復讐の星

復讐の星

唯一の肉親である双子の弟、天野星二を戯れに殺された男、天野星一が、復讐のために巨額の資金を惜しまずに使って裏社会の大物、養善寺王泉を追い詰めていく姿を描く、超法規復讐バトルストーリー。「ヤングガンガン」2019年No.10から掲載の作品。

正式名称
復讐の星
ふりがな
ふくしゅうのほし
作者
ジャンル
復讐
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あらすじ

第1巻

養護施設の前に捨てられていた双子の赤ん坊、天野星一天野星二は、貧しい施設での暮らしながらも、兄弟なかよく成長していった。二人が中学3年生になった夏、星二は横断性の脊髄炎によって一人では歩けない身体になってしまう。それでも星二は心を腐らせることなく、星一はそんな弟の病気をきっと治すと宣言する。しかし、大学生になった星一は、星二が稼いだ金をパチンコで失うような自堕落な生活を送っていた。ある日、散歩に出かけた星一と車椅子に乗った星二、看護師の月嶋あかりのもとに車が突っ込む大事故が発生する。大ケガを負って病院で目覚めた星一に、加害者の老人は星二が即死したことと、そのお詫びとして星一の口座に大金を振り込んだことを告げる。その老人は法も警察の力も及ばない、強大な権力と資金を持った裏社会の実力者、養善寺王泉だった。星一は、口座に振り込まれていた数兆円の金を惜しまずに使い、王泉に復讐することを誓う。(第1話。ほか、7エピソード収録)

第2巻

弟を殺した養善寺王泉への復讐を誓う天野星一は、月嶋あかりのサポートを受け、王泉の孫である養善寺宗久を闇に葬った。しかし、そのことで養善寺一族から追われる身となった星一たちは、次々と刺客からの襲撃を受ける。しかし、仲間が突破口を開いたことで逃走に成功した星一だったが、襲ってきた敵が養善寺一族からの刺客だと知ると、王泉の居場所をつかむための手がかりになると考え、敵のもとへ引き返す。そんな星一を遠くから監視し、興味を抱く一人の少女、養善寺詩子がいた。(第9話。ほか、7エピソード収録)

登場人物・キャラクター

天野 星一 (あまの せいいち)

双子の弟、天野星二を殺した養善寺王泉への復讐を誓う青年。1998年に生まれ、星二と共に養護施設の前に捨てられていた。難病にかかり、車椅子での生活を余儀なくされた星二の治療費を稼ぐと言いながらも、自堕落な大学生活を送っていた。王泉から星二を事故死させたお詫びとして振り込まれた何兆円もの大金を使って、復讐のために行動する。復讐のために数億円を惜しまず使い、ヤクザ相手にも対等に交渉する度胸のよさを持つが、貧乏性が抜け切れないケチなところもある。三ツ星探偵事務所を起ち上げ、秘書の月嶋あかり、ボディーガードのプーと共に王泉への復讐の機会をうかがう。

天野 星二 (あまの せいじ)

天野星一の双子の弟。1998年に生まれ、星一と共に養護施設の前に捨てられていた。中学3年生の時に横断性脊髄炎という難病を患い、車椅子での生活を送ることとなる。顔は兄と非常に似ているが、兄とは違い優しい優等生タイプ。インターネットで古着や古物の仲介販売をして兄の参考書代を稼いでいる。散歩中、養善寺王泉の戯れによって車で轢き殺されてしまう。

月嶋 あかり (つきしま あかり)

車椅子生活を送る天野星二の介護を務める看護師の女性。かわいらしい顔立ちをしており、天野星一から好意を抱かれていた。実は親が病気で幼い頃から貧しく、指定の場所へ星二と星一を連れて行くことで、養善寺王泉から500万円を受け取っていた。しかし、星二が殺されるとは知らず、月嶋あかり自身も星二と共にケガを負ってしまう。事件後は星一から罪を許され、星一が起ち上げた三ツ星探偵事務所に秘書として雇われて、養善寺王泉への復讐のため星一と行動を共にする。

養善寺 王泉 (ようぜんじ おうせん)

天野星二を車で轢き殺した男性。年齢は98歳。双子のどちらかが死んだら、残された一人はどんな思いを抱くのかを知りたいがために、戯れに事件を起こした。世界でも指折りの大企業である養善寺財閥の総帥で、莫大な資金力と権力を持つ裏社会の超大物として、法も警察の力も及ばない存在。人前に姿を現すことは極めて稀で、指先を動かすだけで総理をあやつれると噂されている。

養善寺 宗久 (ようぜんじ むねひさ)

