今日のケルベロス

今日のケルベロス

桜井亜都の代表作の一つ。幼少期に魔物の呪いによって笑うことができなくなった少年、御門千明が、「ケルベロス」と名乗る少女との出会いで感情を取り戻していく姿を描いた、王道のボーイミーツガールコメディ。かわいらしい絵柄と個性的なヒロインが特徴となっている。スクウェア・エニックス「月刊少年ガンガン」2013年6月号から2018年6月号にかけて連載の作品。

正式名称
今日のケルベロス
ふりがな
きょうのけるべろす
作者
ジャンル
ファンタジー
 
ラブコメ
レーベル
ガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
全12巻完結
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お届け物はケルベロス

高校生の千明は、幼少期の出来事により「楽しい」と感じる心が欠け、笑うこともできなくなってしまう。そのため、まともに友達を作ることもできずに孤独な日々を送っていた。そんなある日、ギリシャにいる父親から届けられた荷物から、自らを「ケルベロス」と名乗る少女、クロが現れる。本作は、この出会いを通じて千明が失われた心を取り戻していくドタバタラブコメディで、王道的なボーイミーツガールが展開される。

三位一体の不思議な少女

ケルベロスのクロは、ギリシャ神話に由来する幻獣であり、地獄の番犬として知られている。クロは一つの体に三つの人格を有している。三つの人格はそれぞれクロ、シロガネ、ロゼと名付けられ、各々が独自の個性と姿を持つ。それぞれの人格が表に出ることを、体の主導権を握ると掛けて「主胴権(しゅどうけん)」と呼び、三人のメインヒロインがそれぞれの視点から物語が進行されるのが、お約束のパターンになっている。

妖怪や魔物との戦い

千明は、ロゼの呪いによって「楽しい」感情を失っている。この呪いの影響で、千明は妖怪や魔物を引き寄せやすい体質となり、クロとの出会いをきっかけに、彼は次々と妖怪や魔物と遭遇することになる。千明の珍しい体質を狙う者も存在し、ケルベロスたちは彼を守るために魔物との戦いに身を投じていく。本作は主人公とヒロインの恋愛模様を描きつつ、ヒロインが魔物と戦う姿も描写しており、ラブコメディとファンタジーバトルの要素が融合している。

登場人物・キャラクター

御門 千明 (みかど ちあき)

高校生の男子。年齢は15歳。黒髪金目の少年で、「楽しい」という感情が欠如しているため、つねに不機嫌な表情を浮かべている。このため友人を作ることができず、一人で過ごすことが多い。ある日、ギリシャにいる父親から送られた荷物からケルベロスのクロが現れ、騒々しい日々を送ることとなる。実は7歳の頃にケルベロスのロゼに噛まれ、呪われた過去がある。この呪いが原因で楽しい感情を失い、魂が欠けた状態になっている。ロゼも無意識のうちに千明を噛んでしまったため、呪いを解くことができず、ケルベロスたちは千明を守ることを決意する。また欠けた魂を持ちながら成長した人間は非常に珍しく、千明の存在は妖怪や魔物の欲望を刺激し、引き寄せる要因となっている。当初はケルベロスたちを拒絶していたが、彼女らが懸命に自分を守る姿を見て、少しずつ彼女たちの存在を受け入れるようになる。

クロ

第1ケルベロスの少女。明るく素直な性格で、黒髪をツインテールにしている。シロガネ、ロゼと共に三人で一つの体を共有している。一番表に出ている人格だが、感情の高まりや眠気によってシロガネに主胴権を奪われることが多い。千明に対して特別な感情を抱いており、千明の心の中の寂しさを自分たちで消し去ることを決意する。三人の中では唯一、ロゼが千明を呪ったことを知らず、純粋に千明を幸せにしたいと願っている。実はロゼの千明への思いから生まれた存在で、長年彼女を思い続けたロゼの思いの結晶である。ロゼは千明のためにクロに主胴権を渡し、余計な事情を知ることでクロの純粋さが失われることを恐れ、クロの中の記憶を消去した。そのため、クロは千明の呪いや自分以外のほかの人格について何も知らない。

シロガネ

第2ケルベロスの少女。白金色の髪をロングヘアにしている。クロ、ロゼと共に三人で一つの体を共有している。三人の中で最も好戦的で、戦闘能力が非常に高いため荒事を担っている。基本的にロゼの言うことは聞くものの、気分屋のため自分勝手に振る舞っている。つねに主胴権を狙っており、クロが油断した瞬間に行動を起こすことが多く、その自由奔放な行動で千明をたびたび困らせている。実はロゼの力への渇望から生まれた存在で、ロゼのために戦うことに存在意義を感じている。そのため「強さ」がアイデンティティの中心であり、それを揺るがす事態には非常に弱い。またロゼに対しては従順だが、クロのことは軽視しており、彼女といっしょに扱われると激怒する。

ロゼ

第3ケルベロスの少女。桃色の髪をボブヘアにしている。クロ、シロガネと共に三人で一つの体を共有している。拘束具のような特殊なデザインのマスクを着用している。一人称は「ボク」。三人の中では最もおとなしい性格ながら、千明に一番強く執着し、彼を守るためあらゆる手段を講じている。実は千明が7歳の頃に出会っており、その際に恐怖から彼を噛んで呪ってしまったことを後悔している。千明の欠けた心を埋めることと、彼を守ることを誓っている。いつも着用しているマスクは自らに課した枷で、力を封じる効果がある。実は本来のケルベロスの主人格。地獄の番犬ながら、その優しすぎる性格から死者の悲劇を見過ごせず、本来の役目を果たせずにいた。そのためロゼ自身を落ちこぼれと認識していた。ある日、とうとう神々の堪忍袋の緒が切れ、一時的に現世に追放される。その際に出会ったのが千明で、現世で混乱する自分に唯一手を差し伸べてくれた存在だった。不可抗力で千明を呪ったことを心底後悔し、その思いは時を経るごとに強くなっている。その結果、力への渇望から「シロガネ」を、千明への思いから「クロ」を生み出した。そしてクロに後押しされて千明に会いに行くことを決意し、同時にクロに主胴権を明け渡すこととなった。

書誌情報

今日のケルベロス 全12巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉

第1巻

(2014-01-22発行、 978-4757542013)

第12巻

(2018-06-22発行、 978-4757557475)

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