エルフさんは痩せられない。

エルフさんは痩せられない。

日本で整体師をしている直江友厚が、フライドポテトが大好きなぽっちゃりエルフの絵留札をはじめとする異世界住人たちの悩み解決をサポートする姿を描く日常ファンタジー。ワニブックスのWebマンガサイト「コミックガム」にて2016年12月22日から2021年2月24日まで連載。その後、秋田書店「どこでもヤングチャンピオン」に移籍し2021年11月号から連載。

正式名称
エルフさんは痩せられない。
ふりがな
えるふさんはやせられない
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
ヤングチャンピオン・コミックス(秋田書店)
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

森の妖精

運動不足とストレス、そしてカロリーの高い食事が人々の心と体を蝕(むしば)みつつある現代日本。そんな人々を癒す街の整体院「スマイリーボア」で働く直江友厚は、ある日の閉店間際にこっそりやって来た女性客、絵留札のダイエットコース施術を担当することになった。ニット帽にサングラスと怪しい恰好をしている絵留札の悩みは、フライドポテトに夢中になるあまりウエスト周りが太ってしまったために、少しでも痩せたいというものだった。友厚は絵留札のカウンセリングを始めるが、彼女を見るたびにニット帽に隠した耳が異常にもっこりしているのが気になってしまい、話の内容から彼女が森に住むエルフであると推測。予想どおり絵留札の正体は、異世界から日本にやって来た弓使いのエルフだった。絵留札は異世界からポテトをはじめとする、異世界にはない人間界の食べ物目当てでやって来たが、体重が元よりもオーバーしてしまったために帰りのゲートが通れず、故郷に帰れなくなったのだ。このため、異世界に戻るためには痩せなければならないが、そのためには大好きなポテトをダイエット期間中だけでも我慢する必要があった。友厚の熱心な指導を受けながら我慢と努力を重ねた絵留札は、1週間後に元の体型に戻ることに成功。異世界に帰って行った絵留札を見送り安心した友厚の不思議な体験は、こうして幕を閉じたかのように思えたが、その数日後、ファーストフード店には絵留札の姿があり、以前のようにポテトを食べて体型もまた元に戻っていた。一度痩せられたことで自信がついた絵留札は、異世界に戻る時だけ痩せられれば問題ないという楽観的な理由で、再び好物を我慢せず食べるようになっていたのだ。こうして友厚は、太りやすい揚げ物に心を奪われた絵留札のダイエットに付き合わされることとなり、彼の周りにはダークエルフの黒枝をはじめとするさまざまな異世界の住人が訪れるようになる。

浮揚の豚

ダイエットに励みながらも大好物のフライドポテトがやめられない絵留札の切実な悩みが続く中、直江友厚の周囲には、異種族ならではの悩みや不安を抱えた異世界の住人が増えつつあった。仲間も増えてますます減量に励めるように思えた絵留札だったが、持ち前の駄目エルフっぷりを遺憾なく発揮し、仲間と馴(な)れ合ったりすぐ挫折したりする「やるやる詐欺」の常習犯と化していた。そんな中、少しでも絵留札たちのダイエットをサポートしようと友厚が向かったのは、ジム内にある人気の少ないプールだった。水泳がダイエットにいいという理由で、絵留札だけでなく黒枝米路も連れて来ていた友厚は、熱心に指導を重ねながら水泳を活用したダイエットを彼女たちに勧める。実は泳げなかった絵留札と黒枝に悩まされる中、友厚は猪野明穂とよく似た女性に遭遇。プールに泳ぎに来ていたその女性は人間ではなく新たな異世界の住人で、正体はエルフと同じく森に住むオークのだった。ひたすら水泳ダイエットを重ねたことでオークにしては痩せた体型になった奥だったが、丸々太っているばかりにほかの種族に馬鹿にされたり、軽く見られることを気にして悩んでいた。絵留札たちは奥の水泳ならではのダイエット方法を教えてもらうが、オークの独特な泳ぎは簡単に真似できるものではなかった。その後もプールに通い続けた奥は順調に痩せたと思われたが、ジムの改装によってプールに行けなくなった彼女はダイエットに失敗してしまう。

