世話やきキツネの仙狐さん

世話やきキツネの仙狐さん

ブラック会社に勤める中野と、彼の世話を甲斐甲斐しく焼く神使の狐、仙狐との日々を描くハートフルストーリー。現代社会の闇に翻弄され、疲弊した社会人の心と体を優しく解きほぐす心温かなストーリーが特徴。「コミックNewtype」で2017年10月6日から連載の作品で、2019年4月にはTVアニメ化され、AT-Xほかにて放送された。

正式名称
世話やきキツネの仙狐さん
ふりがな
せわやききつねのせんこさん
作者
ジャンル
日常
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊12巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

ブラック会社に勤める中野は多忙な日々を送り、疲労困憊した毎日を過ごしていた。そんな中野はある日、夜遅くに家に帰ると、温かな食事を準備して中野の帰りを待ち受けていた謎の少女と出会う。齢800歳を超える神使の狐、仙狐と名乗る少女は、中野の世話を申し出るが、見ず知らずの仙狐に迷惑をかけてしまうのではないかと戸惑う。しかし中野のがんばりを認め、すべてを受け入れてくれる仙狐の温かな包容力に触れた中野は心を許し、彼女の存在を受け入れるのだった。(エピソード「第一尾」。ほか、6エピソード収録)

第2巻

相変わらず忙しい日々を送りつつも、仙狐と過ごすのが当たり前になりつつあったある日、中野が家に帰ると、仙狐のほかに見知らぬ少女が家でくつろいでいた。仙狐と同じく神使の狐、シロと名乗った少女は、中野に頭を撫でてもらったのを気に入り、彼の願いを叶えようとする。シロは願いを隠す中野から無理やり願いを聞きだすが、中野の願いはシロの尻尾を「モフモフ」したいと言うものだった。モフモフの情念に取り憑かれて正気を失った中野、それに怯えたシロは逃げ出してしまう。その有様に呆れた仙狐は仕方なく自分の尻尾を中野にモフモフさせてあげるのだった。(エピソード「第八尾」。ほか、7エピソード収録)

第3巻

たった1日だけだが、夏季休業で休みをもらった中野シロに誘われ、仙狐高円寺安子といっしょに海へと遊びに行く。夏の海を満喫した中野達はBBQの食材を探すべく、周囲を探索していると、海辺で一件の家を発見する。中野は家で謎の女性、夜空から大量の食材をお土産としてもらうが、女性は忽然と姿を消してしまう。狐につままれたような不思議な体験をした中野は仙狐のもとに帰り、もらった食材でBBQを楽しむのだった。にぎやかで充実した夏の海を満喫した中野は、終わるのを惜しく感じつつも、仙狐の言葉でまた新しく始まる日々を楽しもうと前向きに考える。(エピソード「第二十尾」。ほか、7エピソード収録)

第4巻

仙狐に世話をされ続けた中野は、日頃の感謝の気持ちを彼女に返したいと考える。尻尾の手入れを仙狐に申し出た中野は、渋る彼女から何とか了承を得て、尻尾の手入れをするのだった。仙狐の指示を仰ぎながら彼女の毛づくろいをする中野。その心地よさに包まれた仙狐は安らかに眠り、そんな仙狐を見た中野も優しい気持ちに胸がいっぱいになる。(エピソード「第三十一尾」。ほか、7エピソード収録)

メディアミックス

TVアニメーション

本作『世話やきキツネの仙狐さん』は2019年4月よりAT-XほかでTVアニメ化されている。作中では、「スーパー仙狐さんタイム」というアニメ独自のコーナーが併せて放送されている。「スーパー仙狐さんタイム」は、コミックスのおまけなどの内容をアニメ化したもので、視聴者目線でアニメが展開されるのが特徴となっている。制作は動画工房。中野を諏訪部順一、仙狐を和氣あず未、シロを内田真礼、高円寺安子を佐倉綾音がそれぞれ演じている。

登場人物・キャラクター

中野 (なかの)

ブラック企業勤めの青年。まじめで義務感が強い性格をしているが、それゆえに周囲から頼まれると嫌とは言えない苦労人。テレビゲームや映画を趣味とするが、休日出勤も当たり前で、心と体をすり減らしていたところ、仙狐と出会う。周囲に弱音をこぼす事もできず、張り詰めた糸のような生活をしていたが、包容力のある仙狐に本音を語り、次第に心を許していく。当初はつい思考がネガティブな方向になりがちだったが、仙狐と温かな日々を過ごす事で少しずつ前向きになっていく。仙狐が自分を通して誰かに思いを馳せているのに気づいており、シロにそれを問われた際にも、きっかけが何であれ仙狐と出会えた事が幸せだと言っている。実は猫など毛並みのよい動物を撫でるのが好きな「モフモフ」マニア。仙狐の毛並みにも惚れ込んでおり、彼女をモフモフするのが好き。ただしやり過ぎて仙狐に嫌がられる事も多いため、モフモフは1日に1度と釘を刺されている。モフモフにかける情熱は性欲すら超越しており、夜空も呆れるほど。

仙狐 (せんこ)

