蜘蛛ですが、なにか?

蜘蛛ですが、なにか?

馬場翁の小説『蜘蛛ですが、なにか?』のコミカライズ作品。最弱の蜘蛛系モンスターに転生してしまった女子高校生の蜘蛛子が、生き抜くために迷宮を探索していく姿を描いたサバイバルダンジョンアドベンチャー。コミックスにはもう一人の主人公、フェイルーンの視点からの描き下ろし漫画「もう一人の「転生者」」と、馬場翁による描き下ろし小説も収録されている。「ヤングエースUP」で2015年12月22日から配信の作品。

正式名称
蜘蛛ですが、なにか?
ふりがな
くもですがなにか
原作者
馬場 翁
漫画
ジャンル
モンスター・異生物
 
アドベンチャー
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊14巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

人と接することが苦手なコミュ障ぼっち女子高校生の「私」は、ある日、何気ない日常の中で謎の激痛に襲われ気を失う。目を覚ますと蜘蛛系の魔物となっていた私は、親兄弟で殺し合うモンスターの坩堝(るつぼ)というデンジャラスな環境を認識して、即座にその場から脱走する。蜘蛛子という魔物になったことを受け入れ、過酷なサバイバル環境を血肉をすすっても生き抜くことを誓う。しかし、最弱の魔物として転生した蜘蛛子は、ほかの魔物や冒険者からも狩られる立場にあり、生き抜くことは困難を極めていた。そんな中、蜘蛛子はゲーム的なシステムが存在することに気づき、なけなしのスキルポイントを使って「鑑定スキルを取得し、これを成長させることでさまざまな情報を得て、少しずつ環境に適応していく。そして蜘蛛子は、自分がいる場所が世界最大の迷宮「エルロー大迷宮」であり、ほかの魔物を倒すことでレベルアップできることを知る。ゲームのような世界を少し楽しいと感じつつ、順調にレベルアップしていく中、蜘蛛子はある日、謎の卵を拾う。卵を食べようと悪戦苦闘する蜘蛛子であったが、ものすごく固い卵には歯が立たず、保留することとなる。その後、卵を自分が作った拠点「マイホーム」に運び、一息ついていた蜘蛛子は、そこで冒険者の奇襲を受けてしまう。初めて自分で作った居場所を破壊されたことに強いショックを受けた蜘蛛子は、強くなることを決意。ダンジョンを徘徊(はいかい)しつつ魔物を狩っていた蜘蛛子は進化し、新たな力を手にするが、明らかに格上の冒険者の集団に襲われ再び危機に陥る。脱兎のごとく逃げ出した蜘蛛子は、逃げた先で巨大な縦穴に真っ逆さまに落ちてしまう。

第2巻

縦穴に落ちた蜘蛛子は、蜘蛛らしく糸を使うことでからくも生き延びるが、縦穴に生息する蜂系の魔物フィンジゴアットの群れに襲われてしまう。格上で数が多いフィンジゴアットに苦戦する蜘蛛子であったが、知恵と技術を駆使してこれに対抗。そこに、地龍アラバが姿を現す。単に通りすがっただけの地龍アラバは蜘蛛子には見向きもせず去っていくが、そんな絶対的強者の存在を目にした蜘蛛子は、恐怖から一刻も早く蜂の群れを倒し、この階層から脱出しなければならないと考える。罠(わな)と道具を駆使して蜂を駆除していく蜘蛛子であったが、そこに再び地龍アラバが現れ、蜘蛛子が築いた罠をたった一撃ですべて破壊しつくしてしまう。蜘蛛子は息をひそめて隠れることで、地龍アラバの目を逃れることに成功するものの、この一件により縦穴からの帰還を断念し、探索してほかの道を探すことを決める。下層の魔物はどれも格上だらけだったが、蜘蛛子はその中でも弱い魔物を選び、奇襲で倒しながら少しずつ成長していく。しかしある日、蜘蛛子が倒した猿系の魔物、アノグラッチが断末魔に叫び声を上げ、仲間を呼ぶ。アノグラッチは仲間を殺した者に復讐するという習性を持つが、蜘蛛子はそれを知らずに倒してしまったのだ。こうして蜘蛛子は、大量の魔物とたった一人で戦うという、今までにない危機に陥ってしまう。

第3巻

倒しても倒しても仲間の屍(しかばね)を踏み越えてやって来るアノグラッチの群れに、蜘蛛子は疲弊しながらも戦い続ける。上位種のバグラグラッチすら混ざり始め、さらなる絶望に叩き落されるが、毒と罠を駆使して最終的にすべての魔物を打ち倒すことで、蜘蛛子は生き残ることに成功する。大量の魔物と戦い抜いたことで、蜘蛛子のレベルも上限に達し、新たな種族「スモールポイズンタラテクト」へと進化する。戦闘と進化を終えた蜘蛛子は上の階層につながる道を見つけ、下層から中層へと場所を移す。しかしエルロー大迷宮の中層は、蜘蛛子にとって天敵ともいえる火とマグマの空間だった。種族特性的に火に弱く、糸も燃えてしまって使えないため、得意戦法の糸を使った罠も封じられてしまう。蜘蛛子は成長した鑑定を使い、現状打破する方法を模索。取得可能なスキルの一覧に、不自然なほど強力な「傲慢」のスキルを見つける。成長を促進する効果がある傲慢の力で、蜘蛛子は一気に成長するも、鑑定でも詳細がわからない傲慢の副産物「禁忌」の存在に不安を募らせていく。

第4巻

蜘蛛子は中層の突破には「飛び道具」と「耐熱」のスキルが必要だと感じ、傲慢の恩恵を駆使して、それらのスキルを磨いていく。そして中層の魔物とも互角以上に渡り合えるようになった蜘蛛子は、探索を開始し始める。傲慢の効果のお陰で、魔物たちに苦戦しつつも順調にレベルアップを重ね、蜘蛛子は新たな種族「ゾア・エレ」への進化を成し遂げる。新たな進化によって今までない強化をされた蜘蛛子は、さらに支配者スキル「忍耐」を獲得するも、存在感を増す正体不明の禁忌に不安を募らせていく。気持ちを切り替えスキルの獲得とレベルアップを再開した蜘蛛子は、新たに「並列意思」を獲得、自らの分身ともいえる体担当を生み出す。分身と二人三脚で蜘蛛子は順調に成長し、遂に鑑定も限界まで育てきる。今まで苦楽を共にしてきた鑑定がこれ以上育たたなくなったことを残念だと思い、蜘蛛子はつい愚痴をこぼす。誰も聞くはずのない愚痴だったはずが、突然ノイズ混じりの声が聞こえ、次の瞬間、鑑定は「叡智」のスキルへと進化する。自分の愚痴を誰かが聞いていた不気味さから、蜘蛛子はこの世界が「ゲームのようなもの」だとしたら、自分は「ゲームのキャラクターの一人」にしか過ぎず、誰かが自分たちの姿を楽しんでいるのではないかと疑念を抱き始める。

第5巻

叡智を得た経緯から蜘蛛子は、この世界には神のような存在がいると考える。今の自分たちではどう足掻(あが)いていても敵いっこない絶対者の存在に不気味さを感じるものの、気持ちを切り替え、蜘蛛子は改めて中層の突破を目指すこととなる。新たに手にした叡智のお陰で、蜘蛛子は今まで使うことができなかった魔法の使い方を知り、中層突破に必要な飛び道具をついに得る。それに伴って新たな並列意思魔法担当を生み出し、蜘蛛子は中層をつき進んでいく。魔法を駆使することで複数の魔物とも渡り合えるようになった蜘蛛子であったが、探索を進めるうち、自らの生みの親であるマザーと再会する。自分が倒した竜の上位種である龍と戦い、難なく打ち倒して去るマザーの姿を見て、蜘蛛子は強くはなっても上には上がいることを実感する。そしてマザーの攻撃で辛うじて生き残っていた火龍レンドは、蜘蛛子に矛先を変えて襲い掛かって来る。相性の悪い格上の相手であったが、新たな並列意思、魔法担当二号の存在と魔法によるからめ手を駆使して、辛くも蜘蛛子はレンドに勝利を収める。

第6巻

火龍レンドを打ち倒した蜘蛛子であったが、その目の前に突如、黒ずくめの男、ギュリエディストディエスが現れる。ギュリエディストディエスが話しかけるが言葉が通じず右往左往する蜘蛛子、そこにさらにどこからともなくスマートフォンが現れる。自らをDと名乗る謎の女性は、スマートフォンを通じてギュリエディストディエスと会話し、彼を立ち去らせる。そして、Dは蜘蛛子に日本語で話しかけ始める。蜘蛛子はDこそが自分に叡智を与えた存在だと確信する。Dが心底自分を玩具としか思っていないことに戦慄するが、彼女との会話からすぐに自分をどうこうするつもりはないと考え、蜘蛛子は問題を棚上げする。一方的に話しかけ、同じように去っていくDを見送り、蜘蛛子は探索を再開する。そして蜘蛛子はついに上層へとつながる道を見つけ、上層への帰還を果たすのだった。蜘蛛子は成長しきったため、上層では敵なしの状態となっており、自堕落な日々を過ごしながら、新たな目標である「人類との交流」を果たすため、特殊な進化「アラクネ」を目指すことを決める。人に近しい姿をした魔物、アラクネであれば人と会話できると蜘蛛子は考えるが、そのための第一歩として「エデ・サイネ」への進化を果たしたことで禁忌が最大値となり、発動。蜘蛛子は禁忌に隠された世界の真実を知ってしまう。

