概要・あらすじ
締切に追われて仕事をしていたある日、ライトノベル作家・左々暗龍は、気晴らしに自宅マンションから外に出た。そこで龍は、自分の作品「ガゼル」シリーズの登場人物と同じ名だと名乗り、また龍のファンであると称するミカトと出会う。その後、吉村美々花というコスプレイヤーの少女が「ガゼル」シリーズのキャラクターの衣装の姿で殺害される事件が発生。
龍は正体不明の相手から、犯人でなければ入手し得ないであろう、美々花の死体の写真を送りつけられる。刑事・加古川からは軽率な行動を慎むようにと言われた龍であったが、事件の真相に挑むため、独自に行動を起こし始める。
登場人物・キャラクター
左々暗 龍 (ささくら りゅう)
現役の男子大学生。ライトノベル作家としても活動しているが、そこまで有名というわけでもない。作品は「やたらと登場人物が死ぬ」作風で知られ、「1ページ読み飛ばすと3人死んでいる」と評されるほど。現在は「ガゼル」シリーズを執筆中。「左々暗龍」はペンネームであり、本名は「佐倉龍」。作家なので「先生」と呼ばれることもある。
ミカト
小学生くらいの背丈をした子供。左々暗龍の前に現れ、自分は「ガゼル」シリーズの登場人物と同じ「ミカト」という名である、と名乗る。外見は「橘実果登」に酷似しているが、実果登とは年齢が合わず、その正体は謎。その後もたびたび龍の前に現れ、見立て殺人の事件との関係を匂わせるようなことを口にする。
加古川 (かこがわ)
吉村美々花の殺人事件を担当している男性刑事。年齢は33歳。左々暗龍の居住地の所轄ではないが、事件が連続殺人になる可能性を早くに予測し、何か不審なことがあったら110番ではなく自分に直接連絡するように、と龍に告げる。超人的な記憶能力を持つが、ある程度以上容姿の優れた人間の顔しか覚えられない、という奇妙な体質。
橘 実果登 (たちばな みかと)
行方不明になっている少年。11歳の時に殺人未遂事件の被害者となり、以後意識不明の状態のまま入院していたが、父親の橘検察官、母親の橘由貴花、姉の橘愛友里もろとも一家で失踪し、現在その行方はようとして知れない。年齢は、存命であるならば14歳になっており、小学生の外見をしているミカトとはよく似ているものの同一人物ではあり得ないとされている。
橘 愛友里 (たちばな あゆり)
行方不明になっている少女で、存命であれば17歳。橘実果登が殺人未遂事件に遭って意識不明となった後、母親の橘由貴花が実果登のために買ってきた、左々暗龍の小説を読んだことがある。実果登が失踪した時に父親の橘検察官、母親の橘由貴花とともに姿を消しており、現在その行方はようとして知れない。
橘 由貴花 (たちばな ゆきか)
橘実果登と橘愛友里の母親。現在は夫の橘検察官も含めた一家4人で、そろって行方不明になっている。吉村美々花が殺害された事件の後、「血まみれの靴が路上に散乱している」という事件が起きた時、その靴の1つの中に、橘由貴花の切断された足が入っているのが発見された。
橘検察官 (たちばなけんさつかん)
橘実果登と橘愛友里の父親で、検察官を務めていた。一家そろって失踪を遂げ、現在その行方はようとして知れない。失踪直前に検察官を辞任する意向を示していたため、警察では無理心中を図ったのではないかと見ている。
十坂 春雪 (とさか はるゆき)
かつて橘実果登が入院していた病院に職員として勤務していた若い男性。現在は病院を退職している。普通の職員にも関わらず、医者を差し置いて診療や治療行為を行おうとする悪癖があり、また、病院の薬物を盗み出していたという疑いがかけられている。
吉村 美々花 (よしむら みみか)
専門学校生の女性で、年齢は20歳。趣味でコスプレをしていた。左々暗龍の「ガゼル」シリーズの登場人物の1人である「イオナ」のコスプレをした状態で殺害され、その画像が、龍のメールに送りつけられてきたことから、一連の見立て殺人の事件が始まった。
イベント・出来事
見立て殺人 (みたてさつじん)
吉村美々花の死から始まる、左々暗龍の「ガゼル」シリーズの筋書きを模した一連の事件。一般的には、もともと存在する文学作品などの筋立てを参考に、それに沿った事件を起こすという種類の殺人事件を「見立て殺人」という。
その他キーワード
「ガゼル」シリーズ
左々暗龍の書いているライトノベル。龍がミカトと出会った時、ちょうど作中のキャラクターであるミカトが死亡するくだりが書かれたところであった。吉村美々花の殺人事件の後、龍は真犯人と目される人物からの挑発を受けてプロットを変え、ミカトが死亡していないことにするなどの変更を加えた。