概要・あらすじ
東京の架空の都市、立花市にある市立極蘭高校は東京の不良墓場との異名を取る不良校。そんな極蘭高校にひとりの教師が赴任してきた。荒木剛太という名のその教師は、赴任早々2年C組の担任となり、受け持ちの生徒と衝突しながらも持ち前の明るくめげない性格で突き進む。しかし剛太にはもうひとつの裏の顔があった。
それは2年C組の副担任として十文字隼人という実在しない人間を仕立てあげ、仮面を被って十文字として振る舞い、不良生徒を実力行使で指導すること。剛太の正体は、教査なる組織が問題校を再生させるために生み出した教育プログラム、仮面ティーチャーの実践者だった。
登場人物・キャラクター
荒木 剛太 (あらき ごうた)
千葉の舞浜学園から極蘭高校に転任してきた歴史教師で、赴任と同時に2年C組の担任を任される。底抜けに明るい性格をしており、また非常に打たれ強く、生徒からどんな仕打ちを受けてもめげない。出身は北海道で、趣味は体を鍛えることとアイドルのグラビアの切り抜き。一方で十文字隼人という架空の人物を副担任に仕立てあげ、学校で問題が発生した際に特撮ヒーロー風の仮面を被り、十文字として特別補習と称した実力行使で解決していく。 その正体は教査なる組織が実践する問題校再生プログラム、仮面ティーチャーの実行者。赴任校のトラブルを解決すると同時に、各地で自らの後継として仮面ティーチャーとなりうる人材の発掘・スカウトを行っていた。 後継者が見つかると、剛太はあえて不祥事を発覚させ、退職という形を取って現地を去る。極蘭高校の場合、十文字隼人という架空の存在は、剛太の給料の二重取りのためだったということにされた。仮面ティーチャープログラム実践のため、ともに行動する草薙とは、古くからの付き合い。
金谷 幸造 (かなや こうぞう)
荒木剛太が担任を務める極蘭高校2年C組の生徒で、仲間内では金造の愛称で呼ばれる。ボクシングを習っており、腕っ節は強い。赴任当日の剛太に強烈なパンチを見舞い、4階の窓から外に叩き出した。もともとは岬智也のサポート役的な立ち位置だったが、人狼兄弟とのトラブルの結果、智也が退学処分になると2年C組の中心的存在に。 クラスメイトが十文字隼人の特別補習で打ち倒されたことを知ると、十文字に復讐しようと企てるが、あっさりと返り討ちにされてしまう。あまりに強すぎる十文字に仲間たちにはあきらめムードが漂うが、金造はひとり打倒十文字を誓うのだった。そんな折、休学していた人狼兄弟が、十文字の噂を聞きつけ極蘭高校に舞い戻ってきたことで再びトラブルに発展。 このトラブルは同時期に舞い戻ってきた智也と、十文字の活躍もあって収束するが、自分自身へのけじめとして十文字への対抗意識を燃やし続けた。だがその後、母親である金谷理沙が遭遇した不動産詐欺に際し、剛太と共闘したことで剛太と十文字が同一人物であることを明かされる。 最後には剛太から極蘭高校における仮面ティーチャーを智也とふたりで引き継ぐよう要請されるのだった。
岬 智也 (みさき ともや)
極蘭高校2年C組の元生徒で、荒木剛太の赴任時には退学処分になっていた。天才肌で成績は良く、さらに運動神経も抜群、特にバスケの腕前は超高校級。2年C組のリーダー的存在で人望も厚かったが、智也を疎ましく思う者も少なくなかった。その筆頭が人狼兄弟で、特に弟の犬神二郎は幼なじみの千晶が智也に惹かれていると誤解して敵愾心を募らせる。 決定的に対立するようになった人狼兄弟が、支配下に置いた他校の生徒を使って極蘭高校生徒を襲わせるようになると、ひとりで人狼兄弟のもとを訪れ、自分を好きにする代わりに手打ちをするよう求めた。その結果、犬神一郎にナイフで足を刺されてしまう。 しかし人狼兄弟が約束を違え、智也が大切に思うバスケ部のチームメイトに暴行を加え試合ができないようにし、さらにマネージャーの千晶を陵辱した(ただし二郎が阻止したため千晶の貞操は守られた)ことで憤怒。足に刺さったナイフを引き抜くと、犬神一郎ほか数人を刺したほか、多数を叩きのめした。 この暴行事件の結果、鑑別所に入ることとなり、極蘭高校からは退学処分が下される。その後、休学していた人狼兄弟が、極蘭高校に舞い戻ったのと時を同じくして智也も鑑別所を出所。当初は人狼兄弟と再び関わろうとは思っていなかったが、剛太からケリを付けるよう諭され、十文字の仮面を借り受けて人狼兄弟と決着をつけた。 のちに剛太と草薙の力で退学処分を取り消され復学し、極蘭高校の仮面ティーチャーを金谷幸造とともに引き継ぐよう要請された。
犬神 二郎 (いぬがみ じろう)
