結婚指輪物語

ごく普通の男子高校生の佐藤は、幼なじみの少女を追いかけ、ファンタジーの世界へとたどり着く。佐藤はそこで幼なじみの少女と結婚し、世界を救う勇者に祭り上げられてしまう。大きな宿命に翻弄され、数多の誘惑に悩まされながらも、幼なじみの少女への想いを貫く青年の姿をコミカルに描くラブファンタジー。月刊「ビッグガンガン」2014年Vol.04から連載の作品。

概要・あらすじ

平凡な毎日を送っていた高校生の佐藤は、幼なじみの少女であるクリストル・ノバティ・ノカナティカ(ヒメ)に密かな想いを寄せていたが、幼なじみゆえにその関係は進展せず、互いの気持ちを確認できずにいた。そんなある日、突然別れを告げて不思議な光の中に消えていこうとするヒメを追いかけた佐藤は、ファンタジー要素満載の異世界アーヌルスへとたどり着く。

そこでは、今まさにヒメと他国の王子の結婚式が行われようとしていた。だが魔物の突然の乱入により、危機的状況が訪れてしまう。そんななか、ヒメは自分の指輪を、結婚するはずだった王子ではなく、自分を追って来た佐藤に託して口づけをする。これにより、世界を救う勇者・指輪王が誕生した。指輪王となった佐藤は指輪の力を駆使し、魔物を撃退することに成功する。

その後、佐藤はことの次第を把握するものの、片想いの幼なじみから一足飛びに夫婦になった佐藤とヒメは、互いに混乱していた。ヒメは佐藤を指輪王として選んでしまったことに責任を感じ、佐藤はその宿命の大きさに気付く。そして佐藤は、指輪王として4人の姫と結婚し、さらに4つの指輪を手に入れなければならないことを知る。

互いにこの運命に身を委ねる覚悟を決めた佐藤とヒメは、新たな指輪の持ち主を訪ねる冒険の旅に出るのだった。

登場人物・キャラクター

佐藤

幼なじみのヒメ(クリストル・ノバティ・ノカナティカ)に想いを寄せる普通の男子高校生。平凡な毎日を送っていたが、突然別れを告げてきたヒメを追って光の中に入り、異世界アーヌルスへとたどり着く。そこでなぜかヒメと結婚することになり、結婚指輪である光の指輪を得たことで指輪王となる。その後、世界を滅ぼす深淵王と戦うため、残る4人の姫から、4つの指輪を集めるための旅に出ることになる。 自分の負った宿命の大きさに戸惑いつつも大切なヒメのためにそれを受け入れ、旅の中で次第に心身ともに強さを身につけていく。幼い頃から想いを寄せていたヒメを、自分の妻にできた喜びを感じつつも、彼女を抱くことは自分の世界に戻ってからにしたいと考えており、他の指輪を持つ4人の女性を本当の意味で「妻」にするのは、まずヒメを抱いてからと決めている。 そのため、旅を進めるにつれて1人ずつ増えていく指輪王の妻との毎日は、次第に禁欲との戦いになっていく。

クリストル・ノバティ・ノカナティカ

佐藤の幼なじみの女子高生。10年前、佐藤の住むアパートの隣の部屋に引っ越して来た。両親はおらず、祖父と二人暮らしをしていた。その外見は日本人離れしており、実は異世界アーヌルスにある光の国「ノカナティカ」の王女。自国が受け継ぐ光の指輪を守るため、身分を隠して「野中姫乃」として生活していた。しかし、結婚のために、ノカナティカに帰ることが決まった。 この時、密かな想いを寄せていた佐藤が、思わぬアクシデントにより自分の夫となったことで、指輪王としての責務を負わなければならなくなったことに責任を感じている。本当は今すぐ佐藤に抱かれたいという想いを飲み込みながら、他の妻への嫉妬心に苛まれ、苦しんでいる。