恥辱の芋

絵留札黒枝に加え、オーガの男鹿やライカンスロープの頼加など、体重超過で元の世界に帰れなくなってしまった異世界人たちは、飽食と美食の人間界にすっかりハマり、人間の日常生活の中に自然と溶け込んでいた。絵留札たちに囲まれる直江友厚は、異世界から来た人々との相性がよく、気がついた時には彼女たちのパーソナルトレーナーとしてダイエットの指導をすることになっていた。痩せたいと言いつつも痩せられない絵留札たちに振り回される友厚のもとには、今日も異世界人の客が癒しとダイエットを求めて訪れていた。そんな友厚は人の欲望を糧にするサテュロスに狙われるようになり、彼女の術に対抗する術を持たない彼は、絵留札たちに交代で警護されるようになる。サテュロスの警戒を続けながらも、あらゆる場所で絵留札たちのダイエットをサポートする友厚は、絵留札のトレーニングを見守ったり、草花田たちと公園でピクニックしたりする平和な日々を送っていた。季節は冬に移り、久々にファーストフード店を訪れ、好物のポテトを一つだけ食べることを許された絵留札だったが、店には人間に化けたサテュロスが友厚たちを待ち構えていた。店員の正体に気づかぬままでポテトの無料券を大量にもらった絵留札は、実家に戻る予定を変更してポテトに再び夢中になってしまう。その数週間後、友厚の予想どおり絵留札は前以上に太っていたが、なぜか彼女だけでなく友厚までもが丸々太ってしまう。

痩せぬ夢

いつの間にか異世界の住人たちのダイエットを専門に担当することになった直江友厚のもとには、エルフの絵留札だけでなくドラゴンやスケルトンなどぽっちゃり体型に悩むさまざまな種族が集まり、彼の日常はとてもにぎやかで騒がしい日々に変わっていた。故郷に帰れないままの異世界人たちは、友厚があらゆるダイエットやストレッチを指導しても暴食と惰眠を貪ってばかりで痩せる気配がなく、一時的に痩せてもすぐに戻るのを繰り返すばかりだった。そんなある日、仕事が終わった友厚は帰り道に通った夜の公園で、鉄仮面をかぶりソフトクリームを持った怪しい女性に遭遇する。その女性の正体は、異世界から絵留札を連れ戻しにやって来た厳格なエルフの大江田だった。絵留札の叔母である大江田は戦の達人で、筋肉を愛するストイックなスパルタトレーナーでもあった。戦とエルフの誇りをすっかり忘れて人間界になじんでいる絵留札をよく思わない大江田は、絵留札の母親に頼まれて彼女を叩き直したうえで異世界に連れて帰るのだと言う。この日以来、絵留札は異世界に帰るためのダイエットだけでなく大江田の過酷なトレーニングを受けることになり、食事量も大幅に減らされてしまう。日に日にやつれ辛そうな絵留札を見ていられなくなった友厚は、無理なトレーニングをやめるよう大江田に懇願する。

キケンな波音

飽食の人間界のカロリーやストレスは、多くの人間だけでなく異世界人を楽しませると同時に、その肉体と健康を蝕んでいた。そんな異世界人たちの悩み解決をサポートする直江友厚は、米路に誘われて草花田骨田と共にカラオケボックスに遊びに来ていた。歌が大好きな米路は、カラオケを思いっ切り楽しみながらカロリーを消費しようと提案。ウォーキング中の絵留札大江田をよそに久しぶりのカラオケを楽しむ友厚たちだったが、米路が歌い出した途端に彼の精神に揺らぎが生じ、おかしな幻覚が次々と見え始める。米路が歌い終わった途端に幻覚は解けたかに思えたが、再び彼女が歌い出した途端に幻覚は悪化し、彼女がまるで別人のように見え始めた友厚はとうとう自我を失って暴走してしまう。そこへ頼加を追いかけてたまたまカラオケボックスに来た絵留札たちが入り、友厚の暴走は間一髪で止められる。米路は久しぶりの大人数のカラオケでテンションが上がってしまい、歌うことでチャームの能力が発動し、耐性のない人間である友厚のみが幻覚状態に陥っていたのである。絵留札がとっさに気絶させたことでトラブルは免れ、カラオケに混ざることになった絵留札たちを加え、友厚たちは仕切り直しとしてカラオケを再スタートさせるのだった。

