異端な存在を受け入れてくれる日常系学園コメディ
本作はファンタジーでありながら、バトル展開ではなく、普通の高校生の日常や悩みを描いた学園ドラマである。ツノが生えたルリが登校してきても、龍と人とのハーフという信じがたい話を聞いても、先生やクラスメイトたちは「まあいいか」とあっさり受け入れてくれる。なにか事件が起きても、それが大事になりすぎないゆるっとした空気感が特徴で、ところどころに入るみんなのツッコミが面白いコメディ作品。
かわいく魅力的なヒロインの成長物語
主人公のルリは、笑ったり、困ったり、嫌がって泣きべそをかいたりと表情豊か。その姿はとてもかわいくて、愛らしい。「別にツノが生えただけだしな」と深く考えず登校したり、火を吐いたことで周りの目が気になり学校に行きづらくなったり。ルリは少し引っ込み思案ではあるけれど、どこにでもいる普通の女の子。龍体質の出現で周りから声をかけられるようになったルリは、話をするうちに自分も見た目から人を判断していたことに気づく。苦手だからと近づかなかった相手にも、自ら積極的に関わるようになり、友達を増やしていく。
いつ発現するかわからない龍体質
角が生えた日に登校したルリは、くしゃみとともに火炎放射をしてしまう。自分でも驚いたルリは、喉を焼いて血を吐きその場に倒れる。驚異の回復力で喉の火傷は2日で治ったが、火炎放射を暴発しないようにルリは河原で火を吐く特訓を開始する。火がコントロールできるようになると、今度は授業中に体がビリビリし、電気を集め始めた。それは放電体質の出現だった。母によると、龍の体質は九つあり、何が遺伝するかはわからないという。自分の身に何が起こるのかわからず、不安を抱えながらも、ルリは学校に通い続ける道を探す。
登場人物・キャラクター
青木 瑠璃 (あおき るり)
高校1年のおかっぱ頭の女の子。15歳で、龍と人間のハーフ。高校1年のある朝、頭に角が生える。母子家庭で育ち、父が龍だと教えられたのは角が生えてから。人の名前を覚えるのも、男子も苦手。自分では人付き合いが下手(へた)だと思っているが、人から好かれやすく本当は付き合い上手。人からどう見られているかを気にしてしまう。体を動かすことが苦手で、面倒くさがりや。スタバはおしゃれすぎてしり込みしてしまう。父のドラゴン体質が遺伝し、角のほか、火を吐いたり、放電したりする。高い代謝能力で傷は早く治る。
萩原 裕香 (はぎわら ゆか)
ルリの友達でクラスメイトの少女。ルリと同じ中学に通っていた。高校1年の15歳で、髪型はアゴまでの長さのショートボブ。淡い髪色で、クセ毛があり、右側がいつもはねている。ルリのことをいつも気にかけており、人と付き合うのが苦手なルリの背中を押し、母親のように見守っている。社交的で人当たりが良く、友達は多いが、性格は冷淡であっさりしている。
書誌情報
ルリドラゴン 3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-10-04発行、 978-4088832852)
第2巻
(2024-09-04発行、 978-4088841649)
第3巻
(2025-03-04発行、 978-4088844152)