あらすじ
第1巻
中央アジアの小国、プルジア共和国で大統領を務めるアレクサンドル・プルチノフは、無類の騎乗好き。しかし、人間が乗れそうなものにはほとんど乗ってしまい、物足りない日々を送っていた。そんなある日、アレクサンドルはテロリストを撃退するが、事故に遭って謎の洞窟で目を覚ます。アレクサンドルは、テロリストに拉致されてしまったのではないかと考えるが、外に出ると二人の少女が謎の生き物に襲われている場面に出くわす。すぐさま二人を助けたアレクサンドルは、二人の話を聞くうちに、ここが自分のいた世界ではなく、モンスターや魔法が存在する異世界であることを知る。こうして異世界に転移してしまったアレクサンドルは、先ほど助けたサキ・スクイーダとベルベディア・デルーシアの仲間となり、冒険者としてギルドに登録。サキたちに立て替えてもらった滞在費や登録手数料などを支払うため、モンスター退治のクエストを受けることにする。そんな中、ゴルドーの街で準備をしていた三人は、領主代行のジェラリエ・ゴルドーが、人馬族の子供を虐待している場面に遭遇する。ジェラリエは大人の人馬族をおびきよせるため、わざと目立つ場所で子供を痛めつけていたのだ。このままではいけないと考えたアレクサンドルは、駆けつけた人馬族のマルセロスと協力して、子供を助けることにする。
第2巻
アレクサンドル・プルチノフは、人馬族の子供を助けたことで、マルセロスから友情の証を受け取った。そしてアレクサンドルたちは、これをヒントにお宝が眠っているとされる人馬族の里を目指すことにする。その途中でアレクサンドルたちは、猪鬼(オーク)に襲われていたハーフ森人の女性のカーニャ・カンナリエンと、魔獣使いのスミスルにあやつられていた魔狼のブル、そしてスミスルに捕えられていた女性と子供たちを助ける。その後、アレクサンドルらは女性たちの故郷へ向かうが、村は壊滅状態で、いつ魔獣に襲われてもおかしくない状況にあった。サキ・スクイーダとベルベディア・デルーシアによれば、村の付近には異界の魔物が湧くダンジョンがあり、それが原因ではないかと語る。このままでは危険と判断したアレクサンドルたちは、ダンジョン攻略を決意し、「プルチノフ村」と名づけたこの村の管理をブルと子供たちに任せて出かけることにする。そしてダンジョンに入ったアレクサンドルたちは、最下層にいる魔霊王(リッチ)と骸竜(ゾンビドラゴン)に挑む。しかし敵は強く、どうにか倒したところで、アレクサンドルは倒れてしまうのだった。一方その頃、マルセロスは人馬族の里へ向かっていたが、里はジェラリエ・ゴルドーたちに襲われていた。
第3巻
マルセロスたち人馬族は、事態を察したブルとベイダーの救援によって事なきを得た。一方その頃、アレクサンドル・プルチノフは、骸竜(ゾンビドラゴン)にかけられていた呪いを解いたことで獣王ヤムドゥアの力を手に入れ、サキ・スクイーダたちとプルチノフ村に戻っていた。しかしようやく到着した村は、マルセロスたちを追ってきたジェラリエ・ゴルドーたちに襲われていた。その中にカーヴィンを発見したベルベディア・デルーシアは、アレクサンドルに自分の秘密を打ち明けることを決意。ベルベディアはかつて幻の魔法を生み出してしまったことにより、カーヴィンたち魔導院(タワー)に狙われるようになり、サキと二人で逃げてきたのだった。その幻の魔法とは「魔圧縮(スモールパッケージ)」という、物を自在に大きくしたり、小さくしたりできる魔法だった。そこでベルベディアは、小さくして隠し持っていた兵器を使って対抗するか、自分たちを犠牲に村人たちを助けることを提案するが、プルチノフはこれに反対。大統領として培った交渉力を武器に、ジェラリエたちと話し合うことにする。これにマルセロスの協力が加わったことで、アレクサンドルはジェラリエたちを無事に追い払うのだった。
登場人物・キャラクター
アレクサンドル・プルチノフ
