パパと親父のウチご飯

パパと親父のウチご飯

シングルファーザー同士で共同生活を送る千石哲と晴海昌弘が、オトコの家庭料理を通して子供たちと少しずつ心を通わせていくハートフルストーリー。親子の成長記録を中心に、料理のハウツーも紹介している。

正式名称
パパと親父のウチご飯
ふりがな
ぱぱとおやじのうちごはん
作者
ジャンル
料理
 
ヒューマンドラマ
レーベル
バンチコミックス(新潮社)
巻数
全13巻完結
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あらすじ

第1巻

整体師の千石哲は、突然現れた元彼女・真希から、自分の娘だという愛梨を預けられ、いきなり父親になってしまった。開業したばかりで住むところもなかった哲は、同じくシングルファーザーの友人・晴海昌弘が、息子の晴海清一郎と住むマンションへ転がり込み、シングルファーザー同士でルームシェアをする事になった。しかしすべてが厳しく、口汚く怒鳴り散らす哲と、何でも許してしまう甘すぎる昌弘では互いの子供にうまく接する事ができず、子育てには悪戦苦闘していた。子供達は、母親のいない寂しさからか、哲の作った弁当も家での食事も、好き嫌いやわがままを言い、あまり食べてくれない日が続いていた。悩んだ哲は、近所の八百屋を訪れた際に偶然出会った料理教室の講師・壇ゆかりに声をかけられ、子供と食事にかかわるさまざまなアドバイスをもらう。それをもとに、好き嫌いの多い子供達も食べたくなるような、工夫を施した特製カレーを作り上げる。おいしそうに完食した子供達の笑顔を目の当たりにした哲は、家庭料理の奥深さを知り、これをきっかけに子供達と自分達父親の関係を見直す事を昌弘に提案する。(第1話「カレーライス」。ほか、4エピソード収録)

第2巻

整体師としての仕事中、千石哲は客からの話を聞いて、初めて幼稚園で運動会が行われる事を知る。運動会のお知らせを隠していた事について愛梨から話を聞いたところ、足が遅いのが恥ずかしかったからという理由だった。「こんな父親に来てほしくない」という理由ではなかった事に安堵した哲は、子供達の好きな食べ物をたくさん作ってお弁当に入れてあげるからと元気づけ、愛梨と晴海清一郎のリクエストである唐揚げを作る事に決めた。以前、唐揚げに挑戦した事はあったが、失敗した経験があった哲は、苦手を克服したいと壇ゆかりの店を訪れ助けを求める。唐揚げを美味しく作るコツを伝授してもらった哲は、運動会当日朝早く起きて、晴海昌弘と共にお弁当作りを開始。ふわふわさくさくの唐揚げとカラフル具だくさんの稲荷ずしを完成させるのだった。しかし昌弘は、できあがったお弁当の見た目が全体に茶色く、地味すぎる事に気づく。見た目よりも味で勝負と言い張る哲に対して昌弘は、子供は見た目や他人の目を思っているよりも気にするものだと主張。特別な日のお弁当は、ふたを開けた瞬間にテンションが上がるようなものにしたいと、星型のクッキー型を探し始める。(第6話「運動会の唐揚げ弁当」。ほか、4エピソード収録)

第3巻

ある日、おやつ時に幼稚園ではカスタードプリンが用意された。大好きなプリンにテンションが上がり、教室内がひときわ盛り上がる中、愛梨が自分のプリンを食べ終えると、まだプリンに手を付けていない晴海清一郎に気づく。清一郎は大好きなプリンを前にもったいぶりながら、大事に大事にして、そっとスプーンを入れたところだったが、それが愛梨にはプリンを食べたくない様に見えて、「愛梨が食べてあげる」と言い放つと清一郎のプリンに無理矢理自分のスプーンを刺してしまった。清一郎は断ったものの、それでも無理矢理食べようとする愛梨を清一郎が押し倒し、清一郎のプリンは床に落ちてだめになってしまった。そのせいで、すっかり仲が悪くなってしまった愛梨と清一郎は、家に帰っても険悪な状態が続いていた。そのうえ、どんな理由があっても押し倒した事を謝るべきなのではという考えの晴海昌弘と、お互い様だという千石哲のあいだで意見が割れ、子供のケンカで家中に重い空気が漂ってしまう。母さんに助けを求めた昌弘は、「子供のケンカに親はしゃしゃり出ないほうがいい」という彼女の意見を尊重し、母親から聞いたレシピで特大プリンを作らないかと哲に提案、仲直りの後押しをしようとする。(第14話「カスタードプリン」。ほか、4エピソード収録)

