概要・あらすじ
へたれの青年である張飛。黄巾の乱の残党に襲われていた少女を助け、殺されてしまう。だが、彼は謎の蛇矛の力でよみがえる。死ぬ前よりも高い体力と運動能力を身につけた彼は、ある日、美しい女性に出会う。その女性こそが、男性として義勇軍を率いている劉備であった。彼女は張飛が蛇矛に乗っ取られつつあり、精神の中で戦っていることを悟り、戦場で自分と共に戦い、死への恐怖を克服して蛇矛に打ち勝つよう命令を下す。
劉備や張飛らが向かった先には、同じように死んだまま操られている人間が数多くいた。術を使って操られるものたちは、武具を破壊されると体が腐ってしまう。張飛は自分も同様の運命にあることを知りながら、黄巾の乱の元凶であり仙術を会得した存在、張角を倒しに行く。
登場人物・キャラクター
張飛 (ちょうひ)
字は益徳。身長は一般的な男性と同じで、体力もあまりないヘタレな青年。黄巾の残党に襲われていた英鈴を助けるが、殺されてしまう。死の間際で北斗と南斗の神に出会い、胸に刺さった蛇矛の力で、傷一つない状態で復活。蛇矛の中にいる闇を受け入れることで、タフな体と、ずば抜けた身体能力を持つことになる。 しかし、受け入れている状態では張飛本人の意思が通じないため、劉備を殺しそうになってしまい、自らの心の中で闇と戦った。「死への恐怖」に闇が呼応することを知り、戦いの中で強靭な心を手に入れるため、劉備と共に戦うようになる。その後、蛇矛に彼の力を試されるようになり、次第に自ら強さを手に入れ、黄巾の乱を平定するために尽力する。 劉備が女性であることを知っている数少ない人物。
劉備 (りゅうび)
字は玄徳。女性。幼い時に南華老仙のもとで仙術を学びながら、薬草学や兵法も習得。成長してから義勇軍を率いるようになる。剣術は身につけておらず、戦闘はしない。関羽は「兄者」と呼んで慕っており、戦自体は関羽らに任せている。紅真珠を手にして、「絶対魅了」を使うことができ、眼を合わせた相手の動きを完全に止めることができる。 女性であるということを知っているのは関羽、張飛、簡雍などごく少数の人間だけ。蛇矛の闇に乗っ取られて自分を殺しに来た張飛が、自らの中の闇と戦い攻撃を止めるのを見て、彼に「死への恐怖」を捨てるために、自分と戦うよう呼びかけた。普段は女であることを捨てているが、美しい着物に憧れる一面もある。
関羽 (かんう)
アゴヒゲが長く、身長が九尺ある背の高い男性。劉備の義弟で、劉備のことを「兄者」と呼んで慕っている。高い戦闘能力を持ち、偃月刀を手に、一騎で五千の軍と対峙し、賊将を討ち取っている。劉備が戦わずして皇帝の座を得ることができるよう考え、先陣に立って行動し続ける。劉備も彼には絶対的な信頼を抱いている。 劉備が女性であることを知っている数少ない人物。
趙雲 (ちょううん)
白い具足で、太刀を軽々と振り回して数多の敵をなぎ倒し、関羽とも互角に戦える手練れ。最初は黄巾側について劉備の軍と対立した。民衆を守りたいという思いが強く、村人に紛れていた女性を、劉備と気付かずに救っている。後に劉備軍と対峙した時、劉備の「絶対魅了」によって取り押さえられた。 関羽から、共に戦うよう誘われている。
簡雍 (かんよう)
劉備に仕え、女性である劉備の男装の手伝いや、軍資金の管理などを行う武将。小太りの男性で、オネエ言葉をしゃべる。女性には興味がなく、男色の気を関羽に対して見せている。
英鈴 (えいりん)
夏侯惇と夏侯淵の姪。父母が黄巾の残党に殺され、自らも命を奪われそうになったところを、張飛に救われた少女。後に夏侯淵に引き取られ、養女になる。張飛を「兄サン」と呼んで慕っている。
張角 (ちょうかく)
黄巾賊の首領。南華老仙のもとで仙術を劉備と共に学んでいた。左慈の肉体改造(新装版では張角の杖の力)で「絶対硬化」の術を使えるようになり、人の攻撃では殺せない体になっている。
呂布 (りょふ)
黄巾賊の残党で、英鈴の父を惨殺し、張飛を弓で射殺。黄巾の乱に乗じて成り上がろうとしていた。北方民族の母を持ち、体は小柄で小心。野望を果たすことができず、両腕を切り落とされ死に瀕していところを、筋肉の筋が悪くないことを北斗に見ぬかれ、骨格は伸ばされ、両腕も再生。岩を砕き丸太を握りつぶす腕力を手に入れる。
左慈 (さじ)
右目を包帯で隠している仙女。黄巾に協力していた謎の女性。張角に憧れていたことを、彼が死んだ後に語る。呂布に力を貸しており、こののち戦乱の世になること、呂布の今後の行先などを未来視している。
その他キーワード
蛇矛 (だぼう)
『ランペイジ』に登場する武器。人間の武器では傷つけることができない矛。意思を持って、持ち主と会話ができる。死にかけていた張飛は、蛇矛が体に刺さった状態で蘇った。所持していると蛇が現れて、身体を乗っ取ろうとし続ける。持ち主には強力な身体能力が手に入るが、同時に武器が破壊されると体が腐って死亡する。蛇矛を持っていた張飛を、劉備は最初「闇の継承者」と呼んだ。