中央アジアにある小国、プルジア共和国の終身大統領を務める中年男性。種族は只人。前髪を上げて額を全開にした、金色の撫で付け髪にしている。非常に筋肉質で、がっしりとした体型をしている。さまざまな武術や格闘技の達人で、近接格闘を得意とする。この武術やヨガでいうところの「気」の力を、魔力にして扱うこともできる。そのため、ジェラリエ・ゴルドーには魔法使いとカンちがいされており、「閃光魔術師」と呼ばれている。また、サキ・スクイーダたちからは「おじさん」と呼ばれている。何事にも動じない冷静な性格の持ち主。プルジア解放の英雄であり、国民の支持も厚いが、強面で人相が悪いために悪人と誤解されてしまうことが多い。無類の騎乗好きで、地球に存在する騎乗可能なものにはすべてに乗ったことがあり、最新鋭の航空機や乗り物もプライベートで多数所持している。そのため、珍しい乗り物や騎乗できそうな生物を見かけるとはしゃいでしまう。ある日、テロリストを撃退した直後、壊れた自分の石像が落下してきたことで気を失う。これが原因でサキたちが暮らす異世界に転移してしまい、珍しい生き物たちに騎乗しながら、冒険者として新しい生活を始めることになる。言の葉の神、マーヤの加護を受けており、本来なら理解できない異世界の言葉を、自国語と同じようにすんなり理解し、読み書きも会話もできる。これはアレクサンドルが文字であると認識したものであれば、最初は絵のように見えたものもあとから読めるようになる。
サキ・スクイーダ
冒険者の女子で、年齢は17歳。種族は只人。職業は魔法剣士で、冒険者ランクは六級。王国西方の大貴族であるスクイーダ辺境伯家の娘だが、母親は側室であるため、家での立場はあまりよくない。ベルベディア・デルーシアとは、物心ついた頃からの幼なじみである。前髪を目の上で切り、あごの高さで切りそろえた金色のボブヘアを、赤のリボンカチューシャ「守りのカチューシャ」でまとめている。上半身は鎧を身につけ、下半身はスカートにブーツをはいている。明るく正義感の強い性格ながら、やや計算高い一面がある。ある日、望まない相手の許嫁にされ、実家に嫌気が差していたところ、ベルベディアが「魔圧縮(スモールパッケージ)」を生み出してしまったゆえに、魔導院(タワー)に追われる身になったことを知り、いっしょに逃げ出す。以来冒険者となり、ベルベディアと旅をしていたが、ある日お宝探しにとある遺跡に出かけた際に、ワイバーンに襲われてしまう。そこで異世界へ転移したばかりのアレクサンドル・プルチノフに助けられ、アレクサンドルの驚異的な実力を知って彼を仲間に入れた。当初はアレクサンドルに同行することで、簡単に冒険の成果を上げ、大儲けしようと考えていた。しかし、いっしょに冒険するうちに、次第に信頼を寄せるようになっていく。
ベルベディア・デルーシア
冒険者の女子で、年齢は16歳。種族は只人。職業はメインのクラスが魔法使いで、サブのクラスが錬金術師。冒険者ランクは六級。実家は魔術師の家系で、王国西方の大貴族であるスクイーダ辺境伯家の顧問魔術師を務めている。そのため、サキ・スクイーダとは物心ついた頃からの幼なじみ。前髪を目の上で切り、胸の上まで伸ばした水色のセミロングヘアにしている。非常に大きな水色の「特製魔女ハット」をかぶっており、この中には「魔圧縮(スモールパッケージ)」の魔法で小さくした武具とお宝が入っている。語尾に「~みたいな」と付けて話し、あだ名は「ベル」。攻撃魔法は苦手だが、支援魔法のスペシャリスト。また、美と宝物の神であるメイウィザードの加護を受けており、宝石などの鑑定ができる。マイペースで落ち着いた性格ながら、重度の魔法薬(ポーション)中毒で、本来はケガや病気のときにだけ飲む魔法薬を常飲しており、冒険者としての稼ぎもほとんど魔法薬の購入に充てている。ある日、物を自在に大きくしたり小さくしたりできる「魔圧縮」を完成させてしまったことで魔導院(タワー)から追われる身となる。そこでサキと共に逃げ出し、冒険者となった。そんなある日、サキとお宝探しに出かけたところ、ワイバーンに襲われてしまう。そこで異世界へ転移したばかりのアレクサンドル・プルチノフに助けられ、アレクサンドルの驚異的な実力を知り、彼を仲間に入れた。当初はアレクサンドルに同行することで簡単に冒険の成果を上げ、大儲けしようと考えていた。しかし、いっしょに冒険するうちに次第に信頼を寄せるようになっていく。
