ベテランガードの終わりなき新人育成
魔物と戦う「ガード」の職に就き、若くして町のエースにまで上り詰めたキクル・マダンだったが、青春をガードの仕事で棒に振ったことを後悔し、ガードを辞めて大学に進学し、青春を取り戻すことを決める。ギルド職員はキクルを引き留めるため、新人の美少女ガードたちを彼にあてがって新人育成を任せるが、全員がポンコツばかりだった。さらに魔物に負けた美少女たちはなぜか魔物に凌辱されるというエッチな展開となり、このまま彼女たちにガードを任せたら町が滅びると危惧したキクルは、新人の育成に力を入れることとなる。
魅力的なヒロインとハプニング続出
新人ガードは魅惑的な美少女ばかりで、さらにキクル・マダンを担当するギルドの受付嬢は子持ちの美女であるなど、登場する女性キャラクターたちは、幅広い属性をカバーしている。そんな彼女たちが魔物に襲われ、凌辱されるのが本作の特徴ながら、平穏な日常生活ではキクルとのエッチなハプニングに陥ることも多い。基本的にキクルは仕事を辞めて大学に進学するため、彼女たちと恋愛関係になるつもりはないが、いつもハプニングに巻き込まれ、苦労人としての一面が強く描かれている。
シリアスなネームドモンスター戦
本作に登場する魔物の中でも、特に強力な個体は固有の名前が付けられ、作中では「ネームドモンスター」と呼ばれる。本作は基本的にギャグが多めのお色気ラブコメディだが、ネームドモンスターが登場する回は長編となり、シリアスなバトルファンタジーが展開される。作者の河添太一は、この路線変更とも言える作風の変遷には不安を抱いていたと語っているが、ネームドモンスター戦は読者からの好評を得ている。その結果、第一回のネームドモンスター戦以降も日常回に挿入される形で、たびたびネームドモンスター戦が描かれることとなった。
登場人物・キャラクター
キクル・マダン
狩人の青年。年齢は20歳。緑色の髪を短く切りそろえ、前髪に一筋白のメッシュを入れている。幼い頃から魔物から人々を守る「ガード」になることを志し、10代はほとんど過酷な訓練のみで過ごし、18歳になって正式にガードに就任した。それから2年間、まじめに働き続け、メブキの街のエースにまで上り詰めた。しかし、旧友の結婚のあいさつを受け取って、ふと自分の青春が灰色だったことに気づき、ガードを辞めて大学に進学し、失った青春を取り戻そうと考え始める。ソロ活動専門のガードだが、メブキの街の主力でもあるため、ギルドの受付嬢であるエノメに引き留められ、新人冒険者たちの面倒を見ることとなる。当初はほとんど進学に心を決めていたが、ヒタム・キャンの様子を見て、このまま放置すればポンコツ冒険者たちのせいで街が滅びると危機感を覚え、渋々ながら新人冒険者たちの面倒を引き受ける。生真面目な性格で、責任感が強く苦労人気質なところがある。問題児だらけの新人冒険者たちの世話も、なんだかんだ言いつつ面倒を見ている。弓をメインに戦う狩人のジョブについており、本来は隠密行動からの不意打ちを得意とするが、格闘能力も非常に高く、新人の面倒を見る時は前線に出ることも多い。ただしソロで活動してきたため、指揮経験はほとんどなく、キクル・マダン自身も手探りでパーティーを指揮している。リア充へのコンプレックスから、同じ狩人でありながらキャンパスライフを満喫している「狩りサー」を一方的に敵視している。なお新人冒険者は、エノメが出会いを求めるキクルを慮って美少女を中心に集めたものの、実はキクルの好みのタイプはエノメのような「大人の女性」であるため、パーティーメンバーの新人冒険者のことは、子供っぽいと恋愛対象外に見ている実は過去に負った傷が原因でマナがいっさい扱えない体質で、ふつうの方法ではスキルが使えない。そのため師匠たちの手ほどきによって、鍛え上げられた心身のみでスキルの効果を再現した「零式」を習得している。
ヒタム・キャン
武道家の女性。年齢は18歳。髪の色は青に近い紫で、肩口まで伸ばしている。種族は犬の獣人で、犬のような耳と尻尾を生やしている。小柄で童顔なため、年齢より幼く見えるが、全体的に肉付きがいい体型で巨乳の持ち主。一人称は愛称の「ひたむき」で、名前の通り「ひたむきにがんばること」を信条とした明るくまっすぐな性格をしている。武術を習っており、己の身一つで戦い抜く武道家のジョブについているが、生来のドジっ子属性と天然すぎる性格から、最弱のザコであるスライムすら倒せない。また、なぜか魔物からエロい目に遭うことが多い。一方、五感の鋭さから索敵能力はキクル・マダンすらしのぐ鋭敏さを誇る。ただし敵の気配は察知できるが、自分へ向けられた敵意への対処はできない。後方に下げても、なぜか魔物にまっさきに凌辱(りょうじょく)されるため、キクルからも半ばあきらめの視線を向けられている。実は空気中の魔素をマナに変換する効率が100%の特異体質者。魔素のマナ変換は常人でもできるが、その効率は1%以下。無尽蔵に良質なマナを生み出すヒタム・キャン自身は魔物にとって何よりのごちそうだったため、魔物は本能的に一度に食べ尽くすことはせず、なぶるようにヒタムを攻撃していた。これがヒタムがエロい目に遭う真相で、その特異体質から自分のマナと世界の魔素の境界が薄く、これが感覚の鋭敏化とドジっ子体質の原因となっていた。ヒタム自身がその体質を把握してからは、それらを応用したオリジナルの技を考案するものの、ほとんど支援や回復に偏り、ますます武道家から遠ざかっている。私生活面は意外にもしっかりしており、料理はかなりの腕前。また動きやすく、安いために学校指定の運動服とブルマを、学校を卒業しても愛用し、私服はブルマしか持っていない。
書誌情報
不徳のギルド 14巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉
第1巻
(2018-03-22発行、 978-4757556232)
第10巻
(2022-09-12発行、 978-4757581326)
第11巻
(2023-03-10発行、 978-4757584648)
第12巻
(2023-09-12発行、 978-4757587847)
第13巻
(2024-03-12発行、 978-4757590946)
第14巻
(2024-09-12発行、 978-4757594111)