レッツラゴン

レッツラゴン

主人公のゴンは小学校高学年で、ほとんど学校に行かずに父親と二人暮らしをしている。だが、父親には一切面倒を見てもらうことなく育っている。当初はバイオレンス風味のホームコメディだったが、しだいに編集者相手の内輪ネタや楽屋オチなど、良く言えばライブ感覚、別の言い方をすれば行き当たりばったりともいえるシュールな作品となる。この作品は、作者曰く「僕の目指していた世界」だったとのこと。

正式名称
レッツラゴン
ふりがな
れっつらごん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
その他ギャグ・コメディ
関連商品
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概要・あらすじ

主人公のゴンは小学校の高学年だが、ほとんど学校には行ってない。父親はいるが、お互いに独立して生計を立てて暮らしている。そんな家族に、山で出会ったクマのベラマッチャが居候し、毎日がしっちゃかめっちゃかに。しまいにはこの作品の担当をしている『週刊少年サンデー』の武居記者までもが作中に登場して、赤塚不二夫と抗争を繰り広げる始末。

登場人物・キャラクター

ゴン

一応小学生だが、学校に行くシーンは「家なき子」の回で作文の宿題を提出したときくらいしかない。母は故人で、父と二人暮らしだが互いに干渉していない。下手くそな絵描きからもらった絵を図工の宿題ができない子供に売りつけるなど、生計も自分でまかなっている。ア太郎、デコッ八、おそ松、チビ太、ハタ坊という兄がいたが、全員すでに死別している。 クマのベラマッチャが家に転がり込んでからは、彼を子分のように扱っているが、しだいにベラマッチャの方が存在感が増し、ゴンは主人公なのに影が薄くなる。

おやじ

ゴンの父親である中年男性だが、職業は不詳。たまにサラリーマンになることもあるが、長くは続かない。智恵子(ちえこ)という美人の妻がいたがすでに故人で、今は独り身。自己中心主義で、ゴンについてはまったくの放任主義。ただし、息子が誘拐されたときは身代金を払うなど、最低限の父親らしさは残っているが、息子に対して貸しを作ろうとはしない。

ベラマッチャ

『レッツラゴン』に登場する動物。本人曰く、昭和10年生まれ。「独立の精神」の回で初登場。元々はゴン親子のキャンプ先である山に住んでいたクマだが、おやじのテントを漁ったときにゴンに退治され、そのまま子分として一家に居候することになる。当初は「ウガガ」などとうなることしかできず、名前もクマとしか呼ばれていなかったが、「言葉の学習」の回で人間の言葉を話せるようになる。 その際、一人称は「ボギャ」で、語尾にしばしば「ベラマッチャ」とつくようになる。酒が入るとオンオンと泣き出す泣き上戸で、人情もゴンやおやじよりある。「山岳遭難記」の回でベラマッチャという名前がつき、やがてゴン以上にこの作品を代表するキャラクターに成長した。

イラ公 (いらこう)

『レッツラゴン』に登場する動物。ゴン一家に飼われている猫。いつもゴンたちの家で寝ているが、寝起きがとても悪く、うっかり起こすと周囲の者をボロボロになるまで攻撃する。ある意味、作中で最強のキャラクター。ただし、女の子にはメロメロになりやすい。また、猫のくせにネズミが大の苦手。「食い逃げ天才」の回から、ベラマッチャと同じように人間の言葉を話すようになる。 しかし、アジャパーのギャグがうまくできない。

マセリ

ヒグチ長十郎(ひぐちちょうじゅうろう)という警官の脳みそから出てきた毛虫で、サングラスをかけたような風貌をしている。語尾が「~ませり」となっており、作中ではアイキャッチや狂言回しとして現われる。

目ン玉つながりのお巡りさん (めんたまつながりのおまわりさん)

『レッツラゴン』の登場人物で、『天才バカボン』でもお馴染みの存在。自分のことを「本官」と言う。「ライフル・マン」の回から登場。当初は狩猟用ライフルでベラマッチャを撃とうとするライフル魔だったが、警察官に粘り強さを買われて本物の警察官になった。以降、何かあるとすぐにピストルを撃つ。作品の中盤から主役回が増えるなど、ゴンやおやじに匹敵するくらい出番が多くなった。

ちゃわんむし

赤塚不二夫の好物で、「伊豆の踊子」の回からしばしば登場するようになる。一応、茶碗蒸しが男性の人格で、スプーンが女性の人格として描かれており、たまに人間の言葉で夫婦のように会話することもある。『レッツラゴン』のシュールさを代表する存在。

武居記者 (たけいきしゃ)

