オムニバス形式のラブコメディ
本作はオムニバス形式で描かれるラブコメディである。第1話から第23話は「えりこの場合」。大学に入学したえりこが、中学時代のクラスメイトの北山と偶然再会し、片想いを募らせるというエピソードである。第24話から第72話までは「詩歌・北山の場合」。北山と高校時代の先輩、遠藤詩歌の過去が語られる。作者によれば、当初は詩歌の登場すら決まっていなかったが、オムニバス形式にすることだけは決まっていた。その後、担当編集とのやりとりを経て、詩歌はメインキャラに昇格したという。「詩歌・北山の場合」の後も、主人公と視点を変更したエピソードが続き、本作は合計五つのエピソードから構成されている。
恋愛下手の女子大生と沼男子
彼氏いない暦18年のえりこは、漠然と恋愛に憧れを持つごく普通の大学1年生。友人の美玲と一緒に軽音部に入部したえりこは、中学3年生のときに同じクラスだった男子、北山と再会する。北山に淡い感情を抱いていたえりこは、北山、美玲とバンドを組むことになる。以来、ベースを教えてもらったり、一緒にカラオケに行くうちに、次第にえりこは北山への想いを募らせていく。一方の北山は、いわゆる「沼男子」。えりこが誘えば遊んでくれるし、別れ際には「また行こう」と笑顔を見せてくれる。そんな優しさを見せるが、じつは中学時代のえりこを覚えていない。人より許容範囲が多いため、めんどくさいことは抜きにして人に優しくしているだけである。常に北山のことを考えてドキドキするえりこと、彼女に恋愛感情を抱いていない北山。そんな二人の関係を背景に、えりこの片想いを少しコミカルに描いていく。
恋のライバル?
SNSで、北山と頻繁にやり取りをしている女性を見つけたえりこは、もしかして彼女ではないかと疑う。彼女は、北山の高校時代の先輩、詩歌で、えりこたちと同じ大学に通っていた。思い切って北山との関係を聞くえりこだが、詩歌にとって彼は弟みたいなものだという。詩歌は否定しているが、やはり友達を超えた特別な関係なのではないかと、えりこは疑惑を深める。そんなえりこに思いを寄せているのが、軽音部の先輩、男鹿理一である。しかし、男鹿はえりこの恋愛相談を受けることになり、相手が北山だと知る。ショックを受ける男鹿だったが、えりこを励まし、後に誠意を込めて自分の気持ちを伝えた。えりこの恋愛は、詩歌や男鹿を巻き込み、複雑な関係に展開していく。
登場人物・キャラクター
清水 絵梨子 (しみず えりこ)
大学1年生の女子。ショートボブで清楚な雰囲気が特徴。軽音楽部に所属し、友人の美玲、初恋の人、北山とバンドを組んでおり、ベースを担当している。北山は中学3年生のクラスメイトで、一緒に日直を担当した際、指がきれいだと褒められた。それ以来淡い気持ちを持ち続けていたが、大学での再会をきっかけに好きになる。北山同様「オムスビズ」というバンドの熱狂的なファン。
北山 時彦 (きたやま ときひこ)
大学1年生の男子。ちょっと不思議な雰囲気を持つイケメン。軽音楽部に所属し、えりことその友人、美玲とバンドを組んでおり、ドラムを担当している。えりことは中3のときのクラスメイト。優しく接してくれるが何を考えているかよくわからない、いわゆる「顔良距離感バグり男」。えりこ同様、「オムスビズ」というバンドの熱狂的なファン。
書誌情報
付き合えなくていいのに 5巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2024-11-19発行、978-4098536603)
第2巻
(2025-02-19発行、978-4098538317)
第3巻
(2025-05-19発行、978-4098540938)
第4巻
(2025-07-17発行、978-4098541652)
第5巻
(2025-08-19発行、978-4098541904)







