あらすじ
第1巻
就職活動がうまくいかず悩んでいた大学生の若水良太は、近所のコンビニで買い物をした帰り、突然銃撃戦に巻き込まれる。柳刃竜一が助けに入ったおかげで、かろうじて弾に当たらずに済んだ良太だが、竜一と火野が避難場所として良太のアパートに勝手に上がり込み、部屋の掃除を始めてしまう。そして部屋が片付くと、竜一はなにか食べる物を作ると言い出す。(第1話「出会い」。ほか、10エピソード収録)
第2巻
内定をもらった会社がブラック企業と知り、若水良太はその内定を断ってしてしまうが、そうとは知らない結城春菜をはじめとした友人達が、部屋にお祝いにやって来た。これにより、柳刃竜一と火野が友人達と鉢合わせる事になったが、その素性を説明するわけにもいかず、良太は竜一を料理人をやっているおじ、火野をその部下であると紹介する。それを受けて竜一は、せっかく来たのだからなにか作りましょうと、豚ロース肉と缶詰くらいしかない食材の中、台所に立つ。竜一が作った料理はローストポークとチーズリゾットだったが、それらは高級料理を食べ慣れている塩之谷洋介の舌をもってしても、プロの仕事と誤解するほどの逸品だった。(第19話「パーティーメニュー(前編)」、第20話「パーティーメニュー(後編)」。ほか、12エピソード収録)
第3巻
たまたま柳刃竜一が出かけていたため、火野と若水良太の二人は、有り合わせのウィンナーと玉子と玉ネギを料理する事になった。出来上がった料理は非常に微妙なものだったが、そこに竜一が予定より早く帰って来る。そして竜一は、残りの材料を使って、手早く「ナポリタンライス」と自ら名付けた料理を作ってみせる。(第29話「思いつきも柳刃流」。ほか、13エピソード収録)
第4巻
体育会系の面接で、「もやしみたいな奴」となじられてヘトヘトになって帰って来た若水良太に、柳刃竜一は、大量のもやしの上に豚バラ肉の薄切りをかぶせて蒸した鍋料理を振る舞う。そして、これは「優作鍋」という、松田優作の好物だった鍋料理だと語る。そしてその場に居合わせた火野は、良太に対し優作のようにタフになれとハッパをかけるのであった。(第40話「もやしっ子」。ほか、13エピソード収録)
第5巻
若水良太が出かけようと部屋から出ると、外でうろうろしていた瓜田ゆきこからおすそわけのポテトサラダを渡される。その場に居合わせた柳刃竜一は、ゆきこに夜にまた部屋に来るようにと伝える。その夜、竜一はポテトサラダの礼として、ゆきこにかつて作家の山田風太郎が好んでいたといわれる「チーズの肉トロ」を振る舞う。(第51話「甘い文句にご用心」。ほか、11エピソード収録)
第6巻
若水良太の部屋にポリスメンがやって来た。いつものように料理の話をするかと思いきや、実は良太の友人の塩之谷洋介から通報を受けたのだという。良太はどうにかポリスメンを言いくるめて追い返すが、洋介は柳刃竜一と火野に対する疑惑の念を隠そうともせず、良太が自分で動かないなら自分が彼らの正体を暴くと言い出す。(第66話「就活戦線異状あり!!」。ほか、10エピソード収録)
第7巻
柳刃竜一と火野は、若水良太の部屋を出ていく事になった。良太は最後に、餞別のための食事を自らが作ると二人に申し出る。それは、冷たい飯に日本酒をかけただけのものだった。竜一が部屋にやって来たばかりの頃に、良太に伝えた「飯は冷やに限る」という教えに忠実に基づいた料理を口にして、竜一はその味を褒めるのだった。(第78話「飯は冷やに限る」。ほか、9エピソード収録)
登場人物・キャラクター
若水 良太 (わかみず りょうた)
凡庸大学に通う4年生の男子。就職活動中だが、あまり偏差値の高い大学ではない事と、本人にやる気がない事が相まって、全然内定が取れずにいる。家事のスキルも高くなく、これまでほとんど料理らしい料理はした事がない。結城春菜にほのかな恋愛感情を抱いているが、春菜からは友人としか見られていない。
柳刃 竜一 (やなぎば りゅういち)
若水良太の部屋に居候している壮年の男性。暴力団、柳刃組の組長を務めている。左頰に大きな傷痕があり、左手の小指の先がない。料理が非常に得意で、特にありあわせのものを工夫して作り出す才能に長けている。調味料には強いこだわりがあり、良太の部屋にも、通販で取り寄せてさまざまな調味料を揃えている。基本的に寡黙だが、説教する時と料理の話になると饒舌になる。火野からは兄貴と慕われている。
火野 (ひの)
若水良太の部屋に居候している中年の男性。柳刃竜一の舎弟。竜一とは違って料理の才能はほとんどなく、良太と大差のないレベル。唯一の得意料理は、大きな袋に食材を入れてシェイクした「ジェイルライス」。お調子者で、いつも落ち着きがない。
結城 春菜 (ゆうき はるな)
凡庸大学に通う4年生の女子。若水良太の友人。良太と同じく就職活動中だが、こちらも内定が取れていない。柳刃竜一を慕うようになり、竜一の料理目当てで良太のアパートをよく訪れるようになる。
塩之谷 洋介 (しおのや ようすけ)
凡庸大学に通う4年生の男子。若水良太の友人。金持ちのボンボンで、就職先はコネですでに決まっている。金持ち故に美食家で、食材に対しての知識も豊富ながら、柳刃竜一の料理にはいつも唸(うな)らされている。のちに、本当に竜一が良太の親戚なのかどうか疑いを抱くようになり、火野と共に警戒するようになる。
信也 (しんや)
凡庸大学に通う4年生の男子。若水良太の友人。ファミリーレストランのドリンクバーでオリジナルドリンクを作るのが得意で、これを自ら「信也バー」と称している。アイドルオタクで、「銀河スロープ」というアイドルグループの大ファン。
ポリスメン
警視庁の交番勤務をしている若い男性。匂いを嗅いだだけで、その部屋で作られた料理のソースの種類を言い当てるなど、特異な才能を持った料理好き。若水良太の事をグルメ仲間だと思い込んで気に入っており、部屋に押しかけて来てはおすそ分けをしたり、上がり込んで料理を作ったりする。
瓜田 ゆきこ (うりた ゆきこ)
若水良太と同じアパートに暮らしている若い女性。OLをしていた頃に不倫していた男にストーキングされ、暴力を振るわれていたところを火野に助けられ、良太達と食卓を囲むようになった。非常に臆病な性格で、身体もあまり丈夫ではない。料理は得意ではなかったが、柳刃竜一に感化されて自炊するようになる。
クレジット
- 原作
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福澤 徹三