レタイトナイト

レタイトナイト

「ベルリンうわの空」シリーズで知られる香山哲の代表作の一つで、「生きるための旅」をテーマにしている。魔法が存在するファンタジー世界を舞台に、生活が困窮する集落に住む少年のカンカンと、彼の叔父、マルをはじめとする、力を持たない人々の日常生活や旅の様子を描いた居場所発見ファンタジー。トゥーヴァージンズ「路草」で2023年4月26日から連載。コミックスは連載版と同様に、全ページが2色カラー刷りで収録されている。

正式名称
レタイトナイト
ふりがな
れたいとないと
作者
ジャンル
グルメ
 
ファンタジー
レーベル
路草コミックス(トゥーヴァージンズ)
巻数
既刊1巻
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海に挟まれた四つの国が舞台

本作の舞台は、海に挟まれた「ザイ」と呼ばれる地域で、そこには「レタイト」「ガベルランド」「ウー」「ドンデ」という四つの国がある。この地域では物々交換と共に貨幣経済が浸透しており、それぞれの国には多様な職業の人々が暮らしている。カンカンたちの住むレタイトは現代社会を基盤にしながらも、現代の「当たり前」が通用しない異文化が広がっている。森や山には、一般的な動物とは異なる「獣(けもの)」が生息し、住人や作物に危害を加えることもある。カンカンとマルは、なんらかの事情で慣れ親しんだレタイトを離れ、さまざまな文化や生活に触れながら成長していく冒険ファンタジーが展開される。また、香山哲が得意とする絵本のような世界観と、デフォルメされた温かみのある絵柄が特徴となっている。

テンの集落から外の世界を夢見る

レタイトの集落「テン」に住む主人公、カンカンは、両親と叔父のマルと共に暮らしながら学校で魔法を学んでいた。最近、カンカンは納得できないことが増え、「自分の町の誰も買えないものを作るようなことは、なんかおかしい気がする」と疑問を抱くようになる。そんな中、農業に欠かせないカカシの価格が急騰し、作物が育たず食料不足に悩む人々は貧困に苦しんでいた。そんな町に漂う閉塞感を感じていたカンカンは、外の世界に目を向けるようになり、密かに脱出計画を練っていた。しかしカンカンは、夜盗に襲われて必要なアイテムを失ってしまい、結局テンに留まることになる。

新たな居場所への旅立ち

カンカンは旅立ちに失敗し、テンで働きながら生活を続けていたが、突然マルが手紙を残して旅に出てしまう。マルがレタイト国境の都市に到着した頃、テンには冬が近づいていた。カンカンは改めて両親と話し合い、マルを追うためにテンを旅立つことを決意する。魔法も初心者レベルで特技や力も持たないカンカンの目標は、自らの新たな居場所を見つけることだった。本作では、衣食住に関する小さな喜びがテーマとなっており、カンカンやマルが旅先で出会う人々と共に懸命に生き、幸せを模索しながら生きる楽しさと厳しさを実感していく様子が描かれている。また、二人が訪れる架空の異国情緒あふれる料理を楽しむグルメ要素も盛り込まれており、衣食住への関心を高める工夫が施されている。

登場人物・キャラクター

カンカン

北方の国「レタイト」にある集落「テン」に住む少年。年齢は15歳。濃い桃色の髪を二つ結びのおさげ髪にしている。両親と叔父のマルと共に暮らしている。生活に苦しむ人々や町に漂う閉塞感を感じながら、外の世界へのあこがれを抱いている。学校に通いながら、子供にもできる仕事をこなしていたが、やがて叔父のマルを追いかける形で旅に出る。特に目立った特技はないものの、持ち前の好奇心と慎重さを活かして旅を続けている。学校で魔法を学んでいるため、「火飛ばし」や「風の矢」といった簡単な魔法を使うことができるが、腕前はまだ初心者レベル。

マル

カンカンの叔父。黄土色の体毛と垂れ耳を持つ犬の獣人のような姿をしている。なんらかの事情でカンカンと彼の両親といっしょに暮らしている。優しく穏やかな性格で、甥のカンカンのことを非常にかわいがっている。カンカンが旅立ちに失敗したあと、新しい仕事を探すため、手紙とお金を残して一人旅に出た。さまざまな場所を巡ったあと、現在は国境近くの都市で生活をしている。また、基礎的な魔法も使うことができる。

書誌情報

レタイトナイト 1巻 トゥーヴァージンズ〈路草コミックス〉

第1巻

(2024-05-08発行、 978-4867910085)

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