あらすじ
第1巻
服飾デザイナーとして転職が決まった水崎舞は、夢を叶えた自分へのご褒美として、京都での一人旅を楽しんでいた。舞は本能寺跡地で謎の青年と出会うが、彼に話し掛けられた瞬間に突然雷に見舞われ、気を失ったままどこかに飛ばされてしまう。目覚めた舞が見たのは、燃え盛る本能寺だった。建物内で刺客に襲われそうになっていた人物を勢いで助けた舞だったが、その男は戦国武将の織田信長であった。混乱の中から逃げ出した舞は、同じ時代からタイムスリップしていた大学院生・猿飛佐助と出会う。佐助の話によると、舞は現代に現れたワームホール(時空の歪み)が原因で戦国時代に飛ばされ、しかもこの時代の歴史は現代に伝えられている歴史とは異なっているのだという。佐助から3か月後にはワームホールが出現し、帰ることができるかもしれないと聞いた舞は、ワームホールの出現まで織田軍に身を寄せることとなる。天下統一の験担ぎとして舞をかたわらに置くことにした信長は、家臣たちに命じて舞を織田軍の本拠地である安土城に連れて行く。舞は自分が未来からタイムスリップして来たこと、3か月後には元の時代に帰ることを信長に打ち明ける。それを聞いた信長は舞に対し、囲碁で自分に勝てなければ、元の時代に帰るのを許さないと宣言するのだった。
第2巻
元の時代に帰るのをあきらめられず、織田信長からの囲碁勝負を渋々受けた水崎舞だったが、囲碁初心者の彼女は信長に勝つことはできなかった。信長に安土城の武将たちの世話係になるよう命じられた舞は、石田三成から囲碁を習いつつ、戦国武将たちに囲まれながら安土城で彼らの身の回りの世話をするようになった。最初はなにもわからず戸惑うばかりだった舞は、信長や彼の部下たちと過ごす内に、自分の考えを持って動くようになる。そんなある日、町に出ていた舞は猿飛佐助と再会。そこにはかつて舞を助けてくれた真田幸村と共に、上杉謙信と武田信玄も現れる。佐助と話した舞は、彼がタイムスリップしてから4年のあいだにこの時代で色々あったのだろうと察する。さらに舞は、信長と敵対する謙信と信玄が同盟を組んだこと、織田軍と上杉・武田軍のあいだに戦が迫っていることを知る。そんな中、舞は信長の湯治の旅に同行することになり、旅の中で今まで知らなかった信長のさまざまな一面を見る。舞と信長は旅先で謎の刺客に襲われるが、彼らは信長をうらむ顕如によって差し向けられた者たちだった。戦いに敗北し、命乞いをしてくる刺客の一人を容赦なく殺した信長を見た舞は、信長の無慈悲な行動に戸惑ってしまう。
第3巻
織田軍と上杉・武田軍の戦が迫る中、水崎舞は安土城で織田信長をはじめとする戦国武将たちと過ごすうち、次第に信長への思いが恐怖から別の感情へと変化し始め、信長のことをもっと知りたいと考えるようになる。さらに信長との旅や数々の対話を経て、彼の生き様と大きな野望を知った舞は、今度は自らの意思で彼と共に戦に出向くことを決意。後日、戦の準備に追われる舞は城下町に出るが、そこでは豊臣秀吉と明智光秀が言い争いをしていた。以前より光秀には敵と密通して信長暗殺を企てた裏切り者の疑いがかけられており、秀吉もその噂を気にしていた。光秀を心から信頼したいと思っている秀吉の思いを知った舞は、光秀が信長を裏切っていないことを祈るのだった。そんな中、いつものように信長との囲碁勝負に挑む舞は、さらに信長のことが気になり、彼を意識することが多くなっていた。タイムスリップから2か月が経った頃、舞は信長に抱く思いの正体を少しずつ自覚しながら、残りの時間で自分ができる事を精一杯やろうと決意。次の日の朝、城内で光秀に遭遇した舞は先日の話が気になり、秀吉のことをどう思っているのかと尋ねる。光秀が秀吉を嫌っているわけではないことに安堵した舞だったが、次の日から光秀はどこかに姿を消してしまう。
第4巻