養善寺王泉の直系の孫。養善寺東関運送の取締役を務める傍ら、運送用の大型トラックを利用した大規模な児童買春を行なっており、養善寺財閥の力を利用してその犯罪を隠蔽している。祖父の王泉に心酔し、その血を穢さずに子孫を残そうと考えている。金髪ロングの美しい青年だが、防護マスクと防護服に身を包み、無菌調整室に籠って、売春を強いられる少女たちをモニター越しに凝視している。

養善寺 数正 (ようぜんじ かずまさ)

養善寺王泉の息子。養善寺グループ暗殺部門のトップを務めている。養善寺一族の中でも「殺し」を本業とし、謀略と陰謀が渦巻く養善寺家で、七人いた兄弟の中で唯一生き残った。娘の養善寺詩子からは、父親の養善寺数正は小心者ゆえ生き延びたか、無能ゆえに生かされたと評している。生まれながらにして天才の詩子を恐れ、彼女のいっさいの自由を奪って監禁している。生まれた頃から望めばなんでも叶う環境だったため、この世のすべてに飽きており、この世に底なしの悪意をまき散らすことだけを考えている。

カオリ

天野星一が起ち上げた三ツ星探偵事務所に、助けを求めてやってきた女子高校生。養善寺グループが関与する「天使事件」と呼ばれる児童買春事件の被害者で、同じく被害に遭って自殺した親友の仇を討って欲しいと星一に懇願する。

銀蒼会組長 (ぎんそうかいくみちょう)

裏社会に詳しい若い男性。弱小ヤクザ「銀蒼会」の組長を務める。天野星一から金で頼まれ、養善寺王泉への復讐に協力している。星一の追っている老人が、王泉であることを教えた人物でもある。

プー

天野星一がボディーガードとして雇っている屈強な男性。星一から護衛役の仲介を頼まれた銀蒼会組長が、最強のボディーガードとして紹介した。名前を名乗らないために、外見が熊っぽいという理由で月嶋あかりが「プー」さんと名づけた。雇い主である星一のことは「星一サン」と呼び、敬語で話す。毎日厳しいトレーニングに励み、ジャンクフードはいっさい口にしない。武術にも精通しており、調査から拷問までなんでもこなすプロフェッショナルな人物。

養善寺 詩子 (ようぜんじ うたこ)

天野星一に対し、養善寺王泉への復讐ために共闘を申し出た自称天才美少女。養善寺数正の実の娘であり、王泉の子孫にあたる。生後10か月でしっかりとした言語を話し、3歳でシェークスピアを復唱、7歳で高度な数式を理解したという天才児(ギフテッド)。その力を恐れた父親の数正によって施設に監禁および監視され、絵や文字を書いたり、ぬいぐるみと遊ぶなど、能動的な行動を取るたびに数正の手下からスタンガンによる懲罰を受けていた。しかし、寅の協力によって施設を脱出し、養善寺グループ打倒のために行動している。

(とら)

養善寺詩子を監禁および監視するために雇われていた男性。施設では「44番」と呼ばれていた。父親が好きな映画から取った「寅」という名前が付けられたが、寅自身はまだその映画を観たことがない。少女にスタンガンで罰を与える仕事が受け入れられず、詩子を施設から脱出させた。それからは詩子のことを「お嬢様」と呼び、行動を共にしている。

プロフェッサー

養善寺数正を倒すための協力者として、養善寺詩子が呼び寄せた三人組の外国人男性の一人。作戦立案を担当するダンディな人物で、仲間からは「プロフェッサー」と呼ばれる。

ココナッツミルク

養善寺数正を倒すための協力者として、養善寺詩子が呼び寄せた三人組の外国人男性の一人。電子機器の達人で、ベースボールキャップをかぶり、ヘッドフォンを首にかけている。数正の潜むビルへの潜入ミッションにおいて、警備システムのハッキングを担当した。

ダイヤモンド

養善寺数正を倒すための協力者として、養善寺詩子が呼び寄せた三人組の外国人男性の一人。工業機械の専門家で、スキンヘッドの屈強な黒人。特製のドローン「フローライト君」を自由自在にあやつる。

131号 (ひゃくさんじゅういちごう)

養善寺王泉に古くから仕える殺し屋を生業とする人物。ガルーダのような面をかぶり、屈強な体をピチピチのレオタードに包んでいる。現在は養善寺数正のもとに待機しており、ビルに侵入してきた養善寺詩子を迎え撃ち、殺害しようとした。

集団・組織

屍人 (しじん)

養善寺数正が作り出した殺人部隊。数正がなんらかの方法で人工的に作り出した人間。暗殺に関しては素人だが、この世のすべてに絶望しており、自暴自棄でリスクを恐れることなく標的に向かって襲い掛かってくる。個々の能力は高くないが、数にものをいわせる戦いを得意としている。養善寺グループに牙を向いた天野星一たちを襲撃する。

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