ワンオペJOKER

ワンオペJOKER

「DC COMICS」の『バットマン』シリーズに登場する最大の敵役、ジョーカーが、不慮の事故で赤ちゃんとなった宿敵、バットマンをスーパーヒーローに成長するまで育てる様子を描いた育児コメディ。「モーニング」2021年6号から掲載の作品で、「DC COMICS」の公認作品となっている。

正式名称
ワンオペJOKER
ふりがな
わんおぺじょーかー
原作者
宮川 サトシ
作画
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊3巻
関連商品
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あらすじ

笑えないジョーク

ある夜、宿敵、バットマンとの戦闘中にジョーカーは、かつて自らが落ちて現在の姿になった薬液のタンクに、誤ってバットマンを突き落としてしまう。バットマンが死んでしまっては自分に歯向かう者がいなくなり、「正義の脆(もろ)さ」を証明することができなくなると焦ったジョーカーは、慌ててバットマンの救出に向かう。しかし、今回バットマンが沈んだ薬液は、かつてジョーカーが沈んだ薬液とは異なり、施設が研究していたアンチエイジングの薬液であった。その効果は絶大で、バットマンはジョーカーに救出されたものの、赤ちゃんになってしまう。この状況に困惑するジョーカーは、とりあえず両手を広げて天を仰ぎ大声で笑いながら考えていた。そして、宿敵バットマンが存在しなければ、生きることへの張り合いがないと結論付けたジョーカーは、この赤ちゃんを正義感あふれるスーパーヒーロー、バットマンに育て上げることを決意する。しかし、犯罪行為三昧だったジョーカーに育児の経験や知識があるはずもなく、さっそく買ってきたオムツのサイズを間違えてしまう。「笑えねえ噓(ジョーク)だぜ」と自嘲しながら、悪のカリスマ・ジョーカーによる前途多難な子育てが始まった。

死と隣り合わせの面談

ハーレイ・クインが敵対する組織に捕まって責めを受けていた際、ジョーカーが助けに現れるも、先日、ブルースへのプレゼントを突き返されたことを根に持っているハーレイは、意地を張ってジョーカーの助けを拒絶する。そんな中、敵組織の男たちはジョーカーが抱えているブルースを、過去のジョーカーの狂気じみた行いから大量の爆弾かプルトニウムだと思い込み、手出しができないでいた。そんな男たちを尻目にジョーカーはハーレイに近づき、明日の保育園の面談に付き合ってくれないかと、耳打ちをする。無事ハーレイを助けて自宅アパートに戻った三人は、明日の予定について話し合うも、ジョーカーが保護者面談で体裁を気にするようなつまらない男になったと失望したハーレイは、その場を立ち去ろうとする。しかしジョーカーは、人間の本質は「悪」であることを保育園の面談に落とし込んで自論を展開する。その説明を聞いてジョーカーに付き添うことを決めたハーレイは、ブルースの母親役を引き受けることにする。そんなハーレイにジョーカーはクレジットカードを渡し、タトゥーが見えないように地味でまじめに見えるスーツを購入して、明日着てくるようにと言いつける。翌日、メイクを落とし髪型を七三分けにしたジョーカーは、園長と共に保育園でハーレイを待っていた。テロに巻き込まれていないか心配するジョーカーの前に、40分遅刻してハーレイが現れる。しかしその姿は、前日打ち合わせした服装と異なり、いつもの街で暴れる時の道化衣装だった。一番信じてはいけない奴を信用してしまったと後悔するジョーカーは、昨日の自分自身を呪いながらも保護者面談が開始される。

登場人物・キャラクター

ジョーカー

ゴッサムシティで暗躍する犯罪組織のリーダーを務める男性。緑色の髪と道化師のようなメイクがトレードマークとなっている。「正義」の象徴であるバットマンの永遠の敵役として存在価値を見出している。戦闘中に誤ってバットマンを若返りの薬液に落としてしまうが、正義の脆さを証明することを目的に、バットマンを完膚なきまでに叩(たた)きのめすことを生き甲斐(がい)としているため、赤ちゃんになった状態のバットマン(ブルース)を元の正義のスーパーヒーローに戻るまで育てることを決意する。悪の組織のボスらしく、外を出歩く際は武装しており、気に入らないことがあればすぐに他人を殺害しようとする。また、事あるごとに大袈裟(おおげさ)なアクションで天に向かって大声で笑い、見る者を戦慄させるが、何も解決していないことが多い。ハーレイ・クインとは恋人関係で「プリンちゃん」と呼ばれ、共に犯罪行為を楽しむ間柄ではあるものの、育児については彼女のイカレっぷりを熟知しているためまったく信用していない。主な収入は銀行を襲って奪う現金だが、強盗後はテンションが上がり、300人からいる子分の前で、せっかく奪った大量の札束にガソリンを撒(ま)いて火をつけ燃やしてしまうために現金はほとんど持っていない。ジョーカー自身は「体制に屈しない自分」を演出していると公言しているが、手元に、現金が残らないほどやりすぎる行動の意味不明さを、ジョニー・フロストからは呆(あき)れられている。自らが起こす派手な犯罪行為を「JOKER業」と自称しているが、ブルースを保育園に入園させるため、役所に申し込む際には個人事業主として申請している。自宅アパートにマシンガンやロケットランチャーが置いてあり、育児に適した環境とはいえない。しかし、育児に専念するため、買出しの手間を考え生協に契約するしっかりした一面もある。寝付いたブルースが起きてしまうため、ドアベルの音を気にして部屋の前には宅配ボックスを設置しているが、そこにはドアベルを鳴らしたら殺すという物騒な文言が書かれている。ブルースと外出する時や保育園に顔を出す時はノーメイクで父親として振る舞っているが、過保護気味にブルースと接するため、保母さんからは「子離れができていない」と評されている。保育園に対応する時はハーレイが母親役を務めている。

