あらすじ
ロマンチック
仕事はうまくいかず、彼氏には騙されてツボを売りつけられ、最低な人生に別れを告げようと自殺を思い立った女性が主人公。彼女は、いざ死ぬというときに、上の階の住人の騒音が気になり、文句を言いに行く。そこには黒魔術を信仰するという、奇妙な男性がおり「今日自殺すると苦しむだけでなく生き残るからやめたほうが良い」と忠告される。それから彼は毎日、彼女の部屋にやってきては、「今日は自殺をやめておいたほうがいい」と同じことを言うのだった。
この夏
小学六年生のタクヤは、クラスメイトの田中さんのことが好きだった。一学期の終わり、田中さんに「宿題をやってこない人は嫌い」だと言われたタクヤは、今年の夏休みこそ宿題をやると決意する。一方、タクヤの兄は書店員の女性に告白され、この夏が終わるまでにダイエットして彼女にふさわしい男になろうとする。こうして兄弟の夏が始まった。
歯は上に投げるもの
いつもと違うことは立て続けに起こる。「オレ」は、深夜の路地でそう考えていた。思いがけない出来事の一つ目は、めったに話さない妹に散歩に誘われたこと。二つ目は、妹の彼氏に浮気を誤解されて、思い切り殴られたこと。路地に敷かれたマットに座り、折れた奥歯を眺めていると、三つ目が起きた。ビルの屋上から、少女がマットめがけて飛び降りてきたのだ。
ボクらの友情戦記
小学校に通うシンジ、タカユキ、亮介は大の仲良しで、試験の点数も似たり寄ったり。ある日、40点のテストを持って家に帰ったシンジは、母親から塾に行くよう命令される。母親は、タカユキも塾に行くことになったという。翌日学校に行くと、亮介も塾に行かされることになったらしい。三人は、なんとか親たちを説得しようとする。
スズキと大山
女子中学生スズキハルコは大根農家の娘だ。だから、お弁当のおかずは大根ばかりなのだが、ハルコは大根が嫌いだった。しかし、もっと嫌いなのは、昼休みになると、大根のオカズをもらいにくる男子・大山だった。ハルコが大根と大山を嫌う理由は、半年前のある出来事がきっかけなのだが、大山はそのことをまったく忘れたように、ハルコになついてくる。あるとき、ハルコは大山への復讐を思いつく。
ボクとボクの兄キ
マサノリとアキノリは双子の兄弟。スポーツ万能で人気者のマサノリと、勉強はできるが地味なアキノリは対照的な二人だった。アキノリは、なんでも手に入れる兄に、嫉妬心を抱いていた。ある日、アキノリが帰宅すると、珍しく兄が猛勉強していた。テストで100点を取ったら、母に何かを買ってもらえるらしい。スポーツバカの兄に、100点が取れるわけがないと、アキノリは溜飲を下げる。しかしそれから毎日、兄は必死に勉強をし続けた。ひょっとしたら100点もありえるかも、と考えたアキノリは、兄にある申し出をする。