上杉・武田軍との戦場になる支城への進軍を始めた織田軍は、道中で領主の領地に立ち寄り彼の宿で一晩を過ごす。しかし領主は、織田軍を裏切って上杉・武田軍とつながっており、一部の兵は毒を盛られて体調を崩してしまう。織田信長が裏切った領主たちを皆殺しにしたことに戸惑った水崎舞は宿を飛び出すが、森の中で顕如の奇襲を受ける。舞は絶体絶命の状況に追い込まれるも、そこに現れた信長たちに命を救われる。そして、信長に心から心配された舞は、彼への確かな恋心を自覚する。そして信長も、以前から舞へ抱いていた特別な感情を自覚するのだった。そんな中、織田軍は上杉・武田軍の突然の襲撃を受け混乱に陥る。さらにこの襲撃には、以前より上杉・武田軍とつながっていた明智光秀が関係しているという情報もあった。敵軍の罠にはまった織田軍は一万以上の大軍を前に、窮地に立たされる。それでも光秀の裏切りを信じ切れない舞は、次に彼に会ったら問いただそうと決意しつつ、後方でケガ人の手当てを担うことになる。徳川家康の指示で後退することになった舞は敵軍の襲撃でピンチに陥るも、駆けつけた信長に救われる。舞は猿飛佐助から受け取っていた煙幕で信長を守りその場を離れるが、そこに光秀が大軍を連れて姿を現すのだった。
登場人物・キャラクター
水崎 舞 (みずさき まい)
現代日本人の女性。日本史の成績は悪く、戦国武将や史実にはあまり詳しくない。あこがれの服飾デザイナーに転職が決まったことで、自分へのご褒美として一人で京都旅行に赴いた際、本能寺跡地で突然雷に見舞われ、戦国時代(1582年)にタイムスリップしてしまう。そこで出会った織田信長に気に入られ、織田軍の一員としてさまざまな戦国武将と出会いながら、安土城で暮らすようになる。本能寺で信長の命を救ったことから、「幸運を呼ぶお守り」としてかたわらに置かれ、彼の戦にも同行するようになる。昔からの夢だった服飾デザイナーになったばかりで、自らの夢のために現代に戻ろうとしている。当初は猿飛佐助の助言で未来人であることを隠していたが、未来からタイムスリップして来たこと、3か月後に出現するワームホールで元の時代に帰るつもりであることを、信長に打ち明ける。未来人であることを冷静に受け入れた信長から、元の時代に帰るための条件として囲碁勝負を持ちかけられる。信長に武将たちの世話係を命じられてからは、服飾デザイナーの腕を活かして、主に針子の仕事をしている。当初は信長のことは乱暴で冷酷な暴君として信用していなかったが、交流を重ねるうちに彼の生き様や本当の野望を知って打ち解け、次第に恋心を抱くようになっていく。
織田 信長 (おだ のぶなが)
天下統一を目指す戦国武将の男性で、安土城城主を務める。本能寺で何者かに暗殺されそうになっていたところを、未来からタイムスリップして来た水崎舞に救われる。これ以来、舞に興味を持ち「幸運を呼ぶお守り」としてかたわらに置くようになる。自分に気兼ねなく接したり、拒絶する舞のことを「初めて俺を拒んだ女」として気に入っており、ことあるごとに迫っている。冷酷非道な実力主義者で思考が常識離れしていることから、残虐な暴君として舞からは恐怖心を抱かれ信用されていなかったが、交流を重ねるうちに惹かれ合っていく。舞を安土城に招き入れた際に未来から来た事を打ち明けられ、彼女が同じ時代の人間ではないことを知る数少ない人物となった。また、元の時代に帰る条件として囲碁勝負を舞に持ちかけている。血も涙もない振る舞いから「第六天魔王」の異名で恐れられているが、冷静に物事を分析し無駄なことはいっさいしないなど理知的なところもあり、豊臣秀吉をはじめとする部下たちからの信頼も厚い。また、舞をからかったりする無邪気さや、好奇心旺盛な一面も見せる。弱点がないように見えるが、実は体をくすぐられるのが苦手。「羽黒」という鷹を飼っている。誕生日は5月12日で身長は179.7センチ、血液型はB型。趣味は鷹狩りで、特技は囲碁。好きな食べ物は金平糖。実在の人物、織田信長がモデル。