絶芋海岸

直江友厚の周囲に集まる異世界人は、ラーメンを愛するゴーゴンの愛叉を加え、ますます個性的でにぎやかになっていた。夏休みを迎えた友厚は、まるで痩せるつもりのない絵留札たちのダイエット合宿を企画する。ポテト、アイスクリーム、ラーメンなど、余計な間食を中心にそれぞれの好きなものを断ちながら己と向き合うための合宿は、水着姿の異世界人たちが並ぶ海岸からスタートする。ポテトが売っている店がないことに絵留札が不満を漏らす中、絵留札たちに苛立(いらだ)ちながら遠くから眺めるサテュロスの姿があった。絵留札たちに復讐しようとしては、さまざまな辱めを受けたことでさらに恨みを抱くサテュロスは、同じく絵留札たちに恨みを持っている謎の二人組と組んで行動することになる。そんなサテュロスたちの怪しい動きを知らぬまま、ビーチバレーに興味を持った絵留札たちは、チーム分けをしてさっそく試合を始める。その試合の途中で、人間に化けたサテュロスが謎の美女二人を連れて出現し、さらにチーム分けをしてチーム「プラージュエルフズ」とチーム「ダークオフディアンズ」による3対3のビーチバレーが始まる。だが、試合中に次々と不思議な現象が起こり、絵留札たちはサテュロスの罠(わな)に気づかぬまま、次々と失点を許してしまう。絵留札たちはトラブルや仲間割れを起こしながらも少しずつ点を取り返していくが、順調に点を稼いでいたサテュロスのチームにも変化が訪れていた。

痩せたい!異世界人図鑑

直江友厚は自らが担当する異世界人たちが、あらゆるダイエットやエクササイズを試しても一向に痩せる気配がないことに頭を悩ませていた。珍しくため息をつく友厚を心配した猪野明穂のアドバイスを参考に、友厚は絵留札たちの悩みと希望に合ったより効果的なダイエットプランを提供するため、改めて患者たちのカウンセリングシートを整理・確認する。カウンセリングシートをもとに、絵留札たちのプロフィールを作り直すことになった友厚は、彼女をはじめ悩みを持った異世界人たちのもとを次々と回り、好物から気になっている部位まで的確に情報を調べては整理していく。一通り情報をまとめることができた友厚は、相変わらず好物のことばかり考えている絵留札たちに呆(あき)れながらも、それぞれの特徴に見合ったダイエットを指導していくのだった。後日、大雨が降る中で入店した一目を出迎えた友厚は、いつもどおり彼女のカウンセリングと施術を開始する。だが、途中で雷が鳴ったと勘違いした一目は怯(おび)えてしまい、次の瞬間には大きな雷がどこかに落ちたことで完全に怯えた彼女は、恐怖心から元の巨人の姿に戻ってしまう。

登場人物・キャラクター

直江 友厚 (なおえ ともあつ)

日本に住む青年。街の整体リラクゼーション「スマイリーボア」で働く整体師。黒の短髪でおとなしくまじめな性格をしている。ある日、ダイエットに悩み施術にやって来た絵留札と出会って彼女の悩みを解決するために協力するうちに、ほかの異世界人たちも店に訪れるようになり、平穏だった日常が大きく変わることとなった。絵留札だけでなく、黒枝や米路などさまざまな異世界人と出会っては、それぞれの施術を担当するだけでなく悩みを聞いて解決をサポートしたり、ダイエットのための企画を作ったりしている。それらを繰り返すうちに、いつの間にか仕事でも異世界人たちのダイエット施術を担当するようになり、遊びや交流も兼ねたダイエット方法も多く提案している。しかし、一向に痩せる気配のない絵留札たちに振り回されるばかりで、時には彼女たちが好物から離れられないことに呆れている。その一方で無理なダイエットは好まず、あくまで健康的に無理なく痩せられる方法だけを推奨している。動物全般、特に犬が好きだが爬(は)虫類だけは大の苦手で、ふつうのトカゲやヘビはもちろん、ゴーゴンの真の姿やドラゴンを一目見ただけでも失神するほど。凝り性なところがあり、どこでもおいしいコーヒーを淹(い)れるための道具一式を持ち歩いている。異世界人から好感を抱かれやすく、ダイエット知識が豊富なことからも信頼されているが、チャームなど異世界人が持つ能力への耐性は持たず、時おり能力の被害に遭ったりトラブルに巻き込まれたりしている。マンションの一室に一人暮らしだったが、サテュロスに狙われたのをきっかけに絵留札と同居するようになり、警護やダイエットのために訪れるほかの異世界人も多く出入りしている。