カーニャ・カンナリエン
森人と人間のハーフの女性。容姿は小学生程度の少女にしか見えないが、実年齢は520歳以上である。職業はメインのクラスが木工細工師で、サブのクラスがアーチャーと精霊使い。ギルドには登録していないため、冒険者ランクは無級。前髪を目の上で切りそろえ、肩につくほどまで伸ばしたピンク色のセミロングヘアを、自作の木のアクセサリーで結んでハーフツインテールにしている。体型は小柄で、耳が尖っている。一人称は「私」と書いて「あーし」。ベルベディア・デルーシアからは「カーにゃん」と呼ばれている。アレクサンドル・プルチノフたちと出会った頃は、語尾に「~にゃん」を付けて話し、か弱く幼い女性を演じていた。しかし、本来は古めかしい口調で話し、やや口が悪い。計算高い一面があるが、なんだかんだで親切な性格をしており、知的で物知り。木工細工師であるため、魔法で木を掘って物を作るのが得意で、構造さえ理解すれば自分の髪飾りから武器まで、なんでも木で作り出すことができる。ある日、仲間に猪鬼(オーク)の生贄として捧げられて殺されそうになるが、そこを偶然通りがかったアレクサンドルに助けられ、彼を気に入って仲間となった。
ジェラリエ・ゴルドー
ゴルドーの街で領主代行を務める領主の娘で、街の騎士団長も務めている。年齢は24歳。種族は人馬族と人間のハーフの半人馬(サテュロス)だが、只人のふりをしており、下半身の馬の体をした部分はいつも鎧を着て隠している。職業は魔法騎士で、冒険者ランクは二段。しかし領主代行に就任した際に、冒険者の証である帯は返上済みである。前髪を目の上で切りそろえ、腰まで伸ばしたロングヘアをシニヨンにしてまとめ、バラの髪飾りを付けている。二つ名は「邪炎のジェラリエ」で、高圧的な性格の持ち主。父親であるゲルガラード・ゴルドーが、奴隷商人から買った人馬族の女性のアルセリアに産ませた子供で、自らの種族を隠しながらタクタロスを「隷属の首輪」であやつって戦っている。ある日、人馬族をさらに手に入れるために、わざと街中で人馬族の子供を虐待し、マルセロスをおびきよせようとしたが、これを偶然目撃したアレクサンドル・プルチノフによって阻止されてしまう。以来、アレクサンドルほどの冒険者であれば、いずれ人馬族の里を発見するに違いないと考え、カーヴィンたちと共にアレクサンドルを追うようになる。やがてアレクサンドルたちが人馬族をかくまっていることを知り、プルチノフ村を襲うが敗北。この時に半人馬であることを知られ、叔父のキモード・ゴルドーの手によって処刑されそうになる。その際、突然現れた魔族の将であるリィナたちからゴルドーの街を守ろうとするが敗れた。
タクタロス
人馬族の男性で、マルセロスの兄。前髪を目の上で切って真上に上げて額を見せ、腰よりも伸ばした外はねロングヘアにしている。鼻の真ん中に横一本線の大きな傷跡があり、耳は尖っている。また、首に魔道具「隷属の首輪」を付けられて自我を奪われており、ジェラリエ・ゴルドーに服従せざるを得ない状態にある。子供の頃は人馬族の村で平和に暮らしていたが、ある日思い人のアルセリアが只人にさらわれてしまう。その後、自分もジェラリエに捕えられ、隷属の首輪を付けられた状態で、ジェラリエの人馬として戦っていた。しかし、ジェラリエが半人馬であることから、アルセリアの娘であることを確信している。そのため、ジェラリエがアレクサンドル・プルチノフとの戦いに負けた時も、ジェラリエから解放されることよりも、彼女を逃がすことを選択。無理やり自分で隷属の首輪を外して正気に戻り、ジェラリエと逃げ出したのち、彼女に自分とアルセリアの関係を伝えて死亡した。
マルセロス
