概要・あらすじ
高校の入学式当日。時間に遅れた楠木刹那は、あわてて会場に入って着席する。すると、後ろの女生徒が「なんか落としたよ」と言って何かを手渡そうとしてきた。よく見るとそれはコンドームだった。驚いた刹那は、つい大きな声で叫んでしまう。自分が手にしているものの正体を知った女生徒の顔は真っ赤になり、会場中がざわついた。入学式が終わり、刹那は例の女生徒と口論になる。お互いに、コンドームは自分のものではないと主張するが、女生徒は刹那のポケットから落ちたのを見たという。それを聞いた刹那は、犯人は兄だと確信する。兄は「ハンカチとティッシュを入れておいた」と言っていたが、コンドームも一緒に入れたのだ。父親代わりで12歳年上の兄は、刹那が小学4年生の頃から唐突に性教育を開始。おかげで刹那は、半端ない性知識を得た。「高校生にもなれば、コンドームは必携。常に備えなければならない」。そういうことだろう。刹那は女生徒に謝り、逃げ出すように帰宅した。翌日、登校した刹那を、例の女生徒が待ち受けていた。女生徒は不機嫌な表情で「助けて」という。彼女は昨日、変な2年生に絡まれ、コンドームのことを聞かれたらしい。「アレは自分のものではない」と答えると「持ち主を連れてこい」と言われたのだという。そこへ当の2年生が、スッと姿を現した。それは小学校のサッカークラブで一緒だった、時任茂正(シゲ)であった。思いがけない再会に驚く二人。シゲは刹那にお願いがあるという。それは、彼女とのエッチの際、コンドームの付け方をアドバイスしてほしいというものだった。放課後、シゲに言われたとおり保健室にやってきた刹那は、カーテンの陰に身を潜める。するとそこに例の女生徒もやって来て、「何かロクでもないことを企んでるんでしょ」と、刹那の隣りに座った。彼女を追い出そうとする刹那だったが、間に合わなかった。るりという彼女を連れたシゲが保健室に入ってきたのだ。保健室のベッドでエッチを始めるシゲたち。そしていよいよコンドームを装着する時になり、シゲはカーテンを少し開け、刹那の助言を求める。しかし、シゲの動きを不審に思ったるりにすべてバレてしまった。るりはシゲを思いっきりひっぱたいて去っていく。「彼女がキレるのも当然だ」と怒る女生徒は、シゲと刹那を昔から知っているという。彼女の名は藍川万里(あいかわまり)。小学校のサッカークラブで「バンリ」と呼ばれていた仲間だった。当時、彼女は女子であることを隠してサッカーをしていたのだ。こうして再会した刹那と万里。コンドームの一件で有名になった二人は、学校中の生徒から性の相談をされるようになる。
登場人物・キャラクター
楠木 刹那 (くすのき せつな)
昴ヶ丘学園高等部1年生の男子。丸い眼鏡が特徴。母、12歳年上の兄との三人暮らし。小学4年生でクワガタの繁殖に取り組み出した時、兄から性教育を受け始めた。そのおかげで豊富な性知識を持ち、中学生まではセックスに詳しすぎて周囲にドン引きされていた。小学生の頃はサッカークラブに所属。「男」だと思っていた藍川万里と仲が良く、高校生になったらまた一緒にサッカーをやろうと約束していた。高校の入学式で、刹那が落としたコンドームを万里が拾い、思わぬ再会を果たす。コンドームの一件で、セックスに詳しいと誤解された万里。彼女に持ち込まれる"性"の相談を一緒に解決していく。
藍川 万里 (あいかわ まり)
昴ヶ丘学園高等部1年生の女子。ストレートのロングヘアが特徴。小さい頃はスカートを履くことを嫌っており、恋バナやアイドルの話も苦手だった。そのため、小学校のサッカークラブでは、女性であることを隠して参加。楠木刹那と友達になり、高校生になったらまた一緒にサッカーをやろうと約束した。その後、「男になりたかったのではなく、女を強要されたくなかっただけ」ということに気づき、スカートも抵抗なく履けるようになった。高校で刹那と再会。入学式で、刹那が落としたコンドームを拾ってしまったことから、"性"に詳しいと評判になり、いろいろな相談を持ち込まれるようになる。あだ名は「バンリ」。コンドームのインパクトから、一部の生徒からは「近藤さん」と呼ばれている。
時任 茂正 (ときとう しげまさ)
昴ヶ丘学園高等部2年生の男子。楠木刹那、藍川万里とは小学校のサッカークラブで一緒だった。現在はサッカーをやめ、ボクシング部に所属している。彼女とのセックスでコンドームをうまく装着できず、刹那に相談を持ちかける。
石原 魁斗 (いしはら かいと)
昴ヶ丘学園高等部3年生の男子。現生徒会長で2期目の再選を目指している。交際期間1年の斉藤民子という彼女がいる。「民子がセックスさせてくれない」という悩みを持ち、藍川万里、楠木刹那に相談する。
斉藤 民子 (さいとう たみこ)
昴ヶ丘学園高等部3年生の女子。ツインテールと眼鏡が特徴。生徒会長・石原魁斗の彼女。中学3年生の時、バスケット部の男子との交際で妊娠。中絶を余儀なくされたことから、高校生の間は絶対にセックスをしないと誓っている。
沢村 純平 (さわむら じゅんぺい)
昴ヶ丘学園高等部の2年生で、化粧が好きなジェンダーレス男子。演劇部に所属し、部長の乃ノ花と付き合っている。セックスの時、乃ノ花が演技をしているのではないかと疑い、藍川万里、楠木刹那に相談する。
乃ノ花 (ののか)
昴ヶ丘学園高等部2年生の女子。演劇部の部長で、部員の沢村純平の彼女。実生活が困難になるほど生理が重い「月経困難症」。両親が不在で叔母夫婦に世話になっているため、生理のつらさを口に出せず一人で我慢していた。
加藤 玲亜 (かとう れあ)
昴ヶ丘学園高等部1年生の女子。ショートカットが特徴。絵の才能があり、黒板アートが得意。学校の近くの塀や、体育館裏に次々と「女性器」の絵が描かれる事件が発生し、犯人に疑われる。
生方 エリカ (うぶかた えりか)
高校1年生の女子。楠木刹那の中学時代の同級生。中学生の頃は"性"の話を嫌悪しており、性知識をひけらかしていた刹那を目の敵にしていた。よその女の家に入り浸る父と若い男を家に連れ込む母に嫌気が差し、推しの俳優にお金を使うことに熱中。そのお金を稼ぐために、パパ活を繰り返す。