絵留札 (えるふだ)

異世界の住人で、森に住むエルフの女性。ふだんは明るい金髪のロングヘアを三つ編みとお団子でまとめている。ニット帽子をかぶっても膨らんで目立ってしまうほどの大きく長いエルフ耳を持ち、人目の多い場所では耳を隠している。異世界では緑色のレオタードのような衣装を着ているが、人間界では「愛油」や「ポテトピア」などと書かれた変わったTシャツと芋ジャージを愛用している。人間界に来た時に食べたフライドポテトのあまりのおいしさに歯止めがきかず、ついにはお腹がたるんでしまい、ぽっちゃり体型になってしまう。さらには体重が増えたことで元の世界に戻るためのゲートを通れなくなり、故郷に帰るために痩せようと整体リラクゼーション「スマイリーボア」に赴き、直江友厚と出会った。一度は友厚のアドバイスを受けながらポテトを我慢してダイエットを成功させたが、実家に戻った数週間後には再び人間界を訪れ、以前のようにポテトを愛(め)でるようになって体型も戻ってしまう。一度ダイエットを成功させたことで変な自信がついてしまい、故郷に帰る直前だけ痩せればいいという楽観的な理由で、毎日のようにポテトを食べては、友厚の指導のもとでダイエットと肥満を繰り返している。人間界の食べ物と便利な道具に堕落するうちに元のストイックな性格は消えていき、すっかり駄目エルフと化している。敵対するダークエルフの黒枝とは仲が悪く、しょっちゅういがみ合ったり張り合ったりしている。弓矢の達人ながら、よく矢を忘れてしまう。植物の声を聞いて健康状態を診るという特技も持つ。また手先も器用で、アクセサリーなどを手作りできる。好きなものはフライドポテト、自然、ゲームや漫画。苦手なものは肉類や魚類、コーヒー、水泳。趣味は芋グッズ集めと木工で、気になる部位はお腹周り。

猪野 明穂 (いの あきほ)

日本に住む女性。整体リラクゼーション「スマイリーボア」の院長を務めている。年齢は40代。ショートヘアで両耳に丸いイヤリングを付け、眼鏡をかけている。年齢を感じさせない若々しさと巨乳が、店の人気を支えている。明るく面倒見のいい性格で整体師としても優れているが、酒に酔うと絡み酒になってしまう。部下の直江友厚のことを気に入っており、よく仕事終わりに酒に誘っているが断られている。友厚の周りに集まって来るようになった絵留札をはじめとする女性が、異世界人であることは知らない。

黒枝 (くろえだ)

異世界の住人で、ダークエルフの女性。コンビニ「11-ELEVEN-」でアルバイトをしている。色黒肌で、ウェーブのかかったロングヘアをヘアバンドでまとめている。絵留札と同様に耳が尖(とが)っているが、ふだんは髪の毛で隠している。食べ物への執着はあまりないが、長時間の立ち仕事と運動不足でむくんでしまったお尻を気にしている。魔と闇の体現者といわれるダークエルフで、絵留札をはじめとする森のエルフとは対立関係にあるが、意地悪に見えてかなり生真面目で実直な一面があり、アルバイトにも真剣に励んでいる。使い魔として小さなゴーレムを複数使役できるが、見た目を変化させるために魔力消費が激しくなると、動かせるゴーレムの数が減る。絵留札とは犬猿の仲で、会うたびにケンカしたり張り合ったりしている。魔術はもちろん薬の調合も得意で、ダイエット指導に苦労する直江友厚を気遣って、痩せ薬を開発したこともある。好きなものは魔術研究、仕事、コンビニ菓子。苦手なものは生卵と納豆、エルフとアンデッド、水泳。趣味は魔術素材収集とポーション作りで、気になる部位はお尻を中心とする下半身。