第7巻

禁忌によって世界の真実を知った蜘蛛子は、この世界がすでに滅びつつあり、生存のためには強くならざるを得ないと知る。また強くなったことで、自分とマザーのあいだにつながりがあり、無意識化であやつられていたことを知る。生き残るためにも強者たちと戦う必要があると実感した蜘蛛子は、まずそのつながりを逆に利用してマザーの精神に並列意思たちを送り込み、精神攻撃を始める。また強くなるために強者との戦闘を求め、エルロー大迷宮の下層に再び赴き、探索を開始する。そして蜘蛛子は、転生後最大のトラウマを植え付けた相手、地龍アラバを再び目にする。かつての恐怖を乗り越えるためにも、地龍アラバへの再戦を決める蜘蛛子であったが、同時に精神攻撃を受けたマザーが反撃を開始、蜘蛛子のもとに大量の蜘蛛系モンスターを送り込む。蜘蛛子はマザーの軍勢を迎え撃ち、それを利用してレベルアップをする。しかし、軍勢を打ち倒して上層に戻って来た蜘蛛子を迎えたのは、人間たちの軍勢だった。実は蜘蛛子が上層で暴れまわったせいで、魔物たちは逃げるために大移動を開始。その異変が、迷宮で目撃された突然変異の蜘蛛系モンスターにあると考えたレングザント帝国は、その魔物を捕獲するべく最強の魔法使いであるロナント・オロゾイと、大量の兵士を送り込んだのだ。人類と交流したい蜘蛛子であったが、兵士に攻撃されかかったため、思わず反撃。牽制のつもりだったがその一撃で兵士が死亡し、なし崩し的に戦うこととなる。そして蜘蛛子は逃げ出した兵士にマーキングを施し、迷宮の脱出口に当たりを付けるのだった。

第8巻

蜘蛛子マザーへ精神攻撃を続けているため、時間をかければマザーを倒すことができると考え、時間稼ぎのためにもエルロー大迷宮の外に出ることを決める。しかし、その前に最後のやり残しとして、地龍アラバとの再戦に挑む。成長したとはいえ相手ははるかに格上で、蜘蛛子は己の持てる手札をすべて切る。蜘蛛子はからめ手を使って地龍アラバを罠にかけることに成功するが、そこで地龍アラバは蜘蛛子に対抗するためのスキルを取得。今まで強敵に対して対策を練ってきた蜘蛛子は、ここで初めて逆に対策を取られてしまう。追い詰められた蜘蛛子は捨て身の腐蝕攻撃で反撃し、激闘に次ぐ激闘の果て新たな支配者スキル「怠惰」の力で勝利する。そして地龍アラバは潔く負けを認め、おとなしく蜘蛛子の手にかかって死亡する。その潔い姿に、今まで生き足掻いてきた蜘蛛子は苦い思いを抱き、勝利こそすれど後味の悪い思いを抱いて迷宮をあとにするのだった。蜘蛛子は気持ちを切り替え、初めての外を満喫するが、そこで大爆発が引き起こされる。蜘蛛子の時間稼ぎ作戦はマザーが迷宮から出られないことを前提に考えていたが、マザーは迷宮の天井を吹き飛ばし、外に這(は)い出る。久しぶりに対峙するマザーの能力を鑑定する蜘蛛子は、地龍アラバの5倍のステータスを持つマザーには勝ち目がないと悟り、一目散に逃げ始めるのだった。

表現上の特徴

本作『蜘蛛ですが、なにか?』は小説『蜘蛛ですが、なにか?』のコミカライズ作品で、基本的なキャラクターデザインは原作を踏襲しているが、主人公の蜘蛛子のみ原作版のデザインとは大幅に違っている。このことについてはかかし朝浩が、本作のコミックス第5巻の巻末おまけ漫画「メイキングオブ漫画版蜘蛛子」において、原作版のデザインの完成度が高すぎて動かせられないこと、リアルな蜘蛛描写は読者に受け入れられないことを念頭に、さまざまな試行錯誤の結果生まれたと語っている。この漫画版の蜘蛛子のデザインは原作者の馬場翁、原作キャラクターデザインの輝竜司にも好意的に受け入れられており、本作の第1巻の巻末には、輝竜司が描いた漫画版の蜘蛛子のイラストが収録されている。また、グラタン鳥が作画を担当する本作のスピンオフ『蜘蛛ですが、なにか? 蜘蛛子四姉妹の日常』でも、蜘蛛子体担当魔法担当魔法担当二号は本作のデザインが採用されている。

関連作品

小説

本作『蜘蛛ですが、なにか?』は、馬場翁の小説『蜘蛛ですが、なにか?』を原作としている。原作小説版のキャラクターデザインは輝竜司が担当している。内容は本作と同じく、蜘蛛のモンスターに転生したぼっち女子高校生が、過酷なサバイバル環境を生き抜き、やがて世界の真実に近づいていくというものになっている。原作小説はもともと「小説家になろう」に投稿されたが、書籍化にあたりネット版の内容を一部改稿している。

漫画

本作『蜘蛛ですが、なにか?』のスピンオフ作品として、グラタン鳥の『蜘蛛ですが、なにか? 蜘蛛子四姉妹の日常』がある。『蜘蛛ですが、なにか? 蜘蛛子四姉妹の日常』は、本作でも繰り広げられた蜘蛛子体担当魔法担当魔法担当二号たちのコミカルな掛け合いを、より賑やかに派手にしたギャグ漫画となっている。蜘蛛子と並列意思のデザインは漫画版のものが採用されており、かかし朝浩もキャラクター原案としてクレジットされている。

登場人物・キャラクター

蜘蛛子 (くもこ)

蜘蛛系の魔物「スモールレッサータラテクト」に転生した女子高校生。名前はまだなく、そのため適当に「蜘蛛子」と名乗っている。一人称は「私」で、前世の名前が明かされていないこともあり、「私」表記されることも多い。口癖は「ないわー」。転生前は家庭が崩壊しており、家でも学校でもほとんど一人で引きこもりのような生活を送っていた。性格は楽天的で愉快な思考回路をしているが、対人経験が致命的にないため、人前になると何を話したらいいのかわからなくなる。自他共に認める「コミュ障」で、人前では人が変わったようにおとなしくなる。趣味はネットゲーム。世界最大のダンジョン「エルロー大迷宮」に最弱モンスターとして転生し、過酷な環境で生き抜いていく。ステータスは迷宮の魔物の中でもぶっちぎりで低いが、転生特典の「韋駄天」のお陰で速度のみは高い。糸を使ったからめ手と毒攻撃を得意とし、これらを駆使することで格上にも勝利している。迷宮でのサバイバル生活で生き抜くということを学んでいったため、生への執着心は強い。それに伴って自分の生き方に極度の干渉をされるのを嫌っており、ゲーム的な異世界を当初は楽しんでいたが、次第に異世界に疑問を抱き始める。また、自分の居場所である「マイホーム」を手作りしたため、それらへの愛着が強く、他人に壊されることを極度に嫌う。Dのことは恐れているが、Dからは蜘蛛子の右往左往する姿を愉悦の対象として見られており、のちにお気に入りとして「叡智」のスキルを与えられている。最弱の魔物だったが着々と勝利を積み重ねることで、「スモールタラテクト」「スモールポイズンタラテクト」「ゾア・エレ」「エデ・サイネ」へと進化していく。進化の最終系である「ザナ・ホロワ」となったことで「不死」のスキルを獲得して、システム内では不死身となる。並列意思スキル取得後は、「情報担当」として鑑定で相手の情報を分析し、各並列意思の指揮を担当する。情報担当時の脳内イメージは眼鏡をかけた蜘蛛の姿。

フェイルーン

本作『蜘蛛ですが、なにか?』コミックス収録の書き下ろし漫画「もう一人の「転生者」」の主人公。地龍の子供に転生した女子高校生。大型犬のような姿をしたトカゲで、シュレイン・ザガン・アナレイトのペットして飼われている。実は蜘蛛子が拾ったものすごく固い卵は彼女が入っていた卵で、蜘蛛子のマイホームが冒険者に襲われた際に、戦利品として持ち帰られた。その後、紆余曲折の末に卵はシュレインの手に渡り、彼の手元でふ化する。シュレインに「フェイルーン」と名づけられ、「フェイ」の愛称で呼ばれる。前世の名は「漆原美麗」で、シュレインとは同郷の間柄。前世では若葉というクラスメイトをいじめていたため、転生して魔物になったのは罰が当たったと考え、罪滅ぼしのためにも魔物であることを受け入れ、今世はまじめに生きようと思っている。シュレインといっしょに過ごすうちに、考えた言葉を相手に直接伝える「念話」のスキルを取得し、シュレインたちと意思疎通が可能となる。その後はお互いの境遇を理解し、仲間として交友を育んでいく。

体担当 (からだたんとう)