第4巻

千石哲は最近、愛梨と晴海清一郎が、やたらと食器を割る事に頭を悩ませていた。幼稚園のお母さん達の中には、同じ悩みを持つ人も多く、家で使う食器をすべてプラスチックにしたという意見も聞かれた。そんな時、哲は健のママから陶芸体験に行かないかと誘いを受ける。自分で作った食器なら、割れない様に大切にするのではないかという期待を込めて、哲はみんなで参加してみようと決めた。場所が山奥なので、車を出すと言ってくれた健のママに代わりにお弁当を作っていくと大見えを切って約束をした哲は、総勢七人分の弁当を作る事の重大さにあとから気づく。メニューは定番の唐揚げと玉子焼き、ちくわきゅうりに筑前煮と決めた哲は、最近連絡が取れるようになった真希からレシピを聞いて、前日のうちに筑前煮の準備に取り掛かる。翌朝、家族総出で作った筑前煮をお弁当に詰めて、健のパパが運転する車で山奥の陶芸家・叔父のもとへと向かった一行は、そこで各々が納得する食器を作り上げ、八人でお弁当を食べ始める。健のパパがあけすけに質問を投げかけて来る事もあり、話題はシングルファーザー二組でのルームシェア、子育てに対する事、健のママの哲に対する率直な印象や、愛梨の母親の事にまで及ぶ。(第20話「筑前煮」。ほか、4エピソード収録)

第5巻

晴海昌弘は、晴海清一郎を置いて出て行った元妻・涼子から、「再婚が決まったため、息子を引き取りたい」との連絡を受け、心中穏やかではいられなかった。二人は清一郎の親権を巡って対立を始める事となるが、清一郎にとってよりよい環境で育てる事ができるのはどちらかという難しい問題に直面する事になる。そんな中、幼稚園で子供達が描いた絵が展示されているという美術館へと足を運んだ昌弘と千石哲が、そこで絵を鑑賞していると、話し合いに応じようとしない昌弘に業を煮やした涼子が姿を現す。涼子は清一郎に会いに来たと話すと、中庭で持参したお弁当を広げ、子供達をもてなし始めた。華やかなお弁当に喜ぶ子供達、そしてその圧倒的な料理力の差に愕然とする哲と昌弘だったが、涼子の不倫相手・保岡拓馬の登場で、事態は一気に変化を見せる。保岡は清一郎を引き取るため、勝手に幼稚園のお母さん達に聞き取り調査を行い、父親だけの不自然な家庭で子供を育てる事は不健全であると、父子家庭同士のルームシェアを否定。不十分な家事と児童虐待の疑いがあるとして、警察に通報すると脅迫まがいの言葉をかけ、昌弘側に不利な状況を作ろうとする。しかしそこで、状況を察した健のママが助け舟を出す。(第21話「和風ローストビーフ」、第22話「あんかけうどん」、第23話「ロールキャベツ」。ほか、2エピソード収録)

第6巻

収入を増やしたいという理由で、整骨院でアルバイトを募集し始めた千石哲だったが、思うような成果もないまま、春を迎えた。愛梨と晴海清一郎の通う幼稚園に、新しく転校して来た女の子・美月は、大阪から引っ越して来たため、言葉遣いがこてこての大阪弁。それを聞いた子供達は美月の大阪弁を面白がり、悪気なく笑ってしまう。興味本位で「おもしろい」と言ってしまったあと、美月が涙目だった事に気づいた愛梨だったが、謝り損ねたまま帰宅。そんな自分の行いを父親に打ち明け、明日謝ると決めたものの、翌日以降、美月は幼稚園に来なくなってしまった。そんなある日、哲が子供達のお迎えに行った帰り道、美月が一人でバスに乗り、大阪を目指そうとしていたところを発見。嫌がる美月を強引に引き止めると、そこに美月の母が姿を現した。誤解を招きかねないこの状況に一瞬たじろぎつつも、無事誤解を解く事に成功。事情を知った美月の母親は、哲と愛梨、清一郎を自宅に招き、お好み焼きパーティを始める。愛梨は、そこでようやく美月に謝る事ができたが、二人の溝はなかなか埋まらない。それでも負けじと頑張る愛梨の姿に、哲はわがままだらけだった娘の成長を感じるのだった。(第28話「お好み焼き」。ほか、4エピソード収録)