アラバスタ

クリストル・ノバティ・ノカナティカ(ヒメ)を守るため、祖父として日本で生活をともにしていた老紳士。異世界アーヌルスでは、力や知識のある大賢者として、魔法を使うこともできる威厳ある存在。一方で、お茶目で面白い一面を持ち併せている。佐藤やヒメたちとともに指輪を集める旅に同行するが、何かと詰めの甘いところがあるため、佐藤からは肝心なところで役に立たないと思われている。 若い頃に訪れたことがあるため、エルフの里「ロムカ」について詳しい。

マルマリギアス・ギサラス

帝国ギサラスの第二王子。クリストル・ノバティ・ノカナティカ(ヒメ)と結婚し、指輪王になる予定だったが、儀式の途中で光の指輪が佐藤のものとなったため、ヒメの夫として指輪王になることは叶わなかった。実は内心、この重大な使命から逃れることができたことに安堵している。そのため、突然現れた佐藤に対して、初めから協力的である。 一見頼りなさげな王子のようであるが、体は筋肉質でたくましく武芸にも優れている。水の国「マーサ」の姫であるサフィラ・マーサとは愛を誓い合う仲だった。互いの国の関係上、結ばれることは難しいと思われていたが、マルマリギアス・ギサラス(マルス)が指輪王になることで2人の愛が成就する可能性は残されていた。 しかし、マルスが指輪を佐藤に譲ったことでその可能性も消滅。サフィラへの愛は変わらないが、合わせる顔がない状態となっている。

ネフリティス・ロムカ

風の国「ロムカ」の姫。美しく聡明で長い耳を持つエルフ。若く見えるが、エルフは長寿のためすでに54歳。潔癖症で臆病、極度の人見知りであり、自室から出ることがほとんどないため、「閉じこもりの姫」と揶揄されることもある。理由あって、自国の外はもちろん王宮の外にもほとんど出たことがないため、エルフ以外の者には慣れていない。 しかし、閉じこもっている中で読んだ本の影響で外界や異界に興味を持っており、あふれるほどの知識を身につけている。

ジェード・ロムカ

風の国「ロムカ」の王の長子で、ネフリティス・ロムカの兄。美しく聡明で長い耳を持つエルフ。妹のネフリティスのことを純粋で優しい天使であると異常なほど溺愛している。突然現れた指輪王である佐藤を妹に近づかせまいと、牢屋に閉じ込めてしまう。また、この国を守る役割を果たす風の障壁を失わないようにと、風の指輪を佐藤に渡さないよう画策する。

ペリドート

風の国「ロムカ」に住む浅黒い肌の女性。美しく聡明で長い耳を持つエルフ。若く見えるが、実際はロムカに住むエルフの中で一番の長老で、ネフリティス・ロムカを子供の頃から知っている。この国の行く末を見守る者として、捕らわれた佐藤を牢から助け、ネフリティスを妻にして指輪を受け継ぐようにお膳立てする。

スマラグディ

風の国「ロムカ」の先代王妃の姉。美しく聡明で長い耳を持つエルフ。昔、風の指輪を受け継ぐ者として、ロムカの地で王族として暮らしていたが、ある時人間の旅人と恋に落ちた。そのせいで、旅人は指輪を奪う者としてロムカから追いやられ、スマラグディは恋人を失うこととなった。絶望と怒りに心を失った彼女は、呪いの言葉を残してロムカを去り、その後、謎の黒い指輪に操られ、深淵王の眷族となってロムカを襲う。

グラナート・ニーダキッタ

火の国「ニーダキッタ」の姫。古代指輪王とともに戦った戦士の末裔である猫人で、猫の耳と長いしっぽが特徴。当代最強の猫人の姫と言われており、自分の夫になる者は、自分よりも強くなければならないという信念を持っている。しかし、国中の男性でグラナート・ニーダキッタに敵う者がいなかったため、現在は世界中すべての種族から、見合い相手を募っている。 見合いは車上の闘技場で姫と決闘する形で行われているが、見合いに来るものは自分の武勲欲しさの男性ばかりのため、連日に及ぶ見合いに辟易している。戦いにおいての実力はないが、真っ直ぐな心を持ち、真摯に立ち向かおうとする佐藤に興味を持ち、次第に惹かれていく。18歳だが、猫人のなかでは行き遅れの部類に入る。