人馬族の男性で、タクタロスの弟。前髪を耳の下まで伸ばして真ん中で分け、腰まで伸ばしたロングヘアにしている。両頰には傷跡があり、耳は尖っている。まじめな性格で、プライドが非常に高い。ある日、タクタロスが魔道具「隷属の首輪」を付けられ、自我を失ったうえに、ジェラリエ・ゴルドーに服従せざるを得ない状態になってしまう。そこで、タクタロスと彼といっしょに捕えられている人馬族の子供たちを助けるため、ゴルドーの街へやって来た際に、アレクサンドル・プルチノフたちと出会った。この時、無関係であるにもかかわらず力を貸してくれたアレクサンドルに感謝している。そのため友情の証として、自分の尾とたてがみを編み込み、高価なミスリルスライムが付いた、ミチョーク王国の織物文字が入った網ヒモをプレゼントした。アレクサンドルたちは、この織物文字をヒントに人馬族の集落の位置を推測し、この付近にはお宝が眠っていると考えて、向かうことになる。
マッドゴン・ロン=ベルド
洞人の中年男性。ゴルドーの街で、武器店「ロン=ベルド」を経営している。前髪を長く伸ばして真ん中で分け、肩につくほどの長さのストレートセミロングヘアにしている。口ひげを長く伸ばし、小柄で筋肉質な体型で、耳が尖っている。サキ・スクイーダからは「マッド親方」と呼ばれている。強面で頑固な性格ながら、面倒見がいい。サキとベルベディア・デルーシアの紹介でアレクサンドル・プルチノフと出会い、彼に鉱物の性質や加工方法について説明した。
スミスル
西方から流れてきた魔獣使いの中年男性。前髪は額が見えるほどの短髪で、鼻が丸く無精ひげを生やしている。体型は太めの小柄で、魔獣使いという職業柄か、全身が獣くさい。魔道具「隷属の首輪」を所持しており、これを使ってブルをはじめとする魔獣をあやつっている。また、この地域にはない隷属の首輪をジェラリエ・ゴルドーたちに横流しすることで、山賊行為を見逃されている。残忍で身勝手な性格の持ち主。ある日、ジェラリエの用意した騎士たちとアレクサンドル・プルチノフを追うことになる。しかし、アレクサンドルにあっさり倒され、最後にはカーニャ・カンナリエンによって隷属の首輪を外されて正気を取り戻したブルに殺害された。
カーヴィン
魔導院(タワー)に所属する従軍魔術師の中年男性。前髪を目の上で切って三角帽子をかぶり、ローブを身につけている。たれ目で、顎ひげを生やしている。物腰は柔らかいが、人を人とも思わない残酷な性格の持ち主。魔導院の命令で、ジェラリエ・ゴルドーたちに従軍しながらサキ・スクイーダとベルベディア・デルーシアを追っている。
ヨシュアス
魔族の将を務める若い男性。種族は魔族で、前髪を目の上で切って左寄りの位置で斜めに分けたウルフカットにしている。両目の上下を囲むように大きなクマがあり、頭頂部に動物の耳が生えている。たれ目で褐色の肌を持ち、他者を見下した傲慢な性格の持ち主。ある日、剣竜類(ケラトプス)のキャルマーに乗ってプルチノフ村を襲うが、すぐにアレクサンドル・プルチノフに見つかる。さらに、キャルマーに強い関心を示したアレクサンドルのペースに巻き込まれて、あっさり敗北した。キャルマーは「隷属の首輪」に似た効果を持つ魔道具であやつっているため、信頼関係はない。
ボッチ
野生のホッチで、性別は不明。名前はアレクサンドル・プルチノフたちと出会った日、独りぼっちでいたことから「ボッチ」と名付けられた。ある日、単独でふらふらしていた際、サキ・スクイーダとベルベディア・デルーシアのホッチを発見し、ついて行った。その先でアレクサンドルに出会い、彼を気に入って騎乗を許可した。以来、アレクサンドルの仲間となり、彼を慕うようになる。嫉妬深い一面があり、ベイダーが仲間になった際には、アレクサンドルとベイダーの仲のいい姿を見て激怒した。
ブル
魔狼のメスで、片言だが言葉を話すことができる。厳しい一面があるものの、面倒見がいい優しい性格をしている。かつては群れを率いる女王(アルファ)だったが、ある日スミスルに捕えられ、魔道具「隷属の首輪」を付けられて自我を失う。同時に自分の子供たちを殺され、その死体を食べさせられたことから、スミスルとその雇い主であるジェラリエ・ゴルドーに強い憎しみを抱いていた。それでも隷属の首輪によって従わざるを得ない状況にあったが、ある日アレクサンドル・プルチノフたちによってスミスルが倒され、カーニャ・カンナリエンによって隷属の首輪を外されて解放される。この時スミスルにとどめを刺し、自由の身となった。しかしその直後、同じようにスミスルにあやつられていた子供たちには居場所がなく、スミスルに捕えられていた女性のうち一人が住んでいた村も、壊滅状態にあることを知る。そこで、今後は子供たちを自分の子供同然に扱い、彼らの新しい住処である、「プルチノフ村」と名を変えた村を守ることを決意。この時、村人たちに信仰されるようになったことで神性を獲得し、山神となった。以来姿が少し変わり、流ちょうに眷属の動物たちとも話せるようになった。
