藤野宮苺率いる「コスメ部」
3年生の部長、苺が率いる「コスメ部」は、笹塚高校の部活動の一つ。その名の通り、コスメ技術の習得はもちろん、美容や理想のスタイル維持のための適切なトレーニングを欠かさず、流行のファッションにも敏感に反応し、さらに所作に至るまで、「極限の女磨き」を目的としている。活動内容は、世に知られるイケメンと「試合(デート)」を行い、「勝利する(相手を惚れさせる)」こと。彼女たちは「世の中には惚れるか、惚れられるかしかない」を信条としている。これは、惚れる側は相手のためになんでもしたくなり、惚れられる側は相手からなんでもしてもらえるという考えに基づいている。コスメ部の部員たちは、自分たちが失う側ではなく、勝利によってすべてを手に入れる側に立つことを目指し、日々の活動に励んでいる。
コスメ部と敵対者たちの異能バトル
「コスメ部」は、女性らしい「カワイイ」を追求する活動を続けているが、その思想に反発する者たちも存在する。幼い頃から女性たちに認められずに生きてきた比乃神アギトはその一人で、彼は自らを慕うイケメンの弟、マガトを意のままにあやつり、かわいい女性だけをターゲットにして籠絡し、自身の欲望を満たしていく。また、外見的なかわいさを追求する女性を軽蔑し、別の価値観を植えつけることで自らの仲間に引き入れようとする向川句未子など、さまざまな敵が登場し、コスメ部に戦いを挑んでくる。彼らは一見説得力があるものの、実際は荒唐無稽な主張でコスメ部員たちを窮地に追い込んでいく。そんな敵に対し、苺率いるコスメ部がどのように立ち向かい、勝ち抜いていくのか。強引な論理を駆使した恋愛テクニックがぶつかり合う、まるで異能バトルのような展開も、本作の大きな見どころとなっている。
「かわいさ」の価値観に揺れるコスメ部員たちの葛藤
さまざまな戦いを経て、苺をはじめとする「コスメ部」の部員たちは、自分たちの活動に対して疑念を抱くようになっていく。現在では、SNSのフォロワー数などによって「かわいさ」が数値化され、その数値によって人間の価値を測る、いわば選民思想に陥っているのではないかという懸念だった。そんな中、コスメ部の部員たちは、自分たちが何のためにかわいくなりたいのか、かわいくなって何をしようとしているのか、それぞれ異なる出会いを通じて、その命題に向き合うことになる。
登場人物・キャラクター
藤野宮 苺 (ふじのみや いちご)
笹塚高校に通う3年生の女子。「コスメ部」の部長を務めている。クールで勝気な顔立ちに、高校生とは思えないほどの美貌と色気、抜群のスタイルの持ち主。ほかのコスメ部員たちにとってあこがれの存在であり、精神的な支柱として、彼女たちを導いている。苺の信条は「私は選ばれない」というもので、これは「選ばれる側」は侮られ、値踏みされ、変化を強いられる弱い立場にあるという考えに基づいている。そのため、つねに「選ぶ側」の立場に立とうと努力を重ねており、自分に対して厳しい姿勢を崩さない。一方で、部員が道を誤りかけた時にはさりげなく諭し、「試合(デート)」の勝敗にかかわらず努力を温かく称えるなど、「女磨き」を怠らない者には優しい一面も見せる。
広瀬 いつき (ひろせ いつき)
笹塚高校に通う2年生の女子。「コスメ部」に所属している。冷静で物静かな黒髪のロングヘアの美少女だが、清純な見た目とは裏腹に運動神経は抜群。ボクシングが得意で、多少の荒事にも動じることはない。体調管理もつねに万全で、コスメ部では部長の苺に次ぐ、自他共に認めるエース的存在。恋愛はあくまで「試合(デート)」の延長と考えており、優秀な男性(オス)を落とすことにしか興味がない。自分との試合に負けた相手のことは単なる敗者としか見ず、より優秀なオスが現れた場合は、そちらに全力を注ぐ。ちなみに、眼鏡をかけて楽器を演奏できる男子が好み。
書誌情報
中高一貫!! 笹塚高校コスメ部!! 7巻 小学館〈ゲッサン少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2022-01-12発行、978-4098508792)
第2巻
(2022-07-12発行、978-4098511907)
第3巻
(2023-01-12発行、978-4098515219)
第4巻
(2023-07-12発行、978-4098525621)
第5巻
(2024-02-09発行、978-4098531417)
第6巻
(2024-08-08発行、978-4098535392)
第7巻
(2024-11-12発行、978-4098536894)