第7巻

愛梨や晴海清一郎と同じ組の男の子・純は、友達に対する暴言が多く、何かと問題になりがち。先日は、愛梨の夢を馬鹿にした事で問題を引き起こしたが、最近は何かと美月に絡み続けていた。大阪弁いじりから始まった美月へのいじめは、お弁当の中身にまで及んだ。そんな純の暴言を止めようと、いつもはおとなしい清一郎があいだに入ったものの、暴言のターゲットが清一郎にまで広がっただけで、事態は一向に改善する気配がなかった。清一郎はその時、ピーマン嫌いを馬鹿にされ、無理しなくていいと言ってくれている優しい父親・晴海昌弘の事を侮辱されたため、怒り心頭。やる気スイッチがオンになり、帰宅してから千石哲にピーマン嫌いを克服したいと相談する。詳しい事情を聞いた哲は、昔ピーマンが苦手だったという阿久津竜也からの話をヒントに、ピザ風味のピーマンの肉詰めを作る事を決めた。壇ゆかりからの協力を得て、作ってもらったレシピを見ながら、夜は一致団結してピーマンの肉詰めづくりに精を出し、清一郎の苦手克服への姿勢をみんなで応援する。(第35話「ピーマンの肉詰め」。ほか、4エピソード収録)

第8巻

時は、千石哲がまだ母親と二人暮らしをしていた高校時代に遡る。ケンカばかりで荒れた日々を過ごしていた哲が、高校卒業のかかった追試の事で母親と言い争っていた時、そこへ姿を現したのは大学生の晴海昌弘だった。先日ぎっくり腰で整体院を訪れた彼を、面接先の企業までバイクで送った事があったため、昌弘は菓子折りを持って哲にお礼を言いに来たのだ。律儀すぎる昌弘を笑った哲だったが、ひょんな事から追試に向けて、昌弘に勉強を教えて貰う事になった。まったくタイプの違う二人だったが、いっしょに過ごす時間が増えた事で、いい関係を築いていき、それが哲の試験結果にも反映される結末となった。時は流れ、真希から娘の愛梨を預かった哲は、経験のない子育てにうまくいかない事が多く、頭を悩ませていた。そんな中、幼稚園にお迎えに行った哲は偶然にも昌弘に再会。同じ幼稚園に息子の晴海清一郎を通わせていた事、昌弘が離婚した事を知る。そんなある日、哲が迎えの時間に遅れて幼稚園を訪れると、昌弘もまだ迎えに来ていない事を知る。代わりに清一郎を連れて帰る事になった哲が、子供達を連れて昌弘の自宅を訪ねると、そこにはごみであふれた部屋の中で、動けなくなっている昌弘の姿があった。(第36話「ソース焼きそば」、第37話「エビフライ」、第38話「チャーハン」、第39話「かぼちゃスープとローストチキン」。ほか、1エピソード収録)

第9巻

高校3年生になり、壇茜は今後の進路について考えなければならない時期に来ていた。これといってやりたい事がなかった茜は、春風との会話の中で、姉の壇ゆかりといっしょに料理をしている時が楽しいと感じている事に気づく。そこから、将来姉の店を手伝う事を目標に、高校卒業後、料理の専門学校へ行きたいと考えている事を姉に明かした茜だったが、ゆかりからは「ダメ」と一蹴されてしまう。受験が嫌だから、甘え、逃げているのだと告げられた茜は、自分の本当の気持ちを伝えられないまま、店を飛び出してしまう。その後、近くの公園で涙にくれている茜のもとに、偶然姿を現したのは、千石哲だった。愛梨と晴海清一郎といっしょに遊びに来ていた哲は、茜から進路について悩んでいる事、ゆかりとケンカしてしまった事を聞く。なにもやりたい事がないのに大学に進学するのは申し訳ないと、特に裕福なわけではない我が家のお金の心配をしていた茜に、哲は自分の気持ちを全部ゆかりに話した方がいいとアドバイス。自分が師匠から店を継ぐに至るまでの実体験を語って聞かせ、互いに本心をぶつけ合う事を勧める。(第45話「茶わん蒸し」。ほか、4エピソード収録)