蜘蛛子の並列意思の一つ。蜘蛛子が一番初めに生み出した並列意思で、本体が「情報担当」になったのに対し、肉体の動きを担当する「体担当」となった。蜘蛛子の脳内イメージは、デフォルトの蜘蛛子にハチマキを巻いた体育会系の姿となっている。肉体の操作を担当するため、よく地道で面倒な作業を割り振られており、それを愚痴っている。マザーに精神攻撃をする際に、蜘蛛子によってマザーの精神に送り込まれる。

魔法担当 (まほうたんとう)

蜘蛛子の並列意思の一つ。蜘蛛子が2番目に生み出した並列意思で、一人目の魔法担当であるため「魔法担当」、もしくは魔法担当二号と区別するため「一号」と呼ばれる。魔法担当二号が大技を担当するのに対し、臨機応変に魔法を使って蜘蛛子をサポートするのを役割とする。蜘蛛子の脳内イメージは、デフォルトの蜘蛛子にとんがり帽子をかぶせ、いつも目をつぶった姿となっている。マザーに精神攻撃をする際に、蜘蛛子によってマザーの精神に送り込まれる。

魔法担当二号 (まほうたんとうにごう)

蜘蛛子の並列意思の一つ。蜘蛛子が3番目に生み出した並列意思で、二人目の魔法担当であるため「魔法担当二号」、もしくは縮めて「二号」と呼ばれている。魔法担当が臨機応変に魔法を使うのに対し、魔法担当二号は彼女らが戦っている裏で大技の準備を整えるのを役割とする。蜘蛛子の脳内イメージは、デフォルトの蜘蛛子にシルクハットをかぶった姿で、ほとんど魔法一号と同じ姿をしている。キャラの区別化のためか、なぜか博多弁でしゃべる。マザーに精神攻撃をする際に、蜘蛛子によってマザーの精神に送り込まれる。

地龍アラバ (ちりゅうあらば)

エルロー大迷宮の下層に住む地龍。魔物の中でも珍しく固有名を持つ個体で、巨大な狼とトカゲを合わせたような姿をしている。下層に迷い込んだ蜘蛛子の前に姿を現し、彼女に転生直後最大級のトラウマを刻み込んだ。ステータスはすべて4000オーバーの高い数値を持ち、すべてにおいてスキのないオールラウンダーなスキル構成をしている。蜘蛛子は悔しいとさえ思うのを許さない地龍アラバの力に怯(おび)え、息をひそめて隠れることで生き延びることに成功する。しかし地龍アラバの能力から、自分に気づかないのはあり得ないと蜘蛛子は考え、あえて見逃されたのだろうと考えている。蜘蛛子は地龍アラバの強さに恐怖と同時にあこがれも感じており、成長するにつれ、自分の超えるべき壁として認識し始める。蜘蛛子はエデ・サイネへ進化後、万全の準備を整えたうえで、地龍アラバとの再戦に挑む。元のステータスの高さに加え、実は知能も高く、さまざまな戦術を駆使する。言葉を発することはないが、蜘蛛子とは戦いを通じて、その有り様を見せつけた。武人のような高潔な性格で、蜘蛛子を強敵と認め、保有していた大量のスキルポイントを使い、蜘蛛子対策のスキルを大量に取得する。その際には蜘蛛子の弱点である火をあやつる力を得て、火龍以上に火をあやつる存在へと成長する。激闘の果てに最期は自分の負けを悟り、潔くすべてのスキルの利用を止め、自ら首を差し出す。しかし、その潔すぎる姿勢が蜘蛛子を憤慨させ、勝ちはしたものの蜘蛛子の心に消しようのない後味の悪さを残すこととなる。

火龍レンド (かりゅうれんど)

エルロー大迷宮の中層に住む火龍。魔物の中でも珍しく固有名を持つ個体で、大きな角をいくつも生やしたトカゲのような姿をしている。エルローゲソネーカよりさらに上位の種族で、エルローゲソネーカの弱点だった状態異常に対しても耐性を持ち、攻防スキのないステータスをしている。中層に侵入して来たマザーと遭遇、マザーに軽くあしらわれ、その後、怒りのまま同じ蜘蛛系モンスターである蜘蛛子に襲い掛かる。エルローゲソネーカと同じく下位種の軍勢を持つが、マザーに吹き飛ばされ全滅。さらに火龍レンド自身も手傷を負っていたため、火が苦手な蜘蛛子を圧倒するが、幻覚で目をくらませられたところに、毒と腐蝕攻撃、深淵魔法を立て続けに食らい敗れる。

D (でぃー)

謎の存在。素顔は不明ながら女性らしく、怖いくらいきれいな女性の声をしている。蜘蛛子たちを転生させた張本人で、異世界のシステムの上位管理者でもある。「世界最悪の邪神」を自称し、その名のとおり神に等しい力と、悪辣な本性を持つ。実は蜘蛛子たちのクラスメイトの一人。先代勇者と魔王が協力して放った次元魔法の直撃を受けるが、倒れることなく不完全な次元魔法によって周囲に被害が広がり、彼女の周囲にいたクラスメイトと教師が巻き込まれてしまう。先代の勇者と魔王に攻撃されたのは、Dたち管理者が諸悪の根源と教え込んだ「誰か」がいるためで、Dはそれを知りつつも半ば放置していた。自分が攻撃されてもいっさい気にしない超越的な思考を持つが、それに巻き添えになってクラスメイトたちが死んだことにはさすがに責任を感じ、彼らの魂を保護し、記憶を保持したまま異世界に転生させている。なおその際に、転生者が最低限生き残れるようにn%I=Wという謎のスキルを付与している。蜘蛛子の奮闘を面白おかしく見物することを決め込み、彼女の奮闘にご褒美として「叡智」のスキルを作り出し与えている。蜘蛛子のことを玩具としか考えておらず、それを隠そうともしていない。そのため蜘蛛子からは嫌われているが、その反応すら楽しんでいる。

ギュリエディストディエス

システムの管理者の一人。黒い鎧(よろい)を身にまとった男性の姿をしている。火龍を打ち倒し、支配者権限を三つ持つ蜘蛛子の目の前に現れるが、Dに手出し無用とされ引き下がる。アリエルとは古い顔なじみ。魔王、アリエルすら超える最強の存在だが、なんらかの思惑があって人魔戦争を引き起こした魔王軍に合流した。魔王軍では「黒」の名を名乗り、第九軍の軍団長として君臨している。

アリエル

今代の魔王の座に就く女性。黒髪をショートカットにした10代前半の少女のような姿をしているが、蜘蛛系モンスターの原点にして頂点「オリジンタラテクト」と呼ばれるモンスターで、クイーンタラテクトすら支配下に置く強大な存在。ステータスはほぼ9万オーバーで、膨大な数のスキルと「支配者スキル」の一つ「暴食」を所持している。禁忌についても知っている素振りを見せ、配下である魔族を力と恐怖で支配し、人族との全面戦争「人魔戦争」を引き起こそうとしている。蜘蛛子にシステム外攻撃されたマザーから救援信号を受け取り、マザーを助けるため蜘蛛子の前に立ちふさがる。パンチ一発で蜘蛛子の体を粉々に打ち砕くが、蜘蛛子が不死のスキルを持っていたため、完全に打ち倒すことには失敗する。そして今度こそ確実に倒すため、蜘蛛子の行方を追っている。

マザー

エルロー大迷宮に住むクイーンタラテクト。全長30メートルはあろうかという巨大な蜘蛛系モンスターで、大量の卵を産んで自らの眷属(けんぞく)を増やしている。蜘蛛子もマザーが生んだスモールレッサータラテクトの1体であり、蜘蛛子にとっては今生の母親ともいえる。ただし、魔物であるため肉親の情といったものは存在せず、生まれた直後に蜘蛛子はマザーがスモールレッサータラテクトを共食いしているのを見て、即座に逃げ出した。ステータスはすべてが2万オーバーで、蜘蛛子が激闘の果てに倒した地龍アラバの約5倍。さらに自らの生んだ強力な蜘蛛系モンスターを支配下に置く「眷属支配」のスキルを持ち、蜘蛛の軍勢を手駒として揃えている。眷属支配はある程度育った個体を狙って支配するため、急激に成長した蜘蛛子は次第にマザーの影響下に置かれてしまう。蜘蛛子は完全に支配下に置かれる前にその事実を聞き、逆に支配下に置こうとするつながりを利用して、マザーの精神に並列意思を送り込み、精神攻撃を加える。蜘蛛子の精神攻撃はシステムによらない攻撃であるため、マザーには防御も排除もできず、次第に魂を削られてしまう。実は蜘蛛子の精神攻撃に対して対策を行うなどかなり知能の高い魔物で、ステータスだけではない強さも持つ。さらに彼女自身もアリエルの作り出した眷属の1体で、蜘蛛子の攻撃を危機と認め、アリエルに救援を頼んでいる。

ロナント・オロゾイ

レングザント帝国に所属する魔法使いの老爺。かなりの高齢だが年齢を感じさせないかくしゃくとした人物で、かなりマイペースな性格をしている。身分や礼儀を気にせず、気分によって勅命すら平気な顔をして無視するが、それでも地位を追われない帝国最高位の魔法使いで、魔法に関しては確かな実力を持つ。帝国より蜘蛛子の捕獲を命じられ、ブイリムスと共にエルロー大迷宮に赴く。「魔導の極み」を持つ蜘蛛子を自分以上の魔法の使い手と考え、その存在に強く興味を覚える。蜘蛛子に襲われた仲間を助けるべく、仲間たちと共に転移の魔法で逃亡するが、蜘蛛子を見たことで心境に大きな変化が訪れる。

