。明るく優しい青年で、武本卯野を好きになり、アメリカに帰ってからも一途に彼女のことを想っていた。アメリカに帰国した後は、弁護士になり、渡米して体調を崩していた武本卯野と再会する。 天野森太郎と共にアメリカで貧しい日本人の治療にあたる武本卯野を支え、天然痘が流行した際には二人を支援する。武本卯野と結婚直前までいくが、彼女の天野森太郎に対する恋心に気付き、身を引く。

叶 柊一郎 (かのう しゅういちろう)

横浜の貿易商 叶屋商会の息子で、叶万里子の兄。少年時代は東京の学校で学んでいた。叶屋商会の跡取り息子だが絵を描くことに才能があり、商売にあまり興味がない。混血の少女・青木ジョアンが恋人であったが、彼女を肺結核で亡くしてしまう。その後、自暴自棄になり、父の叶惣右エ門が船の火災で亡くなり、叶屋商会が莫大な借金を背負ってからも家を顧みない行動をとっていた。 芸者の邑崎倫子と再び恋をし、二人でフランスに渡ることに。その際、叶屋商会を叶万里子に譲った。

叶 惣右エ門 (かのう そうえもん)

横浜の貿易商 叶屋商会の主人で、叶万里子の父。身寄りのない少女・武本卯野を引き取って娘のように育てる。穏やかで子供思いの父親で、叶万里子を溺愛し、学校に行きたいという願いをかなえる一方で、跡取り息子である叶柊一郎には厳しく接する。船の火災で積み荷を守ろうとして亡くなる。

天野 麗花 (あまの れいか)

横浜の貿易商 叶屋商会の隣に居を構えるご隠居で、天野森太郎の祖母。頑固で曲者の老人で、叶万里子とは喧嘩友達のような仲である。天野森太郎と叶万里子の婚約を喜んでいたが、天野森太郎の留学中に莫大な借金を背負った叶屋商会を救うため叶万里子が甲斐竜助と結婚した際には納得する。

(じょう)

横浜で人力車の車夫をしている混血の少年。けがをした際に外国人医師のもとで看護婦をしていた武本卯野と出会う。異人の見た目を持ち、日本で生きづらさを感じており、武本卯野と共にアメリカへ渡り、慣れない異国で奔走する。

青木 ジョアン (あおき じょあん)

横浜の居留地にある英語塾シモンズ塾で武本卯野や叶万里子の級友であった混血の少女。叶万里子の兄で 叶屋商会の跡取り息子である叶柊一郎の恋人であったが、肺結核を患い亡くなった。

邑崎 倫子 (むらさき りんこ)

横浜の居留地にある英語塾シモンズ塾で武本卯野や叶万里子の級友であった新富町の芸者。シモンズ塾で、毎月優秀な生徒に送られるブルー・リボンを何度も貰う優等生である。明治維新前は侍の娘であった。後に最愛の恋人を結核で亡くし傷心だった叶万里子の兄で 叶屋商会の跡取り息子である叶柊一郎と恋をし、外国人に身請けされる直前、叶柊一郎と共に逃亡しフランスへ渡る。

諫早 希蝶 (いさはや きちょう)

横浜の港人足を預かる諫早組の組頭。叶万里子の初恋の相手・天野森太郎に容姿が似ている。男気ある青年だが、諫早家は男子が育ちにくく、成人までは女として育てるという親の方針に従って家では女装をしている。亡き父の代わりに 叶屋商会の跡を継いだ叶万里子に対し、船の荷卸しや荷づめ沖仲士の賃上げを要求した。 女嫌いで当初女主人である叶万里子を侮っていたが、彼女の力量を認めてからは協力的になる。

イサドラ・ダンドリッジ (いさどらだんどりっじ)

叶万里子の夫・甲斐竜助が社長秘書を務めていた、イギリスにある大商社ダンドリッジ社の社長令嬢。甲斐竜助を愛しており、彼の結婚を聞きつけ、自身の肖像画が描かれた割れた皿を送り、叶万里子に自身の存在を知らしめた。叶万里子が出張していた甲斐竜助に会いにイギリスへ渡ってきた際には、叶万里子をライバル視するが、二人の夫婦の絆を見て甲斐竜助への気持ちを諦める。

集団・組織

叶屋商会 (かのうやしょうかい)

『ヨコハマ物語』に登場する組織。叶万里子の父・叶惣右エ門が主人を務める横浜の貿易商 。船の火災で叶惣右エ門が積み荷を守ろうとして亡くなり、多額の借金をかかえることになり、借財を肩代わりする見返りに叶万里子と甲斐貿易社長の甲斐竜助が結婚することとなる。その後、叶万里子の兄である叶柊一郎が跡を継いだが、彼は商売よりも芸術に才能があり、愛する女性と共に渡仏したため、それ以降は叶万里子が女主人として引き継いだ。

甲斐貿易 (かいぼうえき)

『ヨコハマ物語』に登場する組織。叶万里子の結婚相手であり、少年時代は流れ者の船子であった甲斐竜助が一代で興した貿易会社。様々な国との貿易による商品の輸出入から公共事業に至るまで手広く商売をしており、横浜に港を建設する事業にも尽力する。

書誌情報

ヨコハマ物語 4巻 講談社〈講談社漫画文庫〉

第1巻

(1996-04-11発行、 978-4062602235)

第2巻

(1996-04-11発行、 978-4062602242)

第3巻

(1996-04-11発行、 978-4062602259)

第4巻

(1996-04-11発行、 978-4062602266)

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