第10巻

朝、いつものように愛梨と晴海清一郎を幼稚園へと送って行った晴海昌弘は、そこで千石の母親に出会う。千石哲に子供ができた事を知り、我慢できなくなって顔を見に来たという彼女は名乗るわけでもなく、ただ園の柵の外から子供達を見ていた。哲と母親のあいだに確執がある事を知っていた昌弘は、哲に彼女から聞いた電話番号を渡し、仲直りしてほしいと背中を押したつもりだった。しかし哲は想像以上の反発を見せ、母親の存在を受け入れようとはしなかった。それでも昌弘はあきらめず、彼女を食事に誘って哲のいないうちに家へと連れて来てしまう。いっしょに食事をして二人の仲を取り持ちたいと考えた昌弘は、手巻きずしの準備をして帰宅する哲と子供達を待つ。しかし、帰宅して母親の顔を見た哲は逆上。怒りを昌弘にぶつけ、愛梨を連れて家を出て行ってしまう。その後、行き場がなく困った哲と愛梨は杉田の家を訪れる。快く招き入れてくれた杉田は哲から事情を聞くと、哲が高校を卒業した頃からずっと、千石の母親と連絡を取り合っていた事を明かすのだった。(第46話「手巻き寿司」。ほか、4エピソード収録)

登場人物・キャラクター

千石 哲 (せんごく てつ)

整体師を務める独身男性。突然現れた元彼女の真希から、自分の娘だという愛梨を預ってほしいと懇願され、引き受けた。最近、師匠の整体院を継ぐ形で「千石整体院」を開業したばかりで、改装に金を使い切ってしまい、生活に余裕がなかった事もあり、友人の晴海昌弘と晴海清一郎が住む家に転がり込む形となり、主に家事を担当している。口も人相も悪く、おまけにケンカっ早いが、子供達の事を真剣に考える優しい性格。手先は意外と器用で、何事もきちんとしなければ気が済まないタイプ。幼少期に父親から虐待を受け、母親と共に家を出たが、その後も家庭環境に恵まれず、高校時代はケンカばかりで荒れていた。その頃に実の親以上に面倒を見てくれた師匠の存在が、整体を学ぶ土台を作り、今の彼を作ったと言っても過言ではない。愛梨からは「おやじ」と呼ばれている。

晴海 昌弘 (はるみ まさひろ)

出版社で漫画雑誌の編集者を務める男性で、千石哲の友人。家庭を顧みず多忙な日々を送っていた事が原因で、妻の涼子が浮気したあげく、出ていってしまった。現在は息子の晴海清一郎と哲、愛梨と四人で暮らしている。なにかと厳しい哲とは対照的に、他人に甘すぎて何でも許してしまう優しすぎる性格。数年前、担当していた作家・山代尊の自殺を止めようとしてもみ合いになり、誤って相手を包丁で傷つけてしまった事があり、それ以来包丁が大の苦手。そのため、妻が出て行ったあとも自炊する事ができなかった。気持ちや考えを言葉にする事が少なく、何事も家族なら言葉にしなくても伝わると考えていた。現在は離婚した妻と月に一度息子の面会を許しており、その際には手作りのお弁当や成長を記録した写真アルバムなどを持たせているが、それは母親がいなくても自分達だけで大丈夫だという意地の現れ。哲とは就職活動中にぎっくり腰になり、偶然入った整骨院で知り会った。バイクで面接先まで送ってくれたため、あとでお礼に訪れた際、高校卒業のための再テストを乗り越えるため、哲に勉強を教える事になり、いい関係を築くに至った。清一郎からは「パパ」、愛梨からは「パパさん」と呼ばれている。

愛梨 (あいり)

幼稚園児の女の子。ずっと母親の真希と二人で暮らしていたが、母親の都合で父親だという千石哲に預けられた。その後、晴海昌弘と晴海清一郎の住む家に転がり込む形となり、四人でルームシェアする事になった。気が強い性格で、自己主張が激しい。母親と離された寂しさや不安もあり、最初はあまり哲に懐いていなかったが、哲の作る料理を通して一気に距離を縮めていく。哲の事は、初めはおじさんと呼んでいたが、父親である事を理解したのか、「おやじ」と呼ぶ事に決めた。最初は父親二人に子供が二人の不思議な家族構成に母親がいない事も手伝って、自分の家がふつうではない事をとても気にしていたが、哲の「うちは変だが、俺達が楽しい家にしてやる」という言葉を聞いて以降は気にしなくなった。