週刊少年サンデーでは『おそ松くん』からずっと赤塚不二夫を担当している編集者で、当作品のブレーンでもある。現在もよく見られる「キャラクターとしての編集者」の先駆け的存在。柱のキャッチコピーで赤塚不二夫と抗争を繰り広げるだけでなく、「アラビア語でレッツラゴン」の回では扉絵も描くようになる。 さらには赤塚不二夫と扉絵で活字の問答をするだけでなく、武居記者本人も絵として登場するようになった。さらに「赤塚不二夫のレッツラゴン」の回では、2コマだけだが本編にも登場するようになる。容姿は目が細くて鼻が大きい。そして靴下は臭いとされている。口ぐせは「バーロー!」。実在の人物、武居俊樹がモデル。

赤塚 不二夫 (あかつか ふじお)

『レッツラゴン』の登場人物で作者。本作品の内輪ネタや楽屋オチが進むにつれて、ついには本人も扉絵などで姿を見せるようになった。主なライバルは武居記者。当時、ギャグの一環として『レッツラゴン』を含む全作品で山田一郎(やまだいちろう)に改名したが、その期間は短かった。実在の漫画家、赤塚不二夫がモデル。

水島 牛次郎 (みずしま ぎゅうじろう)

「ああ無情」の回が初登場。「男ドブス」の水島新司(みずしましんじ)と「男ドドブス」の牛次郎(ぎゅうじろう)の間に生まれた「男ドドドブス」。性格は優しくて純真だが、顔があまりにブサイクなので、布団や洗面器、食べ物や自分のウンコにすら嫌われている。名前の由来は、実在する漫画家の水島新司と漫画原作者の牛次郎。

ケロ子 (けろこ)

「スケ番ケロ子」の回で初登場。上野の不忍の池で生まれたメスガエルで、三つ編みにセーラー服といういでたち。弟のケロッパチをおやじに食われて、その仇討ちに乗り出す。手下を引き連れておやじ、並びに彼と組んだベラマッチャに報復するが、寝起きのイラ公によって手下は全滅。 しかし、ケロ子はそのイラ公に一目惚れし、やがて恋人になって結婚するが、スピード離婚してしまう。

カオルちゃん

『天才バカボン』ほか、赤塚不二夫作品によく登場するオカマ。髪型は丸刈りで両目が離れており、顔の下半分は短いヒゲに覆われている。『レッツラゴン』でも作家やサラリーマンなど、様々な職業で登場する。

クソタケイムシ

武居記者の靴下からわいた毛虫。一見すると大きな目と鼻で構成されたかのような顔つきだが、目と鼻らしきものの間に口がある。口ぐせは「チャーン」。作中の合間合間でツッコミとしての役割を担う。

トーフ屋ゲンちゃん (とーふやげんちゃん)

「ジャックと金の木」(じゃっくとかねのき)の回が初登場。豆腐屋を営む少年で、大きな口が特徴的。髪型はモヒカン気味で、まゆ毛はつながっている。本名はゲン五郎。語尾に「ドージョ!!」をつけるほか、独特の単語を用いる。たとえば豆腐のことは「キャンターマ」、納豆のことは「ピカソさん」、がんもどきのことは「トヨペット・クラウン」、油揚げのことは「アゲキャンターマ」と呼んでおり、彼の店ではそのように言わないと商品を売ってくれない。 ただし、そのときの気分で商品名がころころ変わる。ジェリー藤尾の曲「遠くへ行きたい」の替え歌をよく口ずさんでいる。作品中盤以降はベラマッチャに替わるいじられキャラとして、ゴンやおやじからひどい目に遭う。

オタマン

「春のうららの隅田川」の回が初登場。元々はただのオタマジャクシだったが、勝手にクジラだと勘違いしたゴンとおやじ、ベラマッチャに育てられ、人間の言葉をしゃべるようになる。語尾は「~ベシ」。体が生臭く、寝起きのイラ公ですら倒せない。空腹になるとウナギやドジョウのように体が細くなる。 ウナギイヌに女と間違われて求愛されたこともあった。当時の『週刊少年サンデー』読者の公募により、「オタマン」の回でオタマンという名前に決まったが、「キンタマジャクシ」という応募も多かったらしい。

その他キーワード

伊豆の踊子 (いずのおどりこ)

『レッツラゴン』のエピソード。小説家に扮した学生服姿のベラマッチャが、ブスな踊子を相手に好き勝手にふるまうという内容。赤塚不二夫曰く「完全に開き直った」回で、これ以降『レッツラゴン』はそれまでの赤塚作品の枠を越えるシュールかつ行き当たりばったりな内容へと変貌していった。作品の中盤以降によく登場するちゃわんむしが初登場したのもこの回である。

アジャパー

『レッツラゴン』のギャグフレーズ。「アジャパー」の回が初登場。両腕を上げて目を剥いて叫ぶ。元ネタは実在するコメディアンである伴淳三郎(ばんじゅんざぶろう)の持ちネタ。当時はそれなりにヒットしたが、『おそ松くん』の「シェー」のように世代を超えてヒットするまでにはならなかった。

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