荒木剛太が担任を務める極蘭高校2年C組に在籍するが、剛太の赴任時は休学していた。双子の兄、犬神一郎とともに人狼兄弟として恐れられ、凶我狼という暴走族を率いる。幼なじみの千晶に長く想いを寄せていたが、千晶がクラスメイトの岬智也に惹かれていると感じ、智也を逆恨みするように。 また同時に、2年C組の生徒たちが智也の味方についたことで、極蘭高校自体を敵視するようになった。その後、他校を暴力で支配すると、極蘭高校生徒狩りを開始。最終的に智也の仲間である男子バスケ部員とマネージャーの千晶を地区予選前に拉致したことで智也の怒りを買う。 ナイフで智也に襲いかかったところ、間に割り込んできた千晶を刺してしまう。事件後、極蘭高校を休学していたが、十文字隼人が赴任してきて実力行使で不良生徒を指導していることを知り、一郎とともに極蘭高校に舞い戻る。この抗争のなかで千晶がずっと自分を想い続けていたことを知り、改心。極蘭高校に復学し、無事に千晶とも付き合うようになった。
犬神 一郎 (いぬがみ いちろう)
荒木剛太が担任を務める極蘭高校2年C組に在籍するが、剛太の赴任時は休学していた。双子の弟、犬神二郎とともに人狼兄弟として恐れられ、凶我狼という暴走族を率いる。古くから付き合いがあり、天才肌で人望の厚い岬智也のことを敵視している。二郎が、想いを寄せる千晶と智也の関係を邪推したことを契機に本格的に智也と対立するようになり、結果として極蘭高校での居場所を失ってしまう。 その後は二郎とともに、他校を暴力で支配すると、極蘭高校生徒狩りを開始。さらに智也が大切に思うバスケ部の仲間である男子部員たちとマネージャーである千晶を拉致し、部員たちを間近に控えた大会に参加できなくさせるため傷めつけ、千晶に対しては陵辱するように命じる。 このことが智也の怒りを買い、ナイフで刺されることに。事件後、極蘭高校を休学していたが、十文字隼人が赴任してきて実力行使で不良生徒を指導していることを知り、二郎とともに極蘭高校に舞い戻る。この抗争のなかで二郎と千晶の間に生じていた誤解が解け、二郎が改心。 二郎に伴われる形で極蘭高校への復学を果たした。
千晶 (ちあき)
極蘭高校に通う女子生徒で、男子バスケットボール部のマネージャーを務める。幼なじみの犬神二郎に長く想いを寄せるが、非行の道を歩む二郎を心配し、ことあるごとに岬智也に相談していた。しかしそれが千晶が智也に惹かれているのだという誤解を与え、智也に対する二郎の敵愾心を煽ることに。 この誤解は解けることはなく、人狼兄弟と智也は対立。智也の大切なものをすべて奪おうと思った犬神一郎によって男子バスケ部部員とともに拉致されたのち、陵辱されそうになる。しかし、これは千晶の貞操を守ろうとした二郎によって阻止されたが、千晶が陵辱されたと思い怒り狂った智也と、これを迎撃しようとナイフで立ち向かおうとした二郎の間に割って入ったことで、二郎に刺されてしまう。 その後、荒木剛太が赴任し、人狼兄弟が休学から極蘭高校に舞い戻り、再び智也たちと対立。その抗争の中で二郎の誤解が解ける。結果、千晶は二郎と付き合うようになり、二郎も極蘭高校への復学を果たした。
市村 美樹 (いちむら みき)
極蘭高校で国語を教える女性教師で、1年のクラス担任を務める。極蘭高校の現状に嫌気が差し、荒木剛太が赴任してきた月を以って極蘭高校を退職することになっていた。校内で怪我をしがちな剛太を何かと気遣い、また生徒たちを挑発するような方法で指導する正体不明の十文字隼人に興味を持つ。
大田垣 丈男 (おおたがき じょうだん)
極蘭高校の体育教師で、女子バスケ部の顧問を務める。学生時代はバスケの名選手として知られていた。体毛が非常に濃く、女子をいやらしい目で見ることから女子生徒からの評判はすこぶる悪い。また男子生徒からは侮られており、からかわれいたぶられることしばしば。大田垣本人はそうした状況に強い不満を覚えていたところ、仮面ティーチャーの存在を知る。 日頃の鬱憤を晴らすため、自身もお面を被って正体を隠し、お面ティーチャーを名乗って活動を開始。だがその体毛が災いし、即座に正体がバレてしまう。趣味は女子高生モノのAV収集で、夢は女子高生と付き合うこと。極蘭高校の女子トイレでよく覗きを行っている。
草薙 (くさなぎ)
教査なる組織に所属し、荒木剛太とともに各地を巡って仮面ティーチャープログラムを実践している青年。前面に立って生徒たちとやり取りする剛太に対し、草薙は監理官として主にサポートを担当する。しかし腕っ節は確かで、ひとりで暴力団を壊滅させたことも。剛太とは古くからの付き合い。
金谷 理沙 (かなや りさ)
金谷幸造の母親で、GOLDというスナックを切り盛りしている。ボクサーだった夫を癌で失ってから、母ひとり子ひとりで金造を育てるが、家事などはもっぱら金造が担当。人柄がよく、GOLDは近隣の住民からの愛顧で盛況だったが、あるとき詐欺師に騙され、GOLDを奪われてしまう。 しかしそんなときでさえ、他人に恨みつらみを漏らさず笑顔を欠かさなかった。
その他キーワード
仮面ティーチャー (かめんてぃーちゃー)
『仮面ティーチャー』の用語。さまざまな問題を抱える学校を再生させるため、教査なる組織が主導する教育プログラム。問題意識を持った人間が匿名性を保ったまま自ら学校を改革していくことがコンセプトで、荒木剛太や草薙のように各地を転々として仮面ティーチャーとして振る舞うのはまれ。実態が世間に知られていないため、ネットでは虚実混在したさまざまな噂が飛び交っている。