ベイダー
皇帝魔熊で、性別は不明。ある日、プルチノフ村を襲おうとしたところ、アレクサンドル・プルチノフに返り討ちにされる。そこでアレクサンドルの強さを認め、懐くようになる。また、プルチノフ村の役に立つことをするという条件でブルの眷属となり、いっしょに暮らすようになった。
場所
プルジア共和国 (ぷるじあきょうわこく)
中央アジアにある小国。アレクサンドル・プルチノフが終身大統領を務めている。15年前に建国を果たした小国家で、大国から武力で独立を勝ち取って現在に至る。そのために小国ながら、周辺諸国からは畏怖と敬意を持たれている。
その他キーワード
只人 (ひゅーむ)
異世界において、天地創造の際に生み出された十二人類の一種。サキ・スクイーダやベルベディア・デルーシアがこれに該当し、元いた世界では人間に分類されたアレクサンドル・プルチノフも、異世界では只人と認識されている。体力、魔力ともに平均的な種族ながら、人口が多く、支配地域が最も広い。主に太陽神のマウナーとその眷属神(ケア)を信仰しており、洞人と森人とは、同じ太陽神のマウナーを信仰する太陽教の中でも、同じ宗派である。そのため、三種族合わせて「巴の同盟者」と呼ばれている。
人馬族 (けんたうろす)
異世界において、天地創造の際に生み出された十二人類の一種。半人半馬の亜人で、幼児期は只人のように二足歩行だが、その後は馬のように四足歩行になる。マルセロスやタクタロスがこれに該当する。体力と戦闘力に長け、その突撃力は重装の騎士を凌駕する。騎射の名手でもある。太陽神のマウナーと、草原の神であるハシフを信仰している。人馬族と只人のハーフは「半馬人(サテュロス)」と呼ばれる。
洞人 (どわーふ)
異世界において、天地創造の際に生み出された十二人類の一種。マッドゴン・ロン=ベルドがこれに該当する。氏族の長は洞帝(どうてい)と呼ばれる。山岳地や鉱山を支配地として、鍛冶や治金の技術は人類の中で最も高い。太陽神のマウナーと大地の神を信仰しており、只人と森人とは、同じ太陽神のマウナーを信仰する太陽教の中でも、同じ宗派である。そのため、三種族合わせて「巴の同盟者」と呼ばれている。
森人 (えるふ)
異世界において、天地創造の際に生み出された十二人類の一種で、自らを「第一の種族」と呼んでいる。カーニャ・カンナリエンがこれに該当する。氏族の長は「精霊王」を名乗る。森を支配地とし、精霊魔法と弓の腕に長ける。肉食は避けており、体力的には他種族に劣る。太陽神のマウナーと精霊神を信仰しており、只人と洞人とは、同じ太陽神のマウナーを信仰する太陽教の中でも、同じ宗派である。そのため、三種族合わせて「巴の同盟者」と呼ばれている。
魔法剣士 (まほうけんし)
魔道具にチャージされた魔法を発動できる兵種の総称。サキ・スクイーダがこれに該当する。希少な魔法使いを、戦場に動員しないために生み出された職業で、剣も使える魔法使いのことではない。そのため、魔道具に込められた魔法は発動できるが、魔法使いになるには魔力が足りない者が魔法剣士になることが多い。
魔法使い (まほうつかい)
魔術をおさめた者で、ベルベディア・デルーシアがこれに該当する。一般的には魔術学院の卒業生を指す。希少な存在のため、優秀な者ほど研究機関にとどめられ、冒険者などにはならない。冒険者になる魔法使いは、ほとんどが魔術学院の落第生である。ただし、魔道具へのチャージ以外での攻撃魔法の直接行使は、権力者や主な学派で禁じられている。その理由は、権力者にとっては魔法使いの強大な力をコントロールする必要性があり、魔法使いにとっては自分たちが戦場に駆り出されるリスクを抑えるためである。