米路 (めろ)

異世界の住人で、メロウ(人魚)の女性。街の魚屋「雅夢水産」で働いている。明るく陽気な性格で、歌を歌うのが大好き。仕事では魚屋の格好をしているが、私服はマリンルックを好んで着用している。関西弁で話すが実際は関西人の言葉を真似しているだけで、ところどころおかしな話し方になってしまう。秘薬「マカ怒張」によって人の姿を維持しているが、半日程度で人魚の姿に戻ってしまう。仕事が忙しく泳げていないため、二の腕がたるんでしまったことを悩んでいる。趣味はカラオケだが、意識して制御せずに耐性を持たない人間に歌を聞かせると、歌を通して無意識にチャームの能力が発動してしまい、歌を聞いた直江友厚を幻覚状態に陥らせてしまったことがある。好きなものは魚介類系料理、ホラー映画、カラオケと水泳。苦手なものは塩素、乾燥、猫。趣味はアクアリウムとお笑い鑑賞と釣りで、気になる部位は二の腕。

草花田 (くさはなだ)

異世界の住人で、植物の妖精、アルラウネの女性。花屋「アルラウ園」のオーナーを務めている。豊満なバストを誇り、頭には本体とも呼べる大きな花が付いている。のんびりした性格で、間延びした口調で話す。快晴続きの毎日で、頭の花がどんどん成長してしまったことを悩んでいる。エルフを超える植物の専門家であり、植物が罹(かか)りやすい病気にも詳しい。頭にある花は飲み物によっても変化するため、直江友厚が淹れたコーヒーを飲んだ途端に人格が変化し、ふだんの性格から一変してギャルになってしまったことがある。好きなものは植物、水と土と太陽、おだやかな時間。苦手なものは乾燥や寒い環境、高い所。趣味は園芸と日光浴で、気になる部位は肩と背中。

男鹿 (おが)

異世界の住人で、巨人族、オーガの女性。サウナ完備の銭湯「地獄の湯」に夜な夜な現れると噂になっており、サウナの中で絵留札と黒枝に遭遇し、直江友厚とも知り合った。紺色のボブヘアで、額に2本のツノが生えている。身長2メートルを超える大柄で筋肉質な体型をしている。勇ましく豪快な性格で、男勝りな一面がある。好戦的なところがあり、戦闘では武器を使わず力技で戦う。一人称は「俺」で、男っぽく粗っぽい口調で話す。酒好きなオーガの性質上、人間界の酒がおいしすぎて止められず、つい飲み過ぎて太ってしまったのが悩み。しかし禁酒には乗り出せず、時間や場所を問わずすぐに酒を飲もうとする。オーガの性質上、母性が人間よりも強く、小さな子供を見ると気に入って母親になろうとする。特に児穂のことを気に入っており、母性が暴走すると危険な発言が増える。同じ巨人族の一目にはよく対抗心を燃やして張り合っており、いきなり二人で戦い始めることもある。好きなものは酒、子供、風呂やサウナ、力比べ。苦手なものは甘い食べ物と図画工作。趣味は飲み歩きと子育て雑誌を読むことで、気になる部位は下腹。

頼加 (らいか)

異世界の住人で、ライカンスロープ(狼人間)の女性。人間の姿の時は黒の混じった銀髪のボブヘアで、長い前髪で目が隠れている。スポーツウェアのような服をまとい、獣耳と尻尾が生えている。無邪気で人懐っこい性格だが、絵留札とは仲が悪い。プライドが高く、犬呼ばわりされるのが嫌いで、怒ると口が悪く毒舌になる。ふだんは狼のような魔獣の姿をしているが、犬にしか見えないため近くを通った人間たちにかわいがられ、大量のエサを与えられるままに食べるうちに少し太ってしまった。ダイエットのために魔獣の姿でドッグランを駆けていた際に、直江友厚と絵留札に出会う。魔獣形態の時は友厚からかわいがられ、お腹などを撫(な)でられていることが多い。意外と我慢強いところもあり、捨て犬のきなこを世話しているあいだ、自らの食事を分け与えていたために痩せてスレンダーな体型になったこともある。好きなものはご飯とカリカリしたやつ、ボール、昼寝。苦手なものは辛い食べ物と柑橘(かんきつ)類、しつこい人。趣味は散歩と骨集めで、気になる部位はお腹と後ろ足。