猿飛 佐助 (さるとび さすけ)
現代日本で京都旅行をしていた水崎舞が、本能寺跡地で出会った青年。クールで理知的な雰囲気を漂わせ、メガネをかけている。宇宙物理学専攻の大学院生で舞と同様現代日本人だが、舞がタイムスリップした戦国時代よりも4年前にタイムスリップしていた。戦国時代に留まったまま、職を探すうちに上杉謙信に仕える忍となった。謙信は戦国時代に来たばかりの頃に救ってくれた恩人でもある。無表情でいることが多いが嘘をつくのは苦手で、マイペースで楽観的な一面もある。ワームホールの出現などタイムスリップの理論を一人で研究し、現代に戻る方法を探しながらも、戦国時代での生活をそれなりに楽しんでいる。本能寺に飛ばされて来た舞と再会したあとは、唯一の同じ時代の人間として彼女の相談相手になったり、助言をしたりしている。敵将である織田信長のもとに身を寄せることになった舞を心配している。時おり俊足を活かして安土城に忍び込み、織田軍の偵察をしている。誕生日は4月10日で身長は176.7センチ、血液型はO型。趣味は戦国時代の観察・研究で、特技は俊足を活かした偵察。好きな食べ物はミカン。
伊達 政宗 (だて まさむね)
織田信長と同盟を結ぶ戦国武将の男性で、右目に黒い眼帯をしている。破天荒で好戦的な性格の快楽主義者だが、戦国武将として恥じない生き方を信条としており、「誰でも当たり前に美味い飯が食える、末永く栄える豊かな国」を目指している。豪放で好奇心旺盛なところがあり、水崎舞のことを気に入っている。「照月」という名の子虎を飼っている。誕生日は9月5日で身長は180.3センチ、血液型はB型。趣味は料理で、特技は香道。好きな食べ物は旬の物。実在の人物、伊達政宗がモデル。
真田 幸村 (さなだ ゆきむら)
戦国時代にタイムスリップして来たばかりの水崎舞を助けた青年。愛称は「幸」で、槍術が得意。実は武田信玄の家臣であり、織田信長には復讐心を抱く。幼少期に出会った信玄に心酔し、尊敬して忠義を尽くすようになる。信長を狙い、安土城下町に滞在している。男気のある強引な性格だが、女性に対してはシャイな一面を見せる。誕生日は7月7日で身長は177センチ、血液型はO型。趣味はペットの山犬「村正」と遊ぶことで、器用な手先を活かした作業が得意。好きな食べ物はごま豆腐。実在の人物、真田信繁がモデル。
豊臣 秀吉 (とよとみ ひでよし)
織田信長の忠臣の男性。面倒見がよく家臣に慕われており、女性にも非常にモテる。ふだんは温厚だが信長への忠誠心は誰よりも厚く、彼を害する者には容赦しない。警戒心が強く当初は水崎舞のことも警戒していたが、徐々に打ち解ける中でなにかと気にかけるようになり、次第に片思いするようになる。同じく信長の忠臣である明智光秀とは犬猿の仲で、信長暗殺の首謀者として噂されている光秀を疑いつつも、本音では信頼したいと思っている。誕生日は3月17日で身長は179.2センチ、血液型はO型。趣味は世話焼きと煙管で一服することで、特技は書道。好きな食べ物はひきわり粥。実在の人物、豊臣秀吉がモデル。
石田 三成 (いしだ みつなり)
豊臣秀吉の家臣で、目の下に泣きボクロがある控え目な青年。秀吉と共に織田信長に協力する。算術に長けた頭脳明晰な戦略家として、主に後方支援で秀吉と信長を支えている。謙虚で物腰が柔らかく、無自覚な色気で女性を魅了するが、戦の時は敵軍に容赦しない知略を発揮する。信長に囲碁勝負を持ちかけられた水崎舞に、囲碁を指南するなど気にかけている。舞とはすぐなかよくなり、「三成君」と呼ばれている。戦術の研究に没頭するあまり、日常生活がおろそかになることもある。誕生日は11月6日で身長は175センチ、血液型はA型。趣味は戦術の研究で、特技は算術。好きな食べ物は干し飯など手軽に食べられる食べ物。実在の人物、石田三成がモデル。