晴海 清一郎 (はるみ せいいちろう)

晴海昌弘の幼稚園児の息子。母親が家を出て行ってしまい、現在は父親と千石哲、愛梨と四人で暮らしている。おとなしくて優しい性格で、何事もマイペースののんびり屋。乗り物や水族館の魚、特にくらげが大好き。はじめは母親を恋しがり、寂しがっていたが、次第に父親との距離を縮めていく。両親の離婚を理解しておらず、ケンカは仲直りすれば元に戻ると信じている。苦手な食べ物はピーマン。

信行 (のぶゆき)

愛梨と晴海清一郎と同じ幼稚園に通う男児。朝、愛梨と清一郎が父親の運転する自転車に乗って登園した事をやっかみ、パパしかいない家は変だとか、ママがいないのはかわいそうだと暴言を吐いた。これがきっかけで、愛梨と取っ組み合いのケンカになったが、信行の母親は彼の暴言によるものである事を認めて謝罪。しかし、彼自身から謝罪の言葉は出なかったため、一時的に関係が悪化してしまうが、愛梨から歩み寄りを見せた事で仲直りした。

(じゅん)

愛梨と晴海清一郎と同じ幼稚園に通う男児。愛梨の将来の夢を否定して馬鹿にするなど、日常的に大人の言葉を多用した暴言を多く吐く問題児。美月が大阪から引っ越して来た時も、美月の話し方が変だと笑い、お弁当の中身に文句をつけるなど、とにかく美月にやたらと絡もうとする。そのため、特に同じ組の女子からは嫌がられているが、実は好きな女の子をいじめてしまうタイプ。美月が気になっている様子が垣間見えるが、性格的に素直になれない。

(たける)

愛梨と晴海清一郎と同じ幼稚園に通う男児。特に清一郎とは仲がいい。土曜日、幼稚園の帰りは祖母が迎えに来る事になっていたが、急に迎えに来られなくなり、愛梨と清一郎の家に遊びに行く事になった。しかし、実は健のママからは愛梨と清一郎の家は変だからいっしょに遊んではだめと釘を刺されていた。

てぃあら

愛梨と晴海清一郎と同じ幼稚園に通う女児。特に愛梨とさくらとは仲がよく、土曜日の幼稚園の帰りに愛梨と清一郎の家に遊びに来る事になった。ポニーテールの髪型にショートパンツスタイルで、ボーイッシュな印象。母親は愛梨の家に行く事に賛成はしたが、もともとシングルファーザー二組のルームシェアに懐疑的であり、その印象は今も引きずっているため、なにかあったらすぐに電話しなさいと言われている。

阿久津 竜也 (あくつ たつや)

千石哲が営む整体院で、アルバイトとして働く事になった19歳の青年。左目尻にほくろがある。ホスト経験がある事から愛想はいいが、チャラい印象を与える。元彼女・樹里と同居していたが、彼女に別の彼氏ができたために家を出て、現在はネットカフェで暮らしている。樹里から金を借りたままになっており、樹里本人と、その新しい彼氏からも返済を求められている。高校時代バスケ部に所属しており、熱中していたが、アキレス腱をケガして続けられなくなった。それで自暴自棄になった頃、樹里と知り合ったが、それ以降何事も一生懸命になる事をやめ、ゆるくふわふわな人生を送って来た。しかし哲と知り合い、愛梨や晴海清一郎と接するうちにまじめになろうと改心。頭を丸めて樹里に謝罪に行き、うやむやにしていた借金をきちんと返済すべく、生活を立て直す事を決める。

父さん (とうさん)