(おく)

異世界の住人で、森に住むオークの女性。ショートヘアで、ブタ耳が生えている。素直で優しいが単純で天然な性格で、おだてられやすく騙(だま)されやすい。元は太っていたが、痩せるために人間界に来て水泳を活用したダイエットに励み、オークにしては痩せた体型を自力で手に入れた。故郷でほかの種族から鈍感・のろまなどと言われてきたオーク族を、水泳を元にマスターしたダイエットによってほっそり体型に導くことが夢。しかし、ジムのプールが改装で通えなくなったのをきっかけに、元の太った体型に戻ってしまった。好きなものはきのこ、豚さん、ピンク色、シャワー。苦手なものは豚肉料理、狭い所、恐い人。趣味はダイエット情報収集とショッピングで、気になる部位は全身。

児穂 (こぼ)

異世界の住人で、コボルトの女性。コボルトの性質上、幼女の姿をしているが、れっきとした大人。語尾に「~でち」を付けて話す。人間界では公園を縄張りとし、遊んでいる子供たちから徴収したお菓子を食べるうちに、頰がたぷたぷに太ってしまった。小柄な体格を活かした俊敏な動きで、相手を翻弄する。好きなものはお菓子とお金とキラキラしたもの、イタズラ。苦手なものはオーガと目利きな奴。趣味はキラキラアイテム収集と金儲(もう)けで、気になる部位はほっぺ。

一目 (ひとめ)

異世界の住人で、一つ目の巨人族、キュクロープスの女性。ボブヘアの長い前髪で目を隠しており、大きなリボンを付けている。人間に化けている時も身長2メートルを超える巨体だが、本当の身長は4メートルを超えている。おっとりしたのんびり屋な性格をしている。一人称は「おら」で、訛(なま)り口調で話す。ふだんはおとなしいが同じ巨人族には対抗心を燃やすことが多く、特に男鹿とはしょっちゅう張り合っている。大柄な見た目に反して臆病な一面があり、特に雷にびっくりすると元の体の大きさに戻ってしまう。好きなものはブルーベリー、金属や鉱石、アクセサリー。苦手なものは雷と眼鏡。趣味はアクセサリー作りと包丁研ぎで、気になる部位はお腹と太もも。

大江田 (おおえだ)

異世界の住人で、森に住むエルフの女性。長く尖ったエルフ耳は片方の一部だけ欠けており、体中には過去の戦いでついた傷跡が残っている。鍛えることが好きで、筋肉質な体型をしている。自分にも他人にも厳格で、いつも冷静かつストイックな性格をしている。鉄仮面をかぶりソフトクリームを携えて、夜の公園に出現する。その正体は絵留札の叔母で、彼女がなかなか逆らえない相手でもある。絵留札の母である姉に頼まれて、姪の絵留札を異世界に連れ戻すために人間界に渡る。絵留札の体重を元に戻し、エルフらしい厳格な精神を取り戻させるために、厳しいトレーニングとダイエットを始める。しかし、やつれていく絵留札を見かねた直江友厚から無理なダイエットをやめるよう指摘され、もうしばらくは絵留札に好きにさせることを選ぶ。だが、ソフトクリームの食べ過ぎで体重オーバーとなったために故郷に帰れなくなり、時おり絵留札を鍛えながら人間界を満喫している。好きなものはソフトクリーム、鎧(よろい)や刀剣類、かわいい動物とキャラグッズ。苦手なものは肉類と魚類、水泳、動物に優しくない人。趣味は兜(かぶと)収集と読書で、気になる部位はお腹周り。

