伝説の勇者の婚活

伝説の勇者の婚活

中村尚儁が代表作『1/11 じゅういちぶんのいち』の完結から2年後に連載を開始した作品。魔王討伐後のファンタジー世界を舞台に、平和な世界で自らの存在意義を見失った勇者、ユーリが、結婚して幸せに暮らす仲間の姿にあこがれ、婚活の旅に出る様子を描いたファンタジーラブコメディ。集英社「ジャンプSQ.」2016年6月号から2017年8月号まで連載。

正式名称
伝説の勇者の婚活
ふりがな
でんせつのゆうしゃのこんかつ
作者
ジャンル
ファンタジー
 
ラブコメ
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
全4巻完結
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勇者ユーリの成長物語

本作は、結婚して仲睦まじく暮らす仲間たちにあこがれを抱く勇者のユーリが、「勇者ではなく一人の人間として見てほしい」と願い、身分を隠して結婚相談所に登録するところから物語が始まり、旅先で出会う個性的なヒロインたちとの交流を中心に展開される。彼女たちとのかかわりを通じて、恋愛だけでなく、人とのつながりの中で自らの存在意義を再確認したユーリが、一人の人間として成長していく姿が描かれている。

ユーリの婚活とヒロインたちのドラマ

本作は、ユーリが婚活の旅で出会うヒロインたちとのドラマが描かれている。例えば、あるエピソードに登場するヒロインのカタリナ・ブッディーヤは、虹斑病を患う祖父に晴れ姿を見せるためにユーリとの結婚を望んでいた。しかし、過去の出来事が原因で感情を失い、恋愛とは無縁の女性だった。ところが、結婚の儀を前に発生した土砂崩れでユーリに命を救われたことで、彼女の心に初めて特別な思いが芽生える。一方、ユーリの妹、マホとの関係も描かれている。ユーリの無表情の裏にある感情を唯一理解できるマホは、彼の幸せを願いながら婚活の旅を陰から見守っているが、彼の婚活に対しては複雑な感情を抱いている。

平和な世界における新たな課題

舞台は、勇者のユーリによって魔王が倒され、長い争いが終息を迎えたファンタジー世界。平和な時代が訪れ、人々は魔王や魔物の脅威に怯えることなく暮らせるようになったが、武器商人のブゥキン・ボゥグルソンのように、平和によって職を失い、破産する者も現れる。勇者、ユーリもその一人であり、平和な世界では戦う目的を見出せず、人付き合いが苦手なことも相まって、自らの存在意義を見失っていた。この物語は、婚活の旅を通じて、ユーリをはじめとする「再出発」を模索する人々とその世界が描かれている。

登場人物・キャラクター

ユーリ・シャンバラヤ

魔王を倒した勇者の青年。年齢はおよそ21歳。ただし、長い旅の影響でユーリ自身も正確な年齢を把握していない。身長は173cmで、体型は中肉中背。先代勇者の子として生まれ、次代の勇者として育てられてきた。幼い頃から世界を救う宿命を背負い続けてきたが、平和な時代を迎えた今、ユーリ自身の存在意義を見失っている。「勇者」としてではなく、一人の人間として認められたいと願うようになる。旅の仲間であるタッセンとソーニャの仲睦まじい結婚生活を目の当たりにし、婚活を決意する。当初は王都で秘密裏に活動していたが、正体が露見したため、婚活を断念した。そして、自身ではそうと知らぬまま、密かについてきた妹のマホの使い魔であるアンドレと、婚活の旅に出ることにした。無表情かつ堅苦しい口調で、服装や家事のセンスは壊滅的だが、誰かを守る覚悟と優しさを秘めた、誠実ながら不器用な人物である。

マホ

ユーリの妹で、かつて勇者一行の魔法使いとして活躍していた少女。黒髪のツインテールで、兄の真似をして冷静な口調を身につけた。兄が勇者として旅立つことを知った際、村に一人残されることを嫌い、必死に修行を重ねて魔法使いになった過去がある。兄に対して強い信頼と、執着にも似た特別な感情を抱いている。勇者としての存在意義に悩む兄を励ますために、魔力が尽きたと偽って城壁から飛び降り、自らを助けさせることで彼の優しさを思い出させようとしたこともある。婚活の旅に出たユーリを心配し、使い魔のアンドレを荷物に忍ばせて密かに同行させている。そして、時間を見つけてはアンドレの視界を通じて、旅の様子を見守っている。無表情な兄の感情を正確に読み取ることのできる数少ない理解者の一人。

書誌情報

伝説の勇者の婚活 全4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2016-08-04発行、978-4088807621)

第2巻

(2016-12-02発行、978-4088808635)

第3巻

(2017-04-04発行、978-4088810560)

第4巻

(2017-09-04発行、978-4088811376)

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