サフィール・マーサ

水の国「マーサ」の姫。サフィラ・マーサの双子の姉。顔はよく似ているが、サフィラよりも性格はキツい。エルフに次いで長命といわれる竜人の種族で、頭部の角が特徴。自国を守るため、指輪王である佐藤に自ら近づき、妻になると申し出る。指輪を渡す相手に関しては、サフィラと相談して決めると約束していたが、国の行く末を案じ、単独で行動に出た。 指輪王に協力する意思はあるものの、佐藤自身への愛情はないため、クリストル・ノバティ・ノカナティカやネフリティス・ロムカ、グラナート・ニーダキッタが代わる代わる佐藤への愛情を確認しあっているのを見て、呆れている。

サフィラ・マーサ

水の国「マーサ」の姫。サフィール・マーサの双子の妹。顔はよく似ているが、サフィールよりも性格は穏やか。エルフに次いで長命といわれる竜人の種族で、頭部の角が特徴。マルマリギアス・ギサラス(マルス)とは愛を誓い合う仲だった。互いの国の関係上、結ばれることは難しいと思われていたが、マルスが指輪王になることで2人の愛が成就する可能性があった。 しかし、マルスが指輪を佐藤に譲ってしまったことを知り、自分への想いがなくなったのだと絶望している。

占術師

水の国「マーサ」で王宮付きの占術師を務める謎多き女性。「賢王」と呼ばれたマーサの王を心酔させ、骨抜きにしてしまった。帝国「ギサラス」の皇帝のためにマーサを手に入れ、指輪王を殺し、指輪を我が物にしようと画策しているが、その正体は深淵王の眷族。深淵王のため、皇帝をも利用しようとしている。

スリュダー・ギサラス

帝国「ギサラス」の第一王子であり、マルマリギアス・ギサラスの兄。深淵の魔物から世界を守るためという口実のもと、異世界アーヌルスで多くの国を侵略し、併合した。「無敗将軍」と呼ばれ、父親である皇帝の命を現実に変えている実力者である。

皇帝

人間の最大国家である帝国「ギサラス」を統べる男性で、国民には盲目的に崇拝されている。皇帝の長子である第一王子のスリュダー・ギサラスが、皇帝の手足となりさまざまな国へと侵略を広げている。また皇帝は、妾の子である第二王子のマルマリギアス・ギサラス(マルス)を、光の国「ノカナティカ」のクリストル・ノバティ・ノカナティカと結婚させて光の指輪を手に入れ、彼を指輪王とすることで、世界を自分の手中に収めようと考えていた。 しかし、それが叶わず、マルスに対して失望している。

集団・組織

深淵王の眷属

強力な魔法を操る恐るべき種族。世界を滅ぼすといわれる深淵王を中心に、それを守る騎士や魔物が存在する。その昔、深淵王は永き死闘の末、指輪王によって討ち封じられ、肉体を失い、その魂ははるか北の地ヴァンナーに封じられたと伝えられている。しかしながら、深淵王は復活し、その力を取り戻しつつある。そのため、指輪そのものと、指輪王である佐藤を狙って襲い来る。 その姿は今は誰にも知られていない。

場所

ノカナティカ

光の指輪を守る国。指輪王の帰りを待つ民である、「人間」により築かれた国家。深淵王から世界を救った指輪王をたたえ、来る危機にその再来を願うという指輪王信仰が篤い。しかし、長きに渡り平和を維持しているため、おおらかで信仰心においては適当な面がある。

ロムカ

風の指輪を守る国。深い谷の底にあり、美しく聡明で細長い耳が特徴の「エルフ」が住む場所となっている。かつてこの地は世界の知識が集まる場所として神聖視されていた。しかし50年前、突如、突風の障壁に包まれ、多種族の侵入を拒んだ。それ以降、この国と外界との交流は断たれている。一部のエルフは巨木の木の根にある空洞を通って秘密裏に外界と行き来している。