晴海昌弘の父親。地方銀行の支店長を務めており、妻の母さんと宮崎で仲睦まじく暮らしている。わりと頭が固く、言葉数は少ない。昔から昌弘とは意見が合わない事が多く、昌弘が東京で漫画編集の仕事に就きたいと言った時には、その仕事を認めようとせず、そんな仕事に就くくらいなら、うちの銀行で働きなさいと勧めた。さらに離婚し、父子家庭同士で子育てをしている事を理解できないため、親子間の溝は一時的に深まってしまう。しかし実は、こっそり昌弘の編集する漫画雑誌を購入して保存していたりと、わかりにくくも理解しようと努力していた。その後、晴海清一郎と千石哲、愛梨と共に息子が宮崎に来た際、いっしょに過ごす事でわだかまりが解ける事となる。実は孫煩悩なタイプ。

さくら

愛梨と晴海清一郎と同じ幼稚園に通う女児。特に愛梨とさくらとは仲がよく、土曜日の幼稚園の帰りに愛梨と清一郎の家に遊びに来る事になった。ストレートのロングヘアで、かわいいものが大好き。トイレに行くにも一声かけるなど、よその家にお邪魔している際の礼儀はきちんとしている。将来の夢はアイドルになる事。

美月の母 (みつきのはは)

美月の母親。夫の仕事の都合で、大阪から引っ越して来た。スーパーで買い物中、目を離したすきに美月がいなくなり、千石哲に抱きかかえられているところを目撃。一瞬、誘拐と勘違いするもその後すぐに誤解を解き、哲と愛梨を自宅に招いた。

出雲 ルカ (いずも るか)

雑誌で漫画を連載している人気漫画家の女性で、編集者は晴海昌弘が担当している。作品の完成には、毎回アシスタントの協力が欠かせない。特に栗山要とは、同期デビューの関係で、彼の手伝いと料理の腕にはとても助けられて来た。今回、彼がアシスタントを辞める決意をしたため、新たにアシスタントを募集しなければならなくなったが、かなりの人見知りで、初対面の人がいると集中できない体質のため、周囲からは心配されている。

真希 (まき)

千石哲の元彼女。しばらくぶりに哲と連絡を取り、彼の娘だと言って愛梨を預かってほしいと懇願。そして、哲に娘を預けたあとに真希自身は姿を消した。実は働いていたエステ店の海外支社の店舗を任されたため、現在は海外で生活中。一時的に音信不通になったが、その後はきちんと哲や愛梨と連絡を取り合っている。8年ほど前にも、インドエステを覚えたいと一念発起して、就いていた仕事を辞め、お金もないまま本場のインドへと旅立った事があり、なにかと思いつきで行動するタイプ。周囲から変わっていると言われる事が多いが、真希本人もそれを自覚している。哲とは、ちょうどその頃付き合っていて、同棲していた事があった。些細なケンカで別れる事となったが、その後妊娠が発覚。哲に打ち明ける事のないまま出産し、働きながら一人で愛梨を育てていた。一見チャラい印象だが、自分の考えには芯が通っていて、料理上手で家庭的な一面を持つ。

杉田 (すぎた)

師匠の奥さん。まだ千石哲が高校生だった頃、ケンカばかりで荒れていた時期に自宅で食事を御馳走しようとした。その際、家庭のあたたかさに耐えかねて食事に手を付けずに出て行ってしまった哲に、食べやすく形を変えた料理を持たせ、食べさせた。夫亡きあとも、命日には必ず顔を出してくれる哲を暖かく迎え、かわいがっている。哲を整体院で働かせるにあたり、哲には内緒で千石の母親に挨拶に行っていた。それ以来、十年以上哲の母親と交流を続けている。

壇 茜 (だん あかね)

壇ゆかりの高校生の妹。母親と再婚した中華料理店勤務の男性から、姉が性的暴行を受けそうになった事があった。それ以来、料理をする男性が苦手になり、大好きな姉に近づこうとする男性に嫌悪感を感じるようになった。その後、壇茜が姉妹揃って男性に襲われたと証言した事で、母親はその男性とすぐに離婚した。そんな過去が影響し、千石哲に対する印象は最悪のものだったが、彼を知るにつけ、哲のよさを実感するようになる。気が強く、思った事は何でも口にしてしまう性格だが、根は素直でやさしい。ただし誤解されやすい性格のため、学校生活では友達といい思い出はなかった。しかし高校に入ってから春風と友達になり、不器用ながらもいい関係を築いている。

美月 (みつき)

大阪から引っ越して来た女の子。愛梨と晴海清一郎と同じ幼稚園に通う事になったが、関西弁をからかわれた事で幼稚園に行かなくなった。大阪に帰りたいあまり、両親の目を盗んで一人でバスに乗って大阪に帰ろうとしたところを、偶然通りかかった千石哲に止められた。将来の夢は獣医になる事。