ブイリムス

レングザント帝国に所属する召喚士の青年。ロナント・オロゾイの部下で責任感が強く、まじめな性格をしている。帝国より蜘蛛子の捕獲を命じられ、ロナントの部下として同行する。最近、我が子が生まれたばかりだが、任務のせいで家に帰れずに子供の顔を未だに見られずにいたのを心残りにしている。魔物をあやつる召喚士で、蜘蛛子との遭遇時は4体の魔物をあやつって蜘蛛子の足止めを行う。しかし蜘蛛子には通じず、最後は身を挺してロナントを庇(かば)い、瀕死の重傷を負う。転移したロナントに連れ帰られ、治療されたことで辛うじて息をつなぐ。

シュレイン・ザガン・アナレイト

アナレイト王国の第四王子。利発そうな雰囲気を持つ少年で、快活でやさしい性格をしている。転生者の一人で、前世の名前は「山田俊輔」。親しい人からは「シュン」の愛称で呼ばれる。フェイルーンをペットとして飼っており、名前を付けた。フェイルーンが前世の知り合いだったことには気づいておらず、のちに彼女から念話で正体を告げられて驚く。カルナティア・セリ・アナバルドとは前世からの親友同士で、今世でも腹を割って話せる友人として交友を育んでいる。

カルナティア・セリ・アナバルド

アナレイト王国のアナバルド公爵家令嬢。赤毛の髪を長く伸ばした利発そうな少女で、フェイルーンには「ガチのお嬢様」と評されている。身近な人間からは「カティア」の愛称で呼ばれる。その正体は転生者の一人。前世は「大島叶多」という名の男子高校生で、転生者の中でも珍しく、転生後に性別が変わっている。ふだんは絵に描いたお嬢様のように振る舞っているが、気を抜いた際には一人称が「私」から「俺」になり、気安い口調となる。シュレイン・ザガン・アナレイトとは前世からの親友同士といった間柄で、転生後もいち早くお互いの存在に気づき、交友を育んでいる。

場所

エルロー大迷宮 (えるろーだいめいきゅう)

世界最大の巨大ダンジョン。ダズトルディア大陸とカサナガラ大陸にまたがって存在する大規模な地下迷宮で、大きく分けて「上層」「中層」「下層」の三つの層で構成されている。上層部分は比較的出現する魔物も弱く、人間の冒険者が活動する範囲となっている。中層は灼熱とマグマが支配する階層で、広大な上に火をあやつる下位竜種が跋扈(ばっこ)していることもあり、火や熱への耐性がなければ生きていけない階層となっている。下層は上層に似て洞窟のような階層だが、上層に比べて大きな空間が多い。中層のように火や熱はないが、純粋に強い魔物や厄介な特性を持つ魔物が多く、わずかながら竜種の上位種族である「龍」も生息している。龍の戦闘能力は圧倒的で、並以下の魔物であれば戦闘に巻き込まれただけで命の危険がある。迷宮内には独自の生態系が存在し、この迷宮に住み着く魔物の中には種族名に「エルロー」と付いた、この地特有の種族も多い。また、エルロー大迷宮には世界に5体しか存在しないクイーンタラテクトのうちの1体、マザーが生息している。マザーは積極的に破壊活動は行わないが、上層で産卵を行うこともある。

その他キーワード

鑑定 (かんてい)

スキルの一種。蜘蛛子が初めて取得したスキルで、アイテムや人、魔物など、対象の情報を表示する効果がある。ただし表示される情報はスキルのレベルに依存し、レベル1では「石」や「壁」など見たまんまの情報しか表示されない。高レベルになるにつれ開示される情報も多くなり、地名や種族名、固有名詞などの詳細な解説、関連した情報の追加表示、所有スキルを鑑定してからの、その効果を二重鑑定するなど、レベルによってさまざまな機能が追加される。ただし、鑑定の熟練度は同じものを鑑定し続けていても上がらないため、いろいろなものを鑑定して回る必要がある。高レベルになるとスキルレベルを上げるため、より多くの熟練度を必要とするため、高レベルの鑑定持ちは希少となっている。高レベルの鑑定持ちであれば、敵対者の鑑定もできるが、ある程度実力差がある場合、鑑定は失敗となる。また、無許可に鑑定されると特有の不快感を感じるため、場合によっては鑑定するだけで敵対宣告と見なされる場合もある。一般には鑑定の効果を持つ「鑑定石」と呼ばれるアイテムが流通しており、質のよいものであれば鑑定レベル8と同等の効果がある。支配者権限を持つ者は「鑑定拒否」の権限を持つため、鑑定はできない。蜘蛛子にとって思い入れの深いスキルで、擬人化して「鑑定さん」と呼んでいる。蜘蛛子の脳内イメージでは低レベルのうちは「残念感あふれるちょっとダメな子」だったが、レベルが上がるにつれ「いかにも仕事ができそうなクールビューティー」となっている。鑑定スキルは通常はレベル10が打ち止めで、それ以上の成長はない。しかし、鑑定に思い入れのある蜘蛛子が漏らした愚痴を聞き入れたDが、新たな支配者スキル「叡智」を生み出し、これを蜘蛛子に与えている。

探知 (たんち)

スキルの一種。魔力探知や熱探知など、探知系のスキルをすべて内包した高性能なスキルで、取得ポイントは100ポイントであるため、比較的簡単に取得することができる。ただしあまりに高性能すぎるため、使えば頭が割れるほどの情報を脳に叩き込まれることとなる。その情報量は外道耐性が上がるほどで、ほとんど精神攻撃の領域。また探知のスキルレベルが上がれば、取得できる情報量が増えるため、結果的にさらに頭に叩き込まれる情報量は増え、使いづらさが増す。探知スキルを取得すると探知系スキルが統合されてしまうため、魔力を扱うために必要な魔力探知のスキルも探知のスキルに統合されて使えなくなってしまう。魔力探知のスキルだけ個別発動ということもできないため、探知スキルを取得した者は、探知スキルの使い勝手が恐ろしく悪いため、事実上ふつうの方法では魔法が使えなくなる。蜘蛛子はスキルの詳細を知らずに取得してしまったため、このスキルのせいで長らく魔法が使えなくなっていた。しかし忍耐の「支配者スキル」を取得し、外道無効のスキルを獲得したことで、ようやく探知スキルをまともに使えるようになる。鑑定スキルがレベル10になった際に、レベル10となっていた探知スキルも「叡智」に統合される。

韋駄天 (いだてん)

スキルの一種。蜘蛛子の転生特典で、スキルレベル×100の速度にステータス補正を与え、さらに速度にスキルレベル×10分のレベルアップ補正を与える効果がある。速度系のスキルの最上位スキルで、蜘蛛子はこのスキルのお陰もあり、危険極まりないエルロー大迷宮の環境でも逃げ回ることができている。蜘蛛子はこのスキルを持っているのは、前世のネットゲームでの経験が反映されているのではないかと考えている。

並列意思 (へいれついし)

スキルの一種。複数の物事を同時に思考する「並列思考」の上位スキルで、自らと同等の思考能力を持つ分身を生み出すことができる。並列思考が脳の処理能力を分割して別々の思考をするのに対し、並列意思は同じ処理能力を持つ分身を生み出すもので、意図的に多重人格を生み出すのに近い。蜘蛛子はこのスキルを使って肉体の操作を担当する体担当、魔法の構築を担当する魔法担当と魔法担当二号を生み出している。並列意思は限りなく自分に近いコピーだが、別々の思考を持ち、それぞれが自律的に思考する。このため、精神汚染などによって精神に変調があった場合、並列意思同士でも意思疎通に齟齬(そご)が生じる。また、並列意思はあくまで意思を増やして思考能力を増やすだけであるため、脳の処理能力そのものは変わらない。これに対して蜘蛛子は並列意思の応用技として「同調レベル最大」という技を編み出しており、本体と並列意思の思考を寸分の狂いもないレベルで同調させることで、脳の処理能力を大幅に引き上げている。

万能糸 (ばんのういと)

スキルの一種。蜘蛛子がゾア・エレになって新たに習得したスキルで、糸の伸縮性や粘性、強度をカスタマイズすることで、斬撃や打撃、衝撃とあらゆる攻撃を可能とする。汎用性、応用性が非常に高いスキルだが、火に弱い弱点はそのまま。糸を自在にあやつる「操糸」のスキルとは相性が抜群で、これらを駆使することでトラップから直接攻撃まで、さまざまに活用できる。

外道魔法 (げどうまほう)

スキルの一種。蜘蛛子が初めて取得した魔法系のスキルで、魂や精神に干渉する外道属性の魔法をあやつることができる。相手に幻を見せる「幻夢」や、相手に痛みを与える「幻痛」などが存在する。幻痛は直接的なダメージを与えないため、使っても相手のHPを減らすことはできない。しかしどれだけステータスが高く、痛覚を軽減するスキルを持っていようとも、必ず痛みを与えるため、生まれながらの強者ほど痛みによってスキを晒(さら)すこととなる。外道属性を軽減する外道耐性のスキルを所持していれば抵抗は可能。

深淵魔法 (しんえんまほう)

