グルメ×猫×癒やしの人間ドラマ
舞台となるのは、猫だけで経営している一風変わった「ラーメン赤猫」。そこに社珠子という人間の女性が、面接にやってくるところから物語は始まる。「どちらかというと犬派」と答えた珠子は、即採用決定となる。じつは以前採用した人間の、猫への過度な愛情が問題になったことから、猫好きの人間はお断りだったのだ。本作は、唯一の人間である珠子の目を通して、料理に対するこだわりや猫ならではの苦労、従業猫たちの猫模様、客たちの人間模様を描いた、グルメと猫と癒しのドラマである。
猫たちの徹底したこだわりが魅力のラーメン店
「ラーメン赤猫」は、茶トラ猫の店長、文蔵、経営者のハチワレ猫、佐々木プリン、盛り付け担当の黒猫、サブ、接客のスペシャリストの白猫、ハナ、製麺担当の虎、クリシュナ、ブラッシング担当の人間、珠子という体制。店のモットーは「接客一番、味二番」。味が二番というのは、猫が作るので完全に人間の味覚には合わせられないという理由から。とはいえ、ラーメンは先代のレシピをしっかりと踏襲したもので、元有名三つ星シェフが絶賛するほどの逸品である。また、虎のクリシュナこだわりの手打ち麺も評判が高い。そして何より従業猫は、猫毛が入らないように特別な訓練をしており、気合で毛を落とさない。「ラーメン赤猫」は、美味しい料理と猫の接客による癒やしが売りの、一度来たらやめられなくなる特別な店である。
みんなから愛され守られる「ラーメン赤猫」
「ラーメン赤猫」の客はマナーがよく、最高のラーメンと癒やしを求めてやってくる人ばかりだが、中には迷惑な客もいる。例えばラーメンに毛が入っていたとイチャモンをつけるコワモテのお兄さん。そんなお兄さんには、虎のクリシュナが奥から出てきて対応すると一発で解決する。また、炎上上等の動画配信者が来店することもある。「ラーメン赤猫」は写真も動画も撮影禁止。SNSの拡散などで必要以上に来客が増えると、満足な接客ができなくなるからだ。注意しても撮影をやめない相手には、スキンヘッドの弁護士、寺田みきおが話をつける。その他、寺田の後輩の御所川原、機械を保守してくれる何でも屋の城崎、上質なメンマを納品する但馬のばあさんなど、「ラーメン赤猫」は、店を愛するたくさんの常連客や協力者によって守られている。
登場人物・キャラクター
社 珠子 (やしろ たまこ)
人間の若い女性。ショートカットと眼鏡が特徴。おばさんの紹介で「ラーメン赤猫」の面接を受け、採用される。主な仕事は猫たちのブラッシングと皿洗い。店に出るときは、猫耳をつけた黒子姿になる。同僚が猫だけという特殊な環境に戸惑っていたが、次第にスタッフの一員として慣れ親しんでいく。それほど猫が好きではなく、どちらかというと犬派。
文蔵 (ぶんぞう)
「ラーメン赤猫」の店長の猫。はちまきを巻いた、職人気質のオスの茶トラ猫。屋台のラーメン店だった「赤猫」を先代(人間)から引き継いだ。その後、社珠子のおばさんから店を譲り受け、「ラーメン赤猫」の店舗を構えた。
書誌情報
ラーメン赤猫 9巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-10-04発行、 978-4088832791)
第2巻
(2022-12-02発行、 978-4088833989)
第3巻
(2023-02-03発行、 978-4088834023)
第4巻
(2023-06-02発行、 978-4088836195)
第5巻
(2023-09-04発行、 978-4088837130)
第6巻
(2023-12-04発行、 978-4088838113)
第7巻
(2024-03-04発行、 978-4088838595)
第8巻
(2024-07-04発行、 978-4088840567)
第9巻
(2024-10-04発行、 978-4088842448)