レッド・ベルベット

レッド・ベルベット

舞台はアメリカ合衆国のロサンゼルス。今は亡き母親のレシピを使ってケーキ店をオープンさせる夢を持つアールと、窃盗団とのつながりを断ち切ることができない幼なじみで親友のランディとの友情を、シリアスに描いたヒューマンドラマ作品。「月刊モーニングtwo」2018年12月号から2021年1月号にかけて掲載された作品。

正式名称
レッド・ベルベット
ふりがな
れっどべるべっと
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
ワイドKC(講談社)
巻数
既刊3巻
関連商品
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あらすじ

ケーキ店になりたいアールと親友のランディ

幼い頃に母親を亡くしたアールは、母親の遺品であるケーキのレシピを再現して楽しんでおり、将来は自らのケーキ店を経営する夢を持っている。そんなアールのケーキ作りに、となりの家に住んでいる親友のランディはたびたび付き合い、二人で穏やかな時間を過ごしていた。表向きはごくふつうの青年を演じているランディだったが、人に言えないさまざまな家庭の問題を抱えており、さらにランディは闘病中のステフの治療費を稼ぐため、ヴィンセントがリーダーを務める窃盗団の一員となっていた。窃盗団から抜け出したい気持ちの強いランディだったが、ヴィンセントは人よりも身軽な彼を必要としているため、恐怖でランディを縛り付けていた。そのうえ、ランディはヴィンセントとベニーのトラップにかかり、大掛かりな窃盗事件の実行犯を任されてしまう。時を同じくして闘病中だったステフが死亡し、これから更なる悪事に手を染めることになったランディは耐え切れず、初めてアールに自身が窃盗団に加わっていることを打ち明ける。

アールとランディの再会

ランディは窃盗未遂で逮捕されて少年刑務所に服役し、刑期を終えてアールと再会する。そのあいだに大学を卒業したアールは、以前からの夢であったケーキ店のオープンを実現しようと行動を起こしており、ランディにパートナーになってほしいと誘う。こうしてアールとランディは周りの人から支えられ、着実に夢へと向かっていた。しかし、突発的な出費が重なり、アールは深刻な資金難に陥ってしまう。そんなアールのピンチに、以前ボウリング場で出会った裕福なお嬢様であるターシャ・イシアノフは、ケーキ店の開業資金の一部にしてほしいとアールに大金を手渡す。アールはすぐにその申し出を断ったものの、ターシャがアールに騙されて金を貢いでいると誤解した父親のレオ・イシアノフは怒り狂い、アールを拉致するように命令を出す。その指示を受けたのは、奇しくもランディが所属していた窃盗団のリーダーのヴィンセントだった。

登場人物・キャラクター

アール

ケーキ店を経営する夢を持つ、黒ぶち眼鏡を掛けている青年。ランディの幼なじみで親友。母親のキャシィが残したケーキのレシピを基に、さまざまなケーキメニューを再現している。自らの夢であるケーキ店をオープンさせるときには、相棒としてランディにそばに居てほしいと望んでいる。お互い問題を抱えながらも支え合い、変わらぬ友情を築いている。人を疑うことを知らない、真っすぐな性格の持ち主。

ランディ

アールのとなりの家に住み、アールのケーキ作りを手伝っている青年。アールの幼なじみで親友。母親のステフが治療の難しい病で入院しており、看病や金銭問題で情緒不安定な状態にある。ランディの父との二人暮らしに心をすり減らしているが、アールにはこの事情を隠している。さらにステフの治療費を稼ぐため、ヴィンセントがリーダーを務める窃盗団の一員となったことを思い悩んでいるが、誰にも相談できずにいる。身体能力が非常に高く身軽なことから、窃盗の際には実行犯の役割を担う。家庭の問題を抱え、窃盗団の一員になっているランディにはアールの存在が、大切な心のよりどころとなっている。

ヴィンセント

ランディが所属する窃盗団のリーダーを務める男性。ベニーの弟で、イーディの父親。ふだんは車の販売と修理の店「ONE STOP CAR CARE」を経営している。窃盗の際に身軽なランディを重宝しており、逃げられないように恐怖で支配している。窃盗を繰り返しているのは、幼い頃に母親と共に暮らしていた、思い出が詰まったアパートを購入するため。その物件は、レオ・イシアノフが経営する不動産会社が所有している。自分の目的を達成するためには手段を選ばない残忍さを持つが、ランディが母親のステフを大切に思う気持ちは理解しており、治療費を貸すこともある。

ベニー

ヴィンセントの兄で、ランディが所属する窃盗団の一員。ふだんはヴィンセントが経営する車の販売と修理の店「ONE STOP CAR CARE」で働いている。実際に窃盗の際にはヴィンセントは現場に来ないため、リーダー役を務めてメンバーをまとめている。窃盗をしているのは、幼い頃に母親と共に暮らしていた、思い出が詰まったアパートを購入するため。その物件は、レオ・イシアノフが経営する不動産会社が所有している。子供の頃から貧乏な暮らしを送っており、ベニー自身が盗みを働き、母親やヴィンセントを養っていた。窃盗を行うたびに母親から裁ちばさみで刺されるなど、盗んだことに対する厳しい罰を与えられていたが、生きるためには窃盗を続けるしかなかったという暗い過去を持つ。

