修羅の棺

修羅の棺

長浜幸子の代表作の一つ。平成時代の日本を舞台に、父親の死の真相を調べる過程で、男性機能を失った杉浦蒼星が性転換手術で女性になり、その美貌と頭脳を駆使して名前と容姿を変えながら復讐(ふくしゅう)を果たす姿を描いたミステリー・エロティックサスペンス。集英社「月刊オフィスユー」2006年4月号から2009年2月号にかけて連載された作品。

正式名称
修羅の棺
ふりがな
しゅらのひつぎ
作者
ジャンル
復讐
 
サスペンス
レーベル
オフィスユーコミックス(集英社クリエイティブ)
巻数
全12巻完結
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父親の死をきっかけに人生が暗転

結婚を間近に控えた杉浦蒼星が、父親の杉浦哲人の死の真相を調べていたところ、婚約者の浅野香流が何者かに襲われて入院し、のちに自殺してしまう。その後、何者かに捕われた蒼星も暴行を受け、命を取り留めたものの男性機能を失ってしまう。1年後、蒼星は女性として生まれ変わり、33年前に起こった惨殺事件の真相を暴いて大切な人の命を奪った者たちに制裁を加えるべく、復讐の鬼と化す。蒼星が母譲りの美貌を駆使しながらの復讐劇が、ミステリーやサスペンスを交えて展開される。

33年前に起こった惨殺事件の謎

主人公の杉浦蒼星は、父親の杉浦哲人と婚約者が死に追いやられ、自らもチンピラに暴行を受けて男性機能を失ってしまう。そんな失意に暮れた蒼星が探り始めたのは、父親の哲人が若い頃にかかわった33年前の資産家惨殺事件だった。その事件は被害者の運転手が犯人として断定されるものの、1週間後に山中で自殺して幕が下ろされていた。しかし哲人が残していた日記から、哲人の四人の旧友が事件に関与していることを確信した蒼星は、闇に葬られた事件の真相を解明し、自らの人生を狂わせれたすべての者に復讐することを誓う。その後、自分を捨てて女性になった蒼星は、ゲイバーで働きながら「カオル」と名乗り、まるで闇に舞う蝶のように次々と復讐計画を遂行していく。

名前や肩書きを変えながら進められる復讐劇

杉浦蒼星の最初の復讐相手は、父親の杉浦哲人と婚約者の浅野香流を死に追いやった実行犯三人だが、実行犯たちに指示を出していたのが、哲人の友人で芸能プロダクションを経営する堀内淳士だったことが判明する。プロダクションの清掃員を装って堀内に接近した蒼星は、堀内への復讐を果たすものの、堀内と秘密裏にやり取りしていた弁護士の安藤亮輔は、一連の殺人事件の犯人が蒼星だと見抜いていた。後戻りできなくなった蒼星は、復讐の過程でさまざまな過酷な運命に立ち向かい、復讐を遂げるたびにその真相が明らかになる。

登場人物・キャラクター

杉浦 蒼星 (すぎうら そうせい)

会社員の男性。営業部の希望の星として女子社員からの人気も高い。母親の杉浦百合子はすでに病死しており、父親の杉浦哲人と二人暮らしをしている。恋人の浅野香流と婚約し、祝福パーティーから帰宅後に哲人の自殺に見せかけられた死体を発見し、香流もチンピラの暴行を受けたのちに病室の窓から飛び降りてしまう。事件の真相を探っていたところ、香流を暴行したチンピラから拉致されて暴行を受け、男性機能を失う。その後、性転換手術を受けて女性になり、実行犯とその裏に潜む黒幕への復讐を誓う。性転換後の容姿は母親と生き写しで、「カオル」や「セツ」など複数の名前を使って、その美貌を武器にターゲットへ接近している。復讐相手を殺害したあとは、哲人が大切にしていた蝶の標本を一つ現場に残している。

杉浦 哲人 (すぎうら あきひと)

杉浦蒼星の父親。妻の杉浦百合子はすでに病死しているが、一人息子の蒼星と浅野香流の結婚式を楽しみにしていた。昭和46年9月に起こった資産家惨殺事件の関係者の一人で、当時は大学の友人で容疑者の一人である尾木貴大のアリバイを証言した。この事件の詳細を日記に残しており、のちに蒼星が発見する。蒼星の結婚式を控えた平成16年12月、資産家惨殺事件の犯人の息子と連絡を取ろうとしていたところで何者かに殺害されるが、警察は死因を自殺と断定した。生前は穏やかで家族思いの男性で、定年退職後は蝶の蒐集(しゅうしゅう)のため全国各地を回ることを楽しみにしていた。 

書誌情報

修羅の棺 全12巻 集英社クリエイティブ〈オフィスユーコミックス〉

第1巻

(2006-10-19発行、 978-4420150996)

第12巻

(2009-01-19発行、 978-4420151696)

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