山代 尊

漫画家の男性。以前、少年誌で書いていた作品が人気を博していたが、晴海昌弘からの熱烈なアタックにより、青年誌でも書く事が決まった。しかし連載作品の評判は悪く、結果を出す事ができないまま打ち切りとなった。作品の内容に直接的な提案を続けていた担当編集者の昌弘のせいで自分の作品がめちゃくちゃになったと考え、酒を飲み、自暴自棄になって自殺未遂を起こす。その際、止めようとした昌弘ともみ合いになり、もともと自分が持っていた包丁で右腕を切られ、ケガをする事態に発展した。それ以来音沙汰がない状態が続いていたが、作品のオンライン配信による契約の関係で編集部を再度訪れる事となり、昌弘と再会。漫画家を辞めて地元へ戻る事を決めた。

壇 ゆかり (だん ゆかり)

壇茜の姉。自身で立ち上げたカフェ「dan-dan」を経営しながら、料理教室を開催して講師も務めている。近所の八百屋で、子供の食事についての悩みを語っていた千石哲の話を聞きかじり、話しかけた。食の進まない子供への接し方や好き嫌いの多い場合の対処法など、出来得る限りのアドバイスをしたうえで、自身が行う料理教室に参加してみないかと哲を勧誘した。その後、哲と晴海昌弘が子供と共に料理教室に参加するようになり、日常的にレシピやコツをメールで伝授するなど、彼らが日々料理をするために必要不可欠な存在となる。いつも笑顔でふんわり優しい印象を持っているが、精神は意外とたくましく、きちんとするべきところはきちんと主張するタイプ。高校生の頃、母親の再婚相手から性的暴行を受けそうになった事があるが、幸い未遂で済んだ。しかしその影響で、実はまだ男性に恐怖心を持っている。

叔父 (おじ)

健のパパの叔父。ロングヘアを一つに束ね、柄物のシャツに汚れた白衣にひげを蓄えた姿という、何とも言えないファンキーなチンピラ風の出で立ち。山奥にある山小屋で、陶芸家として活動中。千石哲と愛梨親子と、晴海昌弘と晴海清一郎親子、健とパパママの総勢七人を迎え入れ、陶芸体験をさせた。

健のパパ (たけるのぱぱ)

健の父親で、健のママの夫。サングラスをかけて無精ひげを生やした、ちょっとヤンキーっぽい印象の人物。おおらかな性格だが、思った事は何でも口に出してしまうため、まじめな妻からは無神経といわれている。陶芸体験をするため、千石哲と愛梨親子と、晴海昌弘と晴海清一郎親子を引き連れ、総勢七人で叔父のもとを訪れる事になった。

樹里 (じゅり)

阿久津竜也の元彼女。竜也がアキレス腱をケガし、大好きなバスケットボールを続けられなくなった頃に知り合った。竜也といっしょに生活していくうちに、甘やかしすぎたせいで彼がまるでペットのような状況となった。最終的に新しい彼氏ができたと偽り、竜也を追い出して借金返済を迫る事で、竜也を立ち直らせようとする。

リリィ

自宅で英会話教室を営む女性。子供達に楽しく英語を覚えてもらおうと、コミュニーケーションを中心とした英会話教室を開催している。体験に来た愛梨と晴海清一郎を優しくリードし、特に人見知りが強い清一郎の性格に理解を示した。好きな食べ物は、母親が作ったサワークリームドーナッツ。

母さん (かあさん)

晴海昌弘の母親。宮崎に住んでおり、遠く離れた息子が、晴海清一郎の面倒をきちんと見る事ができているのかをとても心配している。父子家庭同士の同居は不自然であると、今の生活スタイルに不安を感じている。子供には母親の愛情が必要であると強く考えており、自分達のもとへ清一郎を預けてみないかと申し出た。しかし、昌弘と千石哲が自分自身で子供と向き合っているのを感じたため、いつでも頼ってほしいと基本の考え方を変えた。

千石の母親 (せんごくのははおや)

