概要・あらすじ
ラーメンマニアの商社マン、藤本浩平は、自分の店を持つまでの修業として、会社に内緒で、夜はラーメン屋台を引いている。秘密を共有する同僚の佐倉祥子とともに、好敵手となる「らあめん清流房」オーナーの芹沢達也との創作ラーメン勝負や、不人気店のコンサルタント業務、ラーメン店の運営にまつわるさまざまなトラブルを解決するうち、単なるラーメンマニアを脱却し、人間として成長していく。
登場人物・キャラクター
藤本 浩平
27歳男性。ダイユウ商事(株)営業一課に勤務するサラリーマン。ラーメン店を持つという子供の頃からの夢をかなえるため、開店資金稼ぎと修業を兼ねて、勤務終了後、会社には内緒でラーメンの屋台を引いている。残業を一切せず定時に退社するため、ダメ社員として通っており、藤本が副業としてラーメン屋台を引いている事実を知るのは、社内では同僚の佐倉祥子のほか数人である。 新課長の四谷匡史の赴任を機に、自然食レストランチェーン「大地」の看板メニューであるラーメンの新メニュー考案、ラーメンチェーン「らあめん大河」の運営など、業務としてラーメンに関わる機会が増える。限定的なテーマを与えられての創作ラーメン勝負や、既存メニューの問題点解決などには非凡な能力を発揮するが、ゼロから独自のテーマを生み出す新メニューの考案や、実際の店舗の切り盛りなど経営面での経験や知識は浅く、「藤本クンは実に優秀なラーメンマニアだ」と「らあめん清流房」店主の芹沢達也に揶揄されることもしばしばである。 ラーメンに対する姿勢は常に真っ直ぐで、ビジネスに徹して客を馬鹿にしたような芹沢の発言や、レシピに対する店主の苦労を軽んじるような天宮研司の発言には憤りを隠さない。
佐倉 祥子
23歳女性。藤本浩平の同僚としてダイユウ商事(株)に勤務する。社内ではラーメンフリークとして知られており、藤本のラーメン屋台に出くわしたことで、藤本のラーメン修業を知る。それからは秘密の共有者として、また藤本のよき理解者として、ラーメンに関する業務にともに関わる。
四谷 匡史
40歳男性。ダイユウ商事(株)大阪支社より新課長として営業一課に赴任してきた。何を考えているか掴みどころがないところがあるが、自然食レストランチェーンの立ち上げ計画を一ヶ月でまとめるなど、商社マンとして優秀な切れ者である。福岡出身であり、トンコツラーメンにはこだわりがある。
葉月 玲
32歳女性。ダイユウ商事(株)大阪支社より主任として赴任してきた藤本浩平の上司。自信家で、歯に衣着せぬ物言いをすることでトラブルは多いが、ビジネスの手腕は高い。「ラーメン・テーマパーク・プロジェクト」の中心人物として、藤本をこき使う。大学時代、空手の全国選手権で優勝したほどの腕前で、妹の杏も同じく空手の達人である。
辻井 信一
34歳男性。ダイユウ商事(株)営業一課に係長として勤務する藤本浩平の上司。ラーメン以外はまるでダメな藤本を苦々しく思っている。考えなしに思ったことを口に出す傾向があり、それがトラブルの種となることもしばしば。ミーハーな性格で、有名人や権威に弱い。
芹沢 達也
42歳男性。超人気店「らあめん清流房」のオーナーとして複数店舗を経営する傍ら、フード・コーディネーターとしてラーメン店のプロデュースも請け負う、ラーメン・ビジネスを知り尽くした男。かつて鮎の煮干しをふんだんに使った理想のラーメン「淡口らあめん」をまるで客に評価されず、店の資金繰りに行き詰まる。 このような中、無礼な客への嫌がらせにラードをギトギトに浮かべたラーメンを出したところ、これが大当たりしたという苦い過去を持つ。味に対するこだわりは非常に強く、日々の探求を怠らないが、「美味しいラーメンが必ずしも客に受けるわけではない」というある種の諦念も胸に刻まれており、客の舌を完全には信用できなくなっている。 藤本浩平のことを「優秀なラーメンマニア」だと揶揄しながらも、自分が失ってしまったラーメンに対する絶対的な信頼を持つ藤本を評価し、気にかけている。藤本にとって師と呼べる存在である。
小池さん
「ラーメンこいけ」の店主。脱サラしてラーメン店を始めた、藤本浩平の先輩と呼べる存在。外部の意見を取り入れすぎて自分の味を見失っていたところを、テレビ番組の企画でラーメン評論家の有栖涼に痛烈に批判され、店に閑古鳥が鳴くが、藤本の指摘により自分の味を取り戻す。
片山 晋二
28歳男性。「東京ラーメン花輪亭」の店主。市役所を退職して独学でラーメン店を始める。気弱で周囲に流されやすい性格の男として登場するが、その性格が次第にエスカレートしていき、突拍子もない行動で周囲を唖然とさせるようになる。
武田 剛三
43歳男性。「らーめん厨房どきゅん」の店主。早明大学ラグビー部出身で、脱サラして母校近くに店を構える。体育会系の学生にもウケるように尋常でないボリュームのラーメンを作る。粗暴かつ横柄な人柄で、気に入らないことがあると暴力に訴える傾向が強い。一見、筋肉馬鹿のように思えるが、実はひどく頭が切れるような素振りも見える。 強烈なカリスマ性により熱狂的なファンを獲得、連載終盤には有名店が名を連ねるラーメン・テーマパーク「拉麺タイムトンネル」に(ゴリ押しで)参加するまでに至る。
天宮 研司
21歳男性。東大を中退した後、ラーメン修業に入る。店のレシピをコピーする天才で、既存店の近くのラーメン屋台で、本物以上のコピーラーメンを出し、店から客を奪い取ると姿を消すということを繰り返していた。ラーメンをモノとしか見ず、味を完成させるまでの店主の苦労を意に介さない傲慢な性格で、フード・コンサルタント業に転じた後も、何度も藤本浩平と対立する。
千葉 周児
魚介ダシ系ラーメンの大行列店「神麺亭」の店主。ラーメン好きが高じて自ら店を始めた妥協なきラーメン職人。知識・技術ともに芹沢達也が認めるほどの実力の持ち主。常連客がらみのゴタゴタで店を潰した過去があり、ラーメンマニアを毛嫌いしている。
有栖 涼 (ありす りょう)
売れっ子ラーメン評論家。雑誌のコラム連載などのほか、テレビ番組にも登場し、ラーメン完食の後、美味しいラーメンは「大仏顔」で、不味いラーメンは「大魔神顔」で応える、というパフォーマンスを行う。ラーメンに対する愛情は本物で、業界内の不正は見逃せない真摯な性格。
祐介
両親が共働きで、夕食代わりにラーメン店を食べ歩くうち、ラーメンマニアとして確かな舌を持つようになった小学生。食べたラーメンに遠慮無く点数をつける。
篠崎 友哉
30歳男性。新進気鋭の料理評論家。駆け出しの頃、ラーメンに関する知識の無さを芹沢達也に指摘され、料理評論家としての活動を休止した過去がある。そのことが原因で、現在も芹沢には苦手意識を抱いている。佐倉祥子に恋心を抱き、積極的にアプローチする。藤本浩平とは恋敵の関係にあるが、お坊ちゃん育ちの素直な性格で、いっしょにキャバクラに行くなど、藤本との仲は悪くない。
クレジット
- 原作
- 協力
-
石神 秀幸
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