サテュロス

異世界の住人で、他者の欲望を貪る悪魔、サテュロスの女性。ふだんは白のショートヘアに色黒肌でツノと尻尾が生えているが、人間に化けると黒のショートヘアで色白の女性になる。一人称は「ボク」。チャームの能力で人間を惑わし、欲望を発散させてそれを糧にしている。能力に耐性のない直江友厚を狙うが絵留札たちに返り討ちにされ、その後は彼らを逆恨みして友厚たちを狙っているが、いつも返り討ちにされ逃げる羽目になっている。実はかなり純情な性格で、男性の裸などにはまったく耐性がなく、刺激の強い光景を見ると鼻血を出して失神することもある。のちに人間の姿の時は「佐手路」と名乗るようになる。

骨田 (ほねだ)

異世界の住人で、スケルトンの女性。生前は異世界で人間として生きていたが、理不尽な目に遭い死亡したあとにスケルトンになった。骨集めが趣味の頼加が全身の骨を集めたことで、直江友厚の家で復活する。全身骸骨姿だが、魔力を使って生前の姿に戻ることができ、その際は縦ロールの巨乳美女の姿になる。しかし、顔以外の部分は骨が透けて見えてしまうため、ハイネックや長袖などで隠している。また驚いたり感情が昂(たかぶ)ったりすると、部分的に骸骨に戻ってしまう。好きなものはカルシウム、遊ぶこと、ハイネックの服。苦手なものはトラック。趣味はスケルトングッズ収集で、気になる部位は背中。

含蛇 (ごんだ)

異世界の住人で、ドラゴンの女性。小柄な体型で、ツノと大きな長い尻尾が生えている。クールな性格で感情表現は少なく、いつも無表情。一人称は「我」で、気高くプライドが高い一面がある。雪の中で気絶したまま埋まっていたところを、直江友厚と絵留札に救出された。高い知能を持ち高度な魔術が得意で、テレパシーで会話する。もともとキラキラした物が大好きで、ガラス玉などを収集するのが日課と化している。人間界で暮らすうちにお腹が太ってしまったことと、大きな目立つ尻尾をなかなか隠せないのが悩み。好きなものは肉類(特に和牛)、日向ぼっこ、キラキラした物。苦手なものは寒さ。趣味はお宝収集で、気になる部位はお腹と尻尾。

愛叉 (めでさ)

異世界の住人で、ゴーゴンの女性。人間に化けている時は色黒肌で、ヘビ型のチャームが付いたチョーカーをしている。黒のロングヘアをポニーテールとヘアバンドでまとめ、大きな瓶底眼鏡をかけている。温厚な性格で、片言の日本語で話す。二人の姉の過保護に嫌気がさして故郷を飛び出し、人間界では大好物のラーメンを毎日のように食べている。間食にカップラーメンを食べることも多く、あちこちでラーメン屋巡りをするうちに太ってしまった。目から人や物を石化させる光線を出し、自らの涙を与えないと元に戻すことはできない。ふだんは眼鏡で目を隠しているが、感情が昂ったり眼鏡をなくしたりすると、石化の能力が暴走することがある。髪の毛にはクリュサオルとペーガソスというヘビの僕(しもべ)が潜んでおり、感情が昂った時や家族に共鳴した際に、この僕がヘビの姿に戻って現れる。また、ヘビの感情は家族の僕のヘビともつながっているため、ヘビを通して愛叉の状態がわかるようになっている。好きなものはラーメン、二人の姉。苦手なものは運動、ラーメンを大事にしない人。趣味はラーメン屋巡りとラーメン作りで、気になる部位はお腹周り。

書誌情報

エルフさんは痩せられない。 7巻 秋田書店〈ヤングチャンピオン・コミックス〉

第1巻

(2022-06-20発行、 978-4253306126)

第2巻

(2022-07-20発行、 978-4253306133)

第3巻

(2022-08-19発行、 978-4253306140)

第4巻

(2022-09-20発行、 978-4253306157)

第5巻

(2022-10-20発行、 978-4253306164)

第6巻

(2023-01-20発行、 978-4253306171)

第7巻

(2023-02-20発行、 978-4253306188)

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