千石哲の母親。夫のDVから逃れるため、哲が8歳の頃に家を出て二人暮らしを始めた。しかし金に困って、水商売で生計を立てたり、恋人を作って息子を置き去りにするなど、子供にとっては最悪の家庭環境となった。哲が師匠のもとに出入りし始めた頃、師匠の奥さん(杉田)から挨拶をもらい、それ以降は時々杉田の家を訪れたり、連絡を取り合っていた。そこで、杉田から息子に子供ができた事を聞いて、愛梨の顔が見たくなって幼稚園まで行き、覗いていたところを晴海昌弘に見つかってしまった。高校卒業と同時に哲が家を出て、そのまま連絡を絶った状態になっていたが、昌弘の努力と、哲と自身が互いに大人になった事で、親子間の確執は解消へと動き出した。

春風 (はるかぜ)

壇茜と同じ学校に通う女子高校生。今の高校にはスポーツ推薦で入学したため、勉強はあまり得意ではない。しかし、その肝心のスポーツも、ケガをきっかけに辞めてしまった。ピアスやネイルなど、割と派手目なイマドキの女子高生といった出で立ちをしている。屋上で一人弁当を食べていた茜と偶然いっしょになり、ちょっと強引になかよくなった。茜の持って来る弁当が美味しいと、いつも遠慮なしにほしがり、もらって食べており、弁当を作っている姉の壇ゆかりに会いたがっている。

健のママ (たけるのまま)

健の母親。土曜日は幼稚園のお迎えは義母が行く事になっていたが、それができなくなり、健が愛梨と晴海清一郎の家に遊びに行っている事を知って慌てて迎えに来た。もともとシングルファーザー二組のルームシェアに懐疑的で、健には常日頃から、愛梨と清一郎の家は変だからいっしょに遊んではだめだと言い聞かせていた。そのため、家を訪れた際は明らかに千石哲に対して警戒心を抱いていたが、実際にいっしょに過ごすうちに変化が表れ始め、彼らに対する偏見をなくしていく。

栗山 要 (くりやま かなめ)

出雲ルカの漫画アシスタントを務める男性。長い間続けてきたアシスタントを辞める事を決め、同時に漫画家になる夢をあきらめる決意をした。付き合っている彼女との結婚の兼ね合いもあり、30歳までに自身の作品の連載が決まらなかったら、漫画家を辞めて就職すると決めていた。担当編集者の晴海昌弘と、二人三脚で連載に向けて頑張っていたが、ここ1年、どんなに作品の提案をしても、読み切りすら通らない日が続いていた。同期デビューの出雲には心から信頼されており、漫画執筆にあたる手伝いのほかにも、料理を作って振る舞う事も大きな仕事となっていた。

師匠 (ししょう)

千石哲が整体師としてやっていくにあたり、いろいろと面倒を見た男性整体師。哲がまだ高校生だった頃、ケンカばかりで荒れていた彼に声をかけ、自宅に招待して食事を御馳走するなど、本当の親以上に親身になって接した。その後帰らぬ人となったが、彼の開業した整体院は哲が継ぐ事になり現在に至る。

涼子 (りょうこ)

晴海昌弘の元妻であり、晴海清一郎の母親。家庭に無関心な昌弘との結婚生活に耐え兼ね、不倫したうえ、子供を置いて出て行き、不倫相手の保岡拓馬と生活を共にしている。その後、昌弘との離婚が決まったが、月に一度は清一郎との面会を行っている状態。しかし、しばらくして保岡との再婚が決まったため、改めて清一郎を引き取りたいと昌弘に打診。元夫を信じられないあまり、かなり一方的な方法で清一郎を自分のもとに引き取ろうとする。

保岡 拓馬 (やすおか たくま)

会社の代表取締役社長を務める男性。涼子と不倫のうえ、略奪婚をする。涼子の息子・晴海清一郎を引き取るため、幼稚園に足を運び、お母さん方に勝手にコンタクトを取り、晴海昌弘や千石哲の評判を聞いて回った。その結果、不十分な家事と児童虐待の疑いがあるとして、警察に通報すると二人に脅迫まがいの言葉をかけた。父親だけの不自然な家庭で子供を育てる事は不健全であると、父子家庭同士のルームシェアに否定的な考えを持っている。

書誌情報

パパと親父のウチご飯 全13巻 新潮社〈バンチコミックス〉

第1巻

(2014-12-09発行、 978-4107717887)

第13巻

(2020-11-09発行、 978-4107723277)

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