概要・あらすじ
大地が浮遊する世界、オービス・ワーヌス。ここは、「小さな世界」の物が流れ着く場所だった。それらは時に負の力を秘めており、一部は神と呼ばれる人型の者を顕現させる。炁祷(きとう)師のマイルス・エランストンは顕現した神の一人、ギカクを癒しつつ共に暮らしていた。マイルスの周りには彼女をライバル視するキオノナや新たに顕現した神、アラクモなどが現れ騒動が頻発。
登場人物・キャラクター
マイルス・エランクストン
甲級の炁祷師でガーウィア市の筆頭炁祷師。代々続く炁祷師の家系。仕事に熱心でまじめ。具体的な年齢は明かされていないが未成年。学生たちからは「まい様」と呼ばれアイドル的な人気もある。普段はホンダのカブF型(補助エンジン付自転車)で移動しているが、緊急時や急ぐ時はギカクのフラブラ号を使う。 破壊神であるギカクが暴走しないよう同居し、肉体的に癒し続けている。
ギカク
『終わりと始まりのマイルス』に登場する神。顕現した破壊の神。炁物神。顔面は赤と橙の縞模様で覆われており、眼の位置に黒い丸が描かれているだけ。人と同じような口や鼻は付いていない。紋様はしばしば形が変わるが、顔以外は人間同様の形をしている。マイルスと同居中。本体は大日本帝国海軍の戦艦長門。戦争中の乗員が男ばかりだったため、その情念が溜まっており性欲が高い。 本体は拘束されており、その巨大さ故に原則は稼働禁止とされている。普段はフラブラ号(水上戦闘機強風)を操って移動したり戦ったりする。本気を出し、本体で戦闘するときは顔の模様が旭日旗になる。
キオノナ・ソノナ
炁祷師。声が小さく、恥ずかしがり屋だが、行動は過激。スクーターで移動している。「男が近づいたり手に触れると子供ができる」等、父から偏った知識を詰め込まれており、独特の男性観を持つ。ギカクに惚れており、マイルスを一方的にライバルだと思っている。後にアラクモのパートナーとなり、マイルスからギカクを奪うべく行動している。
アラクモ
『終わりと始まりのマイルス』に登場する神。炁物として浮上してきた、アメリカ空軍の試作機YF-23戦闘機から顕現した神。三眼の頭蓋骨状の頭部を持ち、身体の一部には機械のような部品も見え隠れする。悪意をまき散らすべく、民間フェリーを襲撃しようとするも、元が試作機であるため武装をしておらずギカクとマイルスに阻止される。 後にギカクと戦うためソマソマに戦闘機と炁師の調達を依頼するが、星のマークが付いているから同じだろうと、ソビエト連邦製のレシプロ機ポリカルポフI-16が届けられる。マイルスの炁力を見込んでおり、キオノナの力を借りてギカクを倒し、彼女とパートナーになろうとしている。
クダクル
ガーウィア市の炁物課の担当者。
スクロ
クダクルの部下。ガーウィア市の炁物課に配属されたばかりの新人。マイルスに一目ぼれ。
ソマソマ
炁物を回収する業者。ギカクに負けたアラクモに近づき、再戦のための支援をする。本人は良いことをしているつもりだが、妙にずれており逆に恨まれることも。
マルハミ
長髪を後ろで束ねた男性。ガーウィア市に住む、小さな世界の映像記録を集め続けている研究家。小さい世界の風俗にも詳しい。ただしポルノ専門。未成年の少女に炁物であるビデオデッキを渡し、騒動となる。
場所
オービス・ワーヌス
物語の舞台となる世界。空環とも呼ばれる。島や大陸が中心から半径約6300キロの位置に浮遊しており、内部は中空。その中心にはムンドゥスパウルス(小さな世界)があり、ここから炁物が浮上してくる。中心部は炁圧が高く、過去にも調査が行われたが詳細は分かっていない。
その他キーワード
炁祷師 (きとうし)
『終わりと始まりのマイルス』に登場する職業。炁をコントロールし、炁物の状態を確認したりすることができる。
炁 (き)
『終わりと始まりのマイルス』に登場する用語。生物によって物体に付与された、思い入れのような物。愛憎含めて蓄積するが、積層されることで回路を形成してゆく。炁による回路が一定以上に複雑になると、小さな世界側では神様や悪魔、天使に妖怪、鬼や龍といった異形の存在として現れる。
炁物 (きぶつ)
『終わりと始まりのマイルス』に登場する用語。オービス・ワーヌスには、小さな世界から炁の塊が流れてきており、これが実体化して炁物となる。機械の炁物はエネルギーを供給することなく動き続け、実体物によって傷つけることはできない。炁物を傷つけることができるのは炁物か炁祷師だけなので、オービス・ワーヌスの軍隊は炁物によって構成されている。