イーディ

ヴィンセントの娘。大人っぽい容姿をしている。家族で経営している車の販売と修理の店「ONE STOP CAR CARE」を手伝っているが、自分の父親であるヴィンセントや叔父のベニー、ランディが窃盗団を結成していることは知らず、穏やかに暮らしている。よく店にやって来てヴィンセントと親しくしているランディを気に入っており、彼に親切に接している。その一方で、ランディから異性として意識されていることには気づいていない。明るく朗らかな親しみやすい性格で、イーディ目当てに店を訪れる客もいるほどの人気者。「ミッキー」という婚約者がいる。

アールの父 (あーるのちち)

アールの父親。妻のキャシィが急死してから、シングルファーザーとしてアールの子育てに奮闘している。仕事が忙しいにもかかわらず、積極的にアールとの時間を持とうとしたり、栄養バランスの摂れた食事を作ったりと、アールのことを大切に思っている。キャシィが亡くなったことが受け入れられず、彼女に関するものは目にしたくないとすべてしまい込んでいる。アールが勝手に持ち出した「キャシィが綴ったケーキのレシピ」の存在は知らなかったものの、見つけた際には有無を言わさず取り上げるなど、亡き妻のことになると自己中心的に振る舞う。

キャシィ

アールの母親で故人。料理上手で、自らが考案したオリジナルレシピを使ってケーキ店「キャシーズ」を経営していた。一冊のノートにケーキのレシピを細かくまとめている。ある日ケーキ店のキッチンで倒れて亡くなり、偶然遊びに来たアールに発見される。明るく朗らかな性格で、アールの父から深く愛されていた。

ランディの父 (らんでぃのちち)

ランディの父親。アールのとなりの家に住んでおり、アールとも顔見知りの関係。妻のステフが治療の難しい病を患っている中、自分が強くならなければと考えるあまり、情緒不安定に陥っている。さらに、ランディが窃盗未遂で警察に補導されたこともあり、ランディとたびたび衝突している。ランディが、ヴィンセント率いる窃盗団に所属していることには気づいていない。ランディの素行不良とともに、ステフの治療費の捻出にも頭を悩ませている。最近は言動が荒れているが、本来は優しく穏やかな性格で、ランディのことも心から愛している。

ステフ

ランディの母親。治療の難しい病を患っており、長らく入院している。となりの家に住んでいることから、アールとも顔見知りの関係。自らの治療費を捻出するために、ランディがヴィンセント率いる窃盗団に所属していることには気づいていない。また、ランディとランディの父の関係がうまくいっていないことも知らずにいる。先の見えない闘病生活の中でも気丈に振る舞い、家族を思いやる優しい心を忘れていない。

クイン・イシアノフ

ターシャ・イシアノフの叔父で、レオ・イシアノフの兄弟。レオが経営している不動産会社に勤務しており、人を恐喝するなど法に触れるグレーな行為を任されている。ターシャが高校でいじめを受けていることを知っており、アールと親しくなってからターシャが明るくなったために、二人を好意的に見守っている。レオが家庭を顧みないタイプであることから、ターシャとキリアン・イシアノフにとっては、第二の父親のような存在となっている。

レオ・イシアノフ

ターシャ・イシアノフとキリアン・イシアノフの父親。ターシャがアールに騙され、金を貢いでいると誤解して恨みを募らせ、アールに危害を加えて身分の違いをわからせようと動き出す。裕福な資産家で、不動産会社を経営している。しかし、住人を強引に立ち退かせ、その土地を富裕層に売却する方法を取っており、一部の人間からは深い恨みを買っている。恐喝をはじめとした法に触れるようなグレーな行為は、兄弟のクイン・イシアノフに任せている。ターシャのことは溺愛しているものの、自分の跡を継ぐ予定のキリアンには厳しく接しており、たびたびクインにたしなめられている。

ターシャ・イシアノフ

レオ・イシアノフの娘で、キリアン・イシアノフの妹。高校に通っている。ボウリング場で、自動販売機の使い方がわからずに困っていたところをアールに助けられる。アールと親しくなり、彼がケーキ店を経営する夢を叶えたいと、資金援助を申し出た。過保護に育てられたこともあり、世間知らずのお嬢様。その純粋さが鼻につくと一部の女子生徒から、陰湿なイジメを受けている。叔父のクイン・イシアノフと仲がよく、第二の父親のように接している。

キリアン・イシアノフ

レオ・イシアノフの息子で、ターシャ・イシアノフの兄。いずれは父親が経営している不動産会社を継ぐ予定になっている。レオが強引な方法で住人を立ち退かせ、その土地を富裕層に売却することに罪悪感を覚えているが、父親が怖いことから逆らえずにいる。優しい性格で情にも厚いが、意志が弱いところがあり、それをヴィンセントに付け入られてしまう。

アレイン

街のクリーニング店「アレイン・ランドリー・サービス」を経営している男性。店の土地をレオ・イシアノフの不動産会社から借りている。近所に大手クリーニングチェーン店ができたことで売り上げが大幅に減り、レオに支払いの相談をするため、たびたび不動産会社を訪れている。レオからは支払いができなければ早く出ていくようにと聞く耳を持たれていないが、キリアン・イシアノフからは優しい言葉を掛けられている。

書誌情報

レッド・ベルベット 3巻 講談社〈ワイドKC〉

第1巻

(2019-04-23発行、 978-4065152584)

第2巻

(2019-12-23発行、 978-4065171509)

第3巻

(2021-01-22発行、 978-4065219010)

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