スキルの一種。暗黒系魔法の最高位に位置する魔法で、下位魔法には「影魔法」「闇魔法」「暗黒魔法」が存在する。鑑定でもいまいち要領を得ない解説しか存在せず、攻撃魔法であるという点以外は効果は不明。威力は絶大だが、叡智の力で魔法に関してはトップクラスの技量を持つ蜘蛛子ですら、レベル1の呪文「地獄門」の発動に手こずるほど難易度が高い。とても使いづらい魔法で、ふつうの方法では実践ではとても使えた魔法ではないが、蜘蛛子は魔法担当二号を利用することで深淵魔法を実用段階に引き上げている。

空間魔法 (くうかんまほう)

スキルの一種。空間をあやつる魔法で、高位のレベルになれば一瞬で遠隔地に移動する「長距離転移」や、所有物を収納する「空納」を習得することができる。一方で、低レベルの場合は「座標指定」という「座標を指定する」魔法しか使えない。座標指定はほかの空間魔法を使用する際に、前提として使用する魔法なため、これ単体ではほとんど何もできない魔法となっている。高レベルになれば便利な反面、前提となる座標指定を磨かなければそもそも使えない魔法で、術式の構築難易度も高いために高レベルの使い手は希少。「長距離転移」は移動だけではなく逃げの一手としても非常に優秀な魔法だが、構築には叡智を持つ蜘蛛子でも相応に手間がかかる。また、多人数を長距離移動する「大規模転移」はさらに難易度が高いため、発動には熟練者でも相応の時間を必要とする。

過食 (かしょく)

スキルの一種。限界を超えて食べることができ、その分を余剰SPとしてストックする効果がある。ただし、蓄えた余剰SPに応じて体型が太るデメリットがある。蓄えられる余剰SPはスキルのレベルに依存する。蜘蛛子は狩った獲物への敬意と、過酷なエルロー大迷宮での経験から「お残ししない主義」を信念としており、大量に獲物を得た際には役立っている。蜘蛛子の場合、蜘蛛の見た目をしているためデメリットも少なく、進化などで大量にSPを消費するため、SPのストックのためよく活用される。上位スキルは「飽食」で、ストックできる余剰SPの量が増える。

毒合成 (どくごうせい)

スキルの一種。称号「毒術師」を取得したことで、蜘蛛子はこのスキルを取得した。MPを消費して毒を合成するスキルで、素材を必要とせずさまざまな種類の毒を作り出すことができる。スキルのレベルが上がることに毒をカスタマイズできる項目が増えるが、毒の威力を高めれば高めるほどMPの消耗も激しくなる。毒合成と似たような効果を持つ魔法で「毒魔法」が存在するが、こちらは遠距離に毒を飛ばせるものの毒の威力が低いという違いがある。そのために蜘蛛子は、実戦では毒合成と毒魔法を状況に応じて使い分けしている。またエルロー大迷宮の中層では、蜘蛛子はわざと弱い毒を作ることで、熱や火を防ぐのにも利用している。毒魔法と毒合成はそれぞれ薬系のスキルと表裏一体の関係となっており、スキルレベルが10に達するとそれぞれ「薬魔法」と「薬合成」を派生させている。

魔闘法 (まとうほう)

スキルの一種。MPを消耗してステータスを強化することができる。蜘蛛子の場合は魔導の極みの恩恵で、ほぼノーコストで発動させることができるため、常時発動してステータスを強化している。同系統のスキルでMPの代わりにSPを消耗する「気闘法(きとうほう)」が存在し、重ね掛けしてステータスをさらに底上げすることも可能となっている。

禁忌 (きんき)

禁忌を犯した者が得る謎のスキル。通常のスキルと違って訓練やスキルポイントによる取得ではなく、称号やスキルを取得した際に、副次的な結果として取得する。スキルの場合は「支配者スキル」など、有用なスキルほど禁忌を取得するリスクが存在する。称号の場合は、「血縁喰ライ」など猟奇的で危険な行動を犯した結果、称号と共に禁忌を得るケースが多い。不吉な字面を持つスキルだが、取得するだけではなんのデメリットもない。しかし禁忌関連のスキルや称号を取り続け、レベルが10に達すると「世界の真実」が強制的に脳に送り込まれる。世界の真実は蜘蛛子によると、転生者の自分であるからこそ不快で済んでいるものの、この世界の人間が知れば文字どおり発狂ものと言っている。また禁忌専用の特別なメニューが解放されるが、それらもロクな情報を記載していないうえ、所持者はどこからともなく聞こえる贖罪(しょくざい)を求める声をつねに聴き続けるため、禁忌を犯した者の精神をあの手この手で削り続けるスキルとなっている。

n%I=W

転生者のみが持つ謎のスキル。鑑定結果は「鑑定不可」で効果は不明。通常の方法では取得できず、転生者のみが初めから取得しているスキルとなっている。Dによると転生者が最低限生き残れるために付与したスキルで、システムの日本語翻訳やレベルアップ時の回復などはこのスキルによる恩恵とのこと。

傲慢 (ごうまん)

「支配者スキル」の一つ。蜘蛛子が取得している。取得すると「傲慢の支配者」の称号も与えられ、称号効果により「深淵魔法」と「奈落」のスキルが得られる。傲慢のスキル効果は取得経験値と熟練度の大幅な上昇で、レベルとステータス、スキルの成長速度を大幅アップさせる。その成長速度は明らかに異常なレベルで、適性さえ合えば、育てるのが難しい高レベルの上位スキルも簡単に成長させることができる。一方で、実は支配者スキルの中でも最悪レベルで精神の汚染がひどいスキルで、スキルの効果を実感すればするほど、経験値を得るために好戦的になるという大きなデメリットがある。最終的には自分以外の存在が経験値にしか見えなくなるという、文字通り「傲慢」な存在へと変貌する。また、このスキルはあくまで取得する経験値を増加するだけで、経験値を注ぎ込む器を大きくする効果はない。そのために精神が汚染されて戦い続けると、キャパシティを超えて経験値が器にため込まれ続け、いずれ限界に達して器は破裂し、自滅するとされる。非常に危険なスキルながら、この支配者スキルを所持することが、蜘蛛子が目指す「アラクネ」の進化条件の一つとなっている。

怠惰 (たいだ)

「支配者スキル」の一つ。蜘蛛子が取得している。取得すると「怠惰の支配者」の称号も与えられる。怠惰のスキル効果は「自身を除く周辺のシステム内数値の減少量を大幅に増加させる」で、自分以外の者がスキルを使用した際の「HP」「MP」「SP」の消費を大幅に増加することができる。HPとMPは自動回復手段があるが、SPには存在しないため、スキルを多く持つ者が全力を出せば出すほど消耗が激しくなる。効果は一見地味だが長期戦では無類の強さを発揮するスキルで、蜘蛛子が地龍アラバと戦った際の決め手となった。支配者スキルの中でも例外的に精神の汚染がないが、実は初代所持者が過労死したという「怠惰」とは正反対の末路をたどった経緯がある。この経緯が反映されているのか、周囲をスキル効果で強制的に怠惰にし、本人はあくせく働くという、ある意味で非常に縁起の悪いスキルとなっている。

叡智 (えいち)

Dが新たに生み出した「支配者スキル」。蜘蛛子が取得している。鑑定がレベル10に達した際に、蜘蛛子が何気なくつぶやいた発言を面白いと思ったDが生み出し、蜘蛛子に与えた。鑑定と探知の能力を合わせたうえで強化した性能を持ち、鑑定の結果に「詳細」という項目が追加され、さらに詳細な情報を参照することができる。また「検索」機能も追加され、システム内の情報であればほとんどの情報の閲覧が可能となっている。それに加えて探知をしたものをマーキングして追跡するなど、新たな機能も追加されている。叡智の取得者には「叡智の支配者」の称号も与えられ、称号効果により「星魔」と「魔導の極み」のスキルが得られる。星魔は「MP」「魔法」「抵抗」の各種ステータスに大幅な上昇補正と成長補正を与える効果がある。魔導の極みはMPの自動回復速度を最大にしたうえで、MPの消耗を最低値にし、さらにシステム内に置ける魔力の制御、術式の構築の能力値が最大値となる。どちらも魔法系の能力を最大限にまで上げるもので、蜘蛛子はこれらの能力への理解を深めることにより、システムの補助なしで魔法を構築するという離れ業を身につけている。

忍耐 (にんたい)

「支配者スキル」の一つ。蜘蛛子が取得している。取得すると「忍耐の支配者」の称号も与えられ、称号効果により「断罪」と「外道無効」のスキルが得られる。断罪はシステム内で積み重ねた罪の数に応じてダメージを与えるスキルとなっている。外道無効は外道耐性の上位スキルで、外道属性の攻撃を完全に無効化する効果がある。このため、外道無効と探知のスキルの組み合わせは抜群。

システム

世界を運営する謎のシステム。「レベル」や「スキル」「ステータス」「称号」が存在し、レベルを上げたり、称号を得たりすると、どこからともなくシステムメッセージが届き、それを把握することができる。蜘蛛子はその様をゲームのようだと感じており、システムメッセージを「天の声」と呼んでいる。システムの内側にいる者たちは、行動した結果がそれらの数値や効果に反映され、成長することができる。レベルは相手を殺した場合上がり、スキルは相手を効率よく殺すための道具としての側面が強いことから、システムそのものが「殺し合いをさせること」を前提にした仕組みとなっている。システムの管理、運営はDやギュリエディストディエスといった神々が行っており、また支配者権限を持つ者は限定的ながらシステムへの干渉ができる。システムの存在理由は「禁忌」のスキルを最大値まで上げることで知ることができる。過去の人類の愚行から世界を守る仕組みらしく、異世界の住人が禁忌に手を出せば高確率で精神を病むこととなる。

