あらすじ
第1巻
小出毬は彼氏の淳に浮気されたため、別れを切り出す。淳に浮気された原因が、セックスの際に痛みを訴えた事だったと知った毬は、ひとまず自分の体質を変えるため、女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」を訪れる。そこで毬はカリスマ・マッサージストで医院長の水無月吾郎と顔を合わせるが、吾郎の軽薄さに不安を抱く。そんな中、毬に会わせろと「Luv-Clinic」内に興奮した状態の淳が乱入して来る。(エピソード「貴女のカラダお治しします」)
桐生ひろみは吾郎を指名し、「Luv-Clinic」に頻繁に通っていた。一方の毬は、人妻でありながら吾郎にアプローチをかけているひろみが、どうしても気に入らない。さらに吾郎とひろみがホテルで落ち合おうとデートの約束している姿を目撃し、毬は大きなショックを受ける。だが、デートをしているはずの時間に、吾郎とひろみはなぜか「Luv-Clinic」にやって来る。(エピソード「愛されるカラダ愛するココロ」)
吾郎は以前から、人材派遣会社の邑瀬桜子からの引き抜き話を受けていたが、それを断り続けていた。何度色仕掛けをしても落ちない吾郎に対し、桜子は施術中に話をしようと「Luv-Clinic」を訪れる。施術中でも話を聞いてくれない吾郎に激怒した桜子は、受付の毬のいない隙をついて予約ノートに細工をする。そのせいで「Luv-Clinic」内ではダブルブッキングが相次ぐ事となり、顧客から激しいクレームを受けてしまう。(エピソード「sexual touch」)
大東寺からリゾートホテル「S・C HOTEL」のペア宿泊券を譲ってもらった毬は、リラクゼーション施設のリサーチに行こうと吾郎を誘う。その申し出を快く承諾した吾郎だったが、ホテル内にあるリラクゼーションサロンで、かつての恋人である市居瞳と再会してしまう。明らかに親密な雰囲気の吾郎と瞳に毬は不安を抱きながらも、とりあえずリラクゼーションメニューを楽しむのだった。だが、施術後にホテルの部屋に戻ると、ベッドの上に瞳のイヤリングが残されており、毬はショックを受ける事となる。(エピソード「恋人達の指先」)
第2巻
女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」に、足専門のマッサージスト片瀬アツヤがインターンとしてやって来た。アツヤは小出毬に接近し、毬の事が好きだからデートをしてほしいと頼む。断りきれずにいっしょの時間を過ごした二人だったが、帰り道に立ち寄った「Luv-Clinic」でアツヤが豹変。ただ水無月吾郎のプライドを傷つけるためだけに、彼に好意を抱いている女を寝取ろうと毬に襲いかかる。(エピソード「素足のシンデレラ」)
毬は勤務中、清楚な美人の上條沙弥加と吾郎がいっしょに「Luv-Clinic」に入って来る姿を目撃する。「吾郎さん」と下の名前で呼ぶ沙弥加に対し毬は嫉妬するが、予約内容がブライダルエステになっていた事で一安心。しかし、大東寺からはマリッジブルーに陥って昔の男に会いに来たのではないかと気持をあおられ、再び不安に陥ってしまう。そんな中、毬は吾郎をデートに誘うが、彼は沙弥加を優先する事態が発生する。不安に駆られて吾郎のマンションを訪れた毬は、バスタオル一枚で部屋の中にいる沙弥加を目撃してしまう。(エピソード「フェロモン・ビューティー」)
毬が吾郎のマンションでいい雰囲気になっていると、突然、高山大介がトイレを借りにやって来た。三人は吾郎と大介の大学時代の話で盛り上がる。その中で、大介の恋人で故人の桜千鶴の話題も上がり、毬は大介が本当に千鶴を愛していたのだと実感する。それからしばらく経ったある日、大介は吾郎に会うため「Luv-Clinic」にやって来る。そこで毬は大介が落とした千鶴の写真を拾い、ボロボロになっていたところをテープで留めて返す。その優しさに心打たれた大介は、毬をデートに誘い出す。(エピソード「センチメンタル・セクシー」)
「Luv-Clinic」に勤務しているメンバーは、韓国のソウルに社員旅行に行く事となった。晴れて吾郎と恋人関係になった毬は、チャンスを見つけてどうにか二人きりになろうと目論むが、その途中でかつて「Luv-Clinic」に通っていた阿川京と偶然再会。吾郎は毬よりも、メンタル面で不調な京の事を優先してしまう。気落ちしながら、一人であかすりエステにいった毬は、そこで京が「吾郎なんてチョロい」と仲間に話している場面を目撃してしまう。(エピソード「ボディ&ソウル」)
第3巻
水無月吾郎をマッサージで癒したいと考えた小出毬は、吾郎の推薦を受け、椿瑛子が経営するマッサージスト養成スクールに入学する。しかし毬は大学と養成スクールに通いながら、女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」で働く多忙な日々を送る事となり、吾郎とはすれ違ってばかり。さらに瑛子からやる気がないと怒られてばかりで、毬は自分にはマッサージストとしての才能がないのかと落ち込んでしまう。そんな中、吾郎と瑛子が何やら親しそうにしている場面を目撃した毬は、もしかすると二人が特別な関係なのではないかと疑心暗鬼に陥る。(エピソード「フィンガー・レッスン」)