神使の狐。明るめの黄金色の毛並みをし、狐の耳と尻尾を持つ10代前半くらいの少女の姿をしている。実年齢は800歳以上で、一人称は「わらわ」で、語尾に「じゃ」を付ける古風なしゃべり方をする。親しい人達からは「セン」の愛称で呼ばれている。狐火と浮遊、壁をすり抜けるなどさまざまな能力を持つ。料理、洗濯、マッサージなど一通りの家事は得意だが、機械の操作は苦手で、専ら手作業でそれらを行っている。また向上心が旺盛で、グラタンやケーキなど今時の洋食も高円寺安子から作り方を学んで作っている。稲荷の狐であるため、お供え物の油揚げを毎日食べているうちに、ないと落ち着かない好物となってしまった。そのため、今も冷蔵庫いっぱいに油揚げを買い、毎日品を変えて油揚げを調理している。中野を自分好みの色男と評し、彼の「妻兼母親」を自称して彼の世話焼きに現れた。まじめで仕事熱心な中野の世話を甲斐甲斐しくし、疲弊した彼の心と体を癒やす。中野の先祖と交流があったらしく、中野と接しながら時々、思いを馳せている。

高円寺 安子 (こうえんじ やすこ)

中野の住むアパートの隣室に住む女子大学生。ポニーテールの髪型で眼鏡をかけ、家ではジャージ姿で過ごしている事が多い。「高円寺ジャスコ」という名義で漫画家活動をしており、執筆中に騒がしくなった隣室に文句を言いに行き、仙狐と出会う。細かい事にこだわらない大雑把な性格で、私生活の面倒を仙狐に見てもらう内になかよくなった。仙狐の事はアニメのコスプレをしていると思っており、身近で不思議な力を使われても気にしなかった。その後、中野の家からアクシデントで逃げて来たシロと遭遇。遊び好きな性格で意気投合し、なかよくなる。流石にシロが壁をすり抜けてやって来たのを見て、シロが人間ではない事に気づいたが、正体がバレたらいなくなるのではないかと思って黙っていた。しかしのちにアクシデントが起きた際に、シロに助けてもらったのをきっかけにして打ち明け、交友を深めていく。ふだんはずぼらな格好をしているが、おしゃれをしたらかなりの美人。シロがコーディネートした際には雰囲気も大きく変わり、中野も初見は誰だかわからなかった。

シロ

稲荷の神使の狐。仙狐と同じ年頃の少女の姿をしており、純血の証である純白の毛並みの狐の耳と尻尾を生やしている。性格は甘えたがりの自信家だが、その自信に見合った才能を持ち、何でもそつなくこなす。ただし遊び盛りな事から、まじめに仕事をする事は少ない。お供え物をつまみぐいしようとしたり、夜空の土地に勝手に遊びに入ったりするため、時にはお仕置きされる事もある。千里眼の力を持ち、人の心や遠視を行うのが得意。仙狐を見かねて、中野の家にやって来たが、中野の欲望を解き放った結果、尻尾を「モフモフ」されるのに怯えて逃走。その際に、偶然、高円寺安子の部屋に行き、彼女と出会う。その後は似た者同士で意気投合し、たびたび安子の家に遊びに行っている。実は安子をしのぐほどの画力を持っており、のちにそれを知った安子に漫画のアシスタントをたびたび頼まれている。基本的に周囲に甘える側だが、安子に対しては時々ポジションが交代し、彼女の世話を焼く事もある。

夜空 (そら)

数千年の時を生きる神使の狐。妖艶な雰囲気を持つ小柄な美女の姿をしており、漆黒の毛並みの狐の耳と4尾の尻尾を生やしている。仙狐の上司で、仙狐からも敬われるのと同時に恐れられている。海で出会った中野に興味を持ち、彼らをからかうため、中野の家に訪れる。中野と仙狐をからかい、中野に凶相が出ていると警告を残して帰って行った。かなり恐ろしい存在なようで、仙狐は夜空を「そこらの悪霊とは格が違う」と評している。

(すず)

神使の狐を目指す野狐。最近、人の姿を保てるようになったばかりの狐で、修行のため神使の狐の総本山へとやって来た。野狐から神使の狐になった仙狐にあこがれており、神使の狐となってある人を笑わせてあげたいと考えている。神使の狐の総本山へとやって来た際に道に迷い、たまたま通りかかった仙狐を自分と同じ年頃の子供と思って案内を頼む。その後、仙狐の正体を知り、改めて彼女に尊敬の念を抱くようになった。夜空からもその性格は認められており、昔の仙狐そっくりと言われているが、同時にからかい甲斐のある存在として気に入られている模様。

書誌情報

世話やきキツネの仙狐さん 12巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2018-04-10発行、 978-4041069516)

第2巻

(2018-08-10発行、 978-4041072714)

第6巻

(2020-03-10発行、 978-4041092163)

第7巻

(2020-07-10発行、 978-4041094396)

第8巻

(2020-12-10発行、 978-4041108109)

第9巻

(2021-06-10発行、 978-4041114452)

第10巻

(2021-12-10発行、 978-4041114469)

第11巻

(2022-06-10発行、 978-4041125441)

第12巻

(2023-02-10発行、 978-4041131527)

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