ブルース

スーツを身につけることで、ゴッサムシティで活躍する正義のヒーロー「バットマン」となる男性。しかし、ジョーカーとの戦闘中に誤ってアンチエイジングの薬液のタンクに落ちて赤ちゃんに若返ってしまう。赤ちゃんとなってしまったが、ジョーカーから、正義の脆さを証明するため、改めてバットマンを倒すことを目標にして、元の正義のスーパーヒーローに戻るまで育てられることとなる。実はバットマンの正体は資産家の「ブルース・ウェイン」であるが、その事実を知る者はほとんどいない。「ウェイン財団」では、ゴッサムシティでの健全な子供の育成に力を入れ、保育園を作っていたことで、結果として赤ちゃんとなったブルース自身を助けることとなった。赤ちゃんになってからはみんなから「バットちゃん」と呼ばれていたが、保育園に入園する際にジョーカーから「ブルース」と名づけられた。薬液に落ちてからしばらくは赤ちゃんなので何もできなかったが、物語途中から歯が生え、ミルクから離乳食になり、自ら歩くこともできるようになる。バットマン時代からさまざまな道具を駆使してジョーカーと戦っていたが、生来のガジェット好きだったようで、乳幼児となった現在では度々おもちゃをジョーカーにねだっている。子育て初心者のジョーカーがあやしてもなかなか泣き止まないが、かつてブルース自身を世話していたアルフレッド・ペニーワースがあやすと、すぐに泣き止んでおとなしくなる。

ジョニー・フロスト

ジョーカーがリーダーを務める犯罪組織の構成員の男性。小学生と高校生の子供がいるが、現在は別居中。心配性な性格で、連絡が取れなくなったジョーカーの自宅に様子を見に来たことで、赤ちゃんとなったバットマン(ブルース)の存在を知る。子育ての先輩としてジョーカーにさまざまなアドバイスを送るが、彼からは「子育てマウント」と受け取られて叱責を受ける。ジョーカーの性格をよく知っているため、死を覚悟しながら育児に進言することもある。育児施設や教育制度にも詳しく、ブルースを保育園に預けることを提案したのもジョニー・フロストである。乳幼児期という、子育てにおける一番手が離せない時期を過ぎているため、ジョーカーに対する言葉に責任感がなく、敏感になっているジョーカーの機嫌をよく損ねては度々殺されそうになる。

ハーレイ・クイン

恋人のジョーカーと共にゴッサムシティで、犯罪行為を楽しんでいる女性。街で暴れる時はピエロのような道化衣装を身に包んでいるが、ふだんは破れたTシャツとホットパンツ姿でいることが多い。身体と顔にタトゥーが入っているが、かわいらしい顔立ちをしている。ジョーカーのアパートに遊びに来る際には、身軽さを活かして窓をハンマーで叩き割って入って来るなど、非常にエキセントリックな人物。また、ジョーカー同様に敵は多いが味方は少なく、敵対している者たちに捕まって、ジョーカーに対する人質となる場合もある。子育てにまったく縁がない人生だったこともあり、安易な気持ちでブルースにキャラクター物の人形を贈ろうとするが、ジョーカーの育児方針に合わず受け取りを拒否されていた。一時的にジョーカーと離れるも、ブルースを保育園に預ける面談で母親役を任されて復縁する。だが、その面談でも遅刻したうえに、ふだん街で暴れる衣装で現れ、ジョーカーからの信頼を著しく落とす。一方で、もともと頭脳明晰で大学も出ているため、格好や行動とは裏腹に対外的な受け応えが異常にしっかりしており、園長や保母さんからの信用を勝ち取っている。ちなみに、武器として愛用しているハンマーの中は空洞となっており、プレゼントなどが収納できる仕様となっている。

アルフレッド・ペニーワース

ウェイン家で執事を務める老齢な男性。禿げ頭に口髭(ひげ)を蓄えて、帽子をかぶり紳士然としている。「バットマン」ことブルース・ウェインに仕えており、バットマンの正体を知る数少ない人物。バットマンがジョーカーとの戦闘の末、赤ちゃんになった事実を知らず、ブルース・ウェインの帰りをずっと待っている。ウェイン財団の事業の一つである保育園に視察に来た際に、泣きわめくブルースをあやし、一瞬で泣き止ませた場面をジョーカーに見られ、バットマンの身内ではないかと警戒されている。また、アルフレッド・ペニーワース自身も、幼少期のブルース・ウェインと瓜二つの外見で、さらに名前が「ブルース」である乳幼児を、自らの主人ではないかと疑念を抱いている。

場所

ゴッサムシティ

ジョーカーが犯罪組織を率いて暴れ回っている街。治安は極めて悪く、ジョーカーたち以外にも多数の犯罪組織が存在し、街の覇権を巡って抗争が絶えない。それらの組織からは、銀行はもちろんのこと、警察署までも襲撃対象となり、市街地が火の海の化すことも日常茶飯事であり、市民の生活はつねに脅かされている。資産家のブルース・ウェインが街の健全化を目指し、「ウェイン財団」を設立してさまざまな事業を手がけている。また、「バットマン」と呼ばれる正義のヒーローが街の治安を守るために活動を行い、犯罪行為に対して抑止力となっている。

クレジット

原作

宮川 サトシ

監修

DC COMICS

書誌情報

ワンオペJOKER 3巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2021-06-23発行、 978-4065236789)

第2巻

(2022-02-22発行、 978-4065266649)

第3巻

(2023-04-21発行、 978-4065317457)

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