レベル

システムの一部。ある種の強さの目安のようなもので、レベルを上げることでステータスの上昇や、スキルの取得に使う「スキルポイント」の所得を行うことができる。レベルは他者の殺害を行うことで「経験値」を得ることができ、それが必要数に達することで「レベルアップ」することができる。魔物の場合、レベルの上限は種族によって違い、基本的に下位の種族ほど上限が低く、上位の種族ほど上限が高くなっている。魔物の場合はレベル上限に達すれば「進化」することができ、進化した魔物はレベル1となる。転生者のみn%I=Wの恩恵で、レベルアップするたびに傷が癒され、回復することができる。

ステータス

システムの一部。能力値を数値化したもので、鑑定スキルや「鑑定石」と呼ばれるアイテムを使うことで閲覧することができる。項目は「HP」「MP」「SP」「攻撃」「防御」「魔法」「抵抗力」「速度」が存在する。また保有している「スキル」「スキルポイント」「称号」も確認することができる。実はステータスには「隠し項目」と呼ばれるものが存在し、通常は鑑定を使っても閲覧することができないが、蜘蛛子は叡智を手にしたことで閲覧できるようになった。隠し項目には「魔法能力詳細」などが存在する。

SP (えすぴー)

ステータスの一つ。「スタミナポイント」の略称で、HP、MPが1本のバーで表示されるのに対し、SPは赤と黄色の2本のバーで表示される。スタミナポイントの名のとおり、スタミナを数値化したもので、黄色のバーは「瞬発力」、赤色のバーは「総体力」を表している。黄色のバーは激しい運動や、SPを代償とするスキルを使用すると消費される。黄色のバーは消耗も早いが、回復速度も速く、休憩すると急速に回復する。黄色のバーが尽きても激しい運動を続けていると、赤色のバーを消費し始める。赤色のバーが空になると、HPが急速に消費され始め、最終的にHPも尽きて死に至る。赤色のバーはHPやMPのようにスキルで回復することはできず、食事を取って栄養を補給することで回復することができる。

スキル

システムの一部。技や魔法といったさまざまな効果を持つ技能をシステムが補助するもので、取得することでその技能を使うことができる。ただし、魔法系のスキルは前提となる条件を満たし、使い方を知らなければ使用不可能。スキルの取得はレベルアップなどで得られるスキルポイントを消耗して得るか、地道に訓練して取得するか、もしくは称号の取得によって特典として得ることとなっている。得たスキルは使い続け、熟練度をためることでレベルが上がる。レベルの最大値は10で、一部のスキルは10になるとより上位のスキルへと進化する。称号の効果で上位のスキルを得た場合、下位のスキルは上位のスキルに統合される。スキルの統合には基本的にデメリットはないが、探知スキルのようにデメリットが存在するものも数が少ないが存在する。スキルは蜘蛛子の糸のように、応用することで戦闘以外の目的に使えるものがあるが、基本的に戦闘に直結したものがほとんど。シュレイン・ザガン・アナレイトはまるで「殺し合いをさせる」ためにスキルが存在するようだと推測している。スキルには適性が存在し、適性が高いスキルほどスキルポイントの消費が少なく、取得後もレベルが上げやすい。逆に適性が低いスキルほど、スキルポイントの消費が大きく、レベルも上げづらくなる。蜘蛛子の場合、種族特性として火系統のスキルや、コミュ障であるため「連携」「統率」といった集団行動系のスキルの適性が低い。

支配者権限 (しはいしゃけんげん)

「支配者スキル」と呼ばれる特別なスキルを取得したものが得る権限。支配者スキルは七大罪をモチーフにした「傲慢」「怠惰」「色欲」「強欲」「憤怒」「嫉妬」「暴食」の七つと、七美徳をモチーフにした「慈悲」「忍耐」「救恤」「節制」「勤勉」「謙譲」「純潔」の七つ、計14個が存在する。また、Dが新たに追加した「叡智」も支配者権限が与えられたため、現在は計15個となっている。ほかのスキルと違い、支配者スキルは一人しか取得することができず、前の取得者が死亡などによりスキルを手放さない限り、ほかの人間は取得できない。支配者権限には他者からの鑑定を妨害する「鑑定拒否」などいくつかの特権が与えられる。また支配者スキルは通常のスキルとは一線を画する規格外の性能があるため、権限と合わせることで所持者は非常に強力な存在となっている。支配者スキルは適正さえあれば、取得ポイントが低いため比較的に簡単に取得することができるが、これを取得するだけで禁忌のレベルが上がるなど大きなデメリットも存在する。また支配者スキルには、それ自体が所有者の意思に影響も与えるものもあり、スキルの性能が破格なだけに、精神を汚染された上でスキルで自滅してしまう危険性も存在する。

魔法 (まほう)

魔力を用いて超常現象を引き起こす技術。使うためにはまず魔力を認識し、それに干渉する必要がある。干渉した魔力を「術式」に流しこむことで、魔法は発動する。スキルの魔法スキルはこの術式に当たり、これの種類によって魔法の効果は大きく異なる。実は魔法スキルは、システムが魔法の発動を補助するだけに過ぎず、術式の構造さえ知っていれば魔法スキルがなくても魔法の発動は可能。ただしスキルなしでの魔法の発動は術式の難易度が高くて効率が悪いため、ふつうはやろうと思ってもできないといわれている。

腐蝕 (ふしょく)

属性の一種。蜘蛛子は「腐蝕属性」を、字面から物が腐ったりする属性と思っていたが、実際は「死の崩壊」を司る属性で、この属性の攻撃を食らうと、対となる「腐蝕耐性」を持っていない限り、いっさい防御できずに大ダメージを食らうこととなる。攻撃を食らった部分は黒くなり、その部分から腐り落ちるように消滅する。ただし「腐蝕攻撃」と「腐蝕耐性」は別物であるため、腐蝕耐性を持たずに腐蝕攻撃をすると、自分自身も腐蝕攻撃に巻き込まれて消滅する危険性が存在する。

外道 (げどう)

属性の一種。精神や魂に直接干渉する属性で、この属性を利用した外道魔法や、それに対抗する「外道耐性」と呼ばれるものが存在する。また、探知による精神的な苦痛も魂に多大な負荷を与えているため、探知をすればするほど外道耐性のスキルのレベルも上がる。蜘蛛子は成長するにつれ、次第に魔法への理解を深め、システムの補助によらない外道攻撃を編み出している。並列意思を利用したマザーへの精神攻撃もこれに当たり、システム外攻撃であるため、マザーはステータスでは蜘蛛子を圧倒しているものの、システムを利用した精神攻撃の防御・排除ができずにいる。

邪眼 (じゃがん)

視力を媒介に効果を発揮するタイプのスキルの総称。見ただけで相手を石化させる「石化の邪眼」や、相手に「腐蝕属性」の攻撃を与える「死滅の邪眼」が存在する。蜘蛛子は蜘蛛の自分には眼が八つあることから、それぞれの眼に別々の邪眼を発動させるのを目標にしている。現在取得済みなのは相手のステータスを低下させ、HP、MP、SPを減少させる「呪いの邪眼」、相手を麻痺させる「麻痺の邪眼」、遠くを見渡す「望遠」、任意の方向に引力・斥力を発生させる「引斥の邪眼」、それと「死滅の邪眼」となっている。

称号 (しょうごう)

システムの一部。特定の行動を取った際に、システムにより与えられる。称号自体がスキルのようになんらかの効果があり、さらに称号取得の際には特典としてスキルが付与される。また逆に「支配者スキル」のように、スキルの取得が称号の獲得条件となっている場合もある。魔物の場合は、進化の条件に特定の称号の所持が条件として求められることもある。肉親を共食いする「血縁喰ライ」の称号のように、ネガティブで猟奇的な称号には「禁忌」のレベルが上がるものも存在する。

悪食 (あくじき)

称号の一種。一定期間内に大量の毒物を接種すると得られる称号で、胃腸などの消化器官が強くなる効果がある。また、称号効果として「毒耐性」と「腐触耐性」のレベル1が付与される。毒物に強くなり、消化器官は強化されるが、味覚が変化するわけではないため、マズイ物はマズイとしか感じない。過酷な迷宮の環境もあって、蜘蛛子は狩った獲物は必ず食べきる「お残ししない主義」を信念としていたため取得する。蜘蛛子はこの称号で腐蝕耐性を得ていたため、のちにゾア・エレになった際、腐食攻撃で自滅せずに済んでいる。

恐怖を齎す者 (きょうふをもたらすもの)

称号の一種。他者を恐怖させ、一定以上の恐怖耐性の熟練度を稼がせた者に贈られる。称号効果として「威圧」と「外道攻撃」のレベル1が付与される。この称号の取得者は、姿を見た者に恐怖を与えてしまう効果がある。この恐怖は外道属性による精神攻撃であるため、外道耐性を持っていなければ軽減はできない。人間と交流したい蜘蛛子にとっては致命的ともいえる効果で、称号はスキルとは違い効果をオフにできないこともあり、蜘蛛子はこの称号で無駄なトラブルを背負い込む羽目となる。また、称号の効果は魔物にも及ぶため、一時期は食料の確保にも苦労することとなる。類似効果を持つ称号として「覇者」も存在し、蜘蛛子はのちにこの称号も得たため、さらに恐怖を与える存在となってしまう。