毬は吾郎の私物から風俗店のマッチを見つける。大東寺は「Luv-Clinic」に通っている槇村アヤコが営業として置いていったものだと説明するが、心配になった毬は店の入り口付近まで偵察に行く。そこで毬は風俗嬢のRICAと出会い、吾郎が自分に飽きないよう、RICAから風俗のテクニックの指導を受ける事となる。(エピソード「アダルトマッサージ」)
吾郎のマンションで喧嘩をした毬は、部屋を飛び出して近くにあったオリエンタルメディカルマッサージ「梨華」に入店する。そこで毬は自分の施術を担当した李浩のテクニックに感動し、吾郎を見返すために、個人レッスンを願い出る。一方の李は毬を生徒としてはもちろん女性としても気に入っており、吾郎ではなく自分を見てほしいと告白する。(エピソード「ブラインド・ラブタッチ」)
瑛子のマッサージスト養成スクールを無事卒業した毬は、「Luv-Clinic」のマッサージスト研修生となる。研修生はRICAとほかに二人の合計四人がいたが、マッサージストとして正式に採用される枠は三人分。その話を聞いた研修生達は、激しく火花を散らすのだった。そんな中、毬が吾郎と交際している事がほかの研修生に発覚。毬はその立場から合格が約束されているとして、RICA以外の二人から冷たく当たられてしまう。(エピソード「クライマックスマッサージ」)
登場人物・キャラクター
小出 毬 (こいで まり)
20歳の女子大学生。幼い頃から身体が異常に硬いため、運動ができないだけでなくセックスでも痛みしか感じない体質。かつての恋人達にはセックス中に痛みばかりを訴えていたためにふられ、現在の彼氏である淳にも、女子高校生と浮気される事となった。そんな自分の体質を変えるために、評判のいい女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」を訪れる。 その際に水無月吾郎の施術に感動し、アルバイトとして「Luv-Clinic」に勤務する事となった。吾郎に対しては軽薄な女たらしだと警戒していたが、仕事に真摯に取り組む姿勢や、本当は女性の身体を誰よりも考えている事を知って心惹かれるようになり、積極的なアプローチを開始する。
水無月 吾郎 (みなづき ごろう)
女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」の医院長を務める男性。年齢は25歳。高身長で整ったルックスの持ち主。マッサージの技術に優れ、本人に合ったツボを的確に指圧し気血を整え、人間が本来持つ自然治癒力を高める事ができる事から、世間では「カリスマ・マッサージスト」との呼び声が高い。一方、女たらしで軽薄な性格をしているが、ただの女好きではなく、「女性の笑顔が世の中を幸福へと導く」といった信条を掲げている。 そのために女性には優しく接している。椿瑛子の息子だが、両親の離婚に伴い父方に引き取られたため苗字は異なる。小出毬に好意を寄せられている事には気づいており、付かず離れずの言動を繰り返す。
大東寺 (だいとうじ)
女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」に勤務する女性。主に受付業務を行っており、小出毬と組む事が多い。やる気はあまりなく、顧客の前以外ではだらけっぱなし。噂好きで雑談も多いが、毬にとっては水無月吾郎への思いも打ち明けられるよき先輩。
片瀬 アツヤ (かたせ あつや)
女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」に、インターンとしてやって来た男性。年齢は19歳。足専門のマッサージストで、専門学校での成績はトップだった。専門学校で講義を行った水無月吾郎にも、腕のいい生徒だったと記憶されていたほど。だが講義の際、相手の心を無視して技術だけで勝負する姿勢が欠点だと指摘された。 この事でプライドを傷つけられ、吾郎に対して反感を覚えていた。吾郎に対するその恨みを晴らすため、小出毬に接近する。
市居 瞳 (いちい ひとみ)
過去に女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」に勤務していた女性。水無月吾郎の先輩にあたる。現在は「S・C HOTEL」内のリラクゼーションサロンで働いている。「Luv-Clinic」に勤務していた際には吾郎と交際していたが、すぐに吾郎に実力を抜かれ、関係が悪化して別れてしまった。今でも完全にふっきれたわけではないものの、よりを戻してもうまくいかないと理解している。
桐生 ひろみ (きりゅう ひろみ)
世田谷区の高級住宅街に住む人妻。年齢は29歳。一流企業に勤務する夫とは結婚5年目で子供はいない。女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」の顧客で、水無月吾郎に色っぽく迫っている。しかし実際は不在がちの夫を愛しており、周りからは子供ができない事を責められ、ストレスで身体のバランスを崩していた。そのため、吾郎とは本気で身体の関係を持つ気はなかった。 吾郎に本心をさらけ出した3か月後にめでたく妊娠している。
邑瀬 桜子 (むらせ さくらこ)