徳川 家康 (とくがわ いえやす)
ひねくれ者の野心家の青年で、権力を得るために織田信長と同盟を結んだ。クールな性格で無愛想な天邪鬼だが、忍耐強く負けず嫌い。弱い者が嫌いで、当初は水崎舞のことも「弱き者」と見下していたが、明るく健気な彼女に次第に心を許し笑顔を見せるようになる。薬の調合が得意で、織田軍が毒を盛られた時には素早く治療薬を作った。「ワサビ」という名の子鹿を飼っている。誕生日は1月31日で身長は174.1センチ、血液型はA型。趣味は実用書の読書で、特技は薬作り。好きな食べ物はワサビと天ぷらときなこ餅。実在の人物、徳川家康がモデル。
明智 光秀 (あけち みつひで)
織田信長の家臣の青年で、信長に右腕として信頼されている。狐目で意地悪な雰囲気を漂わせており、水崎舞に対しても意地悪で思わせぶりな言動が多い。歴史上で信長の暗殺を企てたとされていることから、舞からは警戒されている。家臣として有能だがつねにミステリアスな人物で、なにを考えているかわからないことが多い。上杉・武田軍と内通し信長の暗殺を企てたという噂が流れており、一部の者から裏切り者と疑われている。周囲からの質問をはぐらかすことが多く、その本心は謎に包まれている。しかし、人からどう思われているかはあまり気にしていない節がある。豊臣秀吉とは犬猿の仲で時おり口争いをしているが、心から嫌っているわけではない。誕生日は10月4日で身長は181センチ、血液型はAB型。趣味は茶の湯で、特技は鉄砲。食べ物には興味がない。実在の人物、明智光秀がモデル。
武田 信玄 (たけだ しんげん)
織田信長と敵対する戦国武将の男性で、「越後の竜」の異名を持つ。信長に奪われた甲斐を取り戻そうとしており、武田家の再興を狙っている。信長に対抗するために上杉謙信と同盟を組んでいるが、卑怯なやり方を嫌う謙信とは意見が合わないことがあり、時おり対立している。情報通で懐が深く家臣にも慕われるが、敵には容赦がなく目的のためなら手段を選ばない冷酷な一面を持つ。大人の色香を持つ女ったらしで、よく女性を口説いている。誕生日は12月1日で身長は185センチ、血液型はB型。趣味は日曜大工で、特技は情報収集。好きな食べ物は魚介類と甘い食べ物。実在の人物、武田信玄がモデル。
上杉 謙信 (うえすぎ けんしん)
織田信長と敵対する戦国武将の男性で、「甲斐の竜」の異名を持つ。軍神と称され圧倒的なカリスマ性を持ち、無類の戦好きでもある。好戦的ながら、だまし討ちなど卑怯な戦法は好まず、約束事は必ず守るなど義理堅い一面もある。信長に対抗するために武田信玄と同盟を組んでいるが、手段を選ばない信玄とは意見が合わないことがあり、時おり対立している。誕生日は2月18日で身長は176.2センチ、血液型はAB型。趣味は城攻めシミュレーションで、特技は剣術。好きな食べ物は酒と梅干し。実在の人物、上杉謙信がモデル。
顕如 (けんにょ)
タイムスリップして来たばかりの水崎舞が、森の中で遭遇した旅の僧侶の男性。顔の中央に大きな傷跡がある。一見穏やかに見えるが、実は織田信長に強いうらみを持つ復讐の鬼。かつて信長に幾人もの同胞を殺された過去を持つ。信長が舞を大切に思っていることを知り、舞をつけ狙うようになる。舞を利用して奇襲を目論むが、失敗して織田軍に捕らえられる。誕生日は1月7日で身長は178センチ、血液型はO型。趣味は動物の世話で、特技は裏工作。好きな食べ物は焼き麩などの粉物。実在の人物、顕如がモデル。
領主 (りょうしゅ)
古くから織田信長の家系に仕える大名の男性で、織田軍が進軍中に立ち寄った土地の領主を務めている。信長たちに宿や食事を提供するが、実は金欲しさから信長を裏切っており、裏で上杉・武田軍と密通していた。
クレジット
- 原作
-
CYBIRD