神官 (しんかん)
太陽神や、その眷属神(ケア)を祭祀する職業。治癒神官と武装神官の二種類に分かれており、治癒神官はこの世界において医療を司っている。武装神官は自らの荘園を守るために訓練された兵士で、中には冒険者になる者もいる。魔法使い同様に希少な存在だが、高位の神官は、たとえ治癒魔術が使えなくても、血縁や世襲によって神官になる者が多い。
ホッチ
翼の退化した、大型の鳥。ボッチがこれに該当する。大きな目に小さなくちばしのかわいらしい容姿をしている。名前の由来は、発見者である鳥類博士のダニー・ホッチから。騎乗可能だが、走る速さは馬の六割ほどしかない。しかし、起伏の多い森や山岳地帯でもスムーズに進むことができるため、冒険する場所によっては、馬よりも移動しやすい。食べ物は、その辺りに生えている茎が柔らかい草ならなんでも食べることができ、これに好物の麦糖などをかけて飼葉にする。また体が温かく柔らかいことから、寄りかかってベッドのようにして眠れる。周囲の異変にも敏感なため、よほどの危険地帯でなければ、夜の見張り番もできる。そのため、冒険者の友として親しまれている。
醜小鬼 (ごぶりん)
鬼族の一種で、亜人や獣人とは違って人間ではなく、魔物に分類される生き物。闇の王であるエーブリン・イズイーボーの眷属でもある。小柄な体型で耳と鼻が大きく、二足歩行で移動する。言葉は話せないが、人間から奪った武器や防具を身につけてあやつる程度の知能はあり、「ホブ」と呼ばれる強い個体を中心に群れを作る。しかし、国や氏族を形成するほどの社会性はない。
角ウサギ (つのうさぎ)
小型の魔獣。額の真ん中に一本の角を生やした、たれ耳の兎のような姿をしている。主に敵の死角から突進し、角で攻撃することで傷を負わせる。只人の魔力感知ではなかなか見つけることができないが、森に住む森人には簡単に見つかってしまう。そのため、森人たちのダーツの的にされたり、魔法で爆破されたりするなど、残酷な扱いを受けていることが多い。
魔狼 (がるむ)
狼や野犬が魔獣化したモンスターで、ブルがこれに該当する。戦闘力が高いことから、猪鬼(オーク)や騎士も一対一の戦いは避けるほどである。上位種は太古の世界で山神としてあがめられている。一頭の女王(アルファ)に率いられることが多い。
牙魔猪 (ふぁんぐぼあ)
野生の猪が魔獣化したモンスター。通常の猪とは違い、軽快なステップで縦横無尽に駆け回ることができ、巨大な牙で攻撃してくる。そのため、落とし穴や罠を使って仕留めるのが定石。
皇帝魔熊 (べいだーべあ)
野生の熊が魔獣化した魔熊(モンスターベア)の中でも、最上種の熊。ベイダーがこれに該当する。魔熊、赤魔熊(カブトベア)、大王魔熊(ムトゥベア)、皇帝魔熊の順に進化する。巨大な爪を振り回すハンマー攻撃と、体ごとぶつかるアタック攻撃をしてくる。
書誌情報
ライドンキング 13巻 講談社〈シリウスKC〉
第1巻
(2019-01-09発行、 978-4065142103)
第2巻
(2019-05-09発行、 978-4065154939)
第3巻
(2019-10-09発行、 978-4065172605)
第4巻
(2020-04-23発行、 978-4065192245)
第5巻
(2020-12-09発行、 978-4065216989)
第6巻
(2021-05-07発行、 978-4065232484)
第7巻
(2021-10-07発行、 978-4065251218)
第8巻
(2022-04-07発行、 978-4065275788)
第9巻
(2022-10-07発行、 978-4065294697)
第10巻
(2023-04-07発行、 978-4065313268)
第11巻
(2023-10-06発行、 978-4065334225)
第12巻
(2024-03-08発行、 978-4065352786)
第13巻
(2024-08-07発行、 978-4065366837)