人材派遣会社「株式会社APコーポレーション」に勤務する女性。年齢は25歳。高圧的でわがままな性格で、仕事を生きがいにしており、恋愛は二の次だと考えている。そのため男性とは身体だけの関係を持ち、ストレスを発散させている。カリスマ・マッサージストである水無月吾郎の噂を耳にし、条件のいいところに引き抜きたいと身体で迫った。 拒否しつづける吾郎に対し、最後の手段として女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」の施術中に口説き落とそうとしたが失敗。腹いせに受付にあった予約ノートに細工をし、店に大混乱を巻き起こした。
上條 沙弥加 (かみじょう さやか)
水無月吾郎の元お見合い相手の女性。お嬢様育ちの清楚な美人で、性格もおっとりとしている。恋愛経験に乏しく、セックスで感じた事がない。女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」のオーナーが上條沙弥加の家と付き合いがあり、沙弥加もカリスマ・マッサージストに興味があったため、お見合いをした。しかし吾郎には結婚願望がなく、交際に発展せずに終わっている。 結婚が決まり、ブライダルエステの施術を受けに「Luv-Clinic」を訪れた。
阿川 京 (あがわ みやこ)
以前女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」に通っていた女性。年齢は22歳。表面上は明るく元気なタイプに見えるが、実はメンタルが弱い。新しい恋人ができてからは水無月吾郎の施術を受けなくなっていたが、別れてから再びメンタル面に不調をきたす。吾郎と再会してからは、改めて定期的に施術を受けようと考えを改める。
槇村 アヤコ (まきむら あやこ)
女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」の顧客の風俗嬢。年齢は22歳。「AYA」の源氏名で、RICAと同じ風俗店に勤務している。「Luv-Clinic」には手首の治療のため訪れており、水無月吾郎に対して勤務している店のマッチを渡すなど営業活動も行っている。とはいえこれはあくまで挨拶程度の意味で、吾郎の事を特別意識しているわけではない。
RICA (りか)
槇村アヤコと同じ店に勤務している風俗嬢。明るくさっぱりとした性格の持ち主で、面倒見がいい。小出毬が水無月吾郎が風俗に通っているのではないかと疑惑を抱き覗きにきたところ、入り口付近で出会った。毬からの依頼で風俗のテクニックを教えた。毬は知らなかったが吾郎とは以前からの知り合いで、女性専用マッサージサロン「Luv-Clinic」の顧客でもある。 その後は風俗店を辞め、椿瑛子が経営するマッサージスト養成スクールに通い出す。
高山 大介 (たかやま だいすけ)
水無月吾郎の大学時代の同級生の男性。年齢は25歳。現在は雑誌記者として働いており、吾郎に取材を申し込んだ。明るく穏やかな性格で、女性に対しては一途。大学時代から交際していた桜千鶴を1年半前に事故で亡くしている。小出毬の優しさに触れ好意を持つが、やはり千鶴を忘れられずに何もなく終わった。
桜 千鶴 (さくら ちづる)
高山大介の大学時代の同級生で、卒業後も交際していた女性。1年半前に事故で死去している。水無月吾郎とも仲がよかった。
椿 瑛子 (つばき えいこ)
小出毬の通うマッサージスト養成スクールの校長を務める女性。30代後半のセクシーな美人マッサージストで、かつてはメディアに多数取り上げられた、業界では伝説の存在だが、四度も離婚と結婚を繰り返している。実は何度目かの離婚と次の結婚のあいだの時期に水無月吾郎をもうけており、吾郎の実母にあたる。吾郎の推薦で入学したものの、なかなか技術が向上しない毬に苛立ちを募らせていく。
李 浩 (り はお)
オリエンタルメディカルマッサージ「梨華」に勤務するマッサージストの男性。年齢は30歳。中国人と日本人のハーフ。10年前に病気により視力を失ったが、気をあやつる気功マッサージストとして有名。小出毬が施術を受け、水無月吾郎以外にもすごい人が存在するのだと、大きな衝撃を受ける事となった。
淳 (あつし)
小出毬の元彼氏。セックス中に痛みを訴える毬に対して不満を抱き、女子高校生と浮気をした。しかし毬に対しては未だに好意を抱いており、復縁したいと迫る。
場所
Luv-Clinic (らゔくりにっく)
水無月吾郎が医院長を務める女性専用マッサージサロン。リラクゼーションを主体としたメディカルエステセラピックサロンで、指圧や整体を取り入れた独自のボディーマッサージやアロマ、ヒーリング音楽を有効に活用したフェイシャルエステなど、心も身体も癒される場所になっている。ジャグジーやサウナバスといった設備も充実しており、施術を受けた女性はゆっくりと日頃の疲れを癒せる。 また、心と身体に悩みを抱えている女性にはカウンセリングを行い、改善するよう特別な施術とケアを行う。評判は非常によく予約を取るのも困難で、吾郎は休憩すらまともに取れない状況が続いている。小出毬は客として訪れた際に吾郎の施術に感動。その後アルバイトとして働く事となった。
S・C HOTEL (すかいこーとほてる)
お台場エリアにできたばかりのリゾートホテル。リラクゼーションに力を入れており、エステやマッサージなどさまざまな設備が充実している。水無月吾郎の先輩にあたる市居瞳が、この「S・C HOTEL」のリラクゼーションコーナーで働いている。