神性領域 (しんせいりょういき)

生命が持つ魂の深層領域。鑑定によるとすべての生命の根源であり、自己の最終依存領域とされている。蜘蛛子もよく理解しておらず、魂の一番大事なところと大雑把に解釈している。支配者権限の一つである「鑑定拒否」は、この領域を使うことを代償に行使することができる。

転生者 (てんせいしゃ)

現代日本から異世界に転生してきた者たち。現代日本の平進高校に通っていた教師と生徒を含む25名が転生している。転生者はDのクラスメイトたちで、先代勇者と魔王が共謀して行ったDの抹殺計画に巻き込まれて死亡し、魂が異世界に流出しかかったため、責任を感じたDが最低限の保証として異世界に転生させたのが真相だった。Dは転生者に最低限、生き残れるように「n%I=W」という謎のスキルを付与している。またこのスキル以外にも、Dは転生者たちにそれぞれなんらかの適正のあるスキルを特典として与えており、これによって転生者は異世界の住人より強くなりやすい傾向がある。転生者の境遇は人それぞれで、人間に転生したが性別が変わっている者や、中には魔物に転生し種族そのものが変わっている者などが存在する。種族や性別が変わっているものには価値観の変化も訪れているが、転生者たちはごく自然にそれを受け入れている。転生者を鑑定した場合、現在の名前に前世の名前が重なり合うように二重表記される。蜘蛛子は魔物に転生したために名づける人物がおらず、今世ではまだ名前がないが、なぜか前世の名前も表記されない。

魔物 (まもの)

人族、魔族以外で、システムの恩恵を受ける生き物。ステータスやレベルが存在し、生存競争を生き抜き、レベルを上げた個体はより上位の種族へと「進化」する。魔物のレベル上限やステータスのベース値は種族によって違い、進化によってレベル1になることもあって基本的に人族よりもレベルが低く表記される。ただし、上位の魔物は基本的に人族を圧倒するステータスを持つため、レベルが低いからとって弱いとは限らない。進化には大量のSPを消費するため、進化直後の個体はSPを大きく消耗していることが多い。魔物もスキルポイントを所持しているが、基本的に魔物は知能が低いため、それらを利用することはない。そのため、レベルが高くてもスキルの所持数が低い魔物も数多く存在する。しかしごくまれにスキルポイントを使用し、スキルを取得する知能が高い個体も存在する。

スモールレッサータラテクト

蜘蛛系の魔物。標準的な蜘蛛系の魔物「タラテクト」の劣化種(レッサー)の幼生体(スモール)で、マザーによって生み出され、エルロー大迷宮の上層に生息する。蜘蛛系モンスターの中では小型の部類に入るが、それでも人間の子供大くらいの大きさがある。ステータスはエルロー大迷宮に住む魔物の中でもぶっちぎりで最弱なため、ほかの魔物からも食料として狩られており、迷宮の食物連鎖の底辺に位置する。吐く糸は非常に強靭で応用の幅は広いが、この種族は基本的に知能が低いため、それを有効活用する個体はほとんど存在しない。稀に知能が高い個体が生まれ、糸を駆使して戦うが、種族特性として炎に弱い特性があるため、それをあらかじめ知っておけば容易に対策は可能。そのため、冒険者からも素材目的に狩られることが多い。討伐危険度は最低のF。最底辺の魔物であるため、冒険者からも魔物からも狩られる運命にあり、ほかに食べられる物が存在しないこともあり、同族同士で殺し合ったり共食いし合うことも珍しくない。そのため、この種族は「血縁喰ライ」の称号を持つ者が多い。蜘蛛子はこの種族に転生し、糸や毒の力を駆使することで、格上の魔物とも戦い抜いている。進化先は成体である「レッサータラテクト」か、標準的なタラテクト種の幼生体である「スモールタラテクト」となっており、この種族の正当進化先には「グレータータラテクト」や「アークタラテクト」など巨大な蜘蛛系モンスターが存在する。火に弱いのはタラテクト種の種族特性であるため、進化先の種族も火に弱い。実はマザーから生まれ、ある程度成長したタラテクト種はマザーに精神支配を受けている。このため平常時も精神にある程度影響を受けるほか、マザーの意思一つで自由意思を奪われ、あやつられる危険が存在する。

スモールポイズンタラテクト

蜘蛛系の魔物。タラテクト種の希少種「ポイズンタラテクト」の幼生体で、名前どおりの毒能力に特化した能力を持つ。特殊な進化条件のある種族で、蜘蛛子は「毒術師」の称号を持つ蜘蛛系の魔物であることが条件だと予測してる。進化先は成体の「ポイズンタラテクト」があるが、蜘蛛子は条件を満たしていたため特殊な進化先である「ゾア・エレ」へと進化している。

ゾア・エレ

蜘蛛系の魔物。蜘蛛子がスモールポイズンタラテクトから進化した種族で、高い隠密性と戦闘能力を持つ、暗殺能力に特化した小型の蜘蛛系モンスター。蜘蛛子はこの進化で、それまでネックだったステータスの低さから脱却し、全体的にステータスが大幅に上がっている。非常に珍しい種類の魔物で、一部では「不吉の象徴」とも呼ばれ、恐れられている。進化条件が存在する特殊な魔物で、「一定以上のステータスを持つ“小型”の蜘蛛系モンスター」であることと「<暗殺者>の称号」を持つことが条件となっている。前の二つの足が鎌状になっており、この足を利用した「腐蝕攻撃」を得意とする。この種族の進化の行きつく先に「不死」のスキルを持つザナ・ホロワが存在するが、Dはあえてこの種族に腐蝕攻撃は付けても、腐蝕耐性は付けておらず、この種族になった者が自滅しやすいように設定している。この種族が不吉で珍しいとされているのも、腐蝕攻撃で相手を殺し、そのまま自滅するからだとされている。

エデ・サイネ

蜘蛛系の魔物。蜘蛛子がゾア・エレから進化した種族で、ゾア・エレを超える高い隠密性と戦闘能力を持つ、暗殺能力に特化した小型の蜘蛛系モンスター。魔物としての格はクイーンタラテクトの一つ下で、魔物全体の中でもかなり高位の種族となっている。エデ・サイネに進化すると、相手を見ただけで腐蝕属性の攻撃を与える「死滅の邪眼」を覚える。ゾア・エレの腐蝕攻撃すら超える高い攻撃力を持つが、腐蝕攻撃以上に高い腐蝕耐性を持っていなければ、死滅の邪眼を使った瞬間に自らも滅び去る。進化先の「ザナ・ホロワ」は「不死」のスキルを持っているが、Dは不死を求める者を自爆させるため、あえてこの種族を自滅しやすいように設定している。このためエデ・サイネは一部では「死の象徴」とも呼ばれている。

ザナ・ホロワ

蜘蛛系の魔物。蜘蛛子がエデ・サイネから進化した種族で、魔物としての位はクイーンタラテクトと同等。蜘蛛系モンスターの一つの到達点で、通常の進化ツリーではこの種族が進化の打ち止めとなっている。この種族の何よりの特色はスキル「不死」を持っており、システム内の環境であれば、どうやっても死ぬことはないという点。体をバラバラにされていても、完全に死ぬことはなく、HPを回復されれば肉体を復元して復活することができる。ただし外道属性をはじめ、魂を直接破壊する魔法やスキル、または体を完全に動けなくする封印などによる攻撃は有効であるため、不死身であっても無敵ではない。不死、すなわち死の克服は生物が最後に最も求めるものであるため、Dは不死を求める者が、その欲望で自滅するようにシステムを設計している。ザナ・ホロワも自滅するための仕組みの一つで、この種族に至るまでのゾア・エレ、エデ・サイネは腐蝕属性の攻撃はあれど、腐蝕耐性は持っていないため、進化への過程で必ず自滅するようになっていた。蜘蛛子は偶然、悪食で腐蝕耐性を取っていたことが功を成し、世界で初めてエデ・サイネへの進化を成し遂げた。

クイーンタラテクト

蜘蛛系の魔物。魔物の中でも最高位に位置する魔物で、討伐評価はS級を超える神話級。冒険者たちからは挑むこと自体が間違いの、災害クラスの存在だといわれている。世界に5体存在するとされ、エルロー大迷宮に生息するマザーはそのうちの1体。クイーンタラテクト自体が最強クラスの存在だが、単体で産卵して個体数を増やすことが可能。産卵によって生まれた個体はスモールレッサータラテクトで、圧倒的に弱いが数が多く、生き残って成長した個体は上位種へと進化し、徐々に強力な存在となっていく。クイーンタラテクトは自分が生み出し、ある程度成長した個体を「眷属支配」のスキルによって支配することができ、グレータータラテクトやアークタラテクトといった強力な個体を支配下に置き、蜘蛛系魔物の軍勢を自在にあやつることもできる。

