概要・あらすじ
35歳を間近に控えたサラリーマン瀬上年男は、仕事も順調で妻と2人の子供に恵まれ、幸せな家庭を築いていた。しかし、本人はそんな暮らしにウンザリしていた。優等生なんてクソくらえ、もう他人のためだけに唄を歌うような人生はまっぴらだと考えた彼は、35歳から人生を変えるための計画を進めてきた。その計画とは、通勤途中の駅の近くにボロアパートの一室を借り、時折そこで独身時代のような自由を謳歌すること。
計画を実行に移した瀬上は、家族には内緒でわずかな時間を見つけてはアパートで過ごし、自由を満喫していた。やがて素敵な女性とも巡り遭うものの、男の人生にとって安らぎとは何なのかという、自分への問いの答えはなかなか見つからずにいた。
登場人物・キャラクター
瀬上 年男
栗島工業で営業課長を務める35歳の男性。27歳の時に2つ年下の妻と結婚し、5歳と2歳の子供がいる。仕事熱心でスピード出世して課長になった。マイホームもあり、はたから見れば順風満帆な人生を送っている。しかし、家族のためではなく自分の生き方を考えるために、家族に内緒でボロアパートの一室を借り、二重生活を始める。酒と女以外に趣味はなく、男の人生にとって安らぎとは何なのかという答えを模索している。 社内の葉原まなみと不倫しているが、瀬上年男の気持ちはすでに冷めている。
金子
瀬上年男と同じく栗島工業で営業課長を務める中年男性。瀬上を一方的に毛嫌いしており、強いライバル意識を隠さない。次期副社長候補である五十嵐派の一員であり、五十嵐の銀座通いに毎夜付き合わされて、心身ともに疲れ果てている。家に帰るのはいつも午前様のため、家族との仲は冷え切っている。
五十嵐
栗島工業の専務で次期副社長候補の1人。銀座通いが大好きで、部下を引き連れて毎晩会社の金で豪遊している。一時は失脚のピンチに見舞われたが、無事に副社長の座に就く。体を壊して入院した金子をあっさりと切り捨て、瀬上年男を配下にするというドライな性格。
葉原 まなみ
瀬上年男と同じ栗島工業に勤める独身女性。年齢はもうすぐ23歳になる。瀬上と不倫関係にあるが、瀬上の気持ちは冷めており、葉原まなみ自身から積極的に誘うものの冷たくされている。そんなこともあって金子へのアプローチを始める。
野島
瀬上年男が隠れ家として借りたボロアパートの隣室で暮らす中年男性。眼鏡に無精ひげのインテリ風の人物だが、素性は不明で瀬上が尋ねても教えようとしない。部屋には大量の本が積まれている。酒が好きで、よく瀬上を誘って部屋で飲んでいる。男の人生にとって安らぎとは何なのかという、瀬上の問いに対する答えを持っているようだが、それは人に教えてもらっては意味がなく、自分で見つけなければならないと説き、教えてくれない。 瀬上にとって心を許せる数少ない友人となる。
片沢 友美
瀬上年男が惚れこんだ上品で美しい女性。去年離婚した元夫の山倉からしつこく復縁を迫られて困っていたところを瀬上に助けられたことをきっかけに知り合う。瀬上の積極的なアプローチによって、デートを重ねる関係になる。
山倉
片沢友美の元夫。京品倉庫という一部上場企業の課長を務めている。父親は社長で、いずれは会社を継ぐ予定のボンボン。慶応卒。山倉の浮気が原因で離婚になったが、友美に未練があり、ストーカーのように付け回しては復縁を迫っている。
林
明大で助教授をしている32歳の男性。離婚経験者で、片沢友美の現在の恋人。大学が忙しくて友美とは頻繁には会えないが、友美に惚れている瀬上年男に大きな嫉妬心を抱かせている。
綾
瀬上年男が立ち寄った「キャンパスクラブ」で働く女子大の2年生。年齢は19歳で、遊ぶ金欲しさでホステスをしている。まだあどけなさの残る黒髪ロングストレートの可愛い女の子。客として来た瀬上を好みだと気に入り、自らテーブルへやって来た。のちに瀬上と付き合うことになる。
初美
公園で酔いつぶれて寝ていた瀬上年男から、サイフを盗もうとした家出少女。ショートカットの髪型をした可愛い女の子。最初は高校1年の15歳だと言っていたが、本当は中学2年生。身長165センチと長身で、見た目も中2にしては大人っぽい雰囲気の持ち主。義父に犯されそうだと危険を感じて家出している。行き場がなく、優しくしてくれた瀬上を頼って、彼の隠れ家であるアパートに転がり込む。