ニーダキッタ

火の指輪を守る国。古代指輪王とともに戦った戦士の末裔である「猫人」たちが彷徨う「騎士の国」としても知られている。最初の指輪王の時代に国土を失った猫人によって、車の上に都が築かれた。傭兵団として武芸を売りながら世界を回っており、その恩恵を受けようと旅の商人たちが行動をともにするうちに、いつしか巨大なキャラバンとなっている。 商人は、この国を町から町への移動手段としながら、車上の巨大市場で交易も行っており、世界最強の騎士団が守る世界一安全な移動マーケットとなっている。また、車上にある闘技場では、この国の姫であるグラナート・ニーダキッタのお見合いと称して、腕に覚えのある者が集まり、姫との決闘が行われている。

マーサ

水の指輪を守る国。自らを竜の末裔と称する「竜人」の国。世界の端に位置する辺境の都だが、都としては帝国ギサラスに引けを取らないにぎやかさといわれている。王宮の背を守るようにして存在する大瀑布エウユマーサは、国の象徴。最近では、帝国ギサラスに侵略され、城下町にいる兵士のほとんどが帝国の者となっている。

ギサラス

人間の最大国家である帝国で、わずか数十年で力を得た。さまざまな種族の多くの国々と手を結び、巨大化を続けている。国を治める皇帝は国民に盲目的に崇拝されており、長子である第一王子のスリュダー・ギサラス、妾の子である第二王子のマルマリギアス・ギサラスという2人の王子が皇帝の覇業を補佐している。

その他キーワード

指輪王(用語)

異世界アーヌルスで、救世の伝承により、世を救うと言われる者。その昔、深淵王の暗き力により数多の国が死の暗雲に覆われた。その闇を払うために作り出した、魔力を込めた光、風、火、水、土の5つの指輪の力により、指輪王は深淵王を討ち封じた。その後、5つの指輪は指輪王の妻たる5人の姫により5つの国に伝えられ、姫と指輪王の絆の証、5組の結婚指輪として代々受け継がれている。 次の指輪王となる者は、5人の姫と結婚し、結婚指輪として全部で5つの指輪を授かることで、絆を強め、その力は完全なものになるといわれている。

光の指輪

光の国「ノカナティカ」の姫であるクリストル・ノバティ・ノカナティカ(ヒメ)が首から下げていた一対の指輪。「破邪の指輪」といわれ、手にしたあらゆる者に魔を祓う光を与える。その持ち主には光を操る力を与え、深淵を打ち倒す「最強の武器」となる。夫婦としての絆の強さが反映され、力となる。ヒメから佐藤に託され、佐藤のものとなった。

風の指輪

風の国「ロムカ」で守られ、ネフリティス・ロムカが受け継ぐ一対の指輪。先代のロムカ王妃の遺志で国を守るための風の障壁をこの指輪が作り出していた。夫となる者に託せば、その者に深淵を打ち倒すための風を操る力を与える「最強の武器」となる。夫婦としての絆の強さが力に反映される。

火の指輪

火の国「ニーダキッタ」で守られ、グラナート・ニーダキッタが受け継ぐ一対の指輪。夫となる者に託せば、その者に深淵を打ち倒すための炎を操る力を与える「最強の武器」となる。夫婦としての絆の強さが力に反映される。

水の指輪

水の国「マーサ」で守られ、サフィール・マーサとサフィラ・マーサの双子の姫が受け継ぐ一対の指輪。夫となる者に託せば、その者に深淵を打ち倒すための水を操る力を与える「最強の武器」となる。また、妻となる姫が、龍に変化する能力を持つため、龍の力も手にすることになる。夫婦としての絆の強さが力に反映される。

黒い指輪

謎の黒い指輪。この指輪を手にした者を深淵王の騎士へと変化させる力を持つ。力が欲しければ、我を欲し、我を手にせよと、弱い心につけ込み、力を欲する者を誘惑する。この指輪によって深淵王の騎士へと変化した者は、指輪を守る者や指輪王である佐藤を狙って襲い来る。

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