エルローフロッグ

カエル系の魔物。体長1メートルほどの虹色の体表を持つカエルで、エルロー大迷宮上層に生息する。弱めの毒と酸を用いた攻撃を得意とする。蜘蛛子が初めて戦った魔物で、上層では弱い部類に入る魔物だが、それでもスモールレッサータラテクトを圧倒するステータスを持つ。毒と酸を持つ魔物であるため、食用には適さない。そのため、ほかの魔物からは見向きもされておらず、迷宮の下層にも数が少ないが生息している。蜘蛛子は狩れる獲物の少なさから、当初はエルローフロッグを狩って食べており、これによって悪食の称号を得ている。進化先の「エルローゲアフロッグ」は迷宮中層に生息している。

エルローバジリスク

トカゲ系の魔物。灰色の体表を持つトカゲで、エルロー大迷宮上層に生息する。見ただけで相手を石化する「石化の邪眼」を持つ。ただし石化の威力は低く、一度見られただけでは体の一部を石化されるに留まる。また石化の邪眼は消耗が激しく、連射すると疲弊して動きが遅くなる。鉱物や石を食べられる体質で、迷宮では時おり、エルローバジリスクが岩を食べている姿が見られる。

エルローフェレクト

虫系の魔物。足が大量にあるムカデやゲジのような姿をした魔物で、エルロー大迷宮上層に生息する。蜘蛛子は「ゲジ」と呼んでいる。迷宮上層の魔物の中では速度以外のステータスが比較的低く、迷宮内の魔物にもかかわらず「暗視」のスキルを所持していないため、おぞましい見た目に反して単体での危険度は低い。しかし、この魔物の本当の恐ろしさは大量発生しやすい点にあり、群れた場合はその危険度が何段階も上がる。弱い麻痺攻撃が可能で、一度でも攻撃を食らうと体が麻痺し、エルローフェレクトの群体に一気にむさぼられることとなる。また、その肉を食べると麻痺状態となるため、食用には適さないために迷宮の下層にもわずかながら生息してる。

アノグラッチ

猿系の魔物。巨大な群れを形成する魔物で、エルロー大迷宮下層に数多く生息している。魔物の中では比較的頭がよく、手が使えるため器用で、投石など原始的な道具を使った攻撃もして来る。また、最大の特徴は殺されると叫び声を上げ、仲間を呼び、殺した対象に報復をする習性を持つ点にある。この叫び声は単なる声ではなく、遠く離れた同種族に殺した相手の特徴を伝え、その居場所を伝える能力がある。なんらかのマーキングをしているようで、対象が隠れたとしても、その相手の居場所を仲間たちに伝える。群れたアノグラッチの戦闘能力は非常に厄介で、元が頭のよい魔物であることもあり、数の利点を活かして捨て身の特攻を仕掛けて来る。蜘蛛子は罠を張ってアノグラッチの群れと戦ったが、罠の仕組みを理解したアノグラッチは自ら罠にかかり、罠を使用不能にして、蜘蛛子を苦戦させた。進化先は「バグラグラッチ」で、アノグラッチの群れと戦闘し続けている場合、時間をかけすぎると上位種のバグラグラッチが応援にやって来ることがある。

エルローゲーレイシュー

タニシ系の魔物。エルロー大迷宮下層に数多く生息している。下層の魔物の中では最も弱く、動きもゆっくりなために捕まえることも簡単だが、ほかの魔物からは見向きもされず、下層で悠々と過ごしている。蜘蛛子は見た目から「タニシ虫」と呼んでいる。下層に迷い込んだ蜘蛛子が食べたが、この世のものとは思えないほどマズく、食べた瞬間ダメージを受けてHPが減ったほど。実は腐蝕属性を持ち、食べた者に腐食属性のダメージを与える。ほかの魔物から見向きもされないのはこれが理由で、腐蝕耐性がなければ、エルローゲーレイシューを食べることは即死する可能性もあるほど危険。蜘蛛子もエルローゲーレイシューを食べた瞬間、腐蝕耐性のスキルがレベルアップしている。

エルローウィーリース

植物系の魔物。エルロー大迷宮に生えている花で、迷宮内では貴重な植物系の食料として、ほかの魔物たちに食べられている。実は花の部分は擬態で、本体は根っこ部分。蜘蛛子いわく、根っこ部分は「外宇宙的な触手ちっくなもの」らしく、かなり気持ち悪い姿をしている。花の部分を食べると、低確率で種が体内で芽吹いて捕食した魔物に寄生し、栄養と水分を吸い尽くして成長する。寄生された魔物は最終的にミイラのような状態となって死亡し、十分に成長したエルローウィーリースは死体からひとりでに抜け出し、自力で地面に植わって擬態となる花を咲かして繁殖活動を行う。

フィンジゴアット

蜂系の魔物。エルロー大迷宮の上層から下層をつなぐ大きな縦穴に巣を作り、大規模な群れをなして生息している。体長は3メートルほどで、蜂らしく空を飛びながら毒針を用いて攻撃する。基本的に群れを成して狩りをする魔物で、稀に上位種である「ハイフィンジゴアット」がリーダーとして混じっていることがある。単体ではそこまで強い魔物ではないが、群れを成すと自分より体が大きくて強い魔物を倒すことも珍しくない。巣の近くにはさらに強力な上位種「ジェネラルフィンジゴアット」が群れを成して巣を守っている。

エルローゲネラッシュ

下位竜系の魔物。タツノオトシゴに手足が生えたような姿をしており、エルロー大迷宮中層に数多く生息し、中層のマグマを海のように泳いでいる。蜘蛛子による通称は「タツノオトシゴ」。マグマの海から顔だけ出し、口から大きな火炎弾を打ち出して遠距離攻撃をする。中層の魔物の中ではステータスが低く、知能も高くない。火炎弾を撃ちまくってMPを消費しきると、敵を倒すためマグマの海から這い出て上陸する習性を持つために、遠距離攻撃にさえ気を付ければ対処は簡単。中層に数多く生息しており、群れて攻撃することもあるが、基本的に知能は高くないため群れても脅威度はあまり変わらない。ただし群れが上位種に率いられるとその限りではなく、一糸乱れず火炎弾の遠距離攻撃をしてくるため、非常に凶悪な存在となる。

エルローゲネセブン

下位竜系の魔物。ナマズに手足が生えたような姿をしており、エルロー大迷宮中層に数多く生息し、中層のマグマを海のように泳いでいる。蜘蛛子による通称は「ナマズ」。エルローゲネラッシュと同じく口から火炎弾を吐いたり、上陸して肉弾戦攻撃を行ったりする。また体に火と熱をまとう「熱纏」、防御力と魔法の抵抗力を高める「龍鱗」のスキルを持つ。その肉は魔物の中では非常に美味な味で知られ、蜘蛛子にとっては見た目の愛らしさもあって中層の「癒し担当」と言われている。エルローゲネラッシュと同じく、MPが尽きるとマグマの海から出て上陸する習性を持つ。

エルローゲネレイブ

中位竜系の魔物。鰻(うなぎ)に手足が生えたような姿をしており、エルロー大迷宮中層に数多く生息し、中層のマグマを海のように泳いでいる。蜘蛛子による通称は「ウナギ」。エルローゲネラッシュやエルローゲネセブン系統の魔物で、似たスキルの構成をしているが、ステータスが高く、スキルも全体的に高性能なものとなっている。また、火炎弾のほかに、溜めてから広範囲を焼き払う「火炎ブレス」、さらに攻撃の命中率を上げる「確率補正」を持っているため、下位種とは比べ物にならないほど遠距離攻撃に強くなっている。下位種と同じく、MPが尽きるとマグマの海から出て上陸する習性を持つが、ステータスが高いために陸上でもふつうに強い。

エルローゲソネーカ

竜系の魔物。細長い体で、蛇に手足が生えたような姿をした竜。エルロー大迷宮中層に生息し、中層のマグマを海のように泳いでいる。エルローゲネラッシュ系の魔物の上位種で、火炎弾など同じ攻撃をするが威力は段違い。また「統率」のスキルを所持しており、エルローゲネラッシュ、エルローゲネセブン、エルローゲネレイブなど下位種を配下としてあやつる力がある。配下をあやつるほど知能は高いが、危機的状況になっても臨機応変な判断ができず、状態異常になっても襲い掛かってくるなど好戦的過ぎるきらいがある。そのため、高いステータスと配下の数で蜘蛛子を圧倒するも、毒と呪いを駆使した蜘蛛子に敗れる。

クレジット

原作

馬場 翁

キャラクター原案

輝竜 司

書誌情報

蜘蛛ですが、なにか? 14巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2016-07-07発行、 978-4041045510)

第2巻

(2016-12-03発行、 978-4041048856)

第3巻

(2017-06-09発行、 978-4041056462)

第4巻

(2017-12-29発行、 978-4041063958)

第5巻

(2018-07-10発行、 978-4041070581)

第6巻

(2019-01-10発行、 978-4041070611)

第7巻

(2019-07-10発行、 978-4041070598)

第8巻

(2020-03-03発行、 978-4041089361)

第9巻

(2020-10-10発行、 978-4041099223)

第10巻

(2021-04-09発行、 978-4041099230)

第11巻

(2021-11-09発行、 978-4041120217)

第12巻

(2022-10-07発行、 978-4041129661)

第13巻

(2023-07-10発行、 978-4041139097)

第14巻

(